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65歳で個人事業主として働くという選択肢。会社と再契約した、とあるシニアの体験談

イントリックスのこと
塚田 広造

2023年、ついに年金受給資格者の年齢になった私は、一般企業の契約社員でありつづける限り一定以上の収入があると年金がもらえないことに気づき、個人事業主としてイントリックスと再契約しました。

やむにやまれず安定した会社員の立場を捨てることになりましたが、いざこの年で「個人事業主」という働き方を始めると非常にメリットが多く、しかも快適であることが分かりました。そんな体験談を、同年代あるいは長年企業に勤め定年を間近にして不安を感じている皆さんにお伝えし、参考にしていただきたいと思いこの記事をしたためています。

加えて、イントリックスは私のように仕事にマッチする経験を持ったシニア人材も求めています。もし、この体験談をきっかけにイントリックスに力を貸してもいいよ、という方がいればお知らせいただきたいです。

この記事を見て1人でも2人でも手を挙げてくださる方がいれば、シニア人材のタレントプールをも作れるのではないかと考えています。イントリックスという会社は、そんな自由度をもった会社ですので、ぜひお声がけください。お待ちしています。

先輩個人事業主から聞いた、目から鱗の事実

事の発端はこんな感じです。

数年前から、「今の年金制度では自分が年金受給資格者の年齢になっても、契約社員として企業で働き一定以上の収入がある場合は年金が支給停止になる」と気づいていました。しかし、年金だけを収入とする生活に入ることと、たとえ支給停止となっても社員として安定した収入を得られることを比較したら、働ける間は年金の受給を諦めるしかないと思いこんでいました。

しかし、年金受給対象の年齢になる数カ月前に、イントリックスに在籍している先輩個人事業主の方から「個人事業主になれば委託業務の対価としての収入と年金の両方がもらえるよ」という目から鱗の事実を聞かされました。

急いで調べてみると、年金受給者の年齢で個人事業主として働くことは一般的に行われており、併せて年金をもらうのも全く合法的であることが分かりました。それが分かると、「年金を諦めるしかない」と思い込んでいたことがかえって不思議になるほどでした。

日本は定年者の幸福感が薄い傾向が強い

一方で、大手企業で長く働いてきた自分には、個人事業主になることへの大きな不安や抵抗感があることにも気づきました。そこで、自分がコンサルタント職にあることもあり、すぐその抵抗感を言語化してみたいと考えるようになりました。

自分自身の気持ちを内省しながら「シニアの働き方」に関する書籍を何冊か読み漁り、いろいろな気づきを得ました。その中で最もショックだったのは、他の先進国におけるシニア層は若年層に比べて幸福感が高いのに、日本ではその逆であるということです。

平成20年版「国民生活白書」をもとに制作

この傾向は特に日本企業に長く務めた会社員に見られます。終身雇用制度がまだ存在した時代に社会人となった私たちの世代では、長い会社員生活の中でいつの間にか企業を守る考えが刷り込まれ、「福祉的雇用」と呼ばれる役職定年制や再雇用制度で働いている自分自身に対し、「お荷物感」を感じるようになったのではないかと思います。

安定した生活と引き換えに、「役職定年も割に合わない再雇用制度もみな受け入れざるを得ないし、年齢とともに社会のお荷物になる」と自分自身に暗示を掛けていたと言ってもいいかもしれません。

SOC理論によるシニアらしい働き方の追求

しかし、高齢化がみるみる進んでいる日本においては、この問題を研究し新しい働き方を提案する学者や福祉関係者がたくさんいらっしゃることも知りました。今や、書店にも図書館にも『定年格差 シニアの働き方』『ほんとうの定年後』『定年前と定年後の働き方』『定年の壁の壊し方』といったタイトルの啓蒙書があふれています。

何冊も読んだわけではありませんが、それらの啓蒙書で異口同音に語られていたのは、「SOC」というキーワードでした。

SOCとは、「Selection(選択)」「Optimization(最適化)」「Compensation(補償)」の頭文字をとった言葉です。SOCでは、経験と知見は持っているものの、体力や気力といった肉体的リソースが衰えゆく人々が幸せに働くには、以下の3つの工夫が必要だということでした。

