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グローバル企業 Webサイトの
「言語切替」と「国/地域選択」に注目してみた

グローバル
吉川 奈美
企業が持つサイト全体をイントリックスでは「サイト群」と呼びます。そんなグローバル企業のサイト群設計に欠かせない、言語切替や国/地域の切替に注目してみました。

仕事柄、普段からWebサイトをかなりたくさん見るのですが、最近気になることがあります。
それは、「国/地域、言語の切替ができる機能」です。
赤枠で囲んだところですね。

ANA トップページ

全日本空輸株式会社
http://www.ana.co.jp/

理由は、ここを起点にサイトを深掘りしていくと色々なことが想像できるから。
例えば、グローバル企業の世界展開状況だったり、本社と国外拠点やグループ会社との関係、
グローバルサイトと国/地域サイトの住み分けなどです。

今日は、そんな中で見つけたグローバル企業のWebサイトで見られる「国/地域、言語切替」の機能と、
パターンをいくつかご紹介したいと思います。

「国/地域、言語切替」には3つの役割がある

「国/地域、言語切替」には、ざっくり言うと3つの役割があると考えています。

言語切替
表示言語を切り替える機能。多言語展開するWebサイトで使用されます。
カナダのように複数言語が公用語として使われている国のWebサイトや、複数言語で提供しているグローバルサイトで見受けられます。

国/地域の選択
いま見ているWebサイト以外に、他国、他地域のWebサイトがあることを提示して選んでもらうための機能。
1の言語切替を使わず、これで言語違いのWebサイトへ移動させる場合もあります。

国/地域名の表示
見ているWebサイトがどの国/地域を対象にしているかを明確にする機能。
グローバルサイトであれば「Global」「Worldwide」など、
日本国内向けWebサイトであれば「Japan」「日本サイト」などと表記されます。

 

実際のWebサイトでは、これらの機能は分離していたり、複数を組み合わせたナビゲーションになっている場合もあります。
では、いくつか実際のWebサイトを見ながらご紹介します。

Webサイトの役割によってパターンは様々

言語切替

ヘッダーの地球儀アイコンをクリックすると3つの言語が表示されます。

旭化成株式会社 トップページ

旭化成株式会社
http://www.asahi-kasei.co.jp/asahi/jp/

グローバルサイトは、全世界に向けてその企業のメッセージを伝える場ですので、基本的には言語が変わっても、
中身のコンテンツやメッセージががらりと変わってしまうことはありません。

そのため「言語切替」が単独で使用されるのはこういったグローバルサイトだったり、
製品・サービスを扱うマーケティングサイトでも、製品・サービスに地域性がないWebサイトが多いです。

このWebサイトもグローバルサイトであること、そしてラベルに『日本語』『English』『中文』と
言語を表す言葉が使われていることから、これが純粋に言語の切替を目的とした機能であると想像できます。

 

ヘッダー部分に「DE」という、ドイツ語への切替があります。

Roche トップページ

Roche
http://www.roche.com/

ロシュグループは、スイスに本拠地を置く、ヘルスケアのグローバルカンパニーです。
グループは医薬品や診断薬・機器の事業に分かれていて、このWebサイトはそれらを包括する
ロシュのグループサイト、という位置づけのため、言語は英語とドイツ語のみで提供していると考えられます。

また、このWebサイトでは提供している言語すべてを表示せず、
「切替ることができる言語」のみを示しているのが前の例と異なる点です。

 

国/地域の選択

画面左のナビゲーションに「Select Region」があります。
ここから、ユーザーはそれぞれの国/地域Webサイトを探して移動します。

トヨタ自動車株式会社 トップページ

トヨタ自動車株式会社
http://www.toyota-global.com/

これもグローバルサイトの一例です。グローバルサイトの役割の一つとして、
各国/地域のWebサイト(ローカルサイト)へ誘導するハブの役割があげられます。

地域に適したマーケティング活動を行う場であるローカルサイトにスムーズに移動させることが重視される場合、このようにどのページを見ていても見つけやすいナビゲーションに「国/地域の選択」を設置します。

 

ヘッダーとフッター上のナビゲーションエリアに「Select country」があります。
機能としては、上記の例とほぼ同じです。

Exxon Mobil Corporation トップページ

Exxon Mobil Corporation トップページ

Exxon Mobil Corporation
http://corporate.exxonmobil.com/

前の例とほぼ同じ機能ですが、違うのは「Select country」ではなく「Select Region」と、
表記している点です。
これは、特定の地域を国として扱うか国に属する地域として扱うかという国際政治上の問題に
配慮した表記だと考えられます。
これ以外のパターンとして「Select country/region」と表記する場合もあります。

 

「国/地域の選択」と「国/地域名の表示」

国/地域名として「Global」がロゴの横に表記されています。それと分離して、ヘッダー右端に国/地域の選択があります。

BP p.l.c. トップページ

BP
http://www.bp.com/

 

下記の例は「国/地域名の表示」と同時に「国/地域の選択」の機能も果たしています。

Royal Dutch Shell トップページ

Royal Dutch Shell
http://www.shell.com/

国/地域名を表示することで、ユーザーが自分がどこを対象としたWebサイトを見ているのか
判断しやすくなります。

例えば日本語が母国語であれば、英語や中国語のサイトが表示されれば
目的とは違ったWebサイトに来てしまったことにすぐ気づけます。

ですが、英語圏のユーザーが詳細な製品情報を求めて、
グローバルサイトに間違って来てしまった場合はどうでしょうか。
そこが自国向けのローカルサイトではないことに気づかず、求めている情報が無いと思って、
Webサイトを閉じてしまうことも考えられます。

国/地域名を明示することは、そういった間違って訪れてしまったユーザーに
できるだけ早く気づいてもらうための一つの手段でもあります。

 

3つ全部入り

「言語切替」「国/地域の選択」「国/地域名の表示」の3つの役割を備えています。

フッターのコピーライト上のエリアにプルダウンの切替があります。

SONY カナダ トップページ

SONY カナダサイト
http://www.sony.ca/en

これまでご紹介した例はヘッダーに含まれることがほとんどでしたが、スクロールして最後に現れるフッター部分に置かれています。
このパターンは全体の割合から見るとまだ多くはありませんが、AppleやIBMをはじめ、
採用しているグローバル企業のWebサイトを目にする機会が増えてきています。

 

実際にこういったナビゲーションを設計する場合、各Webサイトの関係性と役割、
そこに訪れるユーザーの目的を踏まえてサイト群や1つのサイト全体で設計していくため、
Webサイトの一部から想像できるほど実情は単純な話ではないと思います。

ですが、なぜこうなっているか仮説を立てながら見ていくと自分なりの発見があって興味深いものがあります。
普段皆さんが見ているWebサイトでも、ぜひ注目してみてください。

 

2017.4.6追記
1年越しの続編記事。「国・地域選択」だけに注目していくつかのパターンを抽出してみました。
https://www.intrix.co.jp/blog/2017/04/04/country-region-selector/

 

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