BtoBマーケティングコラム プロジェクトが進まないのはなぜ?PJ成功のためにできる準備と改善

2024年6月25日

プロジェクト(以下、PJ)をスタートさせたが、なかなか計画どおりに進まない……。
そんな経験はないでしょうか。
そもそもPJとは、定められた期間内のタスク、またタスクの集まりですが、それは、目的の実現や課題解決のための手段です。言い換えるなら、顧客や関係者が持つ課題解決を成し遂げるための枠組みだと思っています。PJの立ち上げや推進そのものを目的化してはいけません。また、PJの準備が整っていない状態で動き出してしまうと、途中工程があやふやになり、サービスインが遅延してしまうことも。
本稿では、PJ成功のために最も重要なPDCAの“P”にフォーカスを当てつつ、PJ計画の秘訣について実践を交えて解説します。

PJスケジュールの解像度を高くする

どの規模のPJであっても、まず大切なのは事前に綿密なプランニングを立てることです。

必要な工程を洗い出す

PJを進めるのに必要となる工程を洗い出します。Webサイトの立ち上げを例に挙げると、以下のようになります。

<企画・要件定義フェーズ>

  • 企画構想
  • ヒアリング・調査戦略策定
  • 要件定義

<制作フェーズ>

  • 設計
  • デザイン
  • コンテンツ制作
  • HTML
  • 検証・デバッグ
  • 最終報告

バッファを含めたスケジュール設計

次に各工程の「開始時期」と「終了時期」を確定させます。必要な理由としては、各ステップで開始点や完了点が曖昧なままだと、ゴールから逆算した必要工程の洗い出しができません。PJでは複数のベンダーと連携しながら進めていくことが一般的です。ベンダーにどの工程でどれだけ関与してもらうのかをはっきりさせるためにも、各工程の期間を明確にする必要があります。
特に、新規Webサイトの立ち上げでは、非常に不確実性が高く、開始点や完了点を確定させることに躊躇してしまいがちですが、バッファを含めたスケジュール設計を行うことで解決できるはずです。

クリティカルパスを定める

クリティカルパスとは、前工程が終わっていないと後工程の作業ができない、必要不可欠な作業経路のことを指します。クリティカルパスは、遅延が発生すると、後工程にも影響を及ぼして結果的に全体スケジュールの遅延につながりかねません。そのためにも、クリティカルパスを事前に設定することは非常に大切です。

設定しておくメリットは、クリティカルパス内であれば柔軟にタスクを調整することができる点です。また「どこが遅れると、後工程に大きく響くのか」を、あらかじめ関係者と確認・共有することで、双方の目線合わせをすることができます。

肝は「日程・スケジュール」「タスク」「会社・担当者」まで明記することです。「会社・担当者」には、自社だけではなく開発会社や翻訳会社、ASP・SaaS会社といったステークホルダーも明記しておくことで、責任所在もはっきりすることができます。

図1:クリティカルパスを定めたスケジュールイメージ

各工程の可視化・共有

「開始時期」と「終了時期」「クリティカルパス」を記載したWBSやガントチャートを作成し、クライアントに共有します。

クライアントの合意をとり、万が一、PJ計画に沿って進行できない場合、QCD(品質・コスト・デリバリー)に影響が出るかもしれないことを予めお伝えします。また、クライアント関連タスクの作業時間を確保いただけるよう、ご協力の要請を予め行います。

INTRIXではWBSツールとして「Backlog(バックログ)」を使用していますが、共有・可視化ができれば、エクセルやスプレットシートなど、どんなツールを利用しても構いません。

適切なPJ体制を構築する

PJ推進で最も重要で、かつ最も難しいのがPJ体制構築です。予算の都合上、最適な人材を調達できない、人員が足りないということはよくある話かと思います。反対に、適切なメンバーでPJ体制を構築したにもかかわらず、コミュニケーションの齟齬が起こり、予期せぬトラブルやPJの遅延が発生することもあります。かつて、あるお客様に「初期の座組がプロジェクトの成否を分ける」と言われたことがありますが、今思い返しても、この言葉は本質的であると感じます。結局、PJは「人の集合体」であり、そこに関係性と信頼がなければ、うまくいかないからです。

メインメンバーを決める

PJ体制構築でポイントは2つで、1つがメインメンバーを決めること。メインメンバーの役割は1つの工程(例:調査戦略や設計など)をリードする役割です。最初にメンバー編成(ディレクター、デザイナー、フロントエンドエンジニアなど)を計画したのちに、構築するサイトタイプやPJの難易度からそれぞれメインメンバーを配置します。

例えば、調査戦略が得意なAさんに打診するとします。しかし、状況や業務量によってはAさんをアサインできないこともあります。その場合は、調査戦略の経験が少ない人材をメインメンバーへ配置することを検討したり、少し編成を組み変えてサポートメンバーを入れる必要が出てきたりします。

メンバーのスキルセットと役割を可視化する

もう1つがメンバーの役割の可視化です。先に述べたように、必ずそのPJに合致したスキルセットをもったメンバーをアサインできるとは限りません。プロジェクト開始前に、メンバー各人のカバー領域を可視化しておくことで、適切なフォロー体制を構築することが可能となります。

図2:メンバー、関係ベンダーごとにスキルセットを可視化したシート

役割の可視化には棚卸し表が有効です。社内メンバーだけでなくベンダーと共有すると役割分担や責任範囲が明確になり、「誰も手を付けていないタスク」を極力減らすことができます。

なお、PJ体制を構築する際には、フォローアップを見越してあらかじめサポートメンバーの工数も含め、見積もっておくと良いでしょう。

図3:メンバー、関係ベンダーごとに役割を可視化したシート

まとめ

PJ推進においては、「要件定義が決まらない」、「進捗が遅延する」、「メンバー間のコミュニケーションで齟齬が生まれる」など、さまざまなトラブルが起こります。それらを未然に防ぐためにも、本日紹介した綿密なプランニング「PJスケジュールの解像度を高くする」と適切な「PJ体制構築」の2点は非常に重要なポイントといえるでしょう。

本稿で紹介した内容は、事業会社でPJ推進を行う担当者のみならず、ベンダーの方にも非常に参考になる内容です。また、今回はPJ推進の実践面の内容が中心でしたが、今後は基礎・基本の情報も発信していきますので併せてぜひご活用ください。

著者プロフィール

デジタルマーケティング部コンサルティング&PM課

お客様の課題を整理してあるべき姿を描き、デジタルマーケティングのあらゆるテーマのアドバイスや解決手段を提示するコンサルティング業務およびプロジェクトマネージメント業務を行う。またお客様のお話しや調査から戦略策定を行い、中長期視点で施策のプランニングを行う。
業界は素材、完成品メーカー、商社、医療系等、多岐にわたるが、事業理解に基づいたソリューション提案が強み。
グローバルに向けたデジタルマーケティング活用支援のご相談も多く、専門スキルを持ったスペシャリストと共に、さまざまなノウハウを持つコンサルタントやPMがお客様の悩みを解決する。

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