BtoBマーケティングコラム BIツールとは?メリットや注目される理由

2023年2月22日

BIツールとは

BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールとは、社内にある膨大なデータを抽出・加工、分析ができるシステムで、データの活用やデータの可視化に利用することができます。

データサイエンティストなどの専門家でなくても、BIツールを使えばデータを取り扱うことができるので、社内の各部署で運用することが可能です。

社内データをBIツールで取り扱えば、データ分析、データ管理、資料作成、といった業務を効率化することができ、意思決定もスピーディに行うことができるでしょう。

BIツールの歴史

1989年に米国のアナリストであるハワード・ドレスナー氏が「専門家以外でもデータを活用して、意思決定の質を高められる」と提唱したのが、BI(ビジネスインテリジェンス)の始まりです。

その後、1990年代後半に入ってからBIツールが使われるようになります。

BIツールが誕生する前から、自社システムに蓄積されたデータを経営に活用したいという気運がありました。勘や経験ではなく「データに基づいた経営戦略」を立てたいと、経営者が望んでいたからです。

そして1980年代には、DSS、MIS、SISといったツールがデータ分析に活用されましたが、思うような成果には至りませんでした。

1990年代に入ると「EUC(End User Computing)」によって各端末からデータベースへアクセスできるようになり、さらに「DWH(Data Ware House)」で大量のデータを保存できるようになったため、BIツールは急速に普及していきました。

BIツールが注目される理由

近年、BIツールが注目されているのは「マーケティングの多様化」や「経営判断の客観性」という理由からです。社会全体のデジタル化が進んだ現在、お金やモノの流れが簡単にデータ化されるようになり、市場や顧客に関する情報をデータとして集めやすくなりました。

こうして様々な場所から集められたデータを、マーケティングに活用することが当たり前になってきています。さらに、企業経営に関してもデータを用いた客観的な判断が求められているため、膨大なデータを迅速かつ正確に分析できるBIツールが注目されています。

顧客の消費行動やニーズなども多様化しているため、オンラインやオフラインを問わず様々なマーケティング活動が必要となる時代です。企業が持っているデータを最大限活用し、顧客それぞれに合わせたアプローチを考えることも重要となります。BIツールを導入することで、自社の課題や問題点が見つけやすくなり、より深く顧客を理解できるようになるでしょう。

BIツールの4つの種類

IT化やDX化によるビッグデータの活用が進んできている中、BIツールを導入する企業も増えてきており、今後も増加していくでしょう。便利な機能がいくつも備わっているBIツールは、用途によって以下の4つの種類に分けられます。

  • レポーティングツール
  • OLAP分析ツール
  • データマイニングツール
  • プランニングツール

それぞれのツールの特徴や導入効果などについて解説していきます。

レポーティングツール

BIツールには自社のあらゆるデータの分析結果を、グラフ、重要指標の一覧表示、クロス集計表、といった形で視覚化できる機能もあります。リアルタイムで情報更新もされ、PDF、Excel、Word、PowerPoint、CSVなどの形式で出力することも可能です。

分析したデータを視覚化することで、問題点を素早く把握して改善に繋げることができます。さらには、新たな課題の発見もしやすくなるでしょう。このように、自社に蓄積されたデータを有効活用するには、分かりやすく視覚化することが重要です。

またBIツールの中には、スマホやタブレットなどに対応しているものもあり、移動中でも気軽にアクセスできて、迅速な意思決定にも役立ちます。

OLAP分析ツール

BIツールには「OLAP分析」という、あらゆる角度からデータ分析をして、最適な分析結果を誰でも素早く抽出できる機能もあります。OLAPとは「Online Analytical Processing」の略で、多次元的・多角的にデータ分析をすることです。

大量にあるデータベースの中から必要なデータを取り出して分析することは、これまで専門家による独壇場でした。しかしBIツールが出現したことで、専門的なスキルがなくても様々な角度から細かくデータ分析をすることができます。

このように、あらゆる角度からのデータ分析を可能にすることで、今まで気付けなかった問題点や課題、あるいは解決策を発見することが可能になるでしょう。

データマイニングツール

BIツールには「AI による機械学習」を使って、膨大にあるビッグデータから、これまでに明らかになっていない関連性や傾向を探す機能もあります。パターン認識といった機械学習や、統計学を使うことで、人間では発見できないような法則性を明らかにすることが可能です。

