株式会社ニコン:日英サイトリニューアル マルチベンダー体制での大規模リニューアルをPMOとして支援。事業の収益獲得に貢献するコーポレートサイトを構築

  • プロジェクト全体推進支援
  • Webサイト制作・運用支援
  • クリエイティブデザイン制作
株式会社ニコン

サイトの全体構造の見直しやデザインの刷新に加え、20社近いマルチベンダー体制からなる本プロジェクトを、PMO(Project Management Office)として支援。営業ツールとして収益獲得に貢献するWebサイトの基盤構築の実現に寄与しました。

  • 数百にのぼる製品情報サイトへの誘導を強化するサイト構造・UI設計の刷新
  • お客様のインハウスデザイナーと協業した、新しいニコンの姿を具現化するデザインの開発
  • 運用性を考慮したコンポーネントパーツ集の作成
  • マルチベンダー体制でのPMO支援

背景と課題

持続的な企業価値向上に向けて加速する事業変革

光学機器の開発・生産・販売を行うニコンは、デジタルカメラをはじめ、FPD/半導体露光装置、顕微鏡、測定・検査システムなどを提供し、高品質な光学技術で幅広い産業と市場に貢献しています。

そのニコンでは、ヘルスケアやコンポーネント、デジタルマニュファクチャリングといった戦略事業での収益拡大や、完成品販売中心からソリューションビジネスへの進化など、持続的な企業価値向上に向けて、ビジネスモデルの変革が急ピッチで進められていました。

そして、グローバルサイトと日本サイトの両サイトは新しいニコンのビジネスにおいても重要な営業ツールとして位置づけられ、収益獲得に貢献する基盤へと作り変えることを目的に、本リニューアルプロジェクトはスタートしたのです。

しかしながら、旧Webサイトにおいては、サイト構造やUI設計・デザインをはじめ、複数存在していた管理ツールによる運用の煩雑化や重複投資など、さまざまな問題が顕在化していました。

また、Webサイトの下層ページは、領域カテゴリごとに制作会社4社で分担して制作を担当。その他、CMSの開発、問い合わせフォームの開発、インフラ構築、Cookie管理ツールの新規導入など、担当領域ごとに異なるベンダーが存在していたため、このマルチベンダーを束ねられるようマネージメントを支援することがプロジェクトの成功の鍵を握っていたのです。

イントリックスの解決策

システム、制作、全体推進の一貫したマネジメント支援を実施

イントリックスでは、5年に及ぶ長期ロードマップの最初の一歩として、サイトの全体構造の見直しから、お客様のインハウスデザイナーと協業したデザインの刷新、グループ会社サイトの集約を含めたサイトリニューアルの支援を実施。加えて、本プロジェクトを推進していくために、以下のポイントでPMO支援を行いました。

1. 半年前からシステム開発ベンダーとこまめな連携

システム開発ベンダーへの事前情報の共有不足は、制作スケジュールに取り返しのつかない遅延を招きかねません。例えば、CMSで動的に表示する箇所の仕様がかたまりきっていないと、仕様を最終化できるまでCMSの開発がストップしてしまう、動的に表示する箇所のHTMLのパターンが不足しているとHTMLの追加制作とその分のCMS開発遅延が発生するなどの問題が想定されます。

これらの問題はCMS開発を伴うプロジェクトでは頻繁に起こりえますが、ベンダー間のコミュニケーションが不十分だと再発することも多くあります。イントリックスではこの問題を確実に防ぐために、リニューアル全体のスケジュールができた時点でシステム開発ベンダーにも共有。作業が始まる6カ月前から打ち合わせを開始し、要所要所で目線合わせを徹底しました。

  • 6カ月前:作業内容、イントリックスから提示するもののすり合わせ
  • 3カ月前:その時点での制作物(デザイン、設計仕様)の共有
  • 1カ月前:最終調整中のHTMLを提示しながら作業内容の確認
作業開始の6ヶ月前に、依頼する業務の概要を共有し、作業内容だけでなく、進め方や提供すべき情報、リソース確保に問題がないかも事前に確認した
6ヶ月前では詳細な画面の設計や仕様は確定していないが、なるべく具体的なイメージを共有し、認識の齟齬が発生しないように配慮した

2.各制作会社の進捗確認・アドバイスを週次で実施

本プロジェクトのリニューアル対象は、グローバルサイトと日本サイトでそれぞれ1,500ページにも及びます。そのため、イントリックスではトップページから第2階層ページの制作と、ページテンプレートと約200種類のパーツ集の開発を実施。そのテンプレートとパーツ集を用いて、4つの制作会社が分担して下層ページを制作するという体制が組まれました。

