翻訳=ブランディング
「統一性が無い、ダメな翻訳」にしないためのコツ
そこで今回は、外国語Webサイト制作に必要な「翻訳作業」についての記事です。
こんにちは、 戦略部門の大西です。
私は以前、翻訳会社で働いていた経歴があるのですが、
その経験を元に、今回は外国語Webサイトを制作に必要な「翻訳作業」おいてご紹介したいコツが、グローバル市場の製品/企業ブランディングのカギを握る「用語の統一」です。
本記事は、以下のような方にオススメです。
- 企業のWeb担当者で、これから外国語Webサイトの立ち上げを考えている方
- 外国語Webサイト制作を依頼されていが、経験が少ない(または無い)パートナー会社の方
目次
1.「用語の統一性が無い」=「ダメな製品/企業ブランディング」
2.表記ゆれコンテンツを見極める
3.簡単な対訳集を作る(または、作ってもらう)
4.日本語ではなく、英語をベースの言語にする
5.余裕のある翻訳スケジュールを確保する
「用語の統一性が無い」=「ダメな製品/企業ブランディング」
そもそも翻訳作業は、Googleの機械翻訳でなければ翻訳するのは「人」ですので、作業すると必ずミスをします。これは翻訳でも同じ。
20年以上翻訳している熟練の翻訳者でも、必ず「人的ミス」が発生します。
特に、翻訳する分量が増えるほど、文章内の用語に、統一性を持たせることが難しくなります。
そして、用語の統一性が無いと、海外のユーザーに対して、
- 単純に読みずらくさせる
- 誤解を招く
- 「自国のマーケットに力を入れていないんじゃないか。」と雑な印象を与える
というようなデメリットがあります。
つまり海外ユーザーに対して、「企業/製品の本来の実力」が正しく海外に伝わらないということです。
特に、プレミア品(高価格帯品)としてのブランド戦略が主流の日本製品において、「やっぱり日本製っていいな。」と共通の認識を持ってもらうことは重要なブランディングです。
「用語の統一性が無い」=「ダメな翻訳」=「ダメなブランディング」とならないよう、用語の統一を図りましょう。
表記ゆれコンテンツを見極める
用語の統一を図るためには、まず翻訳するコンテンツの中で、「翻訳時に表記ゆれの可能性があるコンテンツ」を見極めることが重要です。
今あるコンテンツは下記のように3つに分類してみましょう。
① そのまま翻訳依頼でOKなコンテンツ
例)製品の寸法、性能
→寸法や性能は変わらないので、日本語の文章を忠実に外国語に翻訳でOK。
② 翻訳後、調整が必要なコンテンツ
例)製品の値段、電話番号、住所
→翻訳した後、国によって単位など表記方法を調整する必要がありますね。
③ 表記ゆれコンテンツ(重要)
例)
固有名詞(組織名、人名、製品名など)
「社長」→「CEO」?「President」?カタカナ表記?」
「山田 太郎」→「Taro Yamada」?「TARO YAMADA」?→翻訳側では判断できないので、依頼元の企業が教えてあげないといけません。
業界特有の名詞や動詞(技術的な用語など)
製品の「寸法」→「Size」?「Dimension」?
製造ラインの「稼働」→「run」?「operate」?→翻訳者の「その業界における熟練度」によっても表記ブレが発生しやすいです。
もし、すでにリアルの資料(外国語の製品カタログなど)がある場合は、その表現に合わせるのがいいでしょう。
キャッチコピー
→すでに翻訳ではないですね。 現地語で新たに原稿作成する必要があります。
簡単な対訳集を作る(または、作ってもらう)
(THE GEOGE WASHINGTON UNIVERSITY, GW Libraries for International Students, GW Libraries, 2018/01/18)
前述の「③表記ゆれコンテンツ」は、上記のように、Excel上で翻訳前の用語をタテ一列に並べ、その隣に対訳となる用語を加えていくだけで、表現の統一を図ることができます。
もし予算に余裕があれば、翻訳者/翻訳会社に作ってもらうのもアリでしょう。
また、「対訳集」の作成は、データとして残るので、業務の属人化を避ける効果もあります。
日本語ではなく、英語をベースの言語にする
作成する際のポイントですが、
「日本語⇔英語以外の言語」の対訳集を作成する際は、「日本語⇔外国語」のペアではなく、汎用性の高い英語⇔外国語の言語ペアで対訳集を作りましょう。
(そもそも、世の中に日本語が流暢で、東南アジア言語・中東の言語も扱いこなせる翻訳者は非常にレアであるためです。)
※余談ですが、一般的に翻訳のプロは、翻訳作業の効率を上げるための「CAT(翻訳支援)ツール」と呼ばれるソフトを使って翻訳することが多く、この「CAT(翻訳支援)ツール」には、excelの用語集を取り込み、翻訳作業をしながら用語集の対訳を自動で読み込む機能があります。 なので、用語集を作っておくことは、翻訳依頼側と翻訳作業側のどちらとっても大きなメリットがあることなのです。
余裕のある翻訳スケジュールを確保する
用語集の作成を含め、余裕のあるスケジュールを確保しましょう。
私の経験上、翻訳を依頼する企業側が、「納期に余裕がない。」や「企業担当者が多忙。」の理由から十分な時間が確保できず、依頼企業側と翻訳側の間でコミュニケーション不足が発生。結果として、用語の統一が担保されないまま世の中に発信されるケースも少なくなかった、というのが正直な経験談です。
このように、蔑ろにされがちな翻訳作業ですが……
これから外国語のWebサイトを立ち上げる予定のある方は、「企業/製品ブランディングを体現するための翻訳」を実施していただくために、今回ご紹介したコツを意識していただけますと幸いです。