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デジマをイチから学べる「デジマ・ブート・キャンプ」!それは、デジマの基礎体力づくり

イントリックスのこと
ゆるやか広報班 編集部
やたら多いマーケティング関連のカタカナ用語と多機能なツール。最初は覚えるだけで精一杯かもしれません。でも、少しずつできることが増えてくると、今までみてきたWebサイトやYouTubeの広告、メールマガジン、SNS広告など、身の周りのすべてのメディアや販売方法、アプリ、ツールなどの見方が変わってくるはずです。そうなれば立派なデジタルマーケター。ようこそ、デジマの世界へ――。

「マーケティングって何?」新卒研修初日に言われた衝撃の一言

編集部:今日は別記事で部門統合を発表させていただいたMarketing Strategy部門の、デジタルマーケティングコンサルタント(以後DMC)チームにフォーカスして、気になる新卒研修の一端について、講師役を務める後藤恵さんにインタビューしたいと思います! よろしくお願いします。

後藤:よろしくお願いします!

後藤 恵 デジタルマーケティングコンサルタント
出版社、制作会社や広告代理店勤務を経てイントリックスに入社。多数のナショナルクライアントのブランドサイト運用やWebキャンペーン設計、Web広告運用、各種SNS運用を担当。
上級WEB解析士、各種Google広告資格、PRプランナー、薬事法管理者

編集部:DMCチームの新卒研修では「デジマ・ブート・キャンプ」と名づけた、おもしろいことをしてますよね? 私は共有カレンダーで見つけて「なんじゃこりゃ!」と思ったのですが(笑)、実際どんなことをされているんですか?

後藤:2021年の夏にDMCチームが新設され、新人に向けてデジタルマーケティング(以下、デジマ)の研修をしてほしいと依頼されました。同じチームの新卒社員が「私、就活を始めたとき にはマーケティングにまったく興味がなかったし、普段あまり買い物もしないんです……」と言っていたのと、マーケティング自体が未知の世界だということも知っていたので、「実践的なテクニックの解説よりも先に、マーケティングとは何かレクチャーする必要があるな」と感じ、わかりやすいメニューと実習を準備することにしました。研修名は、以前勤務していた会社の新人研修で使われていたネーミングを拝借しちゃいました。実際に行った研修内容はこんな感じです。

実際に行った研修内容

(1)マーケティング概論

  • マーケティングとブランディングの違い
  • 多岐に渡るデジタルマーケティング領域
  • Webマーケティングって?

(2)ハンズオン①: SEOについて勉強してみよう

  • SEOってなんですか?
  • 【実践】実際にSEO対策を考えてみよう!

(3)ハンズオン②:Google Analyticsを使ってみよう

  • Google Analyticsの基本操作方法
  • 【実践】自社Webサイトを分析して、SEOの観点から改善提案をしてみよう

マーケティングとは何か?

編集部:わけもわからないまま、なんとなくこの業界に飛び(迷い)込んでしまった人というのは、決して珍しくないと思うんです。なので、入社後にこのような教育プログラムがあるのは、特に未経験の入社者にとっては大変心強いのではないでしょうか。私もマーケティングやブランディングって言葉自体はよく聞きますが、一体何が違うのかわかりません。これって一体どういう定義なんですか?

後藤:定義、解釈は人によってさまざまですが、実際の研修ではこのようにお話しました。

マーケティング=自分から言う(発信する)「イントリックスはBtoBのデジマに強いです!」
ブランディング=人から言われる「イントリックスってBtoBのデジマに強いよね!」

後藤:人から言われるようになるには、一人でも多くの人に自社や製品のことを知ってもらう必要がありますよね? ですからマーケティングを一生懸命やった先に、ブランディングがあるんじゃないかと考えています。研修でもこのように説明したらみなさん理解してくれました。みんな優秀ですね!

デジタルマーケティングとWebマーケティングって何が違うんだろう?

編集部:マーケティングの中に、イントリックスが支援する「デジタルマーケティング」や「Webマーケティング」があるわけですよね?

後藤:そうです。マーケティング手法のひとつがデジタルマーケティングで……って、実際にブート・キャンプで使った資料を見てもらった方が早いですね。「デジタルマーケティング」とは、マーケティング活動の中でインターネットやIT技術を活用したマーケティング手法のこと。「Webマーケティング」は、デジタルマーケティングの中でもWebサイトまわりに特化しているマーケティング手法のことです。

編集部:Webマーケティングはイントリックスのメンバーならば絶対に外せない重要ポイントであると同時に、初めて学ぶ人にとっては混乱するポイントでもありますよね。

後藤:はい。Webサイトで達成したい目標(多くの人に見てもらいたい! 問い合わせしてほしい、買ってもらいたい等)を決め、ユーザーのサイト内、広告からのアクセス行動のデータなどを分析・解析し、目標達成に向けて改善していくことがWebマーケティングと呼ばれているものです。今はどの企業もWebサイトだけではなく並行してWeb広告やSNS、YouTube、商品に搭載されたIoT経由のデータといったデジタル情報だけでなく、店舗来店データや展示会やセミナーなどのイベントでの反響や、販売履歴(CRM/SFAなど)などのリアルな活動データも収集対象にしてマーケティング活動を行っていると思います。

