BtoBマーケティングコラム データ分析とは?活用のメリット・デメリットや手法などをわかりやすく解説!

2023年3月16日

データ分析とは

データ分析とは、企業内外に存在する情報を目的に応じて収集・加工することで、客観的な数値データを把握したり、経験則によらない発想を導く活動のことをいいます。インターネットの発達やSNS、IoTの登場によって、多くのものがインターネットに接続されて情報収集が容易になりました。

また消費者の価値観も多様になり、個々に合ったマーケティングを行う必要性も生じています。商品やサービスの細分化や配信コンテンツの最適化は、頭だけで考えるよりもデータに基づくほうが合理的に進められます。データ分析の重要性はこのようにして高まっていきました。

データ分析の目的

データ分析の目的は、より有効な意思決定を行うことにあります。

例えばコンビニエンスストアには、商品の売れ行きがリアルタイムで把握できるPOSシステムがあります。このシステムでは、どの商品がよく売れてどの商品が売れていないかが具体的にわかります。

データを集めることで、肌感覚ではなく客観的な事実に基づいた仕入れ計画を行うことが可能になります。

このように、客観的な数値データを把握し、事実に基づいた意思決定を行うことによって効率的に業務を進めていくことが、データ分析の目的です。

データ分析を行うベネフィット

データ分析を行うことで得られるベネフィットは主に以下の4点です。

俊敏な課題解決ができる

データ分析のできる体制を整えることによって、課題の発見から解決までのプロセスを仕組み化していくことができます。どのようなデータを集めて何を計測するのか、計測結果から何を読み取るのか、読み取った内容を意思決定にどう活かすのか、といった流れがスムーズに行えるようになるでしょう。

目的と収集するデータの組み合わせを誤らないようにする必要がありますが、意思決定にスピードと正確さが求められる場面では役立つでしょう。

先入観や経験だけにとらわれないビジネスができる

ビジネスの経験を積むと次第に素早い判断ができるようになりますが、ときにはそれが先入観となって誤った判断をしてしまう可能性もあります。ビジネスにデータ分析を導入することは、このような誤りを防ぐことが期待できます。

判断基準のひとつとして定量的な指標を設けることは先入観を取り除くことにつながります。常にデータを基準とするよりは、時と場合に合わせて適切に使い分けるほうが柔軟な対応ができるでしょう。

ビジネスチャンスの発見ができる

先入観が取り除かれることは、これまでに無かった発想が生まれるチャンスでもあります。つまりデータ分析の導入はビジネスアイデアの種を増やすことにつながるのです。

データ分析に詳しいかつ事業サイドの知識も保有している方、事業の運営経験が豊富でデータ分析の知識を多少なりとも持っている方など、領域横断的な見方のできる人材が揃うことで実現に近づくと考えられます。

精度の高い現状分析と将来予測ができる

会計に関するデータを即時に把握できれば会社の経営状態をリアルタイムに把握できます。また、広告予算に対するリードの獲得率、商談につながる確率、契約率、継続率など細かなデータを取得することで費用対効果の予測も立てられるようになります。

このようにデータを取得してさまざまな評価指標を算出できる仕組みが構築できると、いま考えている施策がどのていどの成果をもたらすのかをシミュレーションできるようになります。

データ分析の手法9選

課題解決の糸口となったり、経験則に依らない発想を可能にしたりするデータ分析。分析方法はもちろんひとつだけではなく、さまざまな手法があります。

主な方法を9つご紹介します。

バスケット分析

バスケット分析は買い物かごのなかにある商品を分析対象として、組み合わせの傾向などを分析します。有名な組み合わせとしては「おむつとビール」があります。

この組み合わせからは、子育てをしているかつビールを飲む顧客像が浮かびます。さらに年齢層やライフスタイルの推測も可能です。それらに基づいて新商品や他の組み合わせのアイデアを得られることがバスケット分析の特徴です。

