グローバルWeb戦略

BtoB企業のグローバルWebと本社の役割

執筆者:代表取締役社長 気賀崇

「ポイント1:海外で何を発信すべきかを考える」

企業の情報発信とは、理解されたい姿と現状の理解を埋める作業。このギャップが大きいテーマこそが、重点的に発信すべき情報だ。

なぜ今、グローバルな情報発信が重要視されるのか。言わずもがな、本社を置く日本と海外とでは、知名度・理解度が全く異なるからである。多くのBtoB企業の場合はホームグラウンドの日本においてすら自社を正しく理解してもらうことに苦労していると思うが、ましてや海外では、歴史の短さ、顧客接点の少なさ、身近な地元企業の存在などから、知名度・理解度の向上余地が日本で以上に大きい。だが、現実はLSよりも本社が英語で運営するGS、そのGSよりも日本サイトの情報が充実している。最もギャップを埋めなければならない海外市場でこそ、最も多い企業情報があるべきなのに、理想の姿とは真逆の姿がここにある。事業戦略では海外市場こそが自社の将来を左右するようにうたってはいても、実際には日本向けコンテンツに力を入れ続けている会社は少なくない。

是正の第一歩は、海外で何を発信すべきか、についての検討だ。こんな基本すら出来ていないのは、海外の潜在顧客は自社の何を知らないかが本社からは見えにくいこと、外国語でのコンテンツ作成は母国語よりも手間やコストがかかること、“自社”としてではなく“自部門”で何を発信すべきかと小さく考えがちであることから。要するにいろいろと面倒なのだが、海外で真に役立つものが何なのかがはっきりすれば、こうした手間は乗り越えられるはずだ。

もちろん、LSにどんなコンテンツを載せるのかは、最終的には各国の判断だ。しかし、GW統括部門に各国での情報発信のある程度の方向性について全く考えが無いようでは、あるべき姿に導くことは出来ない。

各国の経済発展フェーズ、競合状況、日本企業へのイメージ、自社のポジション、業界におけるその国での常識・非常識についての広範な考察を行ない、その国で提供すべき情報の当てをつけることが、当たり前のことなのにおざなりになっている、海外向け情報発信のファーストステップである。

「ポイント2:ツールに頼りすぎない」


GWの整備に取り組んでいる企業の取り組みとして、ガイドライン整備やCMS導入を挙げる企業は多い。これらがグローバルWebの品質を高めるものであることは間違いないが、こうしたツールは、Web運用の“効率性”“統一性”を強化するに過ぎない。つまり運用側にメリットはあるが、情報の受け手に大きく影響するものではない。情報発信の要は情報の質。受け手にとって価値ある情報を提供することが、情報発信の最終ゴールであることを考えると、それが効率的・統一的に出来るかどうかは、最重要テーマではないはずだ。

先に記したように、何年にもわたるGWの整備の初期段階にガイドラインやCMS導入を進めることはありだ。形あるものを整える取り組みは“作った”という成果が見えやすく、まわりの理解も得やすい。ここから始めることで、長期プロジェクトに勢いをつけることは、現実に即した推進方法だと思う。ただし、ツールの導入完了でほっとするのではなく、その後にどんな情報を発信するかを考え、形にする努力こそが本丸であることを決してお忘れなく。

「BtoBコミュニケーション 2016年3月号」に掲載記事より

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