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BtoBマーケティングコラム サステナビリティコンテンツのよくある課題と改善案(松井洋也)
2023年6月13日
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はじめに
近年、企業のサステナビリティ活動に関する情報発信の重要性は高まってきています。さまざまなステークホルダーに対して、事業活動と持続可能な社会の両立のために、一企業としてどのように社会的責任を果たすのかを明確に示すことは、企業Webサイトの運営において最優先事項のひとつと言えます。
本コラムでは、Webサイトにおいてサステナビリティに関する情報をどのように整理すれば、企業の特色を出せるか、ユーザーに伝わるかに主眼を置いてそのポイントをご紹介します。
サステナビリティコンテンツのよくある課題
私たちがサステナビリティコンテンツについてさまざまな企業様からお話を聞いたり、Webサイトを見ている中で、以下3つのような課題が多いと感じています。
ユーザー視点で情報がわかりやすく分類されていない
まず、「情報は充実しているが、ユーザー視点でわかりやすく分類されていない」というパターン。
多くの企業様はすでにサステナビリティ活動の情報発信を重要視されており、情報の網羅性という点では非常に充実しています。
一方で、情報は充実しているものの、Webサイトのサステナビリティカテゴリの配下にコンテンツが羅列されているのみで、ユーザー視点からわかりやすく分類されていないと感じることが多いです。
定量的な情報が少なく、活動の進捗感・説得力が不足している
次に、サステナビリティ活動における目標やその進捗などの定量的な情報が少ない、またはわかりやすく掲載されていないパターンです。
サステナビリティコンテンツを見に来るユーザーはその多くが閲覧動機が高いことが想定されます。
その企業がどのような目標を掲げ、具体的にどのような取り組みをしているのかを求めて訪問してくるユーザーに対しては、定量的でできるだけ具体的な情報を提示したほうがポジティブな印象を持ってもらいやすくなります。
サステナビリティ活動の全体的な方針がわかりにくい
最後が「サステナビリティ活動の全体的な方針がわかりにくい」というパターンです。
具体的な目標や活動内容を提示していても、そもそもどういった考えでサステナビリティ活動に取り組んでいるのかという方針や、それによってどのような社会を実現しようとしているのかなどの展望がわかりにくいと、その取組みに対してのユーザーの共感や納得感が得られにくくなってしまいます。
よくある課題の改善例
先ほど挙げた3つのよくある課題に対して、具体的にどのような方向性で改善を考えていけばいいのか。一例としてそれぞれの考え方をご紹介します。
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ユーザー視点でわかりやすく分類されていない場合の改善案
まずは以下2つの軸で情報を分類することで、ユーザーにとって直感的にわかりやすくなります。
- ESGの軸で情報を整理する
- SDGsと取り組みを関連づける
「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の視点から経営をすることは、企業の長期的な成長や顧客や投資家、従業員の信頼や評価を高めるために重要視されていることのひとつです。
ユーザーはサステナビリティ情報をESG視点から考えることが多いと考えられるので、情報もそれに合った分類にすることで、直感的に内容を理解しやすくなります。
また、ESG視点をサイトの構造にも組み込み、それをわかりやすくコンテンツで表現することで、その企業がESG視点を大事していることを訴求できます。
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また、最近さまざまな企業が積極的に取り組んでいるSDGsも、ユーザーが重要視する項目のひとつです。
それぞれの取組みがSDGsのどの目標に関連しているかを明示することで、ESGと同じくユーザーにとって取り組みがわかりやすく、またSDGsに積極的であることを訴求することができます。
定量的な情報が少なく、活動の進捗感・説得力が不足している場合の改善案
最も効果的な方法のひとつとして、マテリアリティの定量的なKGI/KPIを数字でわかりやすく見せることが挙げられます。
例えば、「2050年までに工場から出る温室効果ガスを50%削減」という定量的なマテリアリティとその達成度合いなどを、サステナビリティカテゴリのトップページの目につきやすい場所に配置することで、ユーザーはすぐにその企業が何に取り組んでいるのか、具体的な目標は何か、今どれくらい進捗しているのかがわかりやすくなります。
その際、インフォグラフィックなどを用いてコンテンツを制作すると、ユーザーにとってよりわかりやすく、共感を得やすくなります。
サステナビリティ活動の全体的な方針がわかりにくい場合の改善案
サステナビリティ活動に対する企業の大きな方向性を示す「ビジョンコンテンツ」を制作するとよいでしょう。
- どのような考えでサステナビリティ活動に取り組んでいるのか
- 活動を通してどのような未来を実現しようとしているのか
- 提供できる社会的価値は何か
などをコンテンツに掲載します。
このビジョンコンテンツは、企業の特色を出しやすい領域でもあります。
企業理念や事業の方向性とサステナビリティ活動との関連性をうまく表現することで、ユーザーは深い共感や納得感を得ることができ、その企業への理解も深まります。
また、ビジョンコンテンツを制作する際、以下のポイントを押さえると一連のストーリーの中でその企業が何を考え、どのように行動しているのかが伝わりやすくなります。
- 世界的な社会課題・メガトレンド
どのような社会課題やメガトレンドに着目しているのか? - 企業理念・精神、事業の方向性
企業としてどのような考えを持ち、それがサステナビリティ活動とどう結びついているのか? - さまざまな人々の思い・姿・取り組み
具体的な活動内容は? それに取り組む人はどのような人なのか? - 取り組みの価値・影響力
サステナビリティ活動を通じて、どのような未来を描こうとしているのか? 社会に提供できる価値は何か?