ABC分析

ABC分析は、商品管理をする際にどの商品を重点的に管理するかを考える際に使われます。全体の売上高に占める商品(もしくは商品グループ)ごとの構成比率をA・B・Cの3種類にランク分けします。

商品の売上金額が大きい順に並べ、累計の構成比率が70%以下までの商品をA、71%〜90%までをB、91%〜100%までをCとして、売上全体に対する貢献度を視覚化する手法です。

クロス集計分析

アンケート調査によく用いられる手法です。例えば、データ分析への取り組みに関する調査をしたとします。縦軸に企業規模や業界、横軸に回答の内容(取り組み度合い)を配置して掛け合わせる(クロスする)と、企業規模や業界を切り口としたデータ分析への取り組み度合いを比較できます。

クロス集計は上記のように、調査に回答した企業や個人の属性によって傾向に違いがあるかどうかを分析する手法です。

因子分析

異なる複数のデータ間に存在する共通の因子を発見するための分析です。わかりやすい例としては、学校のテストにおける文系・理系の能力が挙げられます。

テストの成績を分析し、国語の成績が良い人は英語の成績も良い、数学の成績が良い人は理科の成績も良いといったデータが得られたとします。このとき国語・英語、数学・理科には共通する因子があると考えて、成績向上のために共通因子をいかに磨くかを考えていくのです。

アソシエーション分析

アソシエーション分析は、一見すると関連が見いだせないような多くのデータから相関関係を発見していく分析手法です。買い物かごを分析し、よく買われる商品の組み合わせを発見するバスケット分析はアソシエーション分析のひとつです。

インターネットショッピングサイトのレコメンド機能はアソシエーション分析の成果を活かしています。

決定木分析

「目的変数」と呼ばれる結果(結論)に至る要因を構成する要素を分析する手法です。構成要素は「説明変数」と呼ばれます。目的変数はどのような説明変数によって構成されているのか、分析結果を図解するとツリー状になることから「決定木」分析と呼ばれます。

例えば自社の提供している商品・サービスの利用者のうち「満足度が高い人」を目的変数とした場合、利用者の属性(年齢や所属企業、ライフスタイル等)などが説明変数となります。

クラスター分析

分析対象とするデータ群をグルーピングする分析手法で、クラスターは「集団」を意味します。ビジネスにおいては、顧客を属性ごとにグルーピングしたり、自社が参加している市場や自社の企業としての特徴を俯瞰する際に役立ちます。

グルーピングする際の基準や、分析手法もさまざまあるため、目的に応じて適した手法を選択することが大切です。

主成分分析

主成分分析は、複数の要因が絡み合っている事象について、その構成要素をなるべくシンプルに把握したいときに用いられます。「売上」のような定量的なものよりは、「満足度」のような定性的なデータを分析する際に用いられます。

顧客満足度はどのような成分によって構成されるのか、商品やサービスの「質」は何によって決まるのか、といった問いに強い分析手法です。

回帰分析

回帰分析は決定木分析と似ているもので、とある結果に対してどのような変数が影響を及ぼしているのかを分析する手法です。決定木分析はYesまたはNoで分岐されたツリーが作成されますが、回帰分析では最終的には回帰式という計算式が作成されます。

広告キャンペーンの成果を計測したり、モデル式を作って値を代入し、施策の成果を予測したりする用い方があります。

データ分析の基本的な流れ

データ分析の主な手法をご紹介しました。データ分析は一定の手続きを経ることが大切で、スピードを上げたいからといって必要なプロセスを省略してはいけません。具体的な進め方は大まかには以下のようになります。

1.目的を設定

データ分析はあくまでも、事業をよりよいものにしていく手段のひとつです。データ分析そのものが目的化してしまわないよう、目的を設定します。場合によっては、これまでと違ったことに取り組みたいという理由で「とりあえずやってみる」のもひとつの手段かもしれません。

売上に貢献している商品群を明らかにしたい、商品・サービスの質を左右する要因を経験則に依らない方法で考えてみたい、課題に感じていることを列挙していくことで自ずと目的は定まってくるでしょう。

