子育てとPMの意外な共通点?!イントリックスのワーキングマザー論
語る人
・西原杏子(にしはら きょうこ):プロジェクトマネージャー
事業会社のウェブサービス運営、Web制作会社でのプロジェクトマネージャーを経て、イントリックスに入社。戦略からサイト構築までのプロジェクト管理や全体推進を担う。某女性アイドルグループをこよなく愛する。二児の母。
70点をキープするのが大切。完璧なママ像に振り回されないこと!
―まず、子育てと仕事の状況からお聞かせください。
【西原】
現在、小学3年生と1年生の二人の子供を育てています。最初の出産はイントリックスに入社する前で2008年、30歳のときでした。続けて2人目を出産し、丸3年育児休暇を取って復職しました。
普段は、週の半分(2、3日)は定時で帰宅し子供のお迎えに行っています。仕事はプロジェクトマネージャーと、Webインテグレーション部門の副部門長。これだけ聞くと大変そうに聞こえるかもしれませんが、家庭・仕事ともにとても安定していて、充実した日々ですね。
―子育てをしながら働くことは、漠然と大変だというイメージはあるのですが、具体的にはいかがですか?
【西原】
復帰当時は本当に大変でした。子供も小さいので物理的な手間がかかる上、当時の私は「誰かにお願いするより自分でやった方が早い!」という気持ちが非常に強く、仕事でも家庭でもメンバーや家族を頼るのがとても下手で。ディレクターにお願いすれば良いのに自分でワイヤーフレームを描いたり。(笑)
くわえて自分の家事・育児の理想と折り合いが中々つかなくて…。例えば、もっとゆっくり絵本を読んであげたい、とか、食事をちゃんと作りたいとか、お部屋をきれいにしたいとか。
当然時間がまったく足りないので、睡眠時間や休日を削ってずっと働いていましたね。それでもやりたいのにできないこと、やれても満足いく品質にできないことがたくさん出てきます。散らかった部屋を見て泣きたくなったり、買ったお惣菜で済ませて子供に申し訳なくなったり。ものすごくストレスでした。
―どうやって克服しましたか?
【西原】
それを続ける内、とうとう身体を壊してしまって。それからは、なんでも抱え込んで頑張りすぎて倒れるより、70点くらいを長くキープし続けられるようになろうと努力してきました。短距離走ではなく、マラソンのイメージです。
―具体的には?
【西原】
色々あります。本当にマラソンを始めて基礎体力を付けたり、夕食の宅配サービスを利用したり、家電を活用したり、細かいところでは靴をフラットシューズに変えて体力を温存したりとか。(笑)
でも一番大きかったのは、本当に守るべきことと、実は自分のこだわりに過ぎないことを区別するようにしたことです。そして、自分ができなかったことを悩みすぎないように、心を安定し続ける癖をつけたこと。
それから、やはりイントリックスへの転職が大きかったです。転職は子供が5歳と3歳のころでした。
以前はWeb制作会社に勤務していて、みんな遅くまで働く文化がありました。物理的な仕事量も多く、プロジェクトのタイムスパンも短い傾向にあり、時間のコントロールがしにくいと感じていました。その意味では、BtoB企業をターゲットに、長期視点のプロジェクトに携わることができるイントリックスに移ったことで、より家庭とのバランスが取りやすくなったと感じています。
また長距離ランナー的な働き方から得たノウハウは、仕事においても非常に役立っています。特に今の仕事は大規模、長期間のプロジェクトが多いのでなおさらです。育児から得た経験が仕事の上でもプラスになったことは少なくありません。
生産性、チームビルディング、長期視点等々・・・子育てとPM業務の関係
―仕事の上でプラスになったこととは?
【西原】
まず大きいのが、どうしても時間が限られるために、仕事を早く、効率的に終える習慣が身についたことです。例えば資料を作るのでも、以前は考えては書いて直し、考えては書いて直しと手戻りが多かったのが、構成や内容を考えるのに90%のエネルギーを使い、手を動かすのは考えをひたすら落とし込むだけの10%と決め、修正を最小限に抑えるようになりました。そのような習慣を通じ、論理的に考えるフレームワークも自然に身についたように思います。
―その他には、何かありますか?
【西原】
意外なようですが、プロジェクトマネジメント力が身についたことです。
―どういうことでしょう?
