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「なぜ志望していなかったIAに?」新卒3年目が先輩に聞く、IAのキャリアと醍醐味

IA・UX
横手 倫太郎
皆さんは、Information Architect (インフォメーションアーキテクト。以下、IA)という仕事をご存知でしょうか? 人や会社、立場によって定義は異なるものの、IAとは一般的に、「情報をわかりやすく伝え」 「受け手が情報を探しやすくする」ための専門家のことをさします。主にWebサイト制作業界にある職種ですが、実際のタスクや求められるスキルは会社によって異なります。代表的な仕事内容としては、ユーザー体験を向上させ、ビジネス課題を解決するためのWebサイトの全体構成や、ワイヤーフレームの作成などの業務があります。 今回の記事では、イントリックスの若手IAの二人が登場。日々研さんを積む横手さんが、IAとして最前線で活躍する金藤さんに、IAを志した理由や配属後の仕事について聞きました。

学問も就職先も、選択の軸は「様々な視点から思考を深める」こと

横手:まずは金藤さんのバックグラウンドについて教えてください! 大学では何に興味を持って、どんな勉強をしていましたか?

横手 倫太郎(よこて りんたろう)。新卒で入社後、インフォメーションアーキテクト(IA)として在籍。調査・戦略立案や、Webサイトリニューアルの設計などを手掛けている。金藤の後輩。

金藤:アメリカの大学で、最初の2年間はリベラルアーツを専攻し、興味が湧いた授業を受講していました。この中で、メディア学などの情報を扱う分野など、調査を基に様々な視点から思考を深めていく学問が自分に合っていると感じたんです。それで、3年目から別の大学のコミュニケーション学科に転入し、ジャーナリズムや心理学を中心に勉強しました。

金藤 恭世(かねふじ ゆきよ)。同じく新卒で入社後インフォメーションアーキテクト(IA)として在籍。調査・戦略立案から、日本国内・グローバル向けサイトの全体設計、ユーザビリティ向上を実現するUI・UX設計などを手掛けている。横手の先輩。

横手:就活ではどんな業界や職種を見ていましたか?

金藤:大手コンサルファームやITデジタル業界を中心に様々な企業を見ていました。留学生向けの合同説明会であるCFNに参加して、マスメディアやデジタルに関わる企業を見て回る中でイントリックスと出会いました。横手さんもCFN経由でイントリックスに入社なさっていますよね?

横手:そうです。私もデジタルに関わる企業をCFNで探している中でイントリックスに出会いました。金藤さんは、イントリックスのどんな部分に興味を持ちましたか?

金藤:就活の時に一番大切にしていたのは「自分が面白いと思える仕事ができるか」でした。人生の2割、3割を費やすからには、充実した仕事がしたかったんです。イントリックスは、デジタルやWeb、BtoBといった様々な奥深い要素をかけ合わせた事業内容で、これが自分の持つ面白さの価値観と合致していると感じました。
あとは、より成長できそうだと考えたからですね。戦略に特化したコンサルや、制作のみ請け負う会社はごまんとありますが、ここまで多様な専門家が集まり、Web制作の全プロセスをシームレスに連携できる体制は決して多くないと思います。ここなら自分が関わる領域以外のことも含めてたくさん学べて、結果的に将来のキャリアの幅を広げられそうだと考えていました。

横手:なるほど。学生時代のお話に上がっていた「様々な視点から思考を深める」を、イントリックスの事業内容からも感じ取ったんですね。何が最終的な入社の決め手になりましたか?

金藤:就活の時に大切にしていたポイントの1つが、「ボトムアップの意見に対する受容力がある組織か」でした。自分発信で仕事を進められるかどうかは、仕事のやりがいに大きく関わると考えていたからです。面接をする中で、イントリックスは若手の意見にも耳を傾けてくれる雰囲気を感じ、心の中で入社を決めました。

新卒研修でIA志望に変わった理由

金藤:実は、もともとIA志望ではなかったんですよ。

横手:えっ、そうだったんですか?

金藤:社当初は戦略コンサルタント志望でした。新卒研修中に行った「まちなかBtoB*1」がとても楽しかったので、アナリストが合っていると考えていたんです。

*1 まちなかBtoB:イントリックス名物の新卒研修メニュー。街中で興味のあるBtoB企業を探し、その企業の事業を調査し、Webサイトの改善案をプレゼンする。2024年現在も、少し形式が変わったものの同様の研修が存在する。

横手:それがなぜIA志望に……?

