富士電機株式会社 数十万点の多言語ドキュメントを一元管理し、会員権限ごとにカスタマイズ表示を実現。UIの抜本的改善とCMS-DAMのシームレスな連携により、操作性と検索性が向上し、ユーザー体験が大幅に改善

  • マーケティングシステム基盤企画・構築・導入支援
  • プロジェクト全体推進支援
  • 会員サイト構築
富士電機株式会社

巨大ドキュメントライブラリーとシステム連携の刷新を支援し、顧客体験と業務効率を改善。資料ダウンロード数増加率165%、会員増加率180%以上に貢献しました。

  • 数十万点に及ぶ多言語ドキュメントライブラリーのUI設計刷新
  • 会員行動を可視化し、迅速にユーザーニーズに対応する仕組み作り
  • PaaS/SaaSの導入でダウンタイム0を実現
  • 管理画面の操作性改善でドキュメント発信の活性化

BtoBビジネスにおいて、自社の課題解決につながる製品・ソリューションを選定する際には、詳細な製品情報、仕様書、技術資料などが意思決定や導入プロセス、カスタマーサポートにおいて重要な役割を果たします。

特にデジタル空間上でいつでも必要な情報を入手できるドキュメントダウンロードサイトは、迅速な対応が求められる現代のビジネス環境において、ユーザーの意思決定プロセスを助ける重要なツールです。使いやすいインターフェースや強力な検索機能を備えたサイトは、ユーザー体験を向上させ、他社との競争力を高める上で不可欠です。

富士電機は、この重要性を理解し、10年以上前より会員向け資料ダウンロードサイトを構築・運用し、ユーザーとの関係性を深めてきましたが、システムの老朽化や度重なる機能の追加により、ユーザーが求める情報に辿り着きづらい状態となっていました。

そこで同社が選んだのは、ダウンロードサイトの抜本的な刷新による顧客体験の改善でした。

背景と課題 顧客満足度と競争力を高めるためのシステムの抜本的刷新

富士電機は、パワー半導体とパワーエレクトロニクスを中心に、発電設備、受配電設備、電力電子機器、産業機器、社会インフラなどに至るまで、幅広い分野で最先端の技術とソリューションを提供する総合電機メーカーです。

BtoBビジネス、とりわけ産業機械メーカーにおいては、製品関連ドキュメントは顧客の意思決定プロセスに直接影響を与える重要要素です。富士電機のような総合電機メーカーでは、製品の複雑性や専門性から、詳細な仕様書や技術資料が顧客のニーズ把握、製品選定、カスタマーサポートに不可欠となっています。

この認識のもと、富士電機は10年以上前より、6地域3言語(日本語、英語、中国語)に対応する会員向け資料ダウンロードサイトを運用してきました。このプラットフォームでは、数十万点に及ぶ重要なドキュメントが管理されています。

しかし、長年の使用によるシステムの老朽化や度重なる機能追加の結果、ユーザーが必要な情報に迅速にアクセスできない状況に陥り、管理画面の操作性の悪さによる業務効率の低下も顕在化していました。何よりも、多くの会員の貴重なデータが有効活用されないまま眠っていたのです。

このような課題に直面し、サーバーOSや文書管理パッケージのサポート終了が迫る中で、富士電機はシステムの全面的なリニューアルを決断しました。

本プロジェクトは、単なるシステム更新ではありません。それは、既存システムの深い理解と新システムの革新的な設計・実装という二重の技術的挑戦を含んでいました。また、システムが企業の競争力や顧客満足度に直接影響を与えるという点で、難易度と重要度がともに極めて高いものでした。

そこでBtoBのデジタルコミュニケーションに精通し、顧客情報を活用したデジタルマーケティング基盤構築に豊富な実績があるイントリックスへご依頼を頂きました。

イントリックス×SCSKの解決策 徹底したユーザー視点によるUI/UXの改善を実施

本プロジェクトでは、BtoB企業の業務基幹システムやデジタルマーケティング基盤構築の知見・実績が豊富なSCSKと、BtoB企業のデジタルコミュニケーションに精通したイントリックスが緊密に連携しました。両社の強みを融合させ、競合他社に匹敵する使いやすさと、ユーザーの興味関心をデータとして把握できるシステムの構築を目指しました。

