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あの頃、バックオフィスの醍醐味を味わったテレワーク導入顛末記

イントリックスのこと
伊澤 雅貴

みなさま、こんにちは。イントリックス経営管理部の伊澤です。

唐突ですが、テレワークしてますか?

「いやいやそもそもテレワークができる業種じゃないよ!」という現場の皆さま。商店、外食、医療、建築、教育、運輸……その他にもさまざま業種の皆さまが現場で奮闘し続けてくださっているからこそ、私たちの生活は支えられています。感謝の念に絶えません。

他方、「もうテレワークやってるよ!」あるいは、「テレワークやってたけど導入前に戻ったよ」という皆さま。テレワークを始めたとき、すんなりいきましたか? 今までほとんどの企業が導入した経験がない中で、さまざまなご苦労があったのではないでしょうか。

今回は、イントリックスが2020年にテレワークを導入しようとした時に起きたことを振り返りつつ、バックオフィスという業務の醍醐味にも触れてみたいと思います。

テレワーク導入で悩んだことのあるバックオフィスの皆さま(同志!)、または今後もテレワークを継続するかどうか悩んでおられる皆さまにご笑読いただけますと、大変うれしく思います。

意気揚々とテレワーク導入を提案するも……。

さて、時は遡って2019年11月。その年の6月に経理財務として入社した私は、生来の図々しさを如何なく発揮し、いつの間にか幹部会議に参加したりして会社の方向性にも意見をするようになっていました。そんな中、ある幹部から「2020年の東京オリンピックに向けて、テレワーク導入を検討してほしい」という依頼が。

品川駅は新幹線の停車駅であり、空港へのアクセスも程よい立地なので、オリンピック開催期間中の混雑は必至。イントリックスのオフィスに出社する社員の多くは品川駅を利用しており、その影響をモロに受けるため、なんとか回避したかったわけですね。

まったく新しい制度の導入。こういう仕事こそバックオフィスの面白さなんです。「1~2カ月の間はリモートワークするしかないよね、よーしいっちょ提案してやるぞ!」と意気込んだ当時の私。ちなみにこんなロジックを考えました。

・ イントリックスは、クライアントのDXを推進する会社である

・ よって、自らも率先してDXを推進しなければならぬ

・ DXとは単なるデジタル化に留まらず、それによって人々や会社に変革を起こすことである

・ ということでテレワークを導入して大変革! Let’s DX!

もちろん、社員の利便性がとか、オリンピック開催期間中は品川駅からのシャトルバスがなくなるとか、現実に起きるさまざまな問題も指摘しつつ、既にテレワーク導入に成功していた他社の事例を研究したりして、経営管理部の週次ミーティングで提案をしたところ。

却下。

主な理由は「社員の働き方を管理できなくなるから」。これは「テレワーク導入あるある」「バックオフィスあるある」ですよね。テレワークそのものが比較的浸透した今でも、これを理由に導入を見送る企業も多いかと思います。

しかし今振り返ってみると、「社員が時間通りに出勤して、きちんと働いているかどうか、その姿を見て確認する」とか、「誰がどんな状態なのか何となく空気を感じて、通りすがりに雑コミュニケーションをする」とか、そういうリアルで行っていたことをそのままデジタルに置き換えようとしていたんですよね。

でも、本当はテレワークにはテレワークならではのやり方が必要で、最適解は異なるはずです。だから置き換えるだけではうまくいくはずがないんです。

特に2019年以前は、日本全体がまだそのような考え方をしていた時代だったと思います。提案を却下された私は、「テレワーク導入は正直難しそうだな。さてどうしたものか……」という心境でした。私にとって、入社して初めての大きな挫折だったかもしれません。

迫られるコロナ禍での制度改革

しかしテレワーク導入提案からわずかひと月後に、皆さまご存じの通り、世界は否応なしに変革を迫られることとなります。

2019年12月 中国湖北省武漢市での原因不明の肺炎が発生
2020年1月 肺炎の原因は新型コロナウイルスであると判明、その後日本国内第1例目となる感染者が確認
2020年2月 日本国内において多数のクラスターが発生

あの挫折からたった3カ月で一気に世界のすべてが変わってしまいました。

「今度こそバックオフィスの出番じゃああああ!」

もはやテレワーク導入待ったなしの状況で、イントリックスは迅速に対応します。2020年2月25日に、全社員にテレワークを適用したのです(当時はまだプロジェクトマネージャーの承認が必要かつ4月末までという制限はついていましたが)。

正直、制度やシステムを新たに整備している時間の余裕はまったくありませんでした。しかし、社内情シス担当者が、クラウドストレージや勤怠システム、コミュニケーションツール等々を、コロナ禍突入のはるか前に導入してくれていたのが奏功しました。

また、同じ経営管理部のメンバーがオフィスに届く郵便物を回収してくれることになったおかげで、オフィスに誰もいなくても何とか業務が回ることも分かりました。制度面は整っていないものの、環境面だけで見れば既にテレワークは実現できる状況だったのです。

となれば、社員の健康と安全を守るための決断がなされるのは当然の帰結! これぞバックオフィスの仕事の醍醐味! ということで、あっさりテレワーク実現!

世界はさらに変化を続けます。

2020年3月  WHOが新型コロナウイルスをパンデミック(世界的大流行)とみなす
2020年3月末 東京オリンピックの1年延期が決定
2020年4月  緊急事態宣言発令

ここにきて、イントリックス社内は「テレワークは新型コロナウイルス感染回避のための一時的な手段ではないよね?」という空気になってきました。そうなると、テレワークを恒久的な制度とするためにさまざまな決めごとをつくっていくことになります。

・ 既に購入したorこれから購入する通勤定期券の扱い

・ クライアントや外注先との対面のお打ち合わせへの対応

・ 電話や郵便物、押印などの対応

・ 社員の立替経費

・ 勤怠管理

・ 自宅で働けない社員への対応

・ テレワーク時の費用負担や手当

・ メンバー同士の懇親

・ 新しく入社した社員の会社への馴染み方

などなど。細かいことですが、こういった「導入してみて初めて分かる」ことを一つ一つ検討し、悩みながら制度を整えていきました。とても地味ですが、バックオフィスならではの重要な仕事だと思います。

バックオフィスに求められる、攻めの姿勢

課題・検討・制度化。

それを積み重ねて、はや3年。

気づけばちょっとは形になってきた……かな? というのが、イントリックスにおけるテレワークの今だったりします。

この制度改革が発展して、イントリックスはワーケーション制度や遠隔地勤務の導入、シェアオフィスの検討など、新しい試みにも次々チャレンジすることができるようになってきています。今なら、イントリックスのバックオフィスは革新的です!と、胸を張って言える……かもしれません。

一方で、多くの社員がテレワークを活用している現状にありながら、対面で話すこと、オフィスで業務をすることの重要性を感じることも少なくありません。イントリックスのテレワーク制度も調整を重ねており、2023年3月からは原則月3回の出社を義務づけることとなりました。

少なくとも私はいまだに、コロナ禍における働き方の最適解が分かっていません。でも、これからもそれを探し続け、変わり続けていかなければならない。今のバックオフィスには、そんな攻めの姿勢が求められているように思います。

2025年くらいにこの記事を見て「言ってること古いな(笑)」と言えるように変わり続けていきますので、これからのイントリックスにもどうぞご期待ください。