【西原】
例えば、子育てや家庭生活をきちんと進めるためには、家族や両親、学校や保育園、学童保育の先生など、周囲の方々といういわばチームにうまく動いてもらう、チームビルディングの視点が不可欠です。
一つには、情報共有の仕組みづくりです。子どもを迎えにいった際に、5分の立ち話だけでも先生と話したり、学校などで子どもがもらうプリントはとりあえずキャプチャを取って関係者とLINEで共有したり。特に新年度は、給食の始まる日程など、新しいことが始まるので、情報共有をしておいてよかった、ということがたくさんありましたね。
もう一つは、誰かに育児を協力してもらう際の、してもらいたいこと、いわば要件の具体化です。
例えば、両親に子どもを見てもらうとき、身内だからと、ついつい甘えがちになります。「言わなくてもわかるでしょ!」という気持ちになったり、要求水準が上がったり、お願いもふわっとした曖昧なものになったります。でも、それでは両親も困るし、やりにくいので、長期的にサポートしてもらう関係を作ることができません。
そこで、お願いすべきことは最小限のどうしてもやってほしいことのみにして、しかも、「ご飯をあげて」だけではなく、「好きなものは〇〇、嫌いなものは××だから、今回は〇〇を使った料理を出して」など、具体的に伝えることを心がけました。
プロジェクトで言えば、要件定義やRFPの具体化ですね。そこを曖昧なままプロジェクトを進めると、どうしても途中に齟齬が出てきて、プロジェクトが滞ります。シンプルかつ具体的に伝えることが大切だと、子育てでもプロジェクトでも感じます。
―他にはありますか?
【西原】
子どもの成長を長い目で考える親の気持ちは、メンバーの成長を長い目で考えるPMの気持ちと似ているということです。
子どもが転んだりケガをしたりすることを望む親はいないはず。でも、そのために親がいつも手を差し出して危険から遠ざけてしまっては、本人の成長のためになりません。特に小さい子はそう。
プロジェクトメンバーも同じです。その成長を信じ、親=PMが出て行き過ぎないことが大切だと思います。どんなに事前に注意を促しても、子ども(=プロジェクトメンバー)は、自分でやってみて、時に転んでケガをしないとわからないことばかりです。失敗を恐れず任せて、やらせてみる、そして最後は自分が責任を追う覚悟と勇気が必要。
それは育児を通じて得たスキル・経験だと感じています。
子育てはキャリアの足を引っ張らない!自分の本当の「幸せ」を見すえた選択を
―ワーキングマザーのためには、働く環境の整備が大切だと思います。そのあたりは、どうお考えですか?
【西原】
女性の働きやすさというと、育児などでの休みが取りやすいかどうかが重視される傾向にあると思います。でもそれだけでなく、やりがいや昇進なども含め、自然に活躍でき、努力が評価される環境という視点も大切です。例えば、女性に限らず、男性も普通にお迎えや子供イベントで休暇を取るという意識が社内にあること。イントリックスには、それを自然に受け入れてくれる風土があると感じています。
また、Web業界はリモートワークがしやすいこともあり、ワーキングマザーは相対的に多いはず。でも、Web業界のワーキングマザーは、どちらかというと、デザイナーやコーダーなどの専門職の方が多くを占めている印象です。私のようなマネジメント系で働く方は、とても少ないと思います。でも、マネジメントの方が、自分でプロジェクトをコントロールできる分、家庭の事情などを考慮して働くことが可能です。
マネジメントに興味がある人は少なくないと思います。もし仕事の大変さなどで躊躇している、悩んでいる人がいれば、むしろマネジメント職に積極的にチャレンジしてほしいですね!
―最後に、現在子育て中の女性、もしくは、これから子育てを検討している女性に、何かメッセージをお願いします。
【西原】
やはり子どもだけではなく、自分の人生の幸せも含めて、長期視点で考えるとよいのではないかと思います。子育てには楽しさもありますが、大変であるのは事実。だからといって子育てがキャリア構築の足を引っ張ると考えたり、子供に申し訳ない気持ちを持ちすぎたり、仕事を完全にやめてしまうことを考えたりするのは、ちょっともったいないかもしれません。
子育てで本当に母親の手がかかるのは、一人につき3、4年くらい。長い人生のたった3、4年です。私個人で言えば、様々なBtoB企業について知り、知的好奇心がくすぐられる今の仕事をとても楽しいと感じています。そしてそれは、仕事をしていなければ得られない楽しさです。だから、仕事を続けてよかったと心から思っています。
また、PMという仕事は、先に述べた通り、自分自身がメンバーやプロジェクト全体をコントロールする立場なので、様々な都合をつけやすいのが特徴です。なのでPMは、子育てと両立させるのにうってつけの仕事ではないでしょうか。
すでに子育てをしている方も、これから子育てをしようとお考えの方も、長い目で見た自分の「幸せ」を見据えて、今後のキャリアや働く場を選んでいただけると良いと思います。この記事を読まれる女性の方も、きっと様々な努力をしたり、不安に思ったりしていることがあるはずです。少しでも参考になればと思いますね!
―ありがとうございました
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