6年目Webディレクターが考える、プロジェクト関係者が気持ちよく仕事ができるディレクション
「Webディレクター、向いてそう」で始まったキャリア
私はWebについて何も経験がないままイントリックスに入社しました。入社すると、イントリックスのWebサイトにあるメンバー紹介ページの自己紹介文を考えるというミッションが与えられました。当時の私は正直何を書いたらいいのか分からなかったので、先輩の紹介ページの文章や会社紹介用の資料、Web上に転がっているWeb制作会社の記事などを漁って、それっぽいことをとりあえず文章にしました(その際はすみません……)。
渋澤佳奈見の紹介文
https://www.intrix.co.jp/about/members/shibusawa-kanami.html
例えば、以下の文章。
“Webサイトは、ディレクターだけでは作れません。PMをはじめフロントエンドエンジニア、デザイナー、ライターといったWeb制作に関わるメンバーやシステム構築のスペシャリストと力を合わせ、プロジェクトをゴールまで導く必要があります。ディレクターはいわば現場責任者。お客様とプロジェクトメンバー全員の意思を統一するために指揮を執る、大切なポジションです。一連の制作工程を担うことは重責ですが、それこそがディレクターの醍醐味・やりがいでもあると感じています。”
「Webディレクターってそういう役割」とわかったような感じで書いていますが、どこからか引用してきたような語り口で、今になって読み返すと少し恥ずかしいです(笑)。
そもそも私がWebディレクターを志望した理由は、「人とコミュニケーションを取りながら物事を遂行することに対して苦手意識もなく、自分に向いていそうな職種だから」という楽観的な考えからでした。
ただ、紹介文のタイトルとして付けた、“常に相手の立場になって考える姿勢を忘れず、プロジェクトに関わる人が気持ちよく仕事ができるディレクションを目指したい”という気持ちは本心であり、これだけは忘れないように頑張ろうと思いWebディレクターとしてのキャリアをスタートさせました。
一人では無力なWebディレクター
Webディレクターとして働き始めて少し経つと、Webディレクターは「なにかを作っているようで、なにも作っていない人」ということに気付かされます。
仕事の話を知人にすると「じゃあ、Webサイト作れるの?すごい!」と言われることが多いのですが、「あくまでディレクションだよ。実際に作るのはデザイナーやコーダーだよ」と慌てて訂正することもしばしば。
これまでWebサイトに関わらず多種多様なプロジェクトを経験してきましたが、Webディレクターだけで完結できるプロジェクトは当たり前ですがありません。イントリックスには頼もしいスペシャリストたちがたくさんいます。コンテンツプランナー、インフォメーションアーキテクト、デザイナー、フロントエンドエンジニアなどに加え、プロジェクト内容によってはさらに他の職種も関わってきます。
Webディレクターのスキルとして、もちろんデザインやHTMLなど周辺知識に精通していること、タスクの進行管理、最新のトレンドなどを吸収する意欲・姿勢などが求められることは前提としてありますが、個人的にはWebディレクターとして必要な要素は「プロジェクトメンバーがプロジェクトのために、自分のためにひと肌脱いでやろう!と思ってもらえる人間か」ではないかと思っています。
Webディレクターが「この人とは一緒に仕事したくない」と思われてしまったら、それはもう致命的です。なぜなら自分一人では何も作ることができないから。それに、一緒に仕事をしたとしても良いプロジェクトにはつながらないはずです。いかに「またこの人と一緒に仕事したいな」と思ってもらえるか。そのためには、やはり“常に相手の立場になって考える姿勢を忘れず、プロジェクトに関わる人が気持ちよく仕事ができるディレクション”をすることが大事なのだと感じています。
ちょっと想像力を働かせる
「常に相手の立場になって考える姿勢を忘れない」
全人類みなできていれば世界は平和になっているはずで、それぐらい難しいことです。
どうしたら実現できるのか。おそらく「想像力」なのだと思います。これをこう言ったら相手はどう感じるのか。うれしいか、不快か。これでお願いしたら相手はスムーズに作業に取り掛かることができるのか、よく分からないと跳ね返されるか。この情報は共有しておいた方がいいか。いや、必要な情報だけ抜粋して渡した方が作業の邪魔にならないだろう。
このように、相手の考えの先までを少し想像して行動するかしないか、上手くいかなかったとしても、その姿勢が相手に伝わるだけでも信頼を得ることができるのではないでしょうか。
上述のことはもちろん、特に私が気を使うように心がけていることは、Webディレクターの領域外のタスクを依頼するときに「一人じゃないよ、一緒にやっているよ」感を出すこと。プロジェクトメンバーにあとはおまかせ~とほったらかしにするのではなく、我々にもできることはないかなって想像すると、結構あるはずです。
あーでもないこーでもないと言いながらベストな形を一緒に見つけているか、アウトプットに対してきちんと意図を理解できるまで摺り合わせできているか(分からないことを素直に言うことも大事ですよね)など、「一緒に納得した上でできたアウトプットだよ」と認識し合うことでメンバーも安心するのではないかと想像して日々業務にあたっています。
判断力=思考の連続
“ディレクターはいわば現場責任者。お客様とプロジェクトメンバー全員の意思を統一するために指揮を執る、大切なポジションです。”
時としてWebディレクターは、スケジュール、コスト、品質、運用性など、プロジェクト状況のあらゆる面を考慮した上で何がベストな選択なのか判断が求められるタイミングがあります。
正直苦手でした……(笑)。最初はとにかく自信がないので、経験がないことを言い訳に自分で考えて判断することを避けていたような気がします。徐々に慣れてきた時もクライアントの意向を重視しすぎてしまい、プロジェクトメンバー視点で物事を考えることができていない場面も多く、適切な判断ができていなかったと思います。
ただ、プロジェクトの経験を重ねることで、自分の中での判断軸が増えて以前よりも思考の幅が広がったような気がします。その時から、「判断する=思考の連続」だと気が付きました。判断に迷うことがあれば、それはまだ考え切れていないのかもしれません。
これからも「気持ち良く仕事をしてもらえるディレクション」を大事にしたい
“常に相手の立場になって考える姿勢を忘れず、プロジェクトに関わる人が気持ちよく仕事ができるディレクションを目指したい”
これは6年経った今も変わらず、これからも大事にしたいと思う姿勢です。
想像力も判断力もまだまだ未熟ではありますが、どちらもきっと目指したい姿勢につながる要素だと思います。
大切にしたい姿勢・考え方は人それぞれだと思いますが、少しでも共感してもらえたらうれしいです。ぜひ皆さまの大切にしたいことを教えてください!