BtoBメーカーのウェブ活用

第2回:企業購買プロセスのウェブ化(1)

執筆者:代表取締役社長 気賀崇

解決(Solution)段階のウェブ活用

課題を把握できたら、その解決手段を提示することが次の段階となる。個別にカスタマイズされた提案そのものは営業マンを中心に行なうとしても、そこに至るまでに「この会社だったら、自社の課題を解決してくれるかもしれない」と期待させる上で、ウェブが果たせる役割は多い。

そこで最も重要なコンテンツは、製品・サービスの導入によって、実際にどのような課題がどう解決されたのかを示せる導入事例である。導入事例の公開は、顧客の許可が必要であり、その作成の手間から、なかなか進まない側面があるが、ネタそのものが無い訳ではない。各拠点の営業マンが個々に作成・利用しているケースも多いので、一度、事業部門内での導入事例の棚卸をすることを勧めたい。

米PCメーカーのDellの法人部門では、導入事例のライブラリ(図2)を用意しており、米国内で300、全世界で500の事例を提供している。事例はソリューションや産業、製品などで検索が可能となっており、概要がウェブページで提供されている。詳細は見易く編集されたPDFやビデオで提供されているため、顧客が、印刷やメールで社内に回覧することも可能となっている。

図2.事例ライブラリ:Dell(別ウィンドウが開きます)

Dellでは、事例の募集もウェブ上で行なっており、事例作成を通じた効果の見える化が自社マネジメントに対する成果説明にもなることや、Dellのサイトを通じたグローバルなブランディングへの貢献、作成の手間を取らせないこと、などを訴え、事例提供への協力に対する心理的ハードルを和らげようとしている。

なお、解決段階を締めくくる個別提案は営業マン主導で行なうべきだが、ウェブで盛り上がった期待を確実に営業マンに引き渡すためには、問合せのし易さとその後の対応が重要だ。欧米のBtoB企業で増えてきているパターンは、営業マンの個人名/アドレスを掲載するというもの(図3)。担当者を明確にすることによって、顧客に安心感を与えるとともに、担当者はより責任を感じて即時の的確な対応をすることとなる。ウェブを通じてせっかく高まった課題解決への期待を、問合せのし難さや不誠実な対応と言う瑣末な問題で萎えさせることがあってはならないと、肝に銘じたい。

図3.営業担当の個人名の明記:ABB(別ウィンドウが開きます)

「産業広告 2009年9月号」に掲載記事より

ページネーション