グローバルWeb戦略

グローバルなWeb活用の進め方

執筆者:代表取締役社長 気賀崇

グローバルWeb活用推進の3ステップ

図4は、10以上の大手BtoB企業のグローバルWeb戦略立案およびガバナンス整備に関わってきた筆者の経験を基にまとめた、グローバルなWeb活用を全社推進する上での典型的な3ステップだ。

各ステップは通常3年から5年をかけることになる。長いと思われるかもしれないが、一部上場企業のグローバルWebは100程度のサイトを持つことが多く、戦略不在のほぼゼロ状態から始めることも多いため、こうした期間が必要となる。最初のステップは、上述したGWの観点のない状態からのGWガバナンス整備のフェーズだ。ある意味、もとが何もなかった分、成果を出しやすい。GS・LSは新しいデザインとなり、良質なコンテンツも増える。どこから手を付けて良いかわからなかったWeb強化の道筋が見えたということで、世界中の社内関係者からも評価されるのがこの時期だ。

だが次のステップは悩ましい。比較的派手で分かり易く本社主導で進められるWebガバナンス構築フェーズから、地味な更新・改善をローカル事業部主体で進める巡航フェーズに移ると、ローカルや事業部が自分事として動くことが大前提なので、本社は巻き込みがうまくいかないことにいらいらすることになる。第一フェーズでの飛躍の記憶が新しい反動もあり、なかなか評価されないもやもやが生じるのがこのフェーズだ。だが、本来Webの維持・強化には地味な側面が多い。例えばWebを通じたブランディングとは、ブランドコンテンツだけの話では決してなく、探している情報は必ず見つかる、迷うことなくスムーズに見つかる、ないと思っていた情報まである、といった状態を提供できてはじめて、お客に好印象を残す。これは日々の地味な情報更新や改善といった努力の積み上げでしか実現できない。ローカルや事業部の巻き込み・啓蒙はこのステップで初めて行うのではなく、第一ステップの段階で小さな成功体験を積ませながらWebへの意識を高めておくことが必要だろう。

最後のステップである、現地化フェーズを経験している会社はまだそう多くはないが、本社主導のGW整備を進めていると、ローカルの自立心が芽生えてくることとなり、現地化への遠心力が働いてくる。先述の例を使えば、成人としての自覚が芽生えてきたということであり、プロジェクト開始当初が“悪いばらばら”だったのが、“良いばらばら”へと最終段階に入ってきていることを意味する。しかし、これまた人間と同じで常にスムーズに成人への移行が完了する訳ではない。ローカルWeb責任者が、その国の顔となるWebに求められる品質を理解していなければ、“悪いバラバラ”に逆戻りしてしまうリスクもはらんでいることに気を付けたい。自由を求めるLSが、責任の伴う自由が何たるかを知らない“ただのませた少年”とならぬよう、現地化の実力があるのか適切なタイミングを見計らうことも親たる本社の重要な役割である。

図4.グローバルWeb活用推進の3ステップ

「BtoBコミュニケーション 2015年3月号」に掲載記事より

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