イントリックス株式会社

コンサルタント対談『Web戦略のリアル』(第二回:日本企業のビジネスを活かすWeb戦略)

Web戦略コンサルティングって何?そんな疑問に答えるべく、イントリックスのWeb戦略コンサルタントが、様々な切り口で自らの仕事について語ります。今回はその第二回です!(全三回予定)

(左)気賀崇、(右)林隆男

Web戦略の仕事と聞いて、パッとどんな仕事かイメージするのは難しいのではないでしょうか。そこで、イントリックスのWeb戦略コンサルタントである私、坂本が、仲間のコンサルタントたちに、様々な切り口で、自分の仕事について聞き出します。第二回目のテーマは、「ビジネスを活かすWeb戦略」。今回は、15年のWeb戦略立案経験を持つ弊社代表の気賀が登場。商社出身のコンサルタント林とともに、Web戦略とビジネスの関係について語ります!

今回の二人

・気賀崇(きが たかし):代表取締役社長

投資銀行を経て、サイエント株式会社で取締役に就任。Eビジネス戦略策定やグローバルWeb再構築支援に従事した後、2009年にイントリックス株式会社を設立。日本企業のWeb活用へのブレない問題意識を持ちつつ、楽観的でバイタリティ溢れる頼れる社長です。

・林隆男(はやし たかお):アナリスト

商社営業からWeb戦略コンサルタントに転身。前職の経験を活かし、提案などの営業面で力を発揮する一方、アクセス解析など、各種データの分析も得意にしています。

日本企業はまだまだこれから。Web戦略の出発点は「何のためのサイトか」を考えることから

-Webサイトに戦略視点が必要と考えられたことに、何かきっかけがあるのですか?
【気賀】
2000年に入社したサイエントは米国のWebコンサル会社のはしりだったんだけど、その当時からデジタルだからこそのサービス構築を徹底して考えていた。
例を挙げれば、アメリカのメジャーリーグのポータルサイト、MLB.comがある。それまでは、各チームでそれぞれWebサイトがあったけど、コンテンツは同じようなもの。ポータル化して、機能を統一できると考えられた。
その際に、誰に対し、どのような情報を、どのような形で提供するか、そのため何が必要か、など、きちんと戦略を立ててサイトを作ったその結果、オンラインショップの売上など、サイト自体が大きな収益源となったんだ。
イントリックスがフォーカスするBtoBとは異なる領域だけど、リアルビジネスを手掛ける組織がWebを使い倒す例というと、いまだにMLB.comが思い浮かぶな。

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-日本企業ではどうでしょう?
【林】
製品情報などを中心に、全体的には、Web活用は進んでいるという印象です。ただ、ユーザーが本当に欲しがっている情報が何かという点がきちんと考えられている、すなわち戦略が意識されているケースは、まだまだ少ないと思います。
ちなみに、Webの効果と言えば、こんな例があります。以前商社で勤務していた際、ふだんの顧客ではないスーパーマーケットから、エア乾燥ファンの問合せが来ました。尋ねると、製品メーカーのWebサイトで事例を見て、自店舗で活用できるのではないかと問合せたそうです。ただサイトに情報を載せているだけでも、かつてない商流からの引き合い獲得など、効果があります。きちんと戦略を立てて使えば、日本企業にとって、さらに大きな武器になると感じています。
【気賀】
だけど、Web戦略について言えば、必要なのにやってこなかった日本企業は多い。Webサイトも、とりあえず作っちゃえと言う雰囲気が強かった。百歩譲って、会社案内や製品カタログなど既存のコミュニケーションをネットに置き換えるフェーズはまだ良かったけれど、事業特性に沿ってデジタルを使い倒さなければならないこれからは、戦略なきWebづくりはありえない。欧米と日本企業の差は依然大きいね。

国土やエンドユーザーなど、日本企業のWeb活用の優先度が低いのは訳がある?!

-そのような日本企業の現状の背景は、何だと思いますか?

【林】
まず、アメリカなどのWeb活用の先進国と比べ、日本は国土が狭いことがあるのではないかと思います。
アメリカでは、アメリカは大変国土が広いですが、営業やサポートの人的リソースを無限大にかけられるわけではありません。故障時も、呼べばサポートがすぐに飛んでくるようなリアルなネットワークを構築することは難しいので、Webを活用して情報を提供せざるを得なかった。
一方、日本のBtoB商材では、支店や代理店など、人的なネットワークが張り巡らされているケースが少なくありません。その分、Web活用への優先順位が低いのだと思います。

-他にも、考えられる点はありますか?
【林】
エンドユーザーの性質も、あるかもしれません。例えば、日本国内における農業機械のエンドユーザーは高齢の農家の方が大半を占めるため、営業マンによる訪問の方が馴染み深いはずです。そのため、Web活用の優先順位は下がりがち。一方海外では、数人~数百人規模の企業として農業に取り組む若いエンドユーザーも多いことから、日本と比べWebへの優先順位も高くなるでしょう。

 

【気賀】
日本での現状ではそうだね。一方で、デジタルネイティブが多数派になるのは、時間の問題。そうなってから企業がWeb活用を考えては遅すぎる。戦略があり、ユーザーにとって使いやすく、かつデータベースの構築などシステム面にも配慮した、イントリックスでいう三位一体的なWeb活用には、どうしても時間がかかる。10年後にデジタルを自在に活用できる組織となるためにも、今からいろんなトライアンドエラーをしておくべきだと思う。

