BtoBマーケティングコラム PMOの役割とは?導入するメリット・デメリットについても解説

2022年11月28日

PMOとは

PMOとは、「Project Management Office(プロジェクトマネジメントオフィス)」の頭文字を取った言葉です。組織内における各プロジェクトのマネジメントを横断的に支援する組織や機能のことを指します。社内にPMOを置く場合もあれば、外部に委託することもあります。

プロジェクト管理者であるPM(プロジェクトマネージャー)に求められる水準が高まるなかで、プロジェクト全体のサポートを担うPMOの存在が注目を集めています。

PMOとPMの違い

PMOとPMは混同されやすい言葉ですが、両者の間には明確な違いがあります。

PMがプロジェクト全体のマネジメントを行うのに対して、PMOはPMのマネジメント業務をサポートするのが主な役割です。「PMの業務を補佐するのがPMO」と認識しておくとよいでしょう。

参照元:一般社団法人日本PMO協会「PMOとは

PMOの役割

PMOとPMの関係性を踏まえたうえで、PMOの具体的な役割について理解を深めていきましょう。

PMOの役割には、「プロジェクトマネジメント業務の支援」「プロジェクト間のリソースやコストの調整」「プロジェクトマネジメントに関する人材開発」などがあります。

PMOの役割についてはさまざまな考え方がありますが、イントリックス株式会社では次のように定義しています。

  1. 全体視点でのプロジェクト推進支援
  2. ベンダー間にまたがる課題の抽出と対策検討(※1)

※1 ベンダーとは、各機能やシステムの開発を担う会社のこと

昨今のサイトリニューアルPJはテーマが幅広く、1社だけで完結することは困難となっています。このため複数ベンダーでそれぞれの特長を発揮しながら進めていくことになりますが、全体調整役が不在だと各ベンダー視点の「個別最適」に陥り、ベンダー間にまたがる問題を誰も拾おうとせずにプロジェクトが進んでいくことになります。

各ベンダーの個別最適にこだわった問題解決を進めていくと、重大な問題が発覚するタイミングが遅くなり、スケジュールの遅延やコストの増大、品質低下などが発生します。
最悪のケースでは、問題を解決できずにプロジェクトが凍結してしまう可能性もあります。

業務システムの世界においては従来より、PMOはプロジェクトの成功率を高めるために当たり前のように設置されていました。一方、これまでWeb系プロジェクトでは難易度・規模ともにPMOを設置するほどではありませんでした。

しかしながら、昨今のプロジェクトでは難易度・規模が格段に上がり、PMOの必要性が飛躍的に高まっています。当社イントリックスでも、2〜3年ほど前からPMOを含めてプロジェクト支援を行うケースが増えました(2022年11月時点)。具体的には、工数規模100人月以上のプロジェクトではPMOを設置して運営する形をとっています。

大規模プロジェクトを当初計画したとおりの品質・コスト・納期で実現させるためには、半年先までを目安に想定されるリスクを常に考えることが重要です。また、そのようなリスクの芽を先回りして摘み取りながらプロジェクト全体を推進していく必要があります。1〜2ヶ月先のリスクしか見えていない状況では、プロジェクトがどこかで暗礁に乗り上げてしまうからです。

昨今のプロジェクトでは、問題が顕在化した際のインパクトが大きくなっています。
システム要素が多く絡むサイトリニューアルでは、大きな問題が勃発すると数千万円単位の損失につながることは珍しくありません。

大きな問題を発生させずにプロジェクトを実現させるためには、プロジェクトの全体像を冷静な視点で把握し、全体最適を意識したプロジェクト推進を行うPMOの存在が非常に大切です。

PMOを導入するメリット

この章では、PMとは別にPMOを導入するメリットについて解説します。
PMOを導入するメリットは主に以下の4つです。

1. PMの負担を軽減できる

1つ目が、PMの負担を軽減できることです。
プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、PMにかかる業務負担も大きくなります。
どれだけ優秀なPMでも、業務量が増えすぎると一つひとつのタスクが煩雑になってしまう懸念があります。

そのようなときにPMOを導入することで、PMの手が回っていない業務をサポートし、心身の負担を軽減させることができるでしょう。

また、PMOがPMの仕事の進捗状況を把握しておくことで、組織移動や退職などでPMの急な変更が生じた際にも、プロジェクトへの影響を最小限にできるというメリットもあります。

