BtoBマーケティングコラム 製造業におけるマーケティングとは。重要性や解決策についても解説

2024年5月29日

なぜ製造業でマーケティングが重要なのか

今までは展示会への出展やイベント開催などでリードを獲得することが製造業のマーケティング活動でしたが、国際化が広まったりコロナで対面ができなくなったことから一気に「ネットで検索し競合調査や比較検討をする」流れが広まりました。マーケティング人材の不足からまだまだ製造業にマーケティングが浸透していないのが現状ですが、外部人材を上手く活用しながらデジタルマーケティングにも対応していくことが求められています。

製造業における従来のマーケティング

製造業では、新商品を開発したり販売戦略を立てる際に「マーケティングが必要」と言われることが多いと思いますが、そもそもマーケティングとは何でしょうか?? マーケティングとは、競合調査やニーズをしっかりと拾いながら自社の製品の認知度を高め、技術が売れる仕組みを作ることです。製造業では、インターネットが生まれる前から、イベントや展示会への出展などで顧客を開拓したり自社製品の認知を高めるためのマーケティング活動を行ってきました。

顧客の購買行動の変化

日本の基幹産業である製造業は、長らく高品質を追求し「良いものをつくりさえすれば自然と売れる」という時代が長かったものの、展示会や対面営業ができなくなったコロナ禍を経て、マーケティングの手法を大きく変えざるを得なくなりました。

購入する側も対面で情報が得られないため、SNSやWebサイト、メルマガやウェビナーなどネットで情報収集や比較検討を行うようになり、コロナ期間は契約までもオンライン上で完結するケースも少なくなかったのです。この流れは現在も続き、Web上で顧客が求める情報を発信できなければ、検討対象から外れてしまうようになったのです。そこで近年、製造業もデジタルマーケティングに積極的に取り組むようになっています。

求められる顧客中心のアプローチ

顧客がインターネットで情報を収集して契約先を探すとなると、競合は日本国内の企業に留まらず世界中になることは言うまでもありません。そのような状況では、例え世界一高品質の良い技術・製品であっても、自社のホームページやSNSなどでしっかりと丁寧に商品の魅力や特徴を伝えていかないと物が売れない時代になってしまいました。

また製造業の企業にとっての顧客は、「製品を検討する人」「実際に利用する人」「購入を決定する人」と異なる場合も多く、それぞれのターゲットにとって魅力的な伝え方をすることが求められます。複数の視点からメリットを伝えていくのは手間がかかりますが、価格比較サイトはじめさまざまな情報が溢れる現代社会では、「それぞれのターゲットに」「適切な情報を」「最適なタイミング」で伝えることこそがマーケティングの最も重要な課題となっています。

製造業におけるマーケティングの課題

製造業でなかなかマーケティングが上手くいかない大きな理由は人材不足です。社内にマーケティング人材を抱えるにはコストがかかり、社内で人材育成するにしても経験者が少なく苦労している企業が多いのが現状です。そのため他部署との兼任が多く、コンテンツを一人回す・発信し続けるということが難しく、せっかく立ち上げたマーケティング施策も途中で終わってしまうケースが多く見受けられます。

マーケティング人材の不足

製造業でマーケティングが進んでいない理由に「人員不足」「予算不足」が挙げられます。

元々多くの製造業の会社は「製造に関わる部署」「営業」の大きく二職種で成り立っているため、マーケティングの専門知識を持つ人材はほとんどいません。そのためマーケティングを取り入れる場合には「外部からマーケティングの専門家を採用」「今いるスタッフをマーケティングの専門家として育成していく」の二つになります。

しかし、採用するにしても育てるにしても非常にコストがかかります。製造業は中小企業も多いので、そこまで時間的にもコスト的にも手が回っていないのが現状です。そのため、あまり知識のない人がたった一人で他の部署と兼務しているケースが多く見受けられます。

“なんとなく”では成果が出にくい

コロナ禍により展示会や対面営業の機会が急減したことから、急遽オンライン化したりデジタルマーケティングを始めた製造業も多くありました。しかし、展示会ですぐに一定数のリードが獲得できる従来のマーケティング手法と異なり、Webを用いたデジタルマーケティングは専門家がやったとしても一朝一夕には結果が出ません。理由はいくつかあります。

まず、Webサイトに情報をしっかり載せても、検索順位が上がってくるまでに時間がかかること。また製造業は製品数も多く商材も多岐にわたるため、一つの製品への検索回数が少なく見込み顧客を簡単には見つけられないこと。また、個人にものを売るBtoCは、購入者本人が気に入れば購入成立ですが、BtoBとなると関わる人や部署が多岐に渡るため、契約までどうしても時間がかかってしまうのです。

このようにデジタルマーケティングにはかなりの専門知識が必要とされます。ここで短期に成果があがらない結果、長年人脈やお付き合いで契約が取れていた製造業では「製造業にはやっぱりマーケティングは合わない」という最終判断をされがちなのです。

国・地域別における取り組みの模索

さらに、日本国内だけではどんどん市場が小さくなっていくため、今後は海外にも市場を広げなければなりません。ビジネス自体が国際化が進んでいることから、製造業においても海外マーケティングの重要性が高まっているのです。

