株式会社ミツトヨ:デジタルマーケティング基盤構築 総勢20以上の部門・パートナーとともに、PIM・MA・Webが有機的に連携したデジタルマーケティング基盤を構築

  • デジタルマーケティング戦略立案・推進
  • プロジェクト全体推進支援
  • マーケティングシステム基盤企画・構築
  • Webサイト制作・運用支援
株式会社ミツトヨ

クライアント社内15部門と7社のパートナーとともに、PIM・CMS・MAの導入およびコーポレートサイトリニューアルを実施。
プロジェクト統括も担うことで、各ソリューションとコーポレートサイトが連携し、それぞれの効果が最大限に発揮されるデジタルマーケティング基盤の構築を実現しました。

課題
  • ミツトヨの事業の幅広さや、精密測定機器メーカーとして培ってきた実績、実力が世間に伝えきれていない
  • 5,500点を超える業界トップクラスの商品数を揃えているが、競争力のある商品情報をデジタル空間上で表現・提供しきれていない
  • Web、カタログ、広告など各メディア用に商品情報が個別管理されており、管理が非効率。かつ、各国現地法人に対するタイムリーな情報提供ができずに機会損失が生じている
  • 各コンテンツを管理する部門ごとに個別最適化した情報掲載により、構造が複雑化しユーザーが求める製品・ソリューションを見つけにくい
  • デジタル上で、購買を後押しする情報提供やマーケティング活動ができていない
イントリックスの解決策
  • ミツトヨ社内視点の商品分類ではなく、エンドユーザーの選定視点で商品分類を抜本的に再設計
  • PIM・CMS連携を通して商品情報の体系化、管理効率化を行い、タイムリーなマーケティングコミュニケーションを可能に
  • MAを導入するだけでなく、運用トライアルを実施することで営業チームが必要とする情報を精査。見込み顧客の興味関心度を可視化し、効果的なデジタルマーケティングの土台を整備
  • コンテンツの追加、導線改修など、コーポレートサイトの抜本的なリニューアルを行い、価値訴求と情報検索性を最大化
  • Web部門だけでなく、営業部、技術部、カスタマーサポート、計測技術者を養成する「ミツトヨ計測学院」など、全社関与でのプロジェクト推進により、構築後に横串が挿されたマーケティング活用を行えるように
  • 複数のパートナー企業、マルチツールを束ねるPMOを設置し、全体視点で調整することでプロジェクトリスクの最小化と有機的な連携効果を最大化
成果
  • PIM・MA・Webサイトが相互に連携したデジタルマーケティング基盤の構築
  • 海外現地法人と連携した新たなマーケティング施策の萌芽

立案に携わったWeb戦略を具現化もできるイントリックス

株式会社ミツトヨ

グローバルマーケティング本部 販売促進部
マーケティング課 課長

中島 幸太様

関わってくださったすべての方がプロフェッショナル

世界に市場を広げるミツトヨは、31カ国に拠点を、60カ国以上に代理店ネットワークを展開しています。しかし、グローバル市場ではデジタルコミュニケーションが積極的に行われている一方で、そこで活用できるように体系化された商品情報を、本社側からタイムリーに提供することができていませんでした。一部の海外現地法人 ではECサービスを利用した拡販を進めていたため、商品情報提供の遅れは大きな機会損失につながる状況でした。また、今後日本国内においてもPIMで管理する商品情報を活用したマーケティングコミュニケーションを行うためには、エンドユーザーが求める情報に行きつきやすく、競争力のある商品情報を訴求可能とするコーポレートサイトの抜本的な改修が必要だと感じていました。

こういった課題に対する打ち手として、MA導入やコーポレートサイトリニューアルを個別に進めていました。しかし、「各課題に対し個別最適で対策を打ったとしても効果を最大化させることはできない。各施策がしっかり連携しなければ、プロジェクト上のリスクも肥大化する。全体を俯瞰しつつ各施策を連動させ、全体最適視点をもって推進することが重要である」と、イントリックスさんより提言いただきました。当初、Webサイトリニューアル部分のみをお願いしていたのですが、イントリックスさんは幅広いテーマを総合的に支援可能、かつ多くのステークホルダーをドライブでき、広範囲の課題に対応できるため、リニューアルだけでなく全体推進までを依頼しました。