編集部:なんとなくわかってはいたものの、改めて聞くとすっきりしてきました。デジタルネイティブ世代と言われる人たちであっても、デジマに関してはわかっている“つもり”が多いかも。

後藤:若い世代の皆さんからしたら、当たり前のように身近にあるサービスなので、Amazonのレコメンドサービス(これも好きかも? というやつです)を見て「なるほど、これがデジマの恩恵だな」なんて思ってサービスを受けていないですもんね。実際、研修2日目では「行動履歴が取られるのは嫌だ」「一度サイトを見ると何度もバナーが出るようになってウザい」など、デジタルマーケターにとっては耳が痛い意見が出ました。ですが、すべての研修が終わった後には、マーケティングに興味がなかったと言っていた先の新卒参加者が「仕組みがわかって、この企業はこんなマーケティングをやっているのかという視点で見るようになった」「さまざまな企業の広告を見るようになった」「インスタのおすすめの書籍とか見るようになった」「Cookieの廃止でWeb広告はどうなるのか」と言ってくれて、本当にうれしかったし、頼もしく感じました。

研修実践:SEOとGoogle Analyticsのいろは

編集部:ブート・キャンプでは、今お話にあったデジタルマーケティング概論の他にどのような研修をしたんですか?

後藤:今回は時間も限られていたのでSEOとGoogle Analyticsの研修を行いました。SEOと言えば、Webマーケティングの中でもコンテンツマーケティングと呼ばれ、Web制作や運用にとっては「基本のキ」です。奥深い世界ですが、基礎のみならば限られた時間でOJTができると思ったため、テーマとして選びました。

編集部:私も研修資料を拝見しているのですが、今回研修で使用した「1週間で覚えてずっと使えるSEO」というテキストについて、詳しく聞いてもいいですか?

ハンズオン①:SEOについて勉強してみよう

後藤:まず、SEOという言葉は聞いたことがあっても、一体どんなものか知らない人って実は多いと思います。SEOは、Search Engine Optimizationの略で、検索サーチエンジンの最適化という意味です。でもこれを聞いても「?」じゃないですか? なので、「何億とあるWebページの中からユーザーに対して自分のページを見つけてもらうためにはどうしたらよいのか。それがSEOの基本の考え方」ですと伝えました。

編集部:そう説明されるとわかりやすいです。

後藤:実際に調べたいキーワードを検索してもらって、自分が知りたかった結果が表示されたか、どんなタイトルや説明文(ディスクリプション)が書かれたページを開こうと思ったかを聞いてみました。やはりほとんどの人が検索結果に表示された内容を見て、リンクをクリックするか決めていました。この体験から、検索結果ページに出ているタイトルや説明文がいかに大事なのか、だからSEO対策って重要なんだと理解してもらいました。

編集部:検索して最初に目に入る箇所ですもんね。

後藤:次に、このキーワードで検索している人に見てもらいたいと思ったときに、上位に表示されているタイトルや説明文はどのように書かれているか、そのタイトルや説明文にあって自社に欠けているものは何か、リンク先のページは検索結果に表示されたタイトルの内容と合っているか等、実際に私たちが業務でお客様にSEO改善を提案する際のチェックポイントを学んでもらいました。

編集部:私も毎日のようにちょっとした調べ物で検索エンジンを利用していますが、確かに、検索結果に表示された内容で、リンクをクリックするか決めているように思います。

後藤:タイトルや説明文だけではなく、SEO対策はコンテンツの中身も重要なんです。自分たちが言いたいこと、伝えたいことばかりを発信していたら、ユーザーからはもちろん、今は検索エンジンからも評価されないようになっています。コンテンツの質はユーザーが判断し、そのユーザーからの評価をGoogleも見ています。検索エンジンを利用する我々にとっても、自分の役に立つ情報が上位に表示されていたほうが便利ですから、Google検索ってすごいですよね。

編集部:「ユーザー目線忘れるべからず!」ってことですね。「自分が言いたいことばかり発信してない?」は耳が痛い……。では、基本的な仕組みを理解したあとはどのようなことを?

後藤:SEO対策をすべきキーワードの調べ方などを学んだあとは、記憶の定着ということで、実践ですね。実際のお客様からのご相談内容を課題にして取り組んでもらいました。

【課題】
「●●という自社製品のSEO対策をしたい。何かアドバイスや提案をお願いできる会社を探している。提案してほしい」
あなたは何を考え、何をし、どう回答しますか?

