BtoBマーケティングコラム BtoBマーケティングでのペルソナ設定とは?設定方法について解説

2023年4月28日

ペルソナ設定とは

ペルソナ(persona)はもともと「仮面」を意味する言葉で、「人格」を意味する英語であるPersonのもとになった言葉でもあります。

マーケティングにおけるペルソナは、自社の商品・サービスを利用しうる仮想顧客を具体的に描いたものになります。

ペルソナ設定とは、マーケティング施策を考えていく際にどのような人物を実施対象とするのかを関係者間で共有する作業にあたります。

ペルソナ設定が必要な理由

ペルソナは、仮想顧客のプロフィールを具体的に描いたものになります。

  • 勤務先/配属部署/役職/勤務年数
  • 家族構成
  • 住んでいる地域/住まい
  • 性格/趣味や興味関心/休日の過ごし方

などさまざまな項目を設定します。

ペルソナに具体的なプロフィールが必要なのは、具体的にするほど提供すべき情報や配信するタイミングが明確になるためです。

例えば30代前半の女性で子供が2人いる、共働き家庭の方のペルソナを作ったとします。何か調べ物をするのは朝やお昼のスキマ時間か、子どもたちが寝た夜の時間帯となるでしょう。仕事の疲れが溜まっている夜中にメールマガジンが届いても開封する気持ちにはなりにくいでしょうから、「最適な配信タイミングは平日の朝か休日の朝かもしれない」と推測することができます。また内容も、短い時間でサッと読めるコンパクトなものが望ましいと考えられます。

ペルソナはこのように、より最適な施策を考えていくために必要なのです。ペルソナの作成によって細かいニーズも浮かんでくるため、商品・サービスの見直しにもつながります。

ペルソナとターゲットの違い

ペルソナと混同しやすい用語のひとつに「ターゲット」があります。ペルソナもターゲットもWebマーケティングの用語ですが、意味が少し異なります。

ターゲットは、自社の商品・サービスを売り込んでいく顧客セグメントを指します。つまり実在する消費者、あるいは法人やビジネスマンを属性ごとにグルーピングしたものです。

そのため、ペルソナと比較すると、年齢層や性別、所属する業界など大まかな区分けをしたものになります。集団として実在していることが大きなポイントです。

一方ペルソナは、ターゲットの中から仮想顧客を描き出したものです。一個人の詳細なプロフィールを作成する点が、ターゲットとの違いです。

ペルソナとして作成する人物は、実在していなくても構いません。提供する商品・サービスやマーケティング施策、発信するタイミングを考える起点になれば良いためです。

多くの場合、ターゲット層を定めたうえで、ペルソナを作成してマーケティングを実施する対象を絞り込んでいく流れとなるでしょう。

ペルソナ設定のメリット

自社の顧客層をセグメントに分け、ターゲットを個人レベルにまで具体化していくペルソナ設定。手間がかかるぶん、多くのメリットがあるのも確かです。ペルソナ設定のメリットについて紹介します。

顧客の共通認識ができる

ペルソナを作成することで、顧客像を共有することが可能です。顧客像の共有ができると、議論もスムーズに進みます。例えば、インターネット広告を出稿する際にも、セグメントを既に作っているので、セグメントや出稿キーワードに迷いません。

ユーザー目線の商品設計が可能になる

作成したペルソナは実在こそしないものの、ターゲット層に属しているユーザーそのものです。ライフスタイルや考え方の近い人物が存在することを前提として利用します。

精度の高いペルソナを作成できると、的外れな商品設計をする確率が下がり、コスト削減にもつながります。ニーズの推測も磨かれていき、ユーザー目線に立ったアイデアを発想できるようになります。

BtoBマーケティングでペルソナ設定が役立つ場面

BtoBマーケティングを実施するときは、自社の参加しているマーケットや既存顧客の特徴を再確認することから始めていきます。

現在の主力商品・サービスをさらに改善していくのか、マーケットは変えずにターゲット層を変えて新たなペルソナを設定するのか、現状分析に応用するだけでもこのような発想ができるようになります。

ペルソナ設定では、勤務先、家族構成、住まい、性格などの項目を設定しますが、これはそのまま既存顧客の特徴を分析する際にも使えます。

BtoBにおいては、所属部門や部門での立ち位置、決済権の有無や契約締結に至るまでの意思決定プロセスなどが加わるでしょう。

またペルソナは、広告やプレスリリースを配信する際の「読み手」として想定することも可能です。どのような言葉を用いると訴求しやすくなるのか、配信する適切なタイミングはいつなのか、企画部門や広報部門など別部門の社員同士で認識をすり合わせながら業務を進めることができます。

BtoCマーケティングのペルソナとの違い

ターゲットを定めてペルソナを設定していくプロセスは、BtoCビジネスとBtoBビジネスとで共通しています。

しかしBtoBにおける取引は、個人が商品・サービスを購入するものとは異なり、意思決定に複数人が関わることが通常です。商談を行う購買担当者だけでなく、その上司や決済権を持つ人など、複数のペルソナを設定することが理想的です。

複数のペルソナを設定することで、組織内における意思決定プロセスを想定することができ、また契約に至るまでの期間を想定したり、アプローチ手法を考案したりすることも可能になります。

近年、商談のオンライン化が進み、BtoBマーケティングの手法も変化していきました。セミナーの代わりにウェビナーを開催したり、ルート営業による関係の維持が、インサイドセールスやメールマガジンの配信に置き換わる現象が起きています。意思決定プロセスの長さや複雑さが、関係づくりの手法にも違いを生んでいるのかもしれません。