2.仮説を立てる

データ分析において、仮説を立てることは非常に重要です。仮説を構築する過程で、分析対象についての理解が深まっていくためです。例えば、自社の売上を支えている商品・サービスの満足度が何によって定まるかを考える場合、商品・サービスを構成する要素(機能・価格など)を挙げていきます。

調査に使うのはどの要素がふさわしいかを議論していくことで商品・サービスについての理解も深まっていくでしょう。

3.データを収集・蓄積

目的や仮説に基づいて分析手法を決定し、データを収集します。どのようなデータがふさわしいのかは、分析手法に詳しい方の意見を参考にしながら進めていくといいでしょう。分析の役に立たないデータを収集していては、資金も時間も全て水の泡になってしまいます。

自社内に人材が居ない場合は外部の専門家を頼り、素人だけで行わないように注意しましょう。データが自社内に蓄積されていて、その整理から着手するケースも充分に考えられます。

4.データを分析

蓄積されたデータの分析方法を決定し、仮説の検証を行います。目的に合わせた分析方法は、データ分析によって何を明らかにしたいかによって決定されます。相関関係を見る、売上に貢献している商品群を見る、顧客をグルーピングしてグループごとに異なるアプローチを企画していく、さまざまなことが考えられます。

データ分析の際には、分析を行うためにデータの形式を整える「データクレンジング」が必要になることもあります。

5.分析結果を評価

分析結果の評価とは、あらかじめ立てておいた仮説と分析結果が合致しているか否かを見たり、合致していたあるいは合致していなかった理由を考察していくことを指します。ビジネスシーンでは、分析結果を議論の土台として活用することが多いでしょう。

商品・サービスの改善案を考えたり新たな商品・サービスを企画したり、グループ分けした顧客へのアプローチ方法を考えたりすることが挙げられます。

データ分析に役立つツール

続いて、データ分析に役立つツールをご紹介します。

Excel

Excelは、ご存知の方も多いのではないでしょうか。比較的少量のデータを処理することに向いています。導入が簡単なのでデータが少量のうちは顧客リストなどのデータベースとして活用することも可能でしょう。

しかし、データ量が増加していくにしたがって処理が追いつかなくなるため他のツールへの以降を検討する必要があります。長期的に定点観測するような分析にExcelは不向きです。

アクセス解析ツール

アクセス解析ツールとは、ホームページにアクセスしたアカウントの数を集計したり配信した広告の閲覧数やクリック数を集計できるツールです。ツールによっては、購買の直前に見ていたページを抽出したり、リピーターの有無を集計することも可能です。

WebサイトやWeb広告の運用に関するデータ分析をする際は、アクセス解析ツールの活用が有効です。無料のツールもあるため比較的手軽に始めることができます。

BIツール

BIは「ビジネスインテリジェンス」の略称です。ビジネスの遂行は意思決定の連続によって成り立っていますが、意思決定をする際に参照する情報や意思決定をするための分析を通じて得られる知見のことをBIといいます。

BIツールは意思決定を支援する統合的なツールで、データの収集から蓄積、分析やレポート生成までを一元管理できるものです。生産管理や販売管理システムのような事業の根幹を支えるものと比較すると戦略立案寄りのツールといえるでしょう。

【業種別】データ分析の活用例

データ分析の活用例を業種別にご紹介します。

製造業

製造業では、製造現場における情報をデータ化することで生産効率を向上させたり不良品の発生率を把握するなどの活用がされているようです。設備の状態を監視できるようなセンサーを設置して、機械の状態を数値化することで異常値が出た際にはアラートがでるようにすることが可能になります。

近年は多くの業界で人材不足が叫ばれていますが、製造業においては熟練者のノウハウが継承されない問題が起きています。機械を扱う現場には、熟練者にしか分からない機械のコンディション変化も起こります。これらをデータ化できれば人材不足問題も解消に近づくかもしれません。

金融業

金融業においては、アソシエーション分析やクラスター分析が活用されています。顧客のプロファイルを分析してセグメントに分けることで、セグメントごとに最適な金融商品の提案が可能になります。

