普段「コミュニケーション」という言葉を聞くと、「言葉での伝達」を想起することが多いと思います。ところが実際には、コミュニケーションとは「言語によるコミュニケーション」と「非言語によるコミュニケーション」の両方から成り立っています。
「非言語によるコミュニケーション」というと耳慣れないかもしれません。では、「身ぶり・手ぶり」、「表情」、「アイコンタクト」、「イントネーション」と言ったらどうでしょう。「なるほど、それらもコミュニケーションを形成している要素かもしれない」と気づかれるのではないでしょうか。
ヴァーガス女史の「非言語(ノンバーバル)コミュニケーション」は、この「言語以外」のコミュニケーション要素を取り上げて、体系化した著書です。大学の講義の教科書用に執筆されたとのことですが、各要素を網羅しつつ整理された形で解説しています。前述の要素以外では、「空間・距離」、「色彩」などもこの要素の中に入ってきます。これらの要素は事例を提示しながら解説されており、教室での座席と生徒の参加意欲、しぐさ・身振りに見るメッセージ、「沈黙」が表すこと等、多岐にわたる事例が紹介されています。
親しい間柄の人とのコミュニケーションでさえも、難しいと感じる時がありますが、本著でカバーされている内容はより円滑にコミュニケーションを行うための一助となるものであり、かつ雑学としても面白いトピックが色々散りばめられています。
終わりに
一見、趣味や嗜好がバラバラに見えるそれぞれの「この一冊」ですが、直接、間接問わず、深いところでちゃっかり自分の仕事に繋げているのが印象的でした。梅雨時はついつい外出もおっくうになりがちです。そんなときに、誰かの読書を参考に新しい本を紐解き、新たな世界へ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?