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P&G Environmental Sustainabilityから見るベストプラクティス
ユーザーにとってわかりやすいサステナビリティコンテンツのベストプラクティスとして、P&Gの例を紹介します。
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環境サステナビリティ|P&G
https://jp.pg.com/environmental-sustainability/
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P&Gのサステナビリティコンテンツでは、環境戦略の一環としての「環境サステナビリティ」にどのように取り組んでいるのかにフォーカスしています。
ポイントをまとめると、
- 経営戦略としての「環境サステナビリティ」にどのように取り組んでいるのかにフォーカスしている
- トップページでは情報量を抑えて全体感を説明し、詳細な説明はそれぞれの個別ページに任せています。そうすることで、取り組みに対する理解度に合わせた情報構造になっている
- P&Gが策定した方針そのものがわかりやすいという点に加え、コンテンツを見るとP&Gが何に注目していて、何をしているのかが入ってきやすい
などがあります。
ポイント1:ユーザーにとってわかりやすい切り口
まず挙げられるのが、環境サステナビリティとして取り組む切り口がユーザーにとって直感的にわかりやすいものになっている点です。
P&Gでは、「Climate(気候)」「Waste(パッケージ」「Water(水)」「Nature(林業)」という、ユーザーにとって具体的に想起しやすい4つの切り口で環境サステナビリティの取り組みに触れています。
※()内は日本サイトでの表現。
ポイント2:情緒的でサラッと読める工夫
曲線を用いたやわらかいデザイン・心理的なハードルを感じさせない文章量・情緒的な表現など、読みやすさを非常に重視しています。エフェクトやアニメーションなどの動きがまったくないシンプルなサイトですが、ユーザーにとってわかりやすく情報を提供するための配慮がなされています。
ポイント3:少ない情報の中でも、しっかりマテリアリティに触れている
テキストの見出しで大きく打ち出すことはしていないのですが、文章の中でマテリアリティの指標についていくつか触れています。
「2030年までに、消費者向けのパッケージをリユース・リサイクルできるようにします」などのように、具体的なマテリアリティを説明文に入れ込んでいるので、少ない文章量でも説得力があります。
ポイント4:取り組みを視覚化して、「実際に取り組んでいる感」と「取り組みの物量」を訴求
サステナビリティカテゴリ配下のコンテンツではないのですが、「MAPPING OUR IMPACT」というコンテンツでは、地図内の各国のリンクをクリックすると、どこの国でどのような取り組みをしているのかがひと目でわかるようになっています。
「Climate(気候)」「Waste(パッケージ」「Water(水)」「Nature(林業)」の4つの切り口に世界規模で取り組んでいることが視覚情報として直感的に理解できます。
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MAPPING OUR IMPACT
https://us.pg.com/mapping-our-impact/
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まとめ
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本コラムでは、サステナビリティコンテンツによくある課題と改善策を3つの切り口で紹介しました。
情報が網羅されたコンテンツをブラッシュアップしたい場合は、「ユーザー視点で情報がわかりやすく分類されているか」「定量的な情報を記載しているか」「サステナビリティ活動の全体的な方針がわかるものになっているか」を確認してみるとよいでしょう。
もちろん、企業によって課題は多岐にわたるため、今回紹介した改善案を実施すればすべてが解決するというわけではありません。
ただ、サステナビリティコンテンツを評価する指標のひとつとして、まずはこれら3つができているかを振り返ってみることをおすすめします。
著者プロフィール
書籍の編集者としてキャリアをスタート。企画・取材・撮影・ライティングなどの一通りの編集作業を経験する。
その後、EC黎明期であった2000年前後に某ECサイトのコンテンツ編集としてWebの世界に入り、Web制作会社での大手企業サイトの制作やWebサービスの事業会社でのサイト運営などを経て、2014年イントリックスに入社。
プロジェクトマネージャーやディレクターとして、サイトの制作案件を中心に業務に従事。書籍の編集やサイト制作経験、事業会社でのWebマーケティングなどの幅広い経験を活かし、現在はコンテンツ企画、制作、監修、および社内のコンテンツ企画・制作体制の整備を推進している。
BtoB企業のデジタルコミュニケーションを総合的に支援しています
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