2. プロジェクトの意思決定が迅速かつ正確になる

2つ目が、プロジェクトの意思決定が迅速かつ正確になることです。

意思決定を行うまでには、使用可能な予算・メンバーのリソース状況・関係事業部 の要望など、さまざまな情報を集める必要があります。PMOが情報収集をサポートすることで、意思決定をスピーディに進めることにつながります。

また、PMOはPMよりもプロジェクト全体を俯瞰的に見られる立場にいるため、PMの意思決定に問題がありそうな場合は軌道修正のアドバイスをすることも可能です。

PMOが意思決定に関わる業務をサポートすることで、迅速かつ正確な意思決定ができるようになるでしょう。

3. 業務の効率が上がる

3つ目が、業務の効率が上がることです。

PMの業務量が多すぎると、一つひとつの業務にかける時間が少なくなるだけでなく、集中力も分散されてしまいます。また、複数の業務を同時進行で進めている場合は、「この業務はどこまで進んでいただろうか?」と混乱してしまうことがあるでしょう。

「データの収集とマニュアル作成はPMO」「プロジェクトメンバーの進捗管理と教育はPM」のように役割分担をすることで、全体の業務を効率的に進められるようになります。

4. 企業の文化に左右されにくくなる

4つ目が、企業の文化に左右されにくくなることです。

PMOには、「俯瞰的な視点でプロジェクトを成功に導くための支援をする」という役割があります。特定のプロジェクトに長く携わっているPMは、自社で「当たり前のこと」とされてきたやり方が深く染みついており、より効率的な方法があることに気づきにくくなってしまう可能性があります。

企業文化や従来のやり方に左右されず、第三者の立場からプロジェクトに介入できるPMOの存在は、プロジェクトの停滞を打破する一助となるかもしれません。

PMOを導入するデメリット

PMOの導入には多くのメリットがありますが、同時にいくつかの懸念点もあります。
ここでは、想定される2つの懸念点を紹介します。

1. コミュニケーション不全のリスクが高まる

1つ目が、コミュニケーション不全のリスクが高まることです。
プロジェクトに関わるメンバーが多いほど、コミュニケーションが煩雑になる傾向があります。メンバー間の意思疎通に時間がかかったり、意見の対立でプロジェクトが円滑に進まなくなってしまうリスクが考えられます。

特に、PMとPMOの間で意見の食い違いが起こった場合は、プロジェクトの進行自体がストップしてしまうこともあるでしょう。

必要以上にメンバーが増えるとコミュニケーションがとりにくくなるため、PMが一人でマネジメントできるプロジェクトであれば、PMOの導入は不要といえます。PMOが介入するプロジェクトの場合は、「プロジェクトの指揮をとるのはあくまでもPM」という認識をすり合わせ、そのうえでお互いの業務範囲を明確にすることが大切です。

PMOが介入することによるメリットとデメリットを天秤にかけたうえで、PMOを導入すべきかどうかを検討しましょう。

2.PMの存在が薄れる

2つ目が、PMの存在が薄れてしまう可能性があることです。
プロジェクト全体の指揮をとるのはPMですが、PMの経験が豊富な人物がPMOとして参画した場合、PMとPMOの力関係が逆転してしまうケースがあります。

特に、外部のPMOをプロジェクトに迎える場合は、認識の共有を念入りに行っておかないと、PMが担うべき業務範囲を侵略されてしまうかもしれません。

PMとPMOの役割分担を明確にし、「最終的な決定権はPMがもつ」という合意を形成することが非常に重要です。

まとめ

本コラムでは、PMOの役割や、PMOを導入するメリット・デメリットについて解説しました。

PMOは、すべてのプロジェクトで導入すればよいわけではありません。「PMとしての経験を活かして新規プロジェクトの立ち上げをサポートしてほしい」「各PMと連携しながらプロジェクト全体の管理をしてほしい」など、明確な目的のもとで導入を検討することが大切です。

PMOを導入する目的とPMOに担ってほしい役割を明確にすることで、業務の効率化や生産性の向上が期待できるでしょう。

数多くの大規模なグローバルプロジェクト推進の経験とノウハウを持つイントリックスでは、戦略・クリエイティブ・テクノロジーの3つの視点からプロジェクトを推進するお手伝いをします。PMOの導入をご検討される際には、ぜひ一度、当社へお問い合わせください。

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