グローバル企業Webサイトの
「国・地域切替(選択)」を調べてみた
Webサイトにおけるグローバル企業ならではの課題のひとつに「ユーザーの迷い込み問題」があげられます。
迷い込んだユーザーに目的の情報へ移動してもらうための手段の一つとして、グローバル企業のWebサイトには国・地域の切替(選択)機能があります。
一見、Webサイトを持っている国の一覧を出せばすむ話なのでは?と思うかもしれませんが、これが考え始めると結構ハマりこみ、悩むこともしばしば。そこで今日は、ユーザーが適切な情報にいきつくため、世界のグローバル企業がどのように国・地域切替(選択)を提供しているかを調べてみました。
調査対象
「The Fortune 2016 Global 500」の各セクター上位10社から抽出
The Fortune 2016 Global 500
全世界に向けて企業のコーポレート情報を発信するのが目的であるグローバルサイト(英語)に、その国のマーケティング情報を発信する国・地域サイトがあるにも関わらず、製品情報を求めて英語圏のユーザーがグローバルサイトに訪れてしまう。その結果、目当ての製品情報がないと思い閲覧をやめてしまう。
国・地域軸で分けるベーシックなパターン
国・地域軸で情報を分けているのはもっともよく見られるパターンです。
Siemens AG(シーメンス)
[本社]ドイツ [事業]世界200カ国以上で事業を展開している複合企業
[Webサイト上の国・地域切替(選択)数]約100
https://www.siemens.com/global/en/home.html
ちなみに各国・地域サイトにいくと、これにグローバルサイトへの導線が追加されます。
https://www.siemens.com/th/th/home.html
BASF SE(ビーエーエスエフ)
[本社]ドイツ [事業]世界大手の総合科学メーカー
[Webサイト上の国・地域切替(選択)数]約60
切替(選択)メニューが上方向に表示されるのが特徴的です。モバイルでもコンパクトに機能しています。
https://www.basf.com/en.html
事業軸で分けるパターン
国・地域に加え、製品やサービスなどの事業軸を併せ持つ場合があります。
General Electric Company(ゼネラル・エレクトリック・カンパニー)
[本社]アメリカ [事業]発明家エジソンを創始者とする複合企業
[Webサイト上の国・地域切替(選択)数]約70
GEはまれに見る非常に広い事業領域を持っているため、少し特殊な例かもしれません。
「GLOBAL WEB SITE」でGEグループのコーポレート情報を、約70の国・地域に提供しています。
それとは別に「BUSINESS WEB SITE」という事業別の軸で、各事業がそれぞれ持っているグローバルサイトの情報を提供しています。
事業が多岐に渡る場合や、こういった事業軸での分類が必要かどうかも検討項目になります。
国・地域切替(選択)に加え、事業所のロケーション情報、問い合わせ情報を強化しているパターン
国・地域を切替(選択)では、適切な国・地域のWebサイトに振り分けることを目的としている場合もありますが、それに加えて事業所の所在地や連絡先を提示することを主軸とする場合もあります。
ThyssenKrupp AG(ティッセンクルップ)
[本社]ドイツ [事業]鉄鋼・工業製品メーカー
[Webサイト上の国・地域切替(選択)数]―
ヘッダー右の「Locations」から「Locations worldwide」というページに遷移します。ここから国・地域を切替(選択)できますが、これまでの例と異なるのはGoogle Map上にグループ会社や関連会社等がマッピングされた地図が表示される点です。マッピングされた会社情報から各国・地域ごとのWebサイトに移動はできますが、ここでは適切なグループ会社、関連会社の場所及び問い合わせ先へ誘導することを、より優先していると考えることができます。
https://www.thyssenkrupp.com/en/locations.html
上記と近い例としてダイムラーがあります。
Daimler AG(ダイムラー)
[本社]ドイツ [事業]世界的な自動車メーカー
[Webサイト上の国・地域切替(選択)数]―
http://www.daimler.com/career/job-search/locations/
そもそも迷わせないためには
迷い込んだユーザーに正しい行き先を選んでもらうためにどう行き先を提示しているかをご紹介してきましたが、
より積極的に、そもそも迷わせないための工夫をしたり、一歩踏み込んで迷ったユーザーのサポートをする場合もあります。
ユーザーに適していると思われるサイトを強制的に表示する
例えばサムスンのグローバルサイトでは、日本国内から普通にアクセスすると、「http://www.samsung.com」をクリックしても「http://www.samsung.com/jp/home/」が表示されています。ユーザーのIP情報等から最適だと思われるWebサイトを表示していると考えられます。
(この辺り、弊社Techチームの専門分野です)
http://www.samsung.com
ユーザーに適していると思われるサイトをサジェストする
ユーザーに最適(と思われる)Webサイトを「あなたが見たいのはこれではないですか?」と提示します。
自動車でおなじみのvolvoグループのトラック事業Webサイトを見てみましょう。
「Visit Volvo Trucks Japan 」と日本のサイトへの入り口がピックアップされています。
上記のサムスンの例と違い、ここでは最適だと思われる候補を提示しているだけで、それを選択するかどうかはユーザーの意思に委ねられています。
http://www.volvotrucks.com/splash.html
このようにグローバル企業のWebサイトでは、世界中のユーザーにWebサイトの中でどのように動いてもらい、最終的にどうしてほしいのかをサイト群視点で考え、形にしています。これだ!というベストな形は一つではなく、企業の形態・扱う製品・サービスやサイト群の整備状況によって変わってきます。
また、一足飛びにベストな状態までいくのが難しく、各国のWebサイトの整備状況を見ながら数年かけて整備する必要がある場合もあります。
本当はもっと掘り下げて、各企業の事業展開や拠点状況も調べて深掘りしたかったのですが、本業に支障が出そうなので今回はこれくらいで…。
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