金藤:新卒研修のIAパートがきっかけでした。まちなかBtoBで考えた戦略をもとに画面設計に挑戦するという実習で、考えた戦略がサイト設計につながる流れに面白さを感じました。戦略で描いた「あるべき姿」を、最初に形にするのがIAなんですよね。

横手:確かに、まちなかBtoBで考えた戦略がワイヤーフレーム*2(以下、WF)として可視化された時、私も面白さを感じました。

*2 ワイヤーフレーム:Webページにおける情報の優先順位やレイアウトを定めた設計図のこと。

横手:IAってフロントエンドエンジニアやデザインといった隣接する領域が多くて、様々なことを考慮する必要がありますが、そういった点はいかがですか?

金藤:それも IAに興味を持った理由の1つですね。IAは様々な視点から思考を深めることが特に求められる職種だと感じています。IAの前工程にあるクライアント企業の悩みや課題、戦略・企画立案また後工程にあるデザインやコーディング、完成後の運用、全ての視点を前提に、最適なWebサイト設計はどうするべきかを考え、言語化してクライアントやプロジェクト(以下、PJ)内のメンバーに伝えつつ、WFに落とし込む必要があります。もちろん、他の職種の方も様々な視点を持って仕事をしてらっしゃいます。その中でも特に多角的な視点から見る必要がありますし、その上で「なぜこのような設計にしたか」を説明できるようロジカルに思考を深めることが求められるIAに面白さを見出しました。志望を決めたあとは、事あるごとに「IAになりたいアピール」をして社内営業を行いました(笑)。

横手:振り返ってみると、金藤さんが大学で興味を持った学問と、IAを選んだ理由が似ている気がしますね。

金藤:大学では、多角的な分析によって物事の本質を捉える力を鍛えてきました。調査した情報をどのように認知するのかという点をはじめに、分析を繰り返し、論文として情報整理を行い最終プレゼンに臨むというサイクルをたくさん行ってきました。その中で、物事を深く、広く、多角的な視点で見ることが面白いなと感じたんです。それと似た思考力の必要性をIA研修から感じ取りました。

そもそも一般的には馴染みの薄いBtoBの製品や技術を理解するだけでも最初は「難しすぎる…」と感じていたのですが、研修が進む中で、IAはさらに戦略から運用の観点までをも組み込んでWebサイトの情報設計を考えなければいけないという話を聞いて、「なんて職種だ!」と驚きました。それと同時に、IAの難しさが、私が面白いと思う「本質的に考えること」が合致していることに気が付きました。私がやりたかった面白いと思える仕事って絶対これじゃん!と確信したことで、IAを志望することにしました。

配属後に関わった仕事と、そこで感じたこと

横手:イントリックスでは新卒のIAは基本的に、初年度は戦略PJ*3へのアナリストとして、もしくは制作PJのサブIAとしてアサインされます。 金藤さんは配属後、どんな仕事を手掛けていましたか?

*3 戦略プロジェクト:イントリックス社のPJの中で、主にサイト戦略コンサルティングを行う。Webサイト制作まで行う場合、この後制作PJへと移行する。

金藤:初めてアサインされたのは、A社の海外サイトの戦略・制作PJでした。アナリストとして、既存サイトや競合他社サイトの調査、Google Analyticsでの調査、お客様ヒアリングの議事録とレポートの作成、報告を行いました。PJ後半にはサンプルデザインで使用するWFを作成する機会もいただきました。これが私にとって初のWF制作のチャンスでしたね。

横手:A社のPJではその後、サブIAとしても関わっていましたよね。

金藤:はい、戦略PJ終了後、同じクライアントのサイト制作PJにも、リードIAである先輩といっしょにサブIAとしてアサインされました。このPJではWebサイト内の1区画の設計を初めて任せていただけました。リードIAに何度もフィードバックをもらいながら試行錯誤し、自分が設計した内容をお客様へプレゼンするところまでを行いました。これが初めてIAとしてWeb制作の一連の流れを経験したPJでしたね。

横手:リードIAの方と一緒に仕事をして、どんなことが勉強になりましたか?

