森 大樹 Hiroki Mori

アートディレクター/デザイナー

例えるなら、ラブレターの代筆をするような仕事

これまでデザインや映像を通して、様々な企業や個人の方々とお仕事をさせていただきましたが、そのほとんどの場合でまず感じるのは「もったいない」という気持ちです。

よくよくお話を伺えば、素晴らしい商品や、それを作り上げるプロフェッショナルな人々。そして、会社の根底を支える素敵な考えをお持ちであることがわかります。しかし、それらの魅力は注意深く探さないと見つけられない場所に隠されているものであったり、場合によっては当事者たちも認識していないものであったりします。

日本人らしい奥ゆかしさ、とポジティブに捉える見方もあるかもしません。ですが、お客様の魅力を知れば知るほど、どうしてもじれったく感じてしまいます。そんな時、いつも感じるのは「魅力的な人なのに、意中の相手に想いが伝わらない」という状況に似ているなということ。友人や知人と話しながら、「いい人なのに、もったいないな」と感じられた事が皆さまにもありませんでしょうか。

私は広告やブランディングというものは、例えるなら、そういう人に代わって意中の人に届けるラブレターの代筆をするようなものなのかもしれないと考えています。脚色や誇張をするのではなく、その人が本来持っている素敵なところを伝えたい。そのために、一生懸命気持ちをこめて文章を考えたり、相手の人柄や趣味を想像しながら封筒や便箋の色を決めたり、ときにはサプライズのアイデアやデートに着ていく服といったものも考えたり。もしかすると、「あの人より、あなたにはこんなふさわしい人がいますよ」なんてお節介をすることもあるかもしれません。

すべての人の気持ちが意中の相手に伝わる世の中になれば、こんなに素敵な世界はありません。私はほんの少しでも、そのためのお手伝いができれば嬉しいな、と思っています。

私について

職業、父親。趣味、息子

これまで、趣味とは言いにくいレベルながら様々なものに手を出してきました。登山、釣り、写真、映画、音楽鑑賞などなど……。しかし、子供が生まれてから日々の全てが子供で埋まるようになり、なかなか時間を取ることができなくなりました。ただ、「息子のために我慢している」というような、ネガティブな気持ちにはあまりなりません。

2017年、呉市で行われた花火大会のポスターに、このようなコピーがありました。「息子は笑って花火を見ている。おれは笑って、息子を見ている。」まさに、これは私にとってドンピシャの感覚です。今まで自分が直接楽しんできた趣味を、自然と息子を通して楽しむようになりました。

歳をとってからできた子どもということもあり、ただの親バカならではの感覚かもしれません。血のつながりによるもの、と言い換えることもできます。なんにせよ、親子というのは不思議な関係だな、と息子を見ながら強く感じる日々です。