イントリックスはまず、徹底的な現状分析を実施し、10年間の運用で積み重なった「技術的負債」の全容を明らかにしました。本プロジェクトのマネージャーを担当した千代は「問題を掘り下げるにつれ課題の深刻さと複雑さに圧倒されました」と振り返ります。

例えば、特定の製品カテゴリにだけ特別な検索結果や情報を表示する仕組みが、膨大な派生ページとして作られていたのです。リニューアルの設計段階では、これらの複雑なパターンをすべて確認し、膨大な情報をどうやって統合するかを徹底的に検討しました。

また、現行のシステム課題および理想の姿の把握を目的に、資料ダウンロードサイトのエンドユーザー、富士電機の社内ユーザーを対象にデプスインタビューを実施。

エンドユーザーと社内ユーザーの声を丁寧に拾い上げ、「検索結果の分かりにくさ」や「複雑なダウンロード手順」、「ドキュメントの登録プロセスの煩雑さ」などの具体的な問題点を特定しました。

これらの知見や競合サイトの綿密な分析、イントリックスが長年培った豊富な経験を基に、以下の改善を実施しました。

検索ルートの集約・明確化とUIの刷新

以前のドキュメントタイプ別の検索方式から、キーワード、資料カテゴリ、製品カテゴリという3つの軸に検索ルートを集約。UIも全面的に刷新することで、ユーザーは迷うことなく欲しい情報にたどり着けるようになりました。

ダウンロード手順の効率化

煩わしい画面遷移やポップアップを一掃し、ダウンロード手順を2/3に削減。ユーザーはストレスフリーで必要な資料を入手できるようになりました。

一貫性がありシンプルで分かりやすい操作性の実現

新システムでは、ユーザー視点に立った設計とUIの刷新により、シームレスで直感的な操作性を追求しました。改善後のユーザーアンケートでは、84%のユーザーがデザインの一貫性と操作性の向上を実感。さらに72%のユーザーが、操作手順のシンプルさと分かりやすさを高く評価しています。

業務システムの改善においては、運用のしやすさとコストの低減を目指し、PaaS/SaaSのDAM(デジタルアセットマネジメント)と検索サービスを導入し、以下の改善策を実施しました。

ドキュメント公開プロセスの簡素化

従来のドキュメント公開プロセスは、Excelでデータ処理し、夜間バッチ処理で反映されるのを待つという煩雑なプロセスでした。さらにプレビュー機能がないため、誤った状態で公開されることがあったのです。ある担当者は「プレビュー機能がないため、翌日まで登録結果の確認や修正ができず、誤った状態での公開や修正の手間がかかっていた」と語ります。

しかし、新システムの導入により、このプロセスは一変しました。各事業部の担当者はプレビュー画面でドキュメントの正確性を確認したのち、即座に公開できるようになりました。

社内ユーザー向け検索機能の強化

以前は登録済みドキュメントの検索性が低く、事業部の担当者が必要な資料を見つけられず、システムの運用担当者への問い合わせが頻発していました。最新の検索システムを導入し検索性を向上させたことで、事業部担当者がドキュメント登録業務を自律的に進められるようになり、運用担当者への問い合わせ対応の負荷が大幅に軽減されました。

システム安定性の向上

PaaS/SaaSの導入によって、システムの安定性も大幅に向上しました。以前は日次で15分のバックアップ、月次で2時間のセキュリティパッチ適用と頻繁に発生していたダウンタイムも、今ではゼロに抑えることに成功し、海外での営業活動やカスタマーサポートがスムーズになりました。

データ分析・可視化

DAMとCMS(コンテンツマネジメントシステム)を連携して、製品分類や資料カテゴリごとの資料ダウンロード数を可視化し、会員増加数を把握できるダッシュボードを構築しました。これにより、ユーザーがどの資料に関心を持っているかを正確に把握し、効果的な打ち手を打つことが可能となりました。

