ヤンマーエネルギーシステム株式会社 全世界に正しい実力を伝えるために。 グローバルサイト群高位平準化への道標となる戦略を策定

  • 多言語・グローバルWebサイト群構築
  • プロジェクト全体推進支援

各国の実態調査をもとに必要な情報とその展開方法を整理し、正しい実力を伝えるための戦略とロードマップを策定しました

  • グローバル全体での情報発信力向上に向けたWeb戦略の策定
  • 各国・各拠点の実態をふまえたWebサイト群の構造整理と再設計
  • ターゲットユーザーの行動に基づくサイト設計とコンテンツ整理
  • 海外拠点との継続的な対話を通じた全体方針の合意形成と巻き込み支援
グローバル市場での競争力を高めるためには、製品や技術の優位性だけでなく、いかにその価値を正しく、そして全世界に伝えきれるかが、企業の成長を左右する時代になりました。情報発信力がグローバルスタンダードとして重視される中、日本企業が同じ土俵で競争力を発揮していくためには、発信力の強化が不可欠です。ヤンマーエネルギーシステム株式会社もまた、グローバル全体での情報発信力を高めていくことを目標として掲げました。

同社が目指したのは、単なるWebサイトの刷新ではありません。国や地域をまたぐグループ各社が、それぞれの文脈で運営してきたWebサイト群を、「誰に、何を、どのように伝えるか」という観点から見直し、ブランドとしての一貫性を保ちながら、各拠点の市場特性に応じた柔軟な情報展開を可能にする基盤を整えることでした。

その実現に向けては、まずグローバル全体での理想的な見せ方を描き出し、必要な情報の整理、効果的な展開手法などを構想しなければいけません。その上で、現実的かつ実行可能な戦略へと落とし込むプロジェクトがスタートしました。

背景と課題 事業領域を拡大する中でWebにおける情報発信も見直しが必要に

ヤンマーエネルギーシステム株式会社は、非常用発電システム、コージェネレーションシステム、GHP(ガスヒートポンプエアコン)といったエネルギーソリューションを主力事業とし、産業・商業施設をはじめとする多様な分野で、安定したエネルギー供給と省エネを実現しています。

同社は近年、グローバル市場での事業展開を加速させる中で、製品・サービスの提供地域が広がると同時に、情報発信ステージも次の段階へと進化させるタイミングを迎えていました。これまで各国・各事業会社が独自にWebサイトを運営してきたことで、製品やサービスの見せ方、ナビゲーション設計、トーンやメッセージなどにばらつきが生じていました。

中には、掲載されている情報が極端に少なかったり、表現方法に工夫が足りなかったりするサイトも見受けられました。その結果、国によっては本来の製品力や技術力、企業としての姿勢が十分に伝わらず、ヤンマーエネルギーシステムの実力がWeb上で正しく表現されていないという課題が顕在化していたのです。


こうした課題を受けて、同社はWebの再構築を単なる見た目や刷新の問題としてではなく、グローバルでの情報発信力の底上げを通じて、ヤンマーエネルギーシステム ブランドの正しい姿と実力を世界に伝えていくための戦略的取り組みとして位置づけました。

イントリックスの解決策 サイトの全体構造を起点とし、実現可能な目指す姿をご提案

イントリックスは本プロジェクトのゴールを、グローバルサイト群の方針検討および戦略の具体化として定めました。

まず着手したのは、グループ全体で情報の見せ方や伝え方にばらつきがある現状を、どのように整理・再構成すべきかという大方針の検討です。イントリックスはそのために、ヤンマーエネルギーシステム株式会社のWebとビジネスの両面を把握する枠組みを設け、現状と理想のギャップを明らかにするところからプロジェクトをスタートさせました。

ビジネス面では、各国・各社が担当する製品やサービスの領域、ならびに地域ごとの商流を整理。一方Web面では、各拠点が抱える運用上の課題や悩み、運用体制の現況を、アンケートとヒアリングを通じて可視化しました。

こうした情報をもとに、イントリックスはWebサイト群の理想的な形を複数の仮説として整理。グローバルサイトと各国サイトの役割分担や構成パターンについて、それぞれのメリットとデメリットをまとめた案を提示し、現実的かつ実行可能な議論の出発点を整えていきました。
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次に取り組んだのは、誰に向けて、どのような情報を届けるべきかを整理し、ユーザー視点での情報提供のあり方を明らかにするフェーズです。