SFAやCRMといった様々なツールによって、企業には大量のデータが蓄積されるようになりました。その反面、人的作業によるデータ分析だけでは、今までにない新たな発見をすることが難しくなってきています。

AI機能を搭載したBIツールを導入すれば、重回帰分析、クロス分析といった複雑な統計処理も瞬時にできるため、自社のマーケティング活動に大いに貢献してくれるでしょう。

プランニングツール

BIツールには、過去のデータから予測を立て、最適な予算をプランニングする機能もあります。予算計画を立てるには中長期的な視点が必要になりますが、BIツールを使うことでより具体的なシミュレーションが実施でき、確実性のある予算を組むことが可能です。

また「What-If分析」を用いることで、いくつものパターンをシミュレーションすることができるため、予算計画だけではなくマーケティング戦略の立案にも活用できます。

予算計画やマーケティング戦略に携わる社員は、ITツールの専門家でないことがほとんどです。しかしBIツールを導入することで、営業や経営、マーケティング部門の社員でも、より綿密で具体性ある計画を立てることができるでしょう。

BIツールのメリット・デメリット

ここまで紹介してきたように、BIツールには高度な機能がいくつも備わっており、企業の経営判断やマーケティング戦略などに欠かせないツールです。BIツールを導入することで、データ管理のしやすさ、データの可視化など、数多くのメリットを享受することができます。

一方、導入が困難、コストがかかるなど、いくつかのデメリットがあるのも事実です。BIツールを導入する際のメリットとデメリットについて解説します。

BIツールのメリット

BIツール1つ目のメリットは、SFAやCRMなどの自社システムに保存されているデータを「一元管理」できることです。

BIツールと各システムを連携することで、それぞれのシステムに保存されているデータを集約・分析することができます。各システムからデータを抽出して、Excelなどにまとめるといった面倒な作業からも解放されます。

BIツール2つ目のメリットは、質の高いデータ分析を短時間でできることです。データを抽出してExcel処理をするといった作業も必要なく、BIツールによって大量のデータを瞬時に分析することができます。さらに、多次元分析、相関分析、回帰分析といった高度な分析もでき、今まで気付かなかった問題点や課題なども新たに発見できるでしょう。

BIツール3つ目のメリットは、データの分析結果を表やグラフなどに加工して視覚化できることです。加工したデータはPDF、Excel、Word、PowerPointなどに出力することもできます。分析したデータを可視化することで、より理解がしやすくなるでしょう。また、リアルタイムデータも可視化できるため、よりスピーディに現状の問題点や課題を把握することが可能になります。

BIツールのデメリット

BIツールのデメリットとしては、コストがかかる、事前準備が必要となる、余計な手間がかかる、といったことが挙げられます。

BIツールを導入するには、ツール利用料、サーバーのレンタル料といった費用が必要です。使用する人数、備わっている機能により金額が変わってくるので、あらかじめ導入コストを確認しておきましょう。使用人数や機能が多くなるほど、導入コストは高くなります。無料で利用できるBIツールもありますが「セキュリティ面でリスク」も懸念されますので、有料のBIツールを使いましょう。

BIツールを導入するにあたっては「初期設定」もしなければなりません。すでに社内にある既存データを、各システムから抽出してBIツールへ移管したり、自社の各システムとBIツールを連携する作業などが必要になります。

また、操作性が悪いBIツールを導入してしまうと、かえって作業効率が悪化する恐れがあります。操作性が良いBIツールは多いですが、自社の利用目的に合っていないと現場の人たちから不満が出るかもしれません。導入を検討しているBIツールの操作性を確認するのはもちろん、試験運用をしてみて実際にBIツールを使う社員からの意見も求めましょう。

BIツール導入

ここからは、BIツール導入を失敗させないために、主に以下のポイントについて解説していきます。

  • BIツール導入の注意点
  • BIツール導入前に確認すること
  • BIツール導入の成功のポイント

BIツールを導入するために、あらかじめ注意点、目的・目標、運用ルール、使用人数、利用する機能などを、再確認しておきましょう。またBIツールを導入した後も、システムを属人化させないような運営体制を構築していくことが重要です。