また、〇〇な特徴のある顧客は商品Aと相性が良い、といった顧客プロファイルと金融商品との相関関係を把握できれば、似たような性質の金融商品を提案することも可能になります。顧客の声を聞きながら、客観的な事実も交えた資産運用のアドバイスを行うこともできるでしょう。

小売業

小売業も同様に、アソシエーション分析やクラスター分析の活用がしやすい業界です。顧客の購買履歴や商品ごとの売上データ、また日毎の売上と天候との関係を見るといった分析方法も可能です。

インターネットショッピングの場合はバスケット分析により商品の組み合わせ提案を自動化したり、アカウント毎に最適な広告を表示したりする活用が行われています。インターネットショッピングをしたりWEBサイトを閲覧している際に表示される広告は全員に同じものが表示されているわけではなく、それぞれに別々のものが表示されているのです。

【職種別】データ分析の活用例

データ分析の活用例を業種別にご紹介します。

営業

営業職においては、営業活動の仕組み化によって組織全体の営業力を底上げする活動が行われています。オンライン商談が普及したことにより、営業成績の良い方のトークスクリプトが共有可能になりました。

またクラスター分析によって顧客の興味・関心度合いを分類し、それぞれにどのようなアプローチを行うのかを定型化することも可能になっています。

見込み顧客を獲得してからクロージングするまでの流れを具体的な商談内容を仕組み化することにより、一定程度の成果をあげられるノウハウの共有がしやすくなっています。

人事

人事においては、分析結果を積極的に活用するよりは労務管理を効率化することの優先度が高いかもしれません。勤怠管理、有給休暇など申請フローと、給与計算のシステムとを一本化することで入力エラーや転記ミスを防ぐことが可能になります。

効率化を進めると、結果的に従業員のデータが蓄積される仕組みが出来あがり、また人員の配置や採用計画を考える材料が集めやすくなります。手続きの簡略化やペーパーレス化が先立って、その次の段階としてデータ活用が進んでいく職種だと考えられます。

経理

経理も人事と同様に業務効率の向上から始めることが多いと考えられます。給与の計算には勤怠管理の情報が必要になりますが、出退勤データを管理するのは経理の業務ではないため、勤怠管理をするシステムとの連携が必要になります。

他部門との連携が進んでいくことで経営状態をリアルタイムで把握しやすくなり、経理データを経営判断に反映することが可能になります。削減すべき費用、今後のために投資すべき領域の判断をはやめに進めていくことができるでしょう。

マーケティング

マーケティングのデータ活用は、オンラインの施策を評価・改善していくプロセスに活用されています。メールマガジンの配信であれば、到達率・開封率のデータに基づいて、配信リストの整理や配信システムの見直し、タイトルの推敲などの改善が可能です。

またオウンドメディア運営やオンライン広告配信においては、閲覧数やクリック率、ページ遷移やコンバージョン率などさまざまなデータが取得可能です。レポートを自動生成するツールもあり、見込み顧客の獲得を効率化することに大いに活用されています。

まとめ

データ分析の最大のメリットは、他者と認識を共有しながら議論を進められることです。分析結果を議論の土台に据えることで、個々の経験則に基づいたものとは異なる発想を生むことができます。

しかしデータ分析に基づいて議論を進めていくには、どのような目的にどのようなデータを集めればよいのかといった知識やノウハウが必要となります。現状データ分析を事業に応用できている企業は極めて少なく、多くの企業が手探りな状態です。

イントリックスでは、ビジネス視点から多様なデータを分析することで、顧客とのOne to Oneコミュニケーションを実現します。統計から導かれる傾向はもちろん、顧客個人の行動までを含めた包括的な視点により、潜在的な課題の抽出とそれらに伴う仮説と施策を立案し、マーケティング活動や営業活動での成果につなげます。

デジタルマーケティングをご検討の際には、ぜひ一度イントリックスへお問い合わせください。

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