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モノづくり大国・ドイツでみた
展示会とデジタルマーケのいま

BtoB
井上 榛香
フィギュアの造形やDIYでの活用で注目を集めた3Dプリンターは、ホビー用途にとどまらず、製造業においても本格活用が始まっているのをご存じでしょうか? 年間の市場成長率は20%を超え、各業界へ“ゲームチェンジャー”として浸透し始めている3Dプリンティングは、もはや一大産業! 知見を深めるべく、ドイツにて開催された展示会「formnext(フォーム・ネクスト)」を視察して来たので、その所感をデジタルマーケティングの視点を交えてご紹介させていただきます。

3Dプリンティング業界における世界最大級の展示会・formnextとは?

formnextとは、毎年11月にドイツの第5の都市・フランクフルトで開催される、3Dプリンティングに特化した国際展示会です。今年は11月19日から22日まで4日間にわたって開催され、出展は800団体以上。同業界において、世界最大級の展示会と言われています。

最近携わりはじめたプロジェクトの関連もあり、注目していた3Dプリンティング業界について知るうえで、こんなに良いチャンスはほかにないと、会社に直談判。2018年秋入社・新卒1年目にもかかわらず、視察に行かせてもらえることになりました。学生時代にヨーロッパ留学をした経験はあるものの、ビジネス目的での渡航は人生で初めてのことでした。

材料の発展による3Dプリンティング業界の拡がり

展示会に参加して感じたのは、3Dプリンティングの市場自体が広がっていることでした。

展示会場-1

計4フロアを使った展示会場は非常に広く、目的のブースを回るだけでもひと苦労だった。
© Mesago Messe Frankfurt GmbH / Mathia Kutt

会場でまず目に飛び込んできたのは、世界を代表する有名企業が展示する巨大な装置の数々。しかし、それをも上回る面白みと可能性を感じたのは材料素材です。切削加工やプレス加工が難しいとされていたステンレス鋼やインコネルをはじめとする金属が粉末材料として研究され、これまでは製造できなかった複雑な造形も可能となりました。

特に航空宇宙産業でよく利用されるチタンが3Dプリンターの材料として利用可能となったことで、同業界への浸透が進んでいます。試作にとどまらず、最終製品としても利用されることが当たり前となっていてとても驚きました。

展示会場-2

複雑な造形が可能となったものの、アプリケーションへの応用はこれからの企業の課題。
© Mesago Messe Frankfurt GmbH / Mathia Kutt

3Dプリンティング技術のアプリケーションの拡がりを支えている材料素材の発展と、実際にそれらの商談が始まる様子を見て感じられたことは、非常に貴重な経験でした。

デジタルマーケティングにつなげる展示会設計

GE Additiveのブース

GE Additiveのブース。先進的な事例を一目見ようと多くの参加者が集まった。

見学していて気付いたことは、日本の産業展示会と比較して、配布されている紙のカタログが圧倒的に少なかったことです。企業の規模が大きくなるほど、本来なら製品点数やサービスも多くなり、資料は増えるはずですが、それが全くと言っていいほど見当たらない企業さえもありました。その代わりに配られていたのは、会員サイトの登録URLやSNSのアカウントが掲載されたカードなどです。名刺交換までは至らなかった参加者とも継続的なコミュニケーションを図ろうと考えてのアプローチだと思われます。

さらにある企業のブースでは、登録すると製品カタログがすべてデジタルでダウンロードできたり、その他のお役立ち情報が得られたりすることを大々的にアピールし、マイページ登録を促す企業もありました。まさに、デジタルマーケティングの活用を考慮したうえでの展示会設計と言えるのではないでしょうか。

リアルとデジタルが融合する展示会へのシフト

すでに日本国内でも多くの企業が、メルマガやSNSなどで展示会出展のお知らせを発信し、MAを活用して名刺を交換した潜在顧客にアプローチを行うなど、顧客とリアルで接点を持つことができる展示会の場にデジタルが活用されています。その取り組みに厚みを持たせるのはWebサイトです。

ひと昔前のWebサイトは、企業のイメージを訴求するブランドコンテンツが中心でしたが、最近ではマーケティングツールとして活用しようとする企業が国内でも少しずつ増えています。製品選択機能や企業名付き実績紹介の限定公開など、アナログでは難しかったマーケティング施策も実現が可能です。

展示会の場で商談まで進められなかった顧客に対しても、WebサイトのコンテンツとMAやSNSを組み合わせてアプローチを行うことで、購買プロセスの製品理解や問合せを促すことができるかもしれません。

展示会の情報発信から、当日のブースでのアプローチ、Webサイトや会員ページへの誘導、そしてその後の購買プロセスへの寄与まで、リアルから始まる一連の流れを有機的に結びつけるWebサイトの役割は、今後ますます高まっていくと思います。