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大型デジマプラットフォーム対応を見据えた「Marketing Strategy」部門新設のウラ側

イントリックスのこと
ゆるやか広報班 編集部
2021年8月、イントリックスでは、戦略・分析家が集うStrategy部門と、ITコンサルタントが集うMarketing Technology部門が統合され、「Marketing Strategy部門」が新設されました。

旧Strategy部門(以下、ST部門)とは、潜在的なお客様の課題を明らかにし、指針・戦略を立て、目指すべき方向を定めることをメインミッションとしたチーム。旧Marketing Technology部門(以下、MT部門)とは、顕在化しているお客様の課題を解決するための、機能的で運用性のあるシステムや体制を企画するチームです。

この2つの部門は、一見つながっているようでいて、実は組織文化や考え方がまったく異なります。そんな両者の統合は、大型デジタルマーケティングプラットフォームへの対応を見据えたものでした。今回は、Marketing Strategy部門の部門長・佐賀文昭さん(旧ST部門)と副部門長・千代康彦さん(旧MT部門)に、設立から半年以上が経った今、統合の背景を振り返ってもらいました。

「夢を描くチーム」と「実現方法を考えるチーム」の融合

――ST部門とMT部門が一つになるとは思いもよりませんでした。各部門の部門長・副部門長だったお二人は、統合の話が出た当初、どう感じられましたか?

佐賀:実は私から会社に提言したんです。大型デジタルマーケティング(デジマ)プラットフォーム案件の対応には、システムの知識をもった戦略人間と、より上流工程から柔軟に動けるシステム人間の両者が必要不可欠。なので、「やらねばならぬ」の実行でした。

佐賀文昭(さが・ふみあき)。エンゲージメント・マネージャー/ストラテジスト。10年以上にわたり、総合商社や機械・部品・素材メーカー等のグローバルサイト群戦略策定・プロジェクト推進を支援。本業の戦略だけでなく、クリエイティブ、システムを含む全方位のテーマをカバーする。

千代:MT部門としては、IT人材が市場価値を高め、クライアントにバリューを感じていただくためには、よりビジネス視点や顧客視点を培う必要があると感じていたので、統合は来るべくして来たなと。さかのぼると、MT部門も前身はピュアなシステムを扱うテクノロジー部門だったのですが、より顧客視点やマーケティング視点を強めるためにMT部門になった背景があります。今回のST部門との統合はその延長とも言えます。

千代康彦(ちよ・やすひこ)。プロジェクトマネージャー/シニアITコンサルタント。2017年に入社して以来、多くのBtoB企業のグローバルサイト群活用戦略策定、デジタルマーケティングプラットフォーム構築プロジェクトの推進を支援している。

――統合によって、どんな効果を狙っていますか?

千代:まずスキル面ですね。 代表的なところで言うと、旧ST部門のメンバーには、実現性も加味して地に足の着いた戦略を描くために、システム・運用の知識を強化していただく。MT部門のメンバーには、仮説思考やフワッとして曖昧なテーマであっても受容しつつ前進させる推進スキルや、BtoB業界全体またはクライアントの商材、商流への興味関心や理解力を強化していただく。双方が持つ強みを融合し効率よくスキルアップを図る狙いがあります。

佐賀:文化や思考法といった面での融合にも狙いがあります。わかりやすく言えば、旧ST部門は「夢を描くチーム」で、旧MT部門は「どう実現するかを考えるチーム」でした。なので、旧ST部門はテーマすら曖昧な状況でもまずは前進させることを重視していて、「ざっくり」な人が多く、かたやMT部門は緻密に丁寧に動くことを重視する風潮があり、「きっちり」な人が多かった。これらはどちらも大切なのですが、大型で複雑なデジマプラットフォーム構想では、デジマでやりたいことを柔軟に構想することと、実現性を丁寧に検証することを同時に進めていかなければなりません。つまり、戦略の人、システムの人、という枠組みはもはや時代遅れで、両方の思考を使い分けできるようにならないといけないわけです。

――2021年8月というタイミングで統合した理由は何でしょうか?