-Web活用がなかなか進まない状況は、今後も続くでしょうか?
【気賀】
企業が日本国内の競争だけを意識していれば、変わらないかもしれない。しかし、海外市場で競争するには、Web活用の差が決め手になることは、十分に考えられる。
特に、技術や性能で決定的な差が無い製品分野で競争するには、分かりやすい製品情報や、効率化された購買プロセス、充実したアフターサービス情報など、Web活用の差が購入判断に影響することになると思う。そうなると、日本企業も意識を変えざるを得ないだろう。

どこまでが人で、どこからがWebか?ビジネスとWebの様々な関係について

-やはり、全ての企業がもっとWeb活用に積極的になるべきですか?
【気賀】
いやいや、すべてがWebありきではないよ。ビジネスによってWeb活用へのスタンスは変わるからね。例えば、ある機械メーカーでは、BtoC系製品を扱う事業部はすでに積極的にWebを活用していた。一方、超大型機械部門は取引相手が限られているため、それ以上Webでアピールする必要は無いという結論になった。Web活用のあり方や度合は、当然、業種や事業、業務の種類によって異なるよ。

-では、Webとの親和性が高いビジネスは何ですか?

【気賀】
紙のカタログのような制約が無い情報発信ができる点や、サポートなどの双方向性が期待できる点で、全体として、BtoBのビジネスは一般に考えられている以上にWebとの親和性が高い。
その中でも、様々なメーカーの製品情報などを集約する商社や、代理店を通さない直販メーカーのビジネスは、特にWebとの親和性が高い傾向にあると思う。例えば、機械部品商社のミスミは、Web活用が非常にうまくいっているね。直接販売しているメーカーでは、キーエンスのWeb活用がよい例だろうね。
【林】
もっとも、商社や直接販売を行うメーカーでも、Web活用以外で売上を伸ばすケースはありますし、Web活用の具体的なあり方も様々です。
例えば、産業用ロボットのファナックは、現時点では、Webの積極活用よりも人的営業の充実の方が、売上に貢献していると考えられます。また、キーエンスのWeb活用も、顧客との最初の接点づくりを重視する一方、公開サイトでは、サポート向けコンテンツは充実していません。人で対応できている要素がより大きいからでしょう。
結局、ビジネスにおけるWeb活用とは、顧客とリアルに接する営業、サービスなどで人がフォローできないところをいかに補うか、という点にあると思います。

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課題はMCにあり!日本企業のWeb活用の未来について

-今後、日本企業がさらにWeb活用を進めていくために考慮すべきことは?
【林】
BtoB企業で顕著なのですが、広報などCC(コーポレートコミュニケーション)部門がWebを担当することが多い中、真の意味でWebを使い倒せる企業とそうでない企業の差が拡がりつつあると思います

-どういうことですか?
【林】
Webを本当に使い倒すためには、日々お客様と接する営業・サービス部門の大きな関与が不可欠です。にも関わらず、まだまだWeb活用の機運が全社的に高まっておらず、Web活用の検討がCC部門に留まってしまっているケースが少なくありません。もったいないことだと思いますね。
【気賀】
確かに、ビジネスにおけるWeb活用では、製品を購入し、利用する顧客まで視野に入れる必要がある。日本企業では、実際に製品を販売する事業部のマーケティングコミュニケーション(MC)よりも、企業イメージを担う広報などのコーポレートコミュニケーション(CC)の方が、Web活用を先行させがちだね。

-その理由は何でしょうか?
【気賀】
CC部門の方が、会社全体の視点で、Webサイトを担当することが多いからだと思う。ただ、CC部門は職掌上、個別事業のMCにはなかなか入っていけないよね。もちろんCCは重要。ただ、海外の事例を見ると、WebがもっとMCに貢献できることは明らか。あるべき姿とのギャップという意味では、MCの方に大きな問題があるんだよ。

-MCでのWeb活用には、各事業部門の意識も変えなければ、ということですね?
【林】
そうです。ただ、事業部としては、限られたリソースの中で、どうしても短期的な売上に注力しがちです。Webサイトに関しては、大事だし、やらなければと頭ではわかっていても、優先順位が下がったり、何から手をつけていいか分からなかったり、という傾向が見られます。実際、事業部門にコンタクトをとっても、広報などのCC部門に回されることは、まだありますね。
【気賀】
CC、MCのバランスも一例だけど、日本のWeb活用は、システム、コンテンツ、ユーザビリティ、運用など、断片的な検討が多い。でも企業としてWebを使い倒すには、会社全体を俯瞰したWeb戦略が必要。
そのためには、広報部門、各事業部門という既存の枠組みでの試行錯誤では、限界があるのかもしれないね。それらを包括した、デジタルマーケティング部門とでも言うべき受け皿がどこかで必要となることは明白だし、Web活用が進んでいる会社は、その方向に向かっていると思う。様々な機会を通じて、俯瞰的なWeb戦略の必要性を訴え続けていきたいね。

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聞き手からの感想

Web戦略について、より俯瞰的に論じる気賀と、営業を中心に自分の経験を出発点に語る林。視点の異なる二人の話を通じ、Web戦略をより立体的に理解することができました。Web活用と一口に言っても、その企業のビジネス構造や組織に大きく影響されます。個々の企業にカスタマイズされたWeb戦略の提案を通じ、日本企業全体の底上げを狙いたいものです。
(聞き手:坂本勝(イントリックスアナリスト))

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もっと知りたい!「Web戦略のリアル」:その他の回はこちらから

第一回:Web戦略コンサルタントの最前線

そもそもWeb戦略とは何なのか?何のためにあるのか?Web戦略コンサルタントのお仕事について語ります!

第三回:Web戦略におけるプロジェクトマネジメント

制作と戦略の両方を知るプロジェクトマネージャーがWeb戦略とプロジェクトマネジメントの関係を語ります! 保存

書いた人

坂本勝

アナリスト

時間と空間を超えたインフラとして、Web戦略にこだわりたい。

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