背景と課題 制作会社から提案されたデザインの良し悪しが判断する明確な基準がない
富士電機グループの一社である富士古河E&C株式会社は、公共施設や産業プラントなどの設備に向けた電気・計装工事の設計、施工をはじめ、電気・計装、空調、建築、送電、情報通信など、さまざまな技術を提供する総合設備企業です。
Webサイトのみならず日常的にカタログや会社案内を営業活動などに利用している同社では、商品を扱う担当部署ごとに独自にカタログを作成しています。その中で担当者様が課題に感じておられたのが、提案されたデザインの良し悪しを判断する明確な基準がなく、担当者の考えで都度判断している点です。そのため、カタログやWebサイトのデザインが少しずつ異なり、受ける印象もバラバラ、という状況でした。
今後、東南アジアを中心とした海外での事業拡大が見込まれる中、関係者が増えればデザインのハンドリングも難しくなり、さらにバラバラになっていくことが予想されます。そこで早期にデザインの基準を作り、統一された「富士古河のブランド」が発信できる土台を作ることが必要だと考えました。
イントリックスの解決策 まずはガイドラインの基盤となる、ブランドステートメントの策定に着手。社員参加型のワークショップを通じて、富士古河E&Cのブランドパーソナリティを掘り起こす
ガイドラインの策定にあたり、まずは富士古河E&Cのブランドパーソナリティを定義するところから始めました。この作業は、
- ヒアリングを通じて、富士古河E&Cの事業内容やマーケットにおけるポジション、顧客像や商流、企業として抱いているビジョン、行動指針などをお伺いし整理。
- 社員参加型のワークショップを実施し、ブランドパーソナリティ定義のための材料を集約。
ワークショップ当日は営業や設計、人事など、全国からさまざまな部署の社員に出席していただき、「企業としてどんな人たちに愛されたいか」「自分たちが提供できる強みや特長、機能的価値、情緒的価値は何か」を議論。さらに、あらかじめ用意した大量の写真から、富士古河E&Cのイメージに合致するものを選んでいただき、そこからヒントを探るという手法で富士古河E&Cが獲得したいイメージを可視化。このワークショップをもとに、富士古河E&Cのブランドパーソナリティを5つのキーワードにまとめました。
写真、カラー、フォント……あらゆるクリエイティブにおいて訴求するイメージを統一するガイドラインが完成
ヒアリングとワークショップをもとに、富士古河E&Cのブランドステートメントが完成。
これを元にアートディレクターが、富士古河E&Cを表現する基準を示したものとして、ブランドパーソナリティガイドラインを作成しました。
このガイドラインでは、ワークショップで抽出された5つのキーワード「信頼感」「知性」「クリーン」「プロフェッショナル」「親しみ」をデザインプリンシプル(ブランド表現のためのデザイン原則)に設定し、情報発信を行う際の基準としました。
コミュニケーションガイドラインでは、デザインプリンシプルを基準に、各種ビジュアルの指針を具体的に掲載しました。例えば写真では、5つのキーワードそれぞれを表現しうる代表的な写真素材を示し、各キーワードを表現する上で留意すべき点を明文化。使用すべきではない画像も例示しています。
カラースキームでは、ブランドを表現するため使用できる色をカラーコードで設定。画面内の各色の比率も定義し、富士古河E&Cが伝えたいイメージに一貫性をもたせました。さらに、和文書体や欧文書体・数字・役物の記載に使用できるフォント、シンボルマークと社名表記の組み合わせも規定しました。
成果 英語サイトのリニューアルから、順次ガイドラインを適用したデザインに
一貫したイメージを訴求するためのブランドガイドラインは、まずは英語サイトのリニューアルで、その後Webや広告に使用する撮影、新聞広告などに順次展開していきました。その際、以前あったようなデザインの良し悪しの判断に迷うことはなくなり、デザインの品質も高位平準化できガイドラインを作った効果を感じています。
今後も日本サイトやカタログ、営業資料などさまざまな制作物に展開する予定で、近い将来にはすべての成果物を本ガイドライン基準に作られたクリエイティブとすることを目標に進めています。
イントリックスならではのワークショップは、社員にとっても貴重な機会に
富士古河E&C株式会社
経営企画本部 企画統括部 経営企画部
宮崎様
普段、会社で働いていると、自社の強みは何か、自分たちがお客様にとってどのような存在でありたいのか、ゆっくり考える機会はなかなかありません。その点で、ワークショップは参加した社員にとっては自分たちの中にある考えを整理できた、貴重な機会だったようです。地域も職種もバラバラな社員が集まったのですが、皆に共通した理解があることに気づき、驚く場面もありました。
イントリックス様は細かなヒアリングとワークショップによって、社員の声を吸い上げた、誰もが納得できるガイドラインを作っていただけたと感じています。策定していただいたブランドガイドラインは、Webサイトのデザインだけではなく、カタログや営業資料などにも今後順次反映を進める予定です。