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なぜBtoB製造業は脱炭素化コンテンツを強化しているのか

マーケティング
ゆるやか広報班 編集部
2020年10月、日本政府が2050年までにCO2をはじめとする温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。この「2050年カーボンニュートラル宣言」がきっかけとなり、製造業の脱炭素化が加速しています。BtoB製造業のデジタル活用を数多く支援してきたイントリックスでも、脱炭素化に関するコンテンツ制作の引き合いが増えており、その勢いを肌で感じているところです。

そこで今回は、製造業が脱炭素化を推進する背景には何があるのか。また、どのような取り組みを行っており、なぜコンテンツによる情報発信を強化しているのかを考察していきます。

脱炭素化技術の進化が目覚ましい製造業

2021年11月に、データ解析企業のアスタミューゼが脱炭素技術番付を公開しました。このランキングは、世界の主要企業が保有する38の脱炭素関連技術を選び、多くの国がカーボンニュートラルの達成目標としている2050年時点における炭素削減能力を推定してランク付けしたものです。

脱炭素技術番付を見ていくと、上位20社のうち11社が日本の製造業であり、国別で最多となっています。具体的には、水素活用やEV関連の技術を持つトヨタ自動車が1位、CO2の回収・再利用技術(CCUS:Carbon dioxide Capture and Storage)や高効率な火力発電技術を持つ三菱重工業が3位という結果です。そのほかにも、日立製作所、東芝、ホンダ、パナソニックといった日本を代表する大企業がランクインしています。

この結果を踏まえると、日本の製造業が脱炭素化技術の開発に注力していることがよくわかります。しかし、なぜ製造業はこのように脱炭素化を推進しているのでしょうか。その背景を考えていきましょう。

製造業が脱炭素化を推進する背景

地球温暖化の主な原因であるCO2は、温室効果ガスの一種であり、太陽からの熱を封じ込めて地表を暖める作用を持ちます。2021年8月9日に公表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書では、向こう数十年の間にCO2をはじめとする温室効果ガスの排出量が大幅に減少しない限り、地球温暖化の進行によって、世界の平均気温が産業革命以前より1.5℃から2℃以上高くなるという予想がなされました。地球温暖化が進行すると、極端な高温や海洋熱波、大雨、干ばつといった深刻な気候変動が引き起こされます。そのため、地球規模での脱炭素化に向けた取り組みが求められている状況です。

直近では、2021年10月31日から11月13日にかけて国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が開催されました。COP26では、産業革命以前からの平均気温上昇を1.5℃に抑えるための努力が参加国に求められることになり、各国はこれに合意しています。また、COP26には日本の岸田文雄総理も参加しており、2030年までの期間を「勝負の10年」として各国に野心的な気候変動対策を呼びかけるとともに、新たな2030年温室効果ガス削減目標をはじめとする日本の取り組みについて発信しました。

このように、脱炭素化は今後数十年にわたる世界共通の課題です。日本は2050年までのカーボンニュートラル達成を目標に掲げていますが、そのために日本の基幹産業の一つである製造業の取り組みが重視されています。その理由として挙げられるのは、次の2点です。

1. 製造業のCO2排出量が多い

日本国温室効果ガスインベントリ報告書によると、2019年度の日本のCO2排出量は約11億794万tでしたが、部門別の間接排出量では製造業を含む産業部門が最も多く、全体の約3分の1を占めています。その主な要因は、製造業がモノづくりの過程で化石燃料由来のエネルギーを大量に消費しているからです。日本全体のCO2排出量を削減してカーボンニュートラルを達成するためには、太陽光や風力といった再生可能エネルギーへの切り替えや、省エネ機器の使用といった工夫が求められています。

2. 脱炭素技術のニーズが高い

世界中で脱炭素化が推進されている中で、製造業が持つ脱炭素化技術のニーズが高まっています。たとえば、化石燃料に変わるクリーンエネルギーとして水素が注目されていますが、日本企業は自動車や発電のエネルギー源として水素を活用する優れた技術を保有しています。それらを世界に展開していけば、地球規模でのカーボンニュートラルを達成できるかもしれません。また、排出されたCO2を回収・再利用するCCUSと呼ばれる技術も注目を集めていますが、この技術も日本企業の存在感が強い領域です。本格的に普及するようになれば、地球規模でのインパクトがあるといえるでしょう。

脱炭素化コンテンツを重視する製造業

製造業各社は脱炭素化を推進するだけでなく、WebサイトやSNS上のコンテンツによる情報発信も積極的に行っています。では、なぜ製造業はそういった脱炭素化コンテンツを重視しているのでしょうか。その理由として、次の3つの理由が考えられます。

1. 競争力の強化

これからの社会では、脱炭素化への取り組みを発信することが企業の競争力強化につながる可能性が高まっています。その理由は、環境意識の高い企業がサプライヤーや取引先にも脱炭素化を求めるケースが増えているためです。たとえば、Appleは2030年までにすべてのサプライチェーンでカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げており、200社近いサプライヤーの脱炭素化を積極的に支援しています。脱炭素化コンテンツを通じて自社の姿勢を積極的に発信していれば、ビジネスチャンスが広がっていくかもしれません。

2. マーケティング

近年では、環境や社会問題への意識が世界中で高まっています。特に、若い世代は社会問題に対する企業の姿勢を重視する傾向が強く、商品の購入時にはそれを製造する企業への信頼・共感が重要な選定基準となっています。そのため、自社の環境問題に対する姿勢や、環境に配慮した商品の特徴をコンテンツとして積極的に発信することが、これからの社会における効果的なマーケティング施策の一つになっていくと考えられます。

3. ブランドイメージの向上

脱炭素化へ積極的に取り組む企業の姿勢は、自社の従業員に支持されるだけでなく、社会問題への意識が高い人材の共感を集めます。また、近年では環境・社会・ガバナンスの3要素に注目したESG投資が盛んに行われており、製造業が資金調達によって事業を拡大するためには、環境問題への取り組みも重視されるようになりました。脱炭素化コンテンツを積極的に発信していれば人材や投資家の目に留まりやすくなり、人材獲得や資金調達の面で有利に働く可能性が高まっています。

まとめ

今回は、製造業がなぜ脱炭素化コンテンツを強化しているのかを考察してきました。脱炭素が今後数十年にわたる製造業の重要テーマになることは間違いなく、脱炭素化コンテンツを強化することでビジネスチャンスが広がっていくと考えられます。

イントリックスは、製造業のように専門的な領域であってもわかりやすい表現でユーザーに刺さるコンテンツ制作を得意としています。これから脱炭素化コンテンツを発信していきたいとお考えの際は、ぜひイントリックスにご相談ください。