まず、想定される顧客像を3つの主要なターゲットに分類し、それぞれがWebサイト上でどのような課題を感じ、どの情報に価値を見出し、どのように行動へ移っていくのかを整理しました。この検討をもとに、「コンセプトダイアグラム」と呼ばれる図を作成。ユーザーの行動プロセスや心理の変化をふまえ、サイト内での情報配置と導線設計を視覚的にまとめました。
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さらに、こうして明らかになった必要なコンテンツについては、ヤンマーエネルギーシステム株式会社の既存サイトとベストプラクティスとされる他社のグローバルWebサイトを比較・検証しながら、最適な構成を検討しました。この際、不足情報の洗い出しにとどまらず、ユーザーにとって伝わりやすく、理解や共感を得やすい見せ方とは何かという観点も重視し、多角的に情報の構成・表現・配置を検討しました。

その過程では、各コンテンツの重要度や発信タイミング、更新頻度といった運用面の現実も考慮し、実装可能な範囲や優先すべき整備項目を見極めながら、実現性の高い改善方針を導き出しました。また、参考にしたベストプラクティスについても、形式を模倣するのではなく、同社のユーザーや商流にどう応用できるかという視点で精査し、実情に即した設計へと丁寧に落とし込んでいます。

構想を描き終えたあとは、いかに現実的なプロセスで理想像に近づいていくかを設計するフェーズです。戦略は描くだけでは意味を持たず、実行可能な手順に落とし込み、組織や現場が動き出せる形に整えることが不可欠です。そこでイントリックスでは、段階的かつ着実に「あるべき姿」へと到達するためのロードマップを策定しました。

このロードマップは単なるスケジュールではなく、「何を起点にし、どの順序で、どのスケールで展開していくか」といった戦略的な判断軸を含んだ実行計画です。まず、グローバルサイトを起点に、情報構成やデザイン基準を整備し、グループ全体に展開可能なひな形として設計。これにより、共通基盤を活用しながら、制作や運用の負担を抑える仕組みが整いました。

その上で、各国・地域のサイトは、このひな形をベースとして、各市場の実情やユーザー特性に応じたローカライズ可能な展開モデルを提案。統一された枠組みを活用しながらも、情報の伝え方や見せ方には柔軟性を持たせることで、グローバル全体における的確かつ効率的な情報発信のベースが構築されつつあります。
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こうした戦略の立案と実行には、グローバル全体での合意形成と関係者の巻き込みが欠かせません。イントリックスは、各国のWeb担当者と英語でのディスカッションを計5回実施し、現地での運用課題や期待、懸念を丁寧に吸い上げました。仮説ベースで方針案を提示し、それに対してフィードバックをもらうというスタンスを貫くことで、議論は「やりたいこと」から「何をどう整えるべきか」へと深化。また、国や文化に応じてタイミングや対話の進め方も工夫し、現地のメリットを具体的に伝えることで、当事者意識を促しました。

成果 バラバラから統一へ。グローバルWeb戦略の実行基盤を整備

グローバルWeb戦略の骨格が固まったことで、2025年秋の公開を目指し、グローバルサイトの制作フェーズが本格的に始動しました。

今回の戦略の軸は、グループ全体の発信レベルを高位平準化しつつ、各国・地域の事情に応じた段階的な展開を可能にする仕組みの構築です。グローバルサイトを起点に「誰に・何を・どう伝えるか」という観点からコンテンツ構成や伝達方法の方針を整理し、それを各国で再利用・最適化していくことで、コストや時間を抑えながら全体の発信品質を向上させる戦略が整いました。

すでに2024年度中からは、優先度の高い施策に対する先行着手が始まっています。中でも、ヤンマーエネルギーシステムの事業全体を正しく伝えるためのコンテンツ整備として、トップページ、事業概要、強み紹介といった共通コンテンツのグローバル展開を先行して実施しました。

また、本プロジェクトの大きな意義のひとつが、グローバル全体で目線を丁寧にそろえながら進められたことにあります。戦略は本社主導で一方的に策定されたものではなく、各国のWeb担当者や事業部門の意見を随所に反映しながら組み立てられました。単なる合意形成にとどまらず、関係者がそれぞれの立場から納得し、自らの役割として捉えられるようになったことで、施策の浸透と実行が一層スムーズになっています。

寄り添う支援と的確な設計整理により、不安を乗り越え納得感のあるプロジェクトを実現できました。

ヤンマーエネルギーシステム株式会社

「これまでWeb業務に深く関わってこなかった立場から、グローバルサイト群のリニューアルという大きなプロジェクトを担当することになり、当初は不安も大きかったのが正直なところです。

そんな中でも、イントリックスの皆さまには他社でのご経験を踏まえつつ、私たちの立場や想いに丁寧に寄り添っていただき、常に目線を合わせながら進めてくださいました。そのおかげで、ひとつひとつ納得感を持って取り組むことができました。

システムや構造が複雑に絡み合う当社のサイト群を分かりやすく整理していただいたことに加え、製品の商流や特性にも素早く理解を深めていただきました。海外拠点とのコミュニケーション面でも手厚くサポートいただき、非常に心強く、感謝の気持ちでいっぱいです。今後とも引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。」

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