当初、各制作会社への指示出しはニコンのご担当者が行っていましたが、制作会社ごとで担当するページ数や推進体制、スキルにばらつきがあり、管理が煩雑であったため、同じスケジュールで足並を揃えることが困難でした。そこでイントリックスが間に入り、制作全体の管理を支援することになりました。

    具体的には、
  • 提供するテンプレートやパーツ集についての事前説明をはじめ、制作過程での技術的な質問への回答はイントリックスが対応し、待ち時間を減らす
  • 各社の作業状況を週次でヒアリングしながら状況を把握し、遅れている会社には対策を検討してもらうよう働きかけ
  • ニコンとイントリックスでのダブルチェック体制をつくり、コーディングや画像サイズまでのチェック等の対策を講じ、一定の品質を保ったうえで、大量のページ制作のスムーズな進行に貢献しました。
各制作会社の作業状況を集約して進捗を俯瞰できるようにし、遅れていたり課題を抱えている会社には早めに対応を促せるようにした
各制作会社で作成したページを検証し、画面表示やコーディングルールでも修正が必要なら指摘して品質レベルを統一した

3. プロジェクト全体を俯瞰で見渡し、課題を早期発見

本プロジェクトでは、CMSやアクセス解析ツール、Cookie管理ツールなどで担当ベンダーが異なり、中にはプロジェクトの途中で導入が決まったツールもありました。

当然、担当ベンダーごとにプロジェクト進行上の異なる課題が顕在化してきます。また、定例会議などで直接コミュニケーションをとる機会が少なかったため、待ちの姿勢だと状況把握や課題の早期発見が難しいという状況でした。

    そこで、
  • 議論・意思決定の場としての定例会議とは別に、ニコンとイントリックスのPMだけ(各2名、合計4名)で週次の個別会議を設定
  • プロジェクト進行上の情報収集や課題への大まかな対応方針のすり合わせの場として活用
  • することで、リスクや調整点を早期に可視化し、時間的に余裕が生まれた定例会議の中で対応を検討するようにしました。

成果

PMO支援を通じてベンダー間の品質レベルを高位平準化

総ページ数3,000ページ、ベンダー20社が関与した本プロジェクトは、大きなトラブルなく予定通り公開日を迎えることができました。

製品情報は、従来の事業部・子会社軸での分類からユーザー視点での分類に刷新することで、探しやすさが飛躍的に向上。また、グループ会社サイトの統合とコンポーネントパーツ集の開発により、運用コストの最適化につながりました。

中でも大きな成果は、新しいWebサイトが目指す品質レベルの高位平準化です。これまでカテゴリごとに別々の制作会社が運用していたため、コーディングや画像などの細かい部分で品質基準にばらつきがありました。これまでも品質管理を目的としたデザインガイドラインはあったものの、そこにイントリックスがPMOとしてサイトリニューアル全体のマネジメントに関与させていただいたことで、ニコンがWebサイトに求める品質レベルをベンダー間で目線合わせすることにつながりました。このことは、今後のWebサイト運用の大きなアドバンテージとなったのではないかと考えています。

Webサイト群調査を起点とする課題の本質をついた提案力と、一気通貫の支援体制によって、「事業の収益獲得に寄与するWebサイト」の基盤構築を実現。

株式会社ニコン

経営管理本部 広報部

INTRIX様には、2019年にニコングループのWebサイト群の現状調査を実施していただきました。調査によって、「コーポレートサイト(日本サイト)及びグローバルサイトを、販売/マーケティングを最重要課題と位置づけた基本構造に再編し、ニコングループの収益獲得に貢献するウェブサイトを構築・支援する」というリニューアルの方向性が導き出されました。

調査に基づく具体的なサイト構築の方向性を示してくれたこと、また、当社が強化するBtoB分野における豊富な知見と支援実績があったため、INTRIX様にプロジェクトのパートナーをお願いしました。

プロジェクト中は、システム、制作、全体推進といった、守備範囲の広さで一気通貫の支援をしてくださっただけでなく、プロジェクト中に顕在化した課題や、方針転換に対しても、粘り強く寄り添っていただくとともに、最良の選択ができるよう的確な助言をしてくださいました。

コーポレートサイトから「事業の収益獲得に寄与するWebサイト」への大きな転換を実現できたのは、イントリックス様の支援があったからこそだと思います。

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