プロジェクトを進める中で実感したのは、関わってくださったイントリックスの方々全員が、デジタルマーケティングや情報設計、システム、そしてプロジェクトマネジメントといった各分野におけるプロフェッショナルだということ。例えば情報設計フェーズでは、当社の複雑に絡み合ったサイト構造とその課題群をビジュアルで明確に表現してくださり、大変驚きました。それによって問題の深さを認識し、部分改装ではなく更地にして立て直すことを決心できました。情報設計以外のフェーズでも、こちらの要望や状況を常に可視化・言語化して提示してくださり、信頼度が非常に高まりましたね。また、関係部署の声をきちんと聞くというミツトヨの組織文化にも寄り添っていただき、納得感を醸成しながらプロジェクトを推進してくださいました。

売上比率の7割を占める海外へ、新鮮な商品情報をタイムリーに提供するために

まずは、ミツトヨ様が抱えていらっしゃった課題からお聞かせください。

中島:
当社の売上比率は海外が7割で、当社製品を扱ってくださっている販売会社様は、eコマースの活用などデジタルにシフトしています。そこでは、販売機会を逃さないタイムリーな商品情報の提供が求められているのです。しかしながら、こうした外部環境に対し、日本の本社にはそれに対応できるデジタル化された商品情報がなく、情報が必要になった場合は海外現地法人側でデータ入力や写真撮影、ECサイトへの配信を行っていました。また、本社コーポレートサイトへの商品情報の反映も属人的な運用になってしまっており、鮮度の高い情報を掲載することができていませんでした。

また、15年にわたり増築を重ねてきたコーポレートサイトにも課題が山積していました。デジタルマーケティングの売上貢献度を高めるためには、競争力のある商品・ソリューション情報や、課題解決につながると感じられる導入事例、導入後のサポート情報など、エンドユーザーに価値を感じていただける情報提供や、少ない労力で求める情報を入手可能な分かりやすい情報構造であるべきですが、当時のコーポレートサイトは情報提供力が弱く、また構造が複雑化しており、デジタルマーケティングを実践する基盤として成り立っていない状態でした。

株式会社ミツトヨ グローバルマーケティング本部 販売促進部 マーケティング課 課長 中島幸太様

千代:
例えるならば新旧の建物が入り交じる歴史ある老舗の温泉宿のようで、増改築を重ねてきたがために、導線や構造が複雑化してしまっていました。これでは、ユーザーが目的の情報にスムーズにたどり着けないだけでなく、ミツトヨ様の強みや魅力などを届けることもかないません。

当初はミツトヨ様の強みを伝えるコンテンツの追加など、部分的な改修から取り掛かることを提案していましたが、当時のコーポレートサイトの調査を進める中で、ミツトヨ様が描かれているデジタル活用を実現するためには抜本的な作り直し、つまり老舗温泉宿を取り壊して更地にし、最適な設計による作り直しが必要と判断するに至りました。ミツトヨ様にもその必要性をご理解いただき、抜本的なサイトリニューアルとPIM-CMS連携・MA導入を目指したプロジェクトを2020年に立ち上げました。

イントリックス株式会社 プロジェクトマネージャー/シニアITコンサルタント 千代康彦

中島:
商品情報を活用できる状態でストックするPIM、それを実際に活用するコーポレートサイト、顧客情報を管理・活用するMAは、横串を挿してそれぞれの効果を最大化すべきだと考えたので、全体最適化するために一から作り直していただくことにしました。