BIツール導入の注意点

BIツールを導入する際は「どういった目的」で「誰」が「何のために使うか」を明確にしておきましょう。BIツール導入の目的や目標がはっきりしていないと、失敗するケースがほとんどです。単にデータをまとめて分析結果を視覚化するというだけではなく、正確な経営判断、迅速な意思決定のために、BIツールを「どの部署の」「誰が」「どういった目的で」「どう使うか」まで、しっかり決めておいてください。

また、BIツール導入前に決めたゴールの達成が全てではありません。実際に運用をスタートすると、思わぬトラブルが発生したり、現場から不満が出てきたり、逆に貴重な意見が出てきたりと、想定外のこともよく起こります。ですから、事前に取り決めたことを忠実に守るだけでなく、臨機応変に対応しながら継続して運用していきましょう。

BIツール導入を成果に繋げるためには、最初から完璧な運用を目指さず、日々運用しながら改善していくことが重要です。

BIツール導入前に確認すること

BIツール導入後に失敗しないために、主に以下のことを「ツール導入前」にしっかり確認・検討しておきましょう。

  • ツールを導入する目的
  • 導入にかかるコスト
  • ツールを利用する部署
  • ツールの運用ルール
  • 既存データの所在

BIツールを導入しても運用方法が決まっていないと、コストの無駄使いになってしまいます。BIツールを使う目的は、経営陣と一般社員では異なるでしょうし、部署間によっても違いがあるでしょう。BIツールを導入する前に、しっかり導入目的を明確にしておくと良いです。

ツール導入目的の決定にあわせて、ツールを利用する部署や社員、運用に関するルールも決めてください。使用する規模が決まれば、導入コストもある程度予想できるからです。

また、BIツールで分析したいデータは自社のどこに保存されているのか、どういった形式で保存されているかも確認しましょう。自社システムでデータ管理している場合は、BIツールとの連携できるかも確認してください。

BIツール導入の成功のポイント

BIツールを導入して、売上アップや業務効率の向上などの成果を出すためには、いくつかの欠かせないポイントがあります。

まず、BIツールを導入する目的とともに達成したいゴールも決めておきましょう。長期的な目標だけでなく、短期的な目標もいくつか設定しておくことにより、スモールステップで運用していけるため、効率よくゴールへ向かうことができます。

また、実際にBIツールを運用する社員を「データ管理」と「データ分析」に役割分担しておくことも重要です。明確に役割分担をすることで、運用ルールも徹底しやすくなります。さらに、担当者を複数人にすることで「属人化を防ぐ」ことができ、安定して継続運用することが可能になります。

他にも、BIツールの分析結果を社内に共有して、社内全体を巻き込んでデータ活用を浸透させることもポイントです。そうすることでBIツールの使用頻度も上がりますし、社員の意識改革やモチベーションアップにも繋がるでしょう。

まとめ

BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールは、自社にある膨大なデータを一括管理するだけでなく、専門知識がなくてもデータを分析することが可能で、さらに分析結果を視覚化できる便利なツールです。BIツールを活用すれば、経験や勘による経営判断ではなく、データによる客観的な観点で経営戦略を立てることができます。

BIツールを導入することで、SFAやCRMといった自社の各システムと連携して「データの一元管理」ができ、これらのデータを瞬時に分析することも可能です。多次元分析、相関分析、回帰分析といった複雑なデータ分析もできるため、これまでに気付けなかった課題や問題点などの発見にも役立ちます。また、こういった分析結果を「表」や「グラフ」にして可視化することもできるため、データの専門家でなくても理解しやすくなるでしょう。

BIツール導入を失敗させないためには、あらかじめ使える機能やコストを把握しておき、BIツールを使う目的や運用ルールなどを決めておくことが重要です。また「データ管理」と「データ分析」というように、あらかじめ役割を分担をしておくことも大切になります。さらに、複数人でBIツールを運用していけば、システムの属人化を回避することができるでしょう。

イントリックスでは、ビジネス視点から多様なデータを分析することで、顧客とのOne to Oneコミュニケーションを実現します。統計から導かれる傾向はもちろん、顧客個人の行動までを含めた包括的な視点により、潜在的な課題の抽出とそれらに伴う仮説と施策を立案し、マーケティング活動や営業活動での成果につなげます。

デジタルマーケティングをご検討の際には、ぜひ一度イントリックスへお問い合わせください。

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