BtoBマーケティングコラム

見逃しがちな“ちょっとした改善”が成果を生む――BtoBサイトで効いた5つの実例

大規模リニューアルが難しい中で、何ができるか

Webサイトをフルリニューアルするには、多くの工数や予算が必要になります。しかし、現場では「今のサイトを活かして成果を出したい」という声が多いのではないでしょうか。今回ご紹介するのは、そうした状況でもユーザー体験を少しずつ磨き、確かな成果につなげた事例です。視線誘導や導線整理、検索性向上など、見落とされがちな小さな工夫が、どのような効果を生んだのかをお伝えします。

事例1:製品一覧に絞り込み機能を追加|検索性向上で回遊率UP

課題・背景

製品カテゴリページは、製品名やスペックの文字情報のみが並び、製品写真が一切掲載されていませんでした。製品の見た目や用途がイメージしにくく、一覧から目的の製品を探すことが難しい状況でした。
一部のユーザーは「特長・厚み・基材から選ぶ」というメニューを頼りに探していましたが、全体では直帰率が高く、情報が整理されていない印象を与えていました。

施策と意図

まず、製品一覧にすべての製品写真を表示し、視覚的に比較・選択しやすくしました。さらに、ユーザーの行動ログから「特長・厚み・基材から選ぶ」のクリック率が高いことが判明したため、これを活用し、条件で絞り込める検索機能を新たに実装しました。
視覚情報と関心項目による絞り込みの両方をサポートする導線設計を実現しました。

結果と示唆

絞り込み機能の導入後、ユーザーは迷わず製品を絞り込めるようになり、回遊率と滞在時間はともに向上しました。ユーザーテストでも全員がスムーズに製品詳細ページへ到達し、導線設計の有効性が明らかになりました
製品数が多く、選定基準が複雑なBtoBサイトでは、ユーザー視点に寄り添った検索導線が検討行動を強力に後押しすることを実感した事例です。

事例2:お問い合わせ導線を全ページに追加|迷わせないUXがCVに貢献

課題・背景

以前は、お問い合わせボタンが限られたページにしか設置されておらず、製品閲覧後に「どこから問い合わせればいいのか」がわかりにくい状態でした。さらに、製品ごとに担当部署が異なるため、社内での振り分け作業にも工数がかかっていました。

施策と意図

製品カテゴリトップと製品詳細ページすべてに追従型のお問い合わせボタンを設置し、クリック後は対象の部署へ直接連絡が届く仕組みを整備。ユーザーの検討リズムを妨げず、自然な流れで問い合わせに進める導線に改善しました。

結果と示唆

ユーザーアンケートでは、「導線がわかりやすくなった」「問い合わせがしやすくなった」という声が増え、実際の問い合わせ数も増加誤った部署への連絡も減り、社内対応の効率化にもつながりました。シンプルな改善が、顧客体験と業務効率の双方を底上げした好例です。

事例3:グローバルナビに配置変更|見せたい情報を“見える場所”に

課題・背景

企業として力を入れているサステナビリティの取り組みを紹介するページが、企業情報内の深い階層にあり、あまり見られていませんでした。どれだけ内容が充実していても、そもそもユーザーに届かなければ意味がありません。

施策と意図

ページの内容には手を加えず、グローバルナビゲーションの第一階層に「サステナビリティ」の項目を追加。トップページで誰でもすぐに気づけるようにしました。

結果と示唆

配置を変えただけで、日本のみならず米国やヨーロッパからのアクセスも増加。特に米国では訪問数の伸びが顕著で、関心の高さが数字に表れました。
「何を伝えるか」だけでなく、「どう見せるか」の重要性を痛感した事例です。

事例4:Core Web Vitals対応|軽微な技術改善でパフォーマンス向上

課題・背景

国内外から「表示がやや重い」という声が寄せられていましたが、明確な障害がなかったため、様子を見ながら運用を続けていました。
しかし、CMSの技術パートナーから「Webパフォーマンスの指標が基準に達していない」との指摘を受け、本格的な改善に着手しました。

施策と意図

エンジニアと相談のうえ、負担が少なく効果が見込める以下の対応を行いました。

  • ビューポート外の画像に loading="lazy" を設定
  • キービジュアルに fetchpriority="high" を付与
  • ブラウザキャッシュの設定を有効化

限られた工数で最大の成果を目指しました。

結果と示唆

Googleのスコアが改善し、すべての指標が合格ラインをクリア。特にLCP(ページの読み込み体感速度)の数値は大きく向上しました。
日本国内では体感できる変化は少なかったものの、遠隔地での閲覧環境を想定したチューニングは、グローバルサイトにとって重要な意味を持つと再認識しました。
「誰が、どこからアクセスするか」に目を向けることが、グローバルサイトの品質を支える重要な要素になります。

事例5:少し表示が崩れても内容が良ければ読まれる|仕様変更の影響

課題・背景

ある時期から、ブログ記事のカテゴリ表記が日本語ではなく、CMSのテンプレートタグのままの文字列で表示されるようになっていました。
見た目が大きく崩れたわけではないものの、英数字の羅列はカテゴリであると認識しづらい状態でした。

施策と意図

早急に調査を進めましたが、CMSの仕様変更の正確なタイミングが特定できませんでした。そこで、「この見た目の変化がクリック率低下の要因であり、それがタイミング特定の手がかりになるのでは?」と仮説を立て、過去ログを分析しました。

結果と示唆

分析の結果、カテゴリ表記が崩れて以降も、ブログへのクリック数や遷移数はむしろ増加し続けていることがわかりました。
見た目に違和感はあっても、記事タイトルやサムネイルの分かりやすさ、内容への期待がユーザーの行動を後押ししていたと考えられます。
「見た目を整える」ことはもちろん大切ですが、最終的にユーザーが求めているのはコンテンツの中身であり、「読まれる価値」を磨くことの本質的な重要性を再認識できた事例です。

まとめ:改善の“規模”より“視点”が成果を生む

今回ご紹介した5つの事例はいずれも、ちょっとした施策ばかりでしたが、そのひとつひとつが、ユーザーの行動を変え、確かな成果を生み出しました。
BtoBサイトは製品も多く、導線も複雑になりがちです。だからこそ、「どこで迷うのか」「何につまずくのか」を見極める視点が重要です。
大規模なリニューアルができなくても、小さな改善を積み重ねることで十分成果は出せます。
「今のサイトで、できることから改善を始めたい」とお考えの方は、ぜひイントリックスまでお気軽にご相談ください。

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