効果的なデジタル活用を実現する鍵は「15部門が当事者意識を持って関わる」体制づくり

ミツトヨ様が抱えていた課題に対して、イントリックスが行った施策をお教えください。

千代:
大きく分けて「サイトリニューアル」「PIMの導入・連携」「MAの導入・連携」の3つです。

1. サイトリニューアル

コーポレートサイトをデジタルコミュニケーションの基盤としてゼロから再設計。マイクロメータやノギスといった「測定工具」と複雑・高単価な「機器商品 」といった製品特性の違い、商流など、ビジネス特性を分解した設計や、ユーザー視点に立った商品分類の再仕分け、コンテンツの新設・改修などを実施。

2. PIMの導入支援・連携

エンドユーザー様へのタイムリーな情報提供と、商品情報の効率的な管理のためのデータ体型の整備、PIM導入支援および連携。

3. MAの導入・連携

エンドユーザー様の購買活動を後押しするためにプロアクティブな情報提供を行うためのMA導入・連携。営業への有望リードの引き渡しをゴールとし、デジタルでの注力ターゲットとそのカスタマージャーニー、提供すべき情報を整理。その内容の妥当性・実効性を検証するために、数万件のハウスリストを対象にMAツールのトライアルおよび効果分析を実施。

これらを実現する上で、ミツトヨ様では本プロジェクトを全社案件化されたとお聞きしています。

中島:
サイトリニューアルやPIM、MA導入といった幅広いテーマを連携しながら進めるためには、社内の関係者は多岐に渡ります。これだけの全社横断プロジェクトとなると、相応の予算化、全社での協力体制づくりのためにも、経営層の理解も欠かせません。

具体的な体制として、我々販売促進部が中心となって、国内営業推進部門や営業技術部、カスタマーサポート、計測技術者の養成と技術向上を行う「ミツトヨ計測学院」など、普段の業務も関心どころも異なる15部門が参加しました。

千代:
コロナ禍に入った直後ということもあり、15部門の皆様とほぼ毎週Web会議を行っていました。ご参加いただく部門の皆様にとって、今回のサイトリニューアルは誰かがつくりあげてくれるものではなく、自分事として捉えていただく必要がありました。自部門の情報発信だけでなく、隣の部署が何を考え、どのようなことをやろうとしているのかを知ることで、連携すべきテーマを取りこぼさずにすみます。また、公開後に実際に運用に携わっていただく皆様に当事者となっていただくことが、血の通った基盤づくりにつながります。

皆様に積極的に参加していただく雰囲気を醸成するために、さまざまな意見を積極的に拾い上げ、納得感を持っていただきながら合意形成を行うことにかなり力を入れていました。もちろん、参加する部門ごとに課題感やニーズが違うこともありましたが、バランスを取りながら進めていくことを重視しました。

私どもだけではなく、ミツトヨ様の15部門の皆様が当事者意識を持って最後まで関わってくださったことが、本プロジェクトの成功要因の中でも非常に大きなものだったと思っています。もしそうでなかったら、本当に皆様が納得できるデジタルマーケティング基盤を作ることはできませんでした。

中島:
デジタルマーケティング基盤を作った後、実際に運用するのは各部門の担当者です。部門ごとに細かく異なるニーズに対して、総花的なサイトにしすぎてしまっては、効果的なデジタル活用を各自が自分事として推進していく未来は見えません。もちろん、個別カスタマイズが行き過ぎては、標準化のメリットが削がれてしまいます。そこで、各部門とはカスタマイズと標準化、双方のメリット・デメリットを丁寧にすり合わせることを大切にしていました。

イントリックスさんは、経営層に向けたビックピクチャーづくりから、実運用に必要なきめ細やかなテーマまで、当社の状況や文化にあわせた、本当の意味での伴走をしてくださったと感じています。

本プロジェクトには複数のパートナー様も関わられたそうですね。

千代:
はい、全部で7社のパートナー様とやり取りしていました。機能構築されている会社、既存サイトのメンテナンスをされている会社など、ミツトヨ様からご指示を受けるパートナー様もいらっしゃれば、主に私たちと関わるパートナー様もいらっしゃいました。それぞれ関わり方が異なるマルチベンダー構成でしたが、各社としっかり足並みを揃えていく必要がありました。