その際に最も重要なことが「ローカライズ」です。「ローカライズ」とはその地域の人々や文化にあった最適な形に、自社の製品やマーケティング手法をカスタムしていくこと。ここが上手くいかなければ、いくら日本で人気がある製品だとしても知名度を高め販売に結びつけていくのは難しくなるでしょう。そのため海外進出を成功させるために、海外マーケティングチームを強化している企業も増えています。

また国際市場に打って出るためにどんな競合優位性があるのか、どこが自社の強みなのか、という点を徹底的に洗い出し、それをどうやってマーケティング活動に活かしていくかは企業にとって重要な課題でもあります。

コンテンツ制作が進まない

「これからは製造業にもマーケティング活動や情報の発信が必要なことは分かった。しかし発信していく情報や定期的に更新すべきSNSやブログなどに、何を書いていいかわからない」という担当者も多いのではないでしょうか。実際それが理由で更新が滞ったり、一度始めた発信を辞めてしまう企業がたくさんあります。

マーケティング施策として、自社のホームページ・メルマガ・ホワイトペーパーSNSで発信する際には、コンテンツの制作は必要不可欠です。自分一人で発信できる情報は限りがあるため社内でコンテンツ制作を分担できれば良いですが、「社内のメンバーが協力してくれない」という声もよく聞きます。また内容が専門的すぎたり読者が興味がないコンテンツでは意味がない、など定期的に有益なコンテンツを制作していくことにも多くの課題があります。

一方で、外部の専門のコンサルティング会社などに依頼すると、今度は商品の専門性が高いがために理解が難しく、適切な支援や提案が受けられないという八方塞がりになってしまうケースもあります。

製造業のマーケティングを成功させる3つの解決策

さまざまな課題を抱えた製造業のマーケティングを成功させるには、「マーケティングの専門チームを立ち上げる」「アウトソーシングを適切に活用する」「グローバルマーケティング戦略の構築」の三つが挙げられます。それぞれ具体的に見ていきましょう。 

1.マーケティングの専門チームを作る

これまで述べてきたように「他部署との兼務」「担当者一人でのコンテンツ制作」には限界があるため、会社としてマーケティングを実施する際にはマーケティングの専門チームを作ることが有効です。

チームを作ることにより各部署に散らばっているマーケティング情報を集約でき、それぞれの担当者がそれぞれの強みを発揮することが可能になります。また回を重ねるごとにチームにノウハウが蓄積する利点もあります。

マーケティングチームを作るために必要なことは、まずは社内で専門人材を選定すること。いなければ外部から採用し、そのメンバーを中心に他のメンバーを育成していきます。メンバーが揃ったら「市場調査」「競合分析」「広告」「コンテンツ制作」などそれぞれの特性から担当とKPIを決めて、それぞれがスキルを高めつつチーム全体として目標達成に向けて取り組むことが求められます。

2.アウトソーシングの活用

しかし一番最初に述べたように、元々社内にマーケティングの人材を抱えている企業は少ないのが現状です。そもそもリソースが足りない場合には、マーケティング業務の全体・あるいは一部をアウトソーシングすることも可能です。

例えば骨子は社内で作って実際のライティングは発注する・広告のKPIを決めた上で運用は外注するなど役割を分けることで、マーケティングチームは戦略立案や分析などに集中できます。このように外部人材を上手く活用することで、人材不足やコンテンツ制作の課題を解決し、効率的にPDCAを回せるようになっていくのです。

アウトソーシング先を決定する際には過去の実績や顧客満足を確認し、自分たちの業界に精通しているかどうかを選定基準としましょう。「安い」という理由だけで選んでしまうと満足いく結果が得られず全てが無駄になってしまうため、品質をしっかり確認することが重要です。

3.グローバルマーケティング戦略の構築

そして今後製造業がマーケティング活動をしていくにあたり欠かせないのが「グローバルマーケティング戦略(GMS)」です。グローバルマーケティング戦略とは、「海外でのマーケティング活動の目標や施策内容・どうやって実施するか」を系統立てて企画し実行していくことです。

ここをしっかりと決定することで、世界に発信したい情報やブランディングがブレることも無くなります。その上で、各国の文化や風習、市場特性や競合分析などに沿って最適なローカライズを行うことが求められます。まずは全世界共通のマーケティング戦略を策定した上で地域に合った施策を行なっていく・PDCAを回しながら微調整していくことがグローバルマーケテインングの最も重要な課題となります。

まとめ

この記事では、これからますます必要とされる製造業におけるマーケティングについて解説をしました。

コロナや国際化の流れ、そして顧客の動向の変化から、従来のマーケティング手法では対応が難しくなっている現状を理解しましょう。その上で、デジタルマーケティングを中心とした新たな手法にチャレンジする際には、課題解決に向けて人材の確保が必要となります。外部の専門家を採用したり一部アウトソーシングを利用することで効率はずっと上がります。またマーケティングチームが戦略に専念できることにより、世界戦略や競争力強化のためのグローバルマーケティングにも注力が可能となります。

製造業でマーケティングを成功させるには、今後ますます顧客視点・グローバルな視点が求められていくでしょう。

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