旋盤カッコイイ
この記事で触れるのは、途中工程の「加工」。金属加工をするための工作機械の一つ、「旋盤」への興味と憧れをしたためました。
こんにちは、金属加工好き@ゆるやか広報班の伊藤です。
日本が誇るBtoB企業のお仕事に携わるなかで、工場見学をさせていただくことがあります。圧倒的な開発力や高度な生産・製造技術を体感し、場合によってはコンテンツとしてユーザーに伝えることもできる、大変貴重な機会です。普段はなかなか見られない装置・重機・プラントなどを目の当たりにすると、ひそかに童心に帰ってしまいます。
工場での製造には、原材料から完成品に至るまで、いくつもの工程があります。そのうち、途中の「加工」に強みを持つ企業が、全国に数多く存在します。素材や製品によってさまざまな加工方法の種類や特徴があり、今ここで網羅するのは難しいです。そこで、金属加工を行う工作機械の「旋盤」に注目していきましょう。
金属とは
はじめに、原材料の「金属」とは、どういうものでしょうか。そして、なぜ金属はカッコイイのか。
男子諸君は少年の頃、「超合金」「オリハルコン」など、よく知りもせず口にしませんでしたか。あるいは、何の部品か分からない金属を見つけては、机の引き出しに大切にしまっていたことは? きっと、精巧で光沢のある金属を宝物のように感じていたのではないかと思います。
『Wikipedia』による金属 とは、
その性質から、以下の5つの特徴をすべて備えるものを金属と定義している。
- 常温で固体である(水銀を除く)。
- 塑性変形が容易で、展延加工ができる。
- 不透明で輝くような金属光沢がある。
- 電気および熱をよく伝導する。
- 水溶液中でカチオン(陽イオン)となる。
つまり、ちょっと要約すると、こうなるでしょうか。
- 通常は硬い。
- 時には柔らかい。
- なんだか光る。
- 電気と熱と仲が良い。
- ?????
個人的には、「硬い」「光る」の特徴が心躍るポイントな気がします。ちなみに、地球上で一番硬いのは「ダイヤモンド」ではなく、「ウルツァイト窒化ホウ素」「ロンズデーライト」などだそうですよ。
榎忠さんの金属加工アート
かつて自分が「金属加工」に心を奪われたきっかけは、現代美術家・榎忠さんの金属加工アートとの邂逅です。無数の金属部品を旋盤で磨いて積み重ねたインスタレーションの芸術性しかり、スケールに圧倒されました。なかでも、丁寧に磨かれ加工された金属一つひとつの造形美には、一番魅了されました。すべてのパーツを榎忠さん自身が旋盤で加工・制作しています。
金属加工の基礎知識
「硬い」「光る」特徴を持つ金属。一体どうやって加工するのでしょうか。
加工には、大きく分けて3つの種類があります。
- 成形 → 変形させる
- 切削 → 切る・削る
- 接合 → くっつける
この記事で注目している「旋盤」は、「切る・削る」工作機械です。
古代7種の金属
ちなみに金属加工は先史時代までさかのぼり、古代人は7種の金属――鉄(テツ)、錫(スズ)、鉛(ナマリ)、銅(ドウ)、水銀(スイギン)、銀(ギン)、金(キン)を知っていたそうです。
人類が最初に用いた最も古い金属加工は、「鍛造(ハンマーなどで叩いて圧力を加え、変形させる方法)」で、特に加工しやすい「金」で装飾品などを作っていたそうです。やはり我々の祖先も、「金属カッコイイ!」と思っていたようですね。
「旋盤」とは
では本題、「旋盤」に触れていきます。
エジプトの壁画にも描かれているくらい、旋盤は非常に長い歴史を持ちます。現代の原型となる旋盤は、工作機械の父ヘンリー・モーズリー(1771年8月22日~1831年2月14日)によって、産業革命期のイギリスで発明されました。切り削りたい対象物そのものを回転させて、回転している対象物にバイトと呼ばれる硬い工具を当てて、加工をする工作機械です。
……すみません。思い入れたっぷり+文章力足らずで、うまく伝えられません。あとは動画をご覧ください。
カッコイイ! いとも容易に、金属が金属に削られ・磨かれていきます。削っている機械側の刃金(刃先の金属、バイト)は、当然とても硬くて、削る際に高温耐性と粘りのバランスも重要になります。刃金の材質は、「高速度鋼」「超硬合金」など。ちなみに「超合金」は、ロボットアニメ・特撮のブランド名で、学問上の言葉ではありません。
現代の「旋盤」
この製品は、工作機械メーカーでは世界最大手のひとつと呼び声も高い、DMG MORI精機製の『NTX 1000 2nd Generation』という旋盤です。旋盤をコンピューターで制御します。
こ、こわい。もはや金属の加工される様子が、人知を超えています。
最後に
旋盤に心を奪われて、いろいろ調べてみました。分かりやすいコンテンツやカッコイイ旋盤まとめサイトなどが、あまりなくて残念。個人的には、旋盤の「技術自慢」な匠たちの個人作品とそのメイキング映像をまとめたコンテンツを作ってみたいですが…… BtoB企業には慎ましいタイプの方々が多いので、取り合ってくれないだろうなぁ(遠い目)。
おまけ
東京アートディレクターズクラブによる2017年度グランプリ
町工場6社による工場音楽レーベル 「INDUSTRIAL JP」 Webサイト
カッコイイー! 工作機械だけに光を当てているところが、垂涎です。