S:「選択」残された自分のリソースを利活用できる仕事を選択する必要

O:「最適化」仕事に必要な知識やスキルを残された時間と体力で効率よく身に着ける必要

C:「補償」加齢により失ったものを残されたリソースや他者の協力によって補償する必要

この考えは、なるほど……と感心させられたと同時に、今自分がイントリックスでITコンサルタントという職業に就いていることが、まさにこれらの要素を満たしていることにも気づかされました。

コンサルタントは、自分が経験したことを同じ経験の無いクライアントに教え、クライアントができるだけ短時間に必要なスキルを身に付けられるよう促す仕事と言い換えられます。そうすると、私はデジタルコミュニケーション分野のIT技術に特化した経験と知見を活かすという「選択」と、個人事業主として正社員が担う業務から解放されてコンサルタント業務に必要な能力を磨くことにリソースを「最適化」することができているわけです。

また、イントリックスは小さなコンサルファームではあっても、12職種ほどの専門家が集まるプロ集団です。そのため、自分の職種以外の専門分野については他のチームメンバーによって「補償」してもらえる理想的環境でもあるのです。

何ということでしょうか。自分がこれまで不安だった「個人事業主」として働くということは、実は自分が年を重ねても幸せに働くための最適解だったのかもしれないと思うようになりました。

成長欲求が満たされることで、より高い幸福感を得られる

極め付けだったのは、シニアにはかえって成長欲求を満たす環境が整っており、より高い幸福感が得られやすいということでした。

図示しているのは、かの有名な「マズローの欲求5段階説」です。自分の会社員生活を振り返ったとき、30代~50代の働き盛りと言われる30年間は、まさに「欠乏欲求(Deficit動機)」のためだけに働いていたような気がします。

しかし、いまようやく子供たちが独立し、ローンも払い終わる年齢になったわけですから、これからはまさに「成長欲求(Being動機。以下、B動機)」のために仕事をすることができるということなのです。

これまでは「食べていくために」「家族を守るために」といった大きな責任に突き動かされて働いてきた自分でした。しかし、これからは自分自身の成長も感じられる上に、今まで我慢してきた趣味や知的探求という楽しみさえも伴うモチベーションを目的として働くことが許されるのだと気づかされました。

副業制度やフリーランス支援のインフラが整備され、様々なB動機労働が可能に

加えて日本社会の高齢化、仕事の仕方の多様化が、これから個人事業主になろうとする人には追い風になっている側面にも気づきました。

「個人事業主になろう」と心を決め、いろいろ調べ始めると、ネット上にはこうした思いのある方に向けたさまざまな支援サービスや情報が提供されていました。すでに副業制度を整備している会社も多くありますし、フリーランサー(個人事業主)に対する給付金や支援制度をはじめ、クラウドで税務署への申請や日々の事務作業を簡略化するサービスなどが安価に提供されています。

つまり、先に記したように自分自身を「社会のお荷物」のように低い自己イメージでとらえがちなシニア層は、「自己実現」の意識が極端に低いのですが、社会的には副業制度やフリーランス支援のインフラが整備され、すでに、考え方一つでさまざまな成長欲求を満たす労働(B動機労働)が可能となる時代になっていたのでした。

ですから、私たちシニア層だけがこの環境を活用しないのは、何とももったいないと言わざるを得ないのです。私たちこそ、経済的リスクが低く抑えた上でこの社会インフラを活用して幸せなB動機労働を実現できる世代なのだと考えて良いのではないでしょうか。

イントリックスにはフリーランサーを支援し、B動機労働を実現できる土壌がある

先ほど記しましたが、イントリックスには12職種もの専門職があり、それぞれの分野の経験と知見を持ったシニア人材に対するニーズがあります。特に、私の所属するデジタルコミュニケーション分野のITコンサルタント領域の経験がある方は、ご活躍いただける環境ではないかと思います。

というのも、イントリックスでは戦略・クリエイティブ・システムの三位一体を標ぼうしており、実際の案件プロジェクトではさまざまな職種のメンバーと協力してクライアントのさまざまな課題解決のための支援を提供します。

そのような職場環境では、おのずと異なった分野とのシナジー効果が生まれ、自分の知的探求心がさらに刺激されて自分の成長が実感できます。言葉を変えると、イントリックスにはB動機労働を実現できる土壌があるとも言えるのです。

実際に、さまざまな理由から、正社員としてではなくフリーランサーとしてイントリックスと長く契約関係にある方々も活躍しています。この記事を読まれたあなたも、その仲間になられてみてはいかがでしょうか。