BtoBメーカーのウェブ活用

第3回:企業購買プロセスのウェブ化(2)

執筆者:代表取締役社長 気賀崇

行動(Action)段階のウェブ活用

選択した製品が関係者の承認を得られれば、いよいよ行動の段階である。その意味するところは狭義では、購入行為そのものとなるが、ここではその後の顧客関係の維持までを含めて考えたい。

配送可能な製品のECは発展が顕著で、オンライン書店のアマゾン並みに簡単に注文できるウェブサイトが国内にも見られるようになってきた。ミスミのウェブサイト(図3)では、製品の基本情報やCADデータのページで加工方法を細かく指定し、納期を確認した後、そのまま見積・発注を行うことができる。また、同製品の他の閲覧者が訪れた類似・関連製品ページを紹介するなど、追加の売り上げにつながる細かい工夫が為されている。

図3.EC:ミスミ(別ウィンドウが開きます)

代理店制を敷いている米Texas Instruments(図4)では、メーカー在庫のみならず、代理店の在庫と納期も公開しており、代理店のECから製品を購入することが出来るようになっている。ECを行っていなくとも、製品型番と郵便番号を入れることで、最寄りの代理店を紹介するメーカーサイトもある。オンラインでのメーカー・代理店連携は、代理店支援の重要なテーマになってくるだろう。

図4.代理店在庫情報:Texas Instruments(別ウィンドウが開きます)

購入後の顧客関係の維持は、接点確保とその活かし方にかかっている。ここでも、顧客が思い立ったらいつでもアクセス出来るウェブサイトが果たす役割は大きい。接点確保の1つの機会はサポートである。BtoB各社は、ナレッジセンターやサポートフォーラム、FAQ(Frequently Asked Questions:よくある質問)などを取り揃え、ユーザーが自己解決することを全面支援することで、サポートコストの削減と解決のリードタイムの短縮の両方に取り組んでいる。中にはFAQをもじって、RAQ(Rarely Asked Questions:あまりない質問)を設けているサイトもある。アプリケーションが多岐に渡るBtoB製品においては、購入前も購入後も、顧客が明らかにしたいと感じる不明点には様々なものがあるはずで、少数派の質問にも答えようとする姿勢は好感を与える。さらにもし本当に課題が解決したならば、顧客の期待値が低い分、満足度はより高まるかもしれない。低コストで無制限のスペースを活かしたユニークなコンテンツと言えるだろう。

それでも解決しない場合には、電話やメールの問い合わせを受け付けるのだが、米Tyco Electronics(図5)の様に、チャットによる相談を受け付ける企業も増えてきた。Tycoでは英・独・中国の3言語でのサポートを行っている。チャットはキーボード入力による会話だが、メールによる問い合わせよりもリアルタイム性が高く、電話よりも頭の中を整理して会話しやすく記録に残せるなどの利点から、若い世代を中心に利用が増えている。ゆくゆくは、コールセンターならぬチャットセンターを用意することが、どの会社にとっても当たり前のことになってくるのかもしれない。

図5.チャットによる問い合わせ:Tyco Electronics(別ウィンドウが開きます)

ウェブサイトでは、迅速・的確なサービスでロイヤリティを高めるだけでなく、サポート目的の来訪時に、後継品をさりげなく売り込むことも可能だ。オムロンの制御機器・FAシステム事業サイト(図6)では、型番入力によるカタログやマニュアルの提供を行っているが、その製品の代替品が出ていれば、検索結果にその旨が表示され、代替品のページに飛ぶことが出来る。サイトへの来訪目的にはしっかり応えた上で、きちんとワンプッシュをしている好例だ。

図6.代替品推奨:オムロン(別ウィンドウが開きます)

その他、オンライントレーニングや、メールマガジンを実装するBtoBウェブサイトも増えてきた。この様に、製品販売後にウェブが果たせる役割は大変幅広い。また、今回紹介した機能は初期投資こそかかるが、一旦整備をしてしまえば、どんな規模の来訪数でもほとんど追加コストなく対応することが出来る。地域によってモデルが異なるBtoC製品とは違い、BtoBの場合はグローバルにモデルが統一されている、もしくはそれに近いため、開発した機能はグローバルに利用することも可能なことが多い。ライフサイクルの長いBtoB製品から派生する各種の売上機会を確実に取り込むには、守備範囲が広くコストの安いウェブサイトと、ピンポイントでかゆい所に手の届く営業マンとを上手に組み合わせて対応していきたい。

「産業広告 2009年11月号」に掲載記事より

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