背景と課題 価値はあるのに伝わらない——戦略を活かしきれないWeb構成が課題に
Matlantis株式会社が提供するAIシミュレータ「Matlantis」は、AI技術により従来より圧倒的に高速な計算を実現し、クラウド上で動作するためブラウザからすぐに利用できる利便性も備えています。すでに国内外150以上の企業・研究機関が活用しているものの、北米市場へのさらなる展開に向け、Webサイトにおける情報伝達の課題が明確になりました。
同社は、製品の価値をより多くのユーザーに正しく理解してもらうため、既存サイトの全面リニューアルを決定。そのなかで、主に2つの課題が浮かび上がりました。
(1)導入判断に関わるすべての関係者に価値が届いていない
しかし実際の導入検討には、計算化学者だけではなく、実験研究者や研究部門のリーダー層、経営層など、多様な立場が関わります。本来は立場によって重視するポイントは異なりますが、既存サイトではそれらに応じた情報の深さや視点、訴求の優先順位の整理が不十分で、各ユーザーが必要とする価値に到達しにくい構造になっていました。
(2)集客から導入までの仕組みが不十分
さらに、ダウンロード資料はスペック中心の製品情報にとどまっており、情報収集段階の潜在顧客を惹きつけるには訴求力も不足。結果として、興味を持った見込み顧客を「認知」から「検討」「導入」へとつなげる仕組みが、十分に機能していなかったと言えます。
イントリックスの解決策 研究者ヒアリング×LLM視点×運用性まで見据えた総合設計
(1)研究者のリアルな声を反映
(2)生成AIからの参照にも対応
本プロジェクトでは、将来的にAI検索がより一般的な情報収集手段となることを見据え、生成AIからの正確な情報参照を前提としたサイト設計にも注力しました。
その一環として、AIが理解・参照しやすいよう、文書構造の最適化、具体的な表現の採用、参照価値の高いコンテンツの拡充といった工夫を行い、発信すべきメッセージや製品価値を適切に伝える構成としました。
さらに、OpenAIが提唱する「llms.txt」を実装し、AIクローラーが参照すべき情報範囲を明確にしています。
(3)キーワード分析と導線設計でリード獲得を強化
まず、既存サイトのアクセスデータや競合サイトの検索動向を分析し、上位表示を狙う複数のキーワードを選定。これをもとにSEO対策の方針を定め、ブログ記事など新たなコンテンツを拡充し、潜在層の流入増加とリード獲得数の拡大を図りました。
また、外部サイトに点在していたホワイトペーパーを自社サイト内に集約し、リード獲得に活用できるよう整備。ダウンロード資料は「Matlantisポータブルガイド」として再編し、特徴や導入効果、ユーザーの声、計算事例集などを分かりやすくまとめました。
資料請求や問い合わせへの導線も見直し、主要ページには「資料ダウンロード・お問い合わせ」へのリンクを視認性の高い位置に配置。情報収集から導入検討へと、ユーザーを自然に誘導する設計としています。
(4)運用性と多言語対応を両立したCMS設計
また、多言語対応として翻訳管理ツール「WOVN」を導入。日本語ページの更新が英語版にも自動反映される仕組みを構築し、運用負担を大幅に軽減するとともに、国内外で一貫した情報発信を可能にしました。
成果 検索流入と可視性の両面で成果を実感。AI検索でも露出が拡大
リニューアル後、自然検索とAI検索の両面で明確な成果が現れました。関連キーワードである「DFT 計算」で検索順位1位を獲得。最重点キーワードとして設定していた「マテリアルズ・インフォマティクス」は4位に上がり、自然検索からの流入は約8倍に増加しています。
AI検索においても「触媒の実験シミュレーション」や「スラブと熱可塑性樹脂(PEO)の接着構造を計算」などの専門的なクエリに対し、複数のLLMがMatlantisの情報を参照。生成AI上での引用が増加し、次世代の検索体験においても公式情報が回答に採用される機会が高まりました。
今後もこの基盤を活かし、英語圏を含むグローバルな市場に向けて、Matlantisの価値を一層広く発信していくことが期待されます。
「伝わる構成」と「運用できるCMS」を両立したWebサイトへ
Matlantis株式会社
経営企画部 兼 マーケティング部 鳥居裕貴
「Matlantisは非常に先進的なサービスであり、専門家には伝わりやすい一方で、専門外の研究者やマネジメント層にその価値を理解してもらう難しさがありました。今回のサイト改修では、研究者の方々へのヒアリング結果をもとに構成を見直したことで、より幅広い方にMatlantisの魅力をわかりやすく伝えられるようになったと感じています。
また、ブログやお役立ちコンテンツなど、私たちの専門性を発信し、材料開発に関わる皆様に私たちを知って、信頼していただけるようなコンテンツを提供していく体制が整いました。今後は、このサイトを通じて、より多くの企業や研究者の方にMatlantisを知っていただき、研究開発の新しい選択肢として活用してもらえれば幸いです。」