EC導入によって、販売窓口をWebに設けた場合にどのようなメリットがあるのか。これは営業員の働き方にもよります。まずBtoB企業の営業のスタイルは大きく2つあります。
- モノ売り営業
顧客自身が欲しいものを決めていて、営業員がそれを販売するもの。
- ソリューション営業
顧客が持っている課題に対して、その解決策として商品・サービスを提案して販売するもの。
EC導入によって大きく変わるのは「1.モノ売り営業」でしょう。EC導入によってこの部分に関わる業務はグッと減ります。BtoB業界でもECを導入しているケースは、特にモノを売ることがメインの場合です。一方、ソリューション営業は顧客から課題やニーズを探り、最適な商品・サービスを提案するもので、人が担わないとならないものなので、ECによるメリットは皆無でしょう。
僕自身、商社営業時代は「1.モノ売り営業」と「2.ソリューション営業」の2つの側面を持っていました。会社のWebサイトにはEC機能はなく、僕は「導入してくれたらな 」と思っていました。なぜならモノ売り営業に掛ける労力がなくなれば、それだけソリューション営業に力が注げるからです。長年に渡って継続的に取引をしているお客様だと、何もしなくても注文がもらえるのです。そうしたお客様にわざわざ見積書を作って提出したり、自ら納品に出向いたりするのは非効率ではないでしょうか。
お客様にとっても営業員のサービスを期待しないモノだけの購入の際はメリットが多いと思います。例えば、24時間稼動し続ける製造ラインにトラブルが発生して、ある部品が必要になった時に、発注や納期の確認をしたいが肝心の営業員が捕まらないとなると復旧の見込みが立てられず、ダウンタイムが延びてしまいます。こうした場面で求められるのは”営業員の親切丁寧な対応”より、”ECサイト”ではないでしょうか。