BtoBデジタルマーケティングやWeb制作の情報と、イントリックスの日常風景をお伝えします。

元商社営業が考える「使えるWeb」とは
~ECサイト~

マーケティング
ゆるやか広報班 編集部
営業スタッフに「Webって使える!」って思ってもらうためにはどういう機能が必要なのかを考えてみました。今回は近年進むBtoB企業のECサイト構築について説明していきます。

BtoB企業におけるECサイト

BtoB企業でも使い勝手に優れた良質なECサイトを持っている企業は多くあります。ただECを導入しようという動きはBtoC企業と比べると遅れているのも事実です。それにはいくつかの理由が考えられます。

  • 顧客によって売値が違う
  • 販売価格が競合他社に知られてしまう
  • 技術的な対応・サービスが必要となるetc・・・

しかしこれまでBtoB企業のECサイト構築の障壁となっていたものは技術的に取り除くことが可能です。例えば相手先によって価格が変動するような製品の場合には、会員機能を付与して、顧客によって表示する価格を変える仕組みを設ければ解消可能です。そうしたこともあって、BtoB企業のEC導入は進む傾向にあります。

EC導入によるBtoB企業のメリット

EC導入によって、販売窓口をWebに設けた場合にどのようなメリットがあるのか。これは営業員の働き方にもよります。まずBtoB企業の営業のスタイルは大きく2つあります。

  1. モノ売り営業
    顧客自身が欲しいものを決めていて、営業員がそれを販売するもの。
  2. ソリューション営業
    顧客が持っている課題に対して、その解決策として商品・サービスを提案して販売するもの。

EC導入によって大きく変わるのは「1.モノ売り営業」でしょう。EC導入によってこの部分に関わる業務はグッと減ります。BtoB業界でもECを導入しているケースは、特にモノを売ることがメインの場合です。一方、ソリューション営業は顧客から課題やニーズを探り、最適な商品・サービスを提案するもので、人が担わないとならないものなので、ECによるメリットは皆無でしょう。

僕自身、商社営業時代は「1.モノ売り営業」と「2.ソリューション営業」の2つの側面を持っていました。会社のWebサイトにはEC機能はなく、僕は「導入してくれたらな 」と思っていました。なぜならモノ売り営業に掛ける労力がなくなれば、それだけソリューション営業に力が注げるからです。長年に渡って継続的に取引をしているお客様だと、何もしなくても注文がもらえるのです。そうしたお客様にわざわざ見積書を作って提出したり、自ら納品に出向いたりするのは非効率ではないでしょうか。

お客様にとっても営業員のサービスを期待しないモノだけの購入の際はメリットが多いと思います。例えば、24時間稼動し続ける製造ラインにトラブルが発生して、ある部品が必要になった時に、発注や納期の確認をしたいが肝心の営業員が捕まらないとなると復旧の見込みが立てられず、ダウンタイムが延びてしまいます。こうした場面で求められるのは”営業員の親切丁寧な対応”より、”ECサイト”ではないでしょうか。

ECサイト構築が奪う武器

では「1.モノ売り営業」と「2.ソリューション営業」の2つの側面を持っている場合にはECを導入して、営業員にはソリューション営業に注力してもらった方が良いのかというと、一概にはそうは言えません。
時としてモノ売りを起点にソリューション案件に繋げていくケースも、またそういった営業スタイルもあるからです。

商社営業時代にとある町工場のお客様がいて、月数万円の取引しかなかったのですが、部品の発注を受けて納品に自ら赴き、担当者と蜜にコミュニケーションを取っていく中で大型案件の相談があり、継続的に月数百万の取引に繋げられたことがあります。もし日々の注文がECによって自動で処理されていたら、大型案件に繋がらなかったかも知れません。

ECを導入する事でモノ売りに関わる業務負担は軽減できますが、営業員のスタイルによっては”お客様との接点”という武器を奪ってしまうことにもなってしまいます。

ECは戦略の一つ

ECサイトを導入するBtoB企業は増えていくでしょう。ただし、上に書いたようにEC導入が全て良い効果を生むとは限りません。
EC導入を進める前に、営業員と向き合ってECの導入が営業戦略にとって本当にプラスになるのかどうかを見極める事が必要だと思います。