金藤:チーム内でのIAとしての立ち回り方や、設計業務の進め方、プレゼン時の伝え方などを隣で見て学ぶことができました。振り返ってみると、この戦略から制作PJまでを通して関わった経験から、「戦略で考えてきた内容を、実際にユーザーが利用するWebサイトにどのような形で落とし込むのか」というIAの基本かつ大切な部分への理解を深めることができ、とても勉強になりました。

横手:その後はどのような仕事をされていたのでしょうか?

金藤:調査案件や小規模の制作案件を経験したのち、入社3年目あたりから1歩ステップアップして、中規模のサイト制作PJにリードIAとして関わることとなりました。中規模PJの中では比較的難易度が低かったものの、難しく感じることがたくさんありました。例えば、サブIAや小規模案件の時と比較すると、サイト全体を考慮して設計を進めるための俯瞰的な視点がより求められるようになりました。また、クライアントとのコミュニケーションやリスクマネジメントといった設計以外の部分については、サブIAとリードIAで担う責任が異なり苦労しました。

横手:今までの仕事を振り返って、IAの仕事は金藤さんが配属された時の想像通りでしたか?

金藤:新卒研修の時に感じていた様々な視点からの思考を深める必要性は、ポジティブな意味で想像以上でした。IAに限った話ではないですが、クライアントが異なれば業種・業界が異なるのはもちろん、クライアントが抱えている課題やビジネスモデル、ターゲットユーザーの種類なども大きく異なります。同じ「サイトリニューアル」を行うPJだとしても、一つとして同じ内容はありません。そのため、ルーティン化できるような作業が非常に少なく、PJごとに毎回必ず新しいチャレンジングなポイントがあったりします。なので、イントリックスでIAの仕事をしている限り、仕事に飽きることとは無縁なのかなと思っています(笑)

イントリックスは、IAとしての強みを育める環境

横手:配属からたくさんの経験をなさってきた金藤さんですが、数年先になりたいIA像や目標はありますか?

金藤:これまでの経験の中で、戦略は自分に向いている領域なのではとミジンコ程度に感じる部分もありましたが、私のIAとしての強みはまだ見つけられていません。今まではIAの基本的な知識や経験を積むことに必死で、+αの部分に思考を巡らせる余裕がありませんでした。最近やっと強みについて少しずつ考え始めた感じです。なので、次の1~2年の目標はIAとしての強みを探し出すことですね。それを元に、さらに遠い将来のキャリアを描こうと考えています。

横手:IAは関わる領域が広いので、個々の強みも様々ですよね。会社によってIAの定義も少しずつ異なりますし……。

金藤:イントリックスのIAの定義は他社と比較して比較的自由な気がして、自分の強みや興味に応じてどこを追求するかの選択肢が多く与えられていますし、自分が学びたい、力を付けたいポイントに合わせたアサインを考慮してくれます。会社に決められたタスクだけでなく、自主的にスキルを伸ばせる環境に身を置ける可能性もあるので、新卒として成長するには良い会社だと思います。

一方、この柔軟性をネガティブにとらえると、会社に自分の希望する仕事がない場合、自分が得意ではなかったり、IA の仕事ではないタスクが振られることもあります。これは完全なデメリットではありませんが、決められたことだけをやりたい方はあまり向いていないかもしれませんね。

横手:最後に、IAに興味のある学生に向けてアドバイスやメッセージがあればお願いいたします。

金藤:実は、IAはニッチな職種です。Web業界においてはWebディレクターやデザイナーが情報設計を担うケースが多く、情報設計に特化した専門職種としてIAというポジションを設けている会社は多くない、という意味です。

そんな中でイントリックスが敢えてIAという専門職種を設けているのは、イントリックスが得意とするBtoB領域の大規模PJなどにおいて、情報設計の難易度と重要性が高い故だと思います。

私がIAとしての道を歩み始めて3年強が経ちますが、本っっっ当に学びが尽きず、日々自分の未熟さを思い知るのと同時に、新しい学びを得る機会がとても多いんです。

IAになるには、大学で学んでいる分野が必ずしもIAの仕事内容と直結している必要はありません。この記事を読んで、「なんか面白そうだな」「自分に向いてそうかも」と興味を持ってくださった方なら、きっとIAの難しさや奥深さを面白いに変換して楽しめる方なのでは?と思います。

そんな方はぜひ、まずはイントリックスの説明会に参加してみてください! お待ちしています!