中島:
千代さんやCTOの猪目さんなどがPMOとして関わってくださった際の、マルチベンダーの取りまとめ方もまたプロフェッショナルでした。例えば、PIMの導入ひとつとってもデータの設計、データの登録、データの表示確認といったテーマを、複数のパートナー企業が担当します。各社のスケジュール調整や見逃されていたタスクの拾い上げには、全体俯瞰視点でのPMOが必要です。ここでの各種調整が遅れるとプロジェクトが1カ月単位で後ろ倒しになって、大きな損失が発生します。こういったプロジェクトリスクに対し、システム系の勘どころを熟知したイントリックスさんが見逃さず、しっかりと対応してくださったことで無事に完成に至ることができました。

日本本社のデジタルコミュニケーション基盤が、海外現地法人の新たなマーケティング施策の土台に

今回のプロジェクトを通じて、どのような成果が得られたと考えていますか?

中島:
まだ、公開して日も浅いため、コーポレートサイト経由の売上が激増したということはありません。ただ、海外現地法人の方が長けていたデジタルコミュニケーション、デジタルマーケティングの基盤を、日本本社がここまで整えたことで「本社はグローバルの中でもきちんとリーダーシップを取ることができる」という認識がなされたのではないかと思います。実際、現地法人から我々に、マーケティングに関して「こういうことがしたい」という相談や依頼が来ることも多くなりました。彼らとしては、やりたいことがあっても本社に依頼できなかったのだと思います。そうしたやり取りの中で、新しいビジネスの芽が出てきたりもしています。

今後、デジタルコミュニケーションにおいて取り組んでいきたいと考えていることは何でしょうか?

中島:
PIMに関しては、5,500点以上、部品も入れれば何十万点とある商品情報をさらに価値あるものに変えていき、それらが世界中で使われる基盤を育てていかなければいけないと考えています。

コーポレートサイトでは、お客様に対してパーソナライズされた情報を提供し、買い替え需要を逃さず、手厚くサポートしていきたいと考えています。また、測定データを使ったサービスなど、いわゆる「こと売り」を行うことも視野に入れています。その際には、パーソナライズされた情報を元に最適なサービスを提案できるようにしていきたいですね。既存のお客様のCX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させることで、新規のお客様にも選ばれるというサイクルを、デジタルコミュニケーションによって作っていきたいと思っています。

もう1点、社内にデータ活用の文化を浸透させていくことも目指しています。現在はお客様の声を経営指標にする大手企業が存在するほどで、情報の価値はとても高まっています。ミツトヨも、市場から得られた情報をきちんと活用する文化を育てていきたいですね。

千代:
コーポレートサイトリニューアル当初に描いていた、ミツトヨ様の事業の幅広さ・実績・製品力の訴求によりミツトヨ様が提供する価値が市場に伝わり、お客様の知識レベルに合わせた「測ること」の課題解決に向けた情報提供ができるようになりました。

また、デジタルマーケティング推進に向けた社内体制構築や有望リード獲得に向けた各種施策の立案・実行など、確実にミツトヨ様のデジタル活用ステージは引きあがったと感じています。

お話しいただいたように、お客様の興味・関心事をデジタル空間上で捉え、タイムリーに有益な情報を提供する仕組み作りと興味・関心事の蓄積・分析・活用により、世の中の「測る」ニーズを先取りし、測ることに関する価値ある情報を提供することで、ミツトヨ様の市場におけるプレゼンスがさらに高まるものと確信しています。

今回構築したデジタルコミュニケーション基盤を元に、お客様とWin-Winの関係を作り、そこで良い顧客体験を得たお客様が、また新しいお客様を呼び込んでくださる。そのあるべき姿に向かって、デジタルマーケティングに投資されていこうとするミツトヨ様を、これからもお手伝いできればと思っています。

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