グローバルWeb戦略

グローバルなWeb活用の進め方

執筆者:代表取締役社長 気賀崇

グローバルWebの典型課題

次に、グローバルにWebを活用する上での典型的な課題を考えてみよう。GS、LS、そしてGWの順番で見ていく。

GSの場合は頻度および品質の両面でコンテンツの充実度が大きな課題だ。GSは日本から海外、しかも世界全体に情報発信を行なう。対象が異国である上に、特定国ではない外国人総体が相手のため、来訪者像が見えにくいことが、コンテンツの充実化を妨げる要因だ。また、GSの各コンテンツの責任者は事業部門だが、各事業部門において海外への情報発信とは、英語化と世界全体には出せない情報のチェックであり、“世界は自社のどんな情報を必要としているのか”という観点が弱いことも課題の背景にある。

LSの課題は、一部の先進国以外でのWebサイトの品質の低さだろう。コンテンツの品質や更新頻度のみならず、情報の探し易さやアクセススピード、などで問題が散見される。これは多くの国でWeb専任ではなくコミュニケーション担当者の兼務で業務を回していることが大きい。だが、ブランディング・マーケティングを担うWebの構築・運用には、ビジネス、Web制作、そして多少のITに関する知識など、幅広い知見を要するため、その国の顔役を担う一国のWebサイトを少数の兼務者で運用するというのは非常に心許ない。日々の更新業務に追われ、その国での適切な情報発信のあり方など、とてもではないが考える余裕はないだろう。

最後にGWの典型課題だが、実は企業の中にGWの観点がないこと自体が最大の問題だ。GS・LSですら十分な体制がない中で全体を見渡す余裕がないことは自明ではある。GSの日々の運用を担うコーポレート部門がGW全体も見なければならないことも、目が行き届いていない理由だろう。ただその結果、全世界で一体いくつのサイトがあるのかすらわからないままに各国各様の運用がなされている状況がある。

GWのあるべき姿は統一ありきではないが、“良いばらばら”と“悪いばらばら”に分けて考えた場合、GWの観点がないと“悪いばらばら”を放置することになってしまう。企業として守るべき最低限の品質を保てなかったり、共通化によって底上げできる機会を逃すこととなる。GW全体を見渡した整備計画の立案・推進を行なう体制の構築は、多くの企業でまだ緒に就いたばかりだ。

「BtoBコミュニケーション 2015年3月号」に掲載記事より

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