見学していて気付いたことは、日本の産業展示会と比較して、配布されている紙のカタログが圧倒的に少なかったことです。企業の規模が大きくなるほど、本来なら製品点数やサービスも多くなり、資料は増えるはずですが、それが全くと言っていいほど見当たらない企業さえもありました。その代わりに配られていたのは、会員サイトの登録URLやSNSのアカウントが掲載されたカードなどです。名刺交換までは至らなかった参加者とも継続的なコミュニケーションを図ろうと考えてのアプローチだと思われます。
さらにある企業のブースでは、登録すると製品カタログがすべてデジタルでダウンロードできたり、その他のお役立ち情報が得られたりすることを大々的にアピールし、マイページ登録を促す企業もありました。まさに、デジタルマーケティングの活用を考慮したうえでの展示会設計と言えるのではないでしょうか。
リアルとデジタルが融合する展示会へのシフト
すでに日本国内でも多くの企業が、メルマガやSNSなどで展示会出展のお知らせを発信し、MAを活用して名刺を交換した潜在顧客にアプローチを行うなど、顧客とリアルで接点を持つことができる展示会の場にデジタルが活用されています。その取り組みに厚みを持たせるのはWebサイトです。
ひと昔前のWebサイトは、企業のイメージを訴求するブランドコンテンツが中心でしたが、最近ではマーケティングツールとして活用しようとする企業が国内でも少しずつ増えています。製品選択機能や企業名付き実績紹介の限定公開など、アナログでは難しかったマーケティング施策も実現が可能です。
展示会の場で商談まで進められなかった顧客に対しても、WebサイトのコンテンツとMAやSNSを組み合わせてアプローチを行うことで、購買プロセスの製品理解や問合せを促すことができるかもしれません。
展示会の情報発信から、当日のブースでのアプローチ、Webサイトや会員ページへの誘導、そしてその後の購買プロセスへの寄与まで、リアルから始まる一連の流れを有機的に結びつけるWebサイトの役割は、今後ますます高まっていくと思います。