BtoBマーケティングコラム 顧客理解を深めるフレームワーク:BtoBマーケティングで成果を出す「コンセプトダイアグラム」とは

はじめに

BtoB企業のデジタルマーケティング担当者の皆様、日々の業務で次のようなお悩みを抱えていませんか?

  • デジタルマーケティングの戦略が曖昧で、施策がうまくいかない
  • コンテンツ制作が企業目線になり、顧客の心に響かない
  • 施策の効果を正しく評価できず、改善点が見えない

これらの課題の原因は、顧客理解が足りないままに、企業目線でデジマの施策を行っていることにあります。その解決策として注目されているのが、顧客理解を深めるフレームワーク「コンセプトダイアグラム」です。

イントリックス株式会社は、BtoB企業のデジタルマーケティング戦略立案を支援しており、多くの企業が抱えるこれらの課題解決に取り組んでいます。本記事では、コンセプトダイアグラムを通じて、デジタルコミュニケーションの全体像を可視化し、ユーザーの心理変容に合わせた効果的な施策とコンテンツを設計する方法を詳しく解説します。この記事を読み終えた頃には、デジタルマーケティング戦略における新たな視点と具体的なアクションプランを得られることでしょう。

顧客理解を深めるフレームワーク「コンセプトダイアグラム」とは何か

顧客理解に有効な「コンセプトダイアグラム」とはどのようなフレームワークなのか、説明します。

顧客の心理変容と企業の施策を図解し、顧客理解を深めるフレームワーク

コンセプトダイアグラムとは、顧客の心理変容とそれに対応する企業の施策を一体化して図解するフレームワークです。ユーザー視点に立った上で、デジタルコミュニケーションの全体像とユーザーの心理変容を見える化し、顧客理解を深めます。

デジタルコミュニケーションの全体像を可視化

コンセプトダイアグラムを作成することで、デジタルコミュニケーション全体の戦略が一目で把握でき、施策やコンテンツの過不足、ターゲットの明確化、評価指標の設定が容易になります。

全体の流れのなかで各コンテンツをどこに位置すると良いのかを整理するとともに、企業が望む顧客の態度変容を呼び起こすため、どのようにアプローチすべきか可視化されるので、コミュニケーション戦略を構築しやすくなります。

なぜコンセプトダイアグラムを通じて顧客理解を行うことが必要なのか

コンセプトダイアグラムによる顧客理解の促進が必要な理由は、BtoB特有のデジタルコミュニケーションにあります。

BtoBデジタルコミュニケーションではナーチャリングステップが重要

BtoBのデジタルコミュニケーションでは、一般消費者向けのBtoCとは異なり、複雑な購買プロセスが伴うためファーストセッションで購買行動やお問い