ペルソナ設定の前にやるべきこと

議論の土台となるペルソナ作りには下準備が欠かせません。参加しているマーケットや自社が現在提供している価値や顧客のニーズ、競合企業に勝っているポイントなどの現状分析が必要です。また、限りある予算を有効活用するためには、ターゲットの絞り込みも大切です。

BtoBマーケティングに有効なペルソナを作成する際、以下の2点を行うことをおすすめします。

バリュープロポジションの決定

バリュープロポジションを一言でいうと「競合企業に勝ち得る、自社の提供できる価値」です。ターゲットのニーズを満たすことができて、かつ競合企業の提供するものに負けないであろう領域を分析します。

企業の外部環境と内部環境とを分析する作業になるため、それに向いたフレームワークを使うと進めやすいでしょう。3C分析や4P分析、SWOT分析などが使いやすいかもしれません。

バリュープロポジションをまとめる「バリュープロポジションキャンバス」や、事業全体を俯瞰する「ビジネスモデルキャンバス」というフレームもあります。これらを使いながら、競合・自社・顧客のニーズへの理解を深めていくといいでしょう。

フレームワークを初めから完璧に使いこなすことは難しいため、バリュープロポジションをいちど作成したあと、修正を重ねていきながらしっくりくるかたちに磨いていく方が時間を掛けすぎないで済むかもしれません。

既存顧客からターゲットの決定

ペルソナを作る際は、まずターゲットを決定します。既に言語化されているターゲットがあれば、そちらを用います。ターゲットが未だ言語化されていない場合は既存顧客を分析しながらターゲットを作成することをおすすめします。

基本的には、バリュープロポジションを決定していくプロセスでターゲットも明確になっていくはずです。ターゲットは絞れば絞るほど資金を集中投下しやすくなるため、大企業のように潤沢でない限りは絞るほうが無難です。

今後、どのような企業との取引を増やしていきたいかという視点で考えると絞り込みやすくなるでしょう。マーケットや業種、企業の規模、抱えている課題などを言語化していきます。

ペルソナ設定の項目

ペルソナはターゲットと異なり、具体的な情報を設定していく作業です。的外れになっていないか複数人で確認する必要もあり、実際に取り組んでみると想定より時間が掛かるでしょう。またBtoBでは最低でも法人・個人の2種類が必要です。

時間を節約するには、外部分析・内部分析にフレームワークを使うのと同様、フォーマットを活用することが有効です。

ここでは主な項目を、法人・個人とに分けてご紹介します。

ペルソナ設定の注意点

ペルソナ設定で重要なことのひとつに「作成したペルソナがターゲットに属していること」が挙げられます。ターゲットとペルソナは地続きのため、出来上がったペルソナがターゲット層の集団に属しているかどうかを確認しましょう。

BtoBの場合、抱えている課題や企業内での役職などが大きく離れている場合には修正が必要になります。ペルソナは実在しない人物で問題ありませんが、マーケティング施策を考えていく際の土台となる必要があります。商品・サービスのターゲットからかけ離れないように注意しましょう。

またBtoBビジネスの意思決定は、法人のペルソナと個人のペルソナの双方が必要です。最終的には法人対法人の取引になりますが、はじめは購買担当者などの個人に訴求を行うためです。

法人のペルソナ項目

法人のペルソナ項目では、コーポレートサイトの会社概要欄にあるような基本情報から、企業が抱えている課題や社風について記載します。会社の雰囲気や意思決定プロセスをイメージできるようにすることがポイントです。

例えば弊社のコーポレートサイトを参考にすると、以下が法人のペルソナ項目となります。

  • 会社名
  • 設立年数
  • 従業員数
  • 資本金
  • 事業内容
  • 所在地
  • ミッション・行動指針
  • 主要取引先の事業内容
  • 企業の抱える課題

このように、ペルソナ項目を設定して一つ一つ考えてみることが必要です。

決済者(個人)のペルソナ項目

個人のペルソナは、所属企業や企業内でのポジション、決済権の有無やその人の性格的特徴、日常的に目にするメディアなどを記載します。具体的には以下のような項目を作成します。

  • 年齢/性別
  • 学歴
  • 職業
  • 役職/年収/勤続年数
  • 居住地/家族構成
  • 業務中によく触れるメディア(新聞、雑誌、業界誌、ウェブニュース、SNS、ウェブメディアなど)や具体的な媒体名
  • 個人的な課題や悩みごと
  • 性格/趣味

企業によっては、商談をする方と決済者とが別々になっているケースも考えられます。最終的には決済者へ訴求できない限り契約には至らないため、商談担当者と決済者が別になっている場合はペルソナをそれぞれ作成することが望ましいです。

まとめ

ペルソナを設定するプロセスは、自社の現状分析、ターゲットの設定、ペルソナ作りという順番に進んでいくのが基本です。

BtoC、BtoBともこのプロセスは共通していますが、BtoBのほうが取引数量や単価が大きいぶん、意思決定までの期間が長くなることが特徴です。

そのため作成するペルソナも法人・個人とに分けて、場合によっては個人のペルソナも商談相手と決済権保持者とに分けて作成する必要があります。消費者としての人物像ではなく、ビジネスマンとしての人物像を作るものだと捉える、的外れなペルソナをつくることを防ぎましょう。なお、ペルソナはいちど作成したら終わりではなく、定期的に見直しながらのブラッシュアップも重要です。

イントリックスでは、ビジネス視点から多様なデータを分析することで、顧客とのOne to Oneコミュニケーションを実現します。統計から導かれる傾向はもちろん、顧客個人の行動までを含めた包括的な視点により、潜在的な課題の抽出とそれらに伴う仮説と施策を立案し、マーケティング活動や営業活動での成果につなげます。

デジタルマーケティングをご検討の際には、ぜひ一度イントリックスへお問い合わせください。

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