 後藤:私がクライアント、新人がイントリックスというシチュエーションでシミュレーションしました。SEO対策提案をする際に必要な情報をきちんとクライアントにヒアリングできるか、その情報をもとに検索ボリュームを調べたり、関連語句を調べたり。そしてそれらのデータ、結果を元に実際にタイトルと説明文を作ってもらいました。それを見て、どうしてこのキーワードにしたのか、工夫したところはどこかなどを聞きながら、よりSEOへの理解を深めてもらいました。その後、実践第2弾として、イントリックスのWebサイトのSEO対策をしたら成果が出そうなキーワードとコンテンツ企画を考えてもらったんです。研修で出た企画はSEO的にとても良いコンテンツだと感じましたので、これは近日公開予定しようと思っています。楽しみにしていてください。

編集部:ユーザー目線とSEO、この2つのポイントをきちんと押さえていたと。その新卒社員さんは、きっとモチベーションが上がったでしょうね! 少し自信もついたのではないでしょうか。私も公開を楽しみにしています♪

ハンズオン②:Google Analyticsを使ってみよう

編集部:ほかにブート・キャンプで実施した内容を教えてください。

後藤:SEOの学習と同時に、簡単にGoogle Analytics の操作方法の研修も実施しました。SEOの対策キーワードを探る際には、ユーザーが求めている情報は何なのか、さまざまな角度から収集する必要があり、そのひとつがWebサイトの分析データなんです。この研修は、参加者にとても人気がありました。実際に数字を見るとおもしろいと思ってもらえることが多く、質問もたくさん出ました。

編集部:Google Analyticsの講習は外部の研修でも高額ですよね? 個人で受講するにはハードルが高いなぁと思っていたんですが、新人研修で教えてもらえるのはいいですね。

後藤:確かに。私も会社の研修で教えてもらいたかった(笑)。私の時代はマニュアルのような書籍が存在せず、今よりも受講料が高額だったので、震えながら受講料を振り込んだことを覚えています。あれからずいぶん経ちましたが、Google Analyticsはどんどん進化しましたし、近年Google Analytics 4もリリースされ、相変わらず毎日が勉強の日々です。ちなみにイントリックスでは、各種参考書籍や資格取得の費用を会社が負担してくれますよ。安心してください!

編集部:そのGoogle Analytics研修では実際にどんなことをやったのですか?

後藤:自社のWebサイトの分析をしてみよう! という課題をやってもらいました。実はGoogle Analyticsの操作はデジタルネイティブ世代には意外に簡単だと思います。でも、操作できるだけではあまり意味がなくて。

編集部:というのは?

後藤:これまで数多くのクライアント様からWeb分析の相談を受けてきましたが、お悩みナンバーワンは「Google Analyticsを導入したけれど、(数字の)見方がわからない」なんです。Google Analyticsのメニューから、今日の訪問者は何人でした。男女比は4:3でした。というようなデータは簡単に出すことができますが、「それで?」ですよね。皆さんが知りたいのは「だから何?」「Why?」だと思います。Web分析は、ツールを使えるようになったところからがスタートなんです。ですから、研修では操作方法をレクチャーしたあと、実際に自社のWebサイトをGoogle Analyticsを使って調査してもらい、数字の読み解き方を学習してもらいました。当日出した課題をありのままご紹介しましょうか。

後藤:こんな感じのものです。もちろんWeb分析はみなさん初めての経験ですから、最初は数字をどう見たらよいかわからないと思います。ですので、調べてもらった数字を一緒に見ながら、ユーザーの行動、気持ちを想像し、自分ならどういう行動をするか? などもディスカッションしました。

編集部:具体的にはどんな内容ですか?

後藤:例えば「採用ページを見ている人は、その前に会社情報を見ている割合が多かった」という結果だったら、どういう行動だと考えられますか? このように実際のユーザー行動を考える行為そのものが、業務でカスタマージャーニーやペルソナ設計をする際に役立つスキルになっていきます。以前先輩に「優秀なマーケターは優秀な消費者でもある」と言われたことがあったのですが、それは物を買う人の気持ちがわかるからでしょうね。ですので、お買い物が好きな人はマーケターに向いていると思います(笑)。

編集部:なるほど! そういうことなら私も、マーケターに向いているということになりますね(笑)。「GAを導入した→数字も見た→それで?」の流れは共感しかありませんし、新卒社員さんに出された課題は非常に実践的な内容ですね! 今後はどのような研修を予定していますか?

後藤:デジマの領域って本当に広くて、すべてを網羅するような研修は難しいですが、基本知識であるWeb広告やSNS、CRMやMAなどの研修を用意しています。

編集部:今日はありがとうございました! 入隊後……じゃなかった、入社後にデジマをイチから学べるイメージが持てました。デジマの基礎は入ってから身につければいいんだ! と思えたら、新卒の皆さんも安心ですね。