プロジェクトの手順
ではここからは、より具体的にみていこう。
具体的には、「PIM格納データとWebサイト必要データのFit&Gap」、「サイト画面設計とPIMデータモデル設計の連動」、「データ整備・投入計画とテスト・公開スケジュールの連動」が主なポイントとなる。
(1)PIM格納データとWebサイト必要データのFit&Gap
プロジェクトの初期段階で重要となるのが、PIMに格納するデータとWebサイトで必要となるデータのFit&Gapだ。
一口にデータといっても、目的・用途に応じて様々な種類のデータがある。
製品の概要情報やスペック情報、製品を分類する製品カテゴリ情報、画像やCADデータ、製品の並び順を制御するためのソート情報、などその種類は多岐にわたる。
また、これらのデータは利用媒体や目的・用途によってその必要性は異なる。
例えば、製品の並び順を制御するためのソート情報はWebサイトでは必要な情報だが、PIMでは不要といったようなケースだ。
こういったケースが多々あるため、PIM格納データとWebサイト必要データのFit&Gapを早期に行い、運用効率などの点も含めてどちらのシステムでどのデータを持つのかを関係者間で意識合わせをしておくことが重要となる。
(2)サイト画面設計とPIMデータモデル設計の連動
PIM格納データとWebサイト必要データのFit&Gapを行った後、次に意識すべき重要ポイントがサイト画面設計とPIMデータモデル設計のマイルストーン調整だ。
失敗パターンとしてよくあるのが、PIMデータモデル設計がサイト画面設計よりも前に完了してしまい、Webサイト側で必要なデータの多くがPIMに格納されずに行き場を失い、後から追加開発やイレギュラー運用でカバーするようなケースだ。
こういった状況にならぬ様、「サイト画面設計」⇒「PIMデータモデル設計」の順序で両プロジェクトのスケジュール/マイルストーンが連動するようにプロジェクトデザインすることが重要となる。
(3)データ整備・投入計画とテスト・公開スケジュールの連動
サイト画面設計とPIMデータモデル設計のマイルストーン調整とあわせて意識すべきなのが、データ整備・投入計画とテスト・公開スケジュールの連動だ。
データ整備・投入計画は往々にして予定通りには進まないのと、予定通りに進んだとしても“データ入力精度の問題”が必ずと言っていいほど浮上するからだ。
筆者がこれまで支援してきたプロジェクトでは「どの段階でどのレベルのデータ品質で投入できるのか」について、関係者間で詳細にすり合わせを行っている。
例えば、「一次データ投入」というとき、立場によって解釈の違いが大きい。「必要なデータ項目が揃った状態で一部の製品群データが入っているもの」を一次データと解釈する人もいれば、「一部データ項目の入力漏れがある状態のもの」を一次データと解釈する人もいるためだ。
特に「結合テスト」や「受入テスト」など主要なテストを行う段階でデータ品質がそのテストを行う水準に達していないと関係者が混乱し、意味のないテストとなってしまう。
また、データ投入・精緻化の終盤ではプロジェクトの目的やスケジュールから逆算した作業優先度を利用者視点/データ投入作業者の負荷を鑑みて全体調整する必要があり、ここの舵取りがサイト公開時の品質を左右する。
適切なプロジェクトデザインとは
以上、大きく3点のポイントを挙げてきたが、これらを踏まえて適切なプロジェクトデザインを行った例が下記となる(図8)。