佐賀:これまでもデジマの重要性は説かれ続けていましたが、ツールが未成熟だったり、必要な予算がつかなかったり、まずはできるところから、スモールスタートで前進させる状態が続いていました。しかし、ここ数年、BtoB企業のデジタルシフトが本格期に入り、予算投資額も桁が変わりました。

つまり、デジマに漠然と賛成していた各社が、相応のコストをかけて具体的かつ本格的にデジマに取り組みはじめています。新型コロナの影響もあります。今まではデジタルをリアルに対する「+α」と捉えていた企業が多かったですが、今はデジタルありき。各事業部が個別で進めていたデジマ施策が、全社プロジェクトとして大型・複雑化してきている今だからこそ、私たちも組織レベルでの変革に至ったというわけです。

――統合により、各分野のスペシャリストが集まって大所帯になりましたが、内部のチーム編成はどうなっていますか?

千代:中には、EM(エンゲージメント・マネージャー)チーム、DMC(デジタルマーケティングコンサルタント)チーム、ITC(ITコンサルタント)チームの3チームがあります。デジタルマーケティングの全体像に照らし合わせると、EMチームは中長期視点でのデジタルコミュニケーションの全体戦略を、DMCチームは定量的な効果に直結する施策推進を、ITCチームはシステムやツール等の構想・構築のリードを担います。結局部門の中でチームに分かれていると思われるかもしれないですが、融合の大前提として各専門領域のプロ集団でなければいけません。なので各チームで専門エンゲージメント・マネージャーを強化する形をとっています。

千代:各チームにそれぞれの専門領域について部門内で相互勉強会を開いてもらっています。第1回は共通言語も少なく目が点といったシーンも多かったですが、少しずつお互いのものの考え方、各自が理解すべきこと、お互いの強み・弱みを理解し合いはじめている気がします。私自身、SIer出身者なので、入社直後にイントリックスで戦略フェーズに触れた際はカルチャーショックを受けたのですが、この過程が大事なんです。分からないことに触れ、悩み、もがいた先に目指すゴールがあります。

真逆の価値観・キャラクターが溶け合う

――お互いの部門や人物像については、どう見ていたのでしょう?

佐賀:MTは知識と経験が豊かなチームで、それを率いる千代さんは真面目で丁寧というイメージ。私がいろいろと散らかしても、きれいにまとめてくれる、安心感があります(笑)。それは今も変わりません。

千代:STは若く活発で活力があって、体当たりのチャレンジ精神を持っている印象。佐賀さんは、思考の切れ味や刺さる言葉のセンスが、極めて優秀な人。30代前半でここまでスキルがあって、ミクロとマクロの両視点で考え語る人には、会ったことがないです。褒めすぎでしょうか(笑)。

――まったく性格の異なる2人であり、組織の統合ですね。大きな相乗効果に期待しています。

佐賀:十数年前にアメリカでIT系のサミットに参加した気賀さん(代表取締役社長)が、半分本気・半分冗談で、コンサル=イタリア製のスーツ着た人たち、クリエイティブ=おしゃれでユニークな服着た人たち、IT=OracleやMicrosoftのTシャツ着てる人たち、みたいなシーンを目撃したって言うんですけど、それくらい各職種の文化・ものの考え方って違うと思うんです。

戦略・IT・クリエイティブの3要素が必要なのは業界では一定度の共通理解となっていて、事実、戦略系とIT系の企業統合、クリエイティブ系企業の買収といった動きが増えています。ただ、くっついたからといって成功が約束されるわけではなく、あくまでそれがスタートラインです。

みんな、必要性には気づいている。ただ、なかなかうまくいっていない。戦略とITの融合が本当の意味で成功している会社ってまだほとんど存在しないと思っていますし、イントリックスもまだまだこれからです。難しいテーマだとは思いますが、絶対に融合を成功させてイントリックスの確固たる強みの1つにしてやろう、と思っています。