成果 顧客・社内の不満を解消し、膨大なデータを有効活用へ

数十万件のドキュメントが蓄積された巨大ライブラリのUI/UX全面刷新、最新CMSの導入、そして複数システムの緻密な連携。

この一大プロジェクトは、期間内に完遂されただけでなく、売上に直結する目覚ましい結果をもたらしました。

新サイト移行から約8ヶ月後の数値として、資料ダウンロード数は約165%以上、月単位の会員増加率は約180%に到達。UI刷新による直感的な操作性と高度な検索機能の実装が、この成果を支えました。

業務効率の面でも、飛躍的な向上が見られました。管理画面の操作性改善により、各事業部門からの情報発信が活発化したのです。さらに、ユーザーデータの可視化により、需要の高いコンテンツを迅速に特定し提供することが可能になりました。

例えば、古いカタログでも頻繁にダウンロードされていることが分かると、そのカタログの見直しが行われます。この可視化と効果測定の仕組み構築により、ドキュメントライブラリーのPDCAサイクルがより効率的に回り、継続的なサービス改善が可能となりました。

加えて、定期的なミーティングによるシステム運用保守に関する情報共有の徹底化、計画的なシステムアップデートとパッチ適用によるメンテナンス作業の確実な実施など、運用保守業務の効率化にも取り組みました。これによりセキュリティ脆弱性への対応はもちろん、OSやミドルウェアのEOL対応への不安が解消され、安定したシステム運用ができる体制が整いました。

富士電機は、この成功を足がかりにさらなる発展を計画しています。まず、ユーザーのログイン権限、地域、言語に応じた製品仕様表示のカスタマイズ機能の実装を進め、システムの使いやすさを高めていくとのことです。

また、キーワード検索のためのデータ更新頻度を日次から半日に短縮し、市場動向やユーザーニーズの変化にリアルタイムで対応する体制を整える計画です。

さらに、各部門の資料ダウンロードサイト利用率を分析し、無駄なコンテンツ削除などを行い、資料ダウンロードサイトの価値を高めます。

本プロジェクトを通して、デジタルマーケティングの基盤となるドキュメントライブラリーの構築ができました。今後も顧客中心のアプローチを徹底し、情報へのアクセス性、コンテンツの質、サービスの充実度を高めることで、総合的な顧客満足度の向上およびブランド価値の向上を実現できると確信しております。

大規模プロジェクトを冷静かつ効率的に推進する管理能力と、徹底的なユーザー視点に立ったUI・システム設計により、ブランド価値を高める資料ダウンロードサイトの構築を実現してくれました。

富士電機株式会社

Web担当部門

「当社の資料ダウンロードサイトは、10年以上の運用を経て、ユーザビリティと運用面で多くの課題に直面していました。そこで本プロジェクト全体の管理としてBtoBのデジタルコミュニケーションに精通しているINTRIX様にお願いしました。

INTRIX様には、単なるシステム改善にとどまらない、ビジネス全体を見据えた戦略的な提案をしていただきました。システム・UI設計から業務改善、そして全体推進に至るまで、一貫して高度な専門性を発揮され、その豊富な経験に基づくアプローチには大きな感銘を受けました。

ユーザビリティの大幅な向上はもちろんのこと、業務効率の飛躍的な改善、さらにはシステムの安定性の向上まで実現できたのは、INTRIX様が各段階で最適な解決策を的確に助言してくださったおかげです。」

  • BtoB企業のデジタルコミュニケーションを
    総合的に支援しています

    BtoB企業に特化したサービスを提供してきたイントリックスには
    多くの実績とノウハウがございます。
    現状のデジタル活用の課題に対し、
    俯瞰した視点でのご提案が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

    お問い合わせ
  • マーケティングに役立つ情報や
    ウェビナー開催情報などを毎週お送りします

    BtoB企業のデジタルマーケティングご担当者さま向けに、
    ウェビナーのご案内や役に立つコラム情報をお届けします。
    メールマガジン(無料)にぜひご登録ください。

    メールマガジン登録

OTHER CASE STUDIES

プロジェクト事例