グローバルWeb戦略

グローバルなWeb活用の進め方

執筆者:代表取締役社長 気賀崇

グローバルWeb戦略とガバナンス

上述の問題を解決するにはどうすれば良いのだろうか。体制を充実させるのは言うは易しだが、実際にはそう簡単に増員出来る訳もなく、また適切なスキルのスタッフを見つけることも容易ではない。では、なぜ必要な体制が組めないのだろうか。

企業内部でWebの重要性と職務の内容が理解されていなければ、適切な体制構築は覚束ない。直接的な理由はこれだ。その背景にはそもそも、その企業においてWebがどういう役割を果たすべきかというWeb 戦略が明らかになっていないことがある。特にWebは企業にとって新しいツールであり、変化も早い。Webなしで社会人生活を過ごしてきた企業の予算権限者から、Webの全体像を理解した指示が降りてくることは期待すべきではないだろう。経営層・管理者層への啓蒙の意味で、自社におけるWebのあり方を明らかにするグローバルWeb戦略の立案は、Web活用の第一歩として欠かすことの出来ないプロセスと心得たい。

そして、Web戦略の実行を担うのがガバナンスだ。ガバナンスは“統治”と訳されるため、ルールに基づいてダメだしをする頭でっかちのイメージがあるが、筆者はWeb戦略が定めるあるべき姿を実現・維持するための実務プロセスだと捉えており、ルール屋であることは一側面にしか過ぎないと思っている。Webガバナンスにおいては、よくヘッダー・フッターの統一が話題にあがるが、これはガバナンス業務のごく一部に過ぎない。見た目の統一が真っ先に上がるというのは、Web戦略の不在の証明に他ならない。ルールは守らせるためにあるのではなく、Webのあるべき姿を形作るためであるはずだ。この原点を忘れなければ、ガバナンスがルール屋にとどまるものでないことが良くわかるのではないだろうか。決してガバナンスを統治のための統治にしてはならない、と心得たい。

ガバナンスは本社が実施するものだが、グローバルWebにおいては、本社がどこまでLSのあり方に関与すべきかということが常に問題になる。特に日本企業の場合は分権を志向していることが多いため、「LSの整備は現地販社の責任で」となることが多い。だが人間で考えてみても、成人は独り立ちすべきだが、それまでに一人で生きていくための土台を提供するのは親の務めなのではないだろうか。Webも同様で、企業のグローバルなWeb活用がまだはじまったばかりであることを考えると、今は分権か中央集権かを議論する前の段階にある。今後どちらに進むにせよ、本社は少なくとも最初の5年程度は積極的な関与によって、ローカルの孤軍奮闘に任せていては進まない部分の加速・
底上げを担うべきであろう(図3)。

図3.本社Webガバナンス組織の負荷推移イメージ

「BtoBコミュニケーション 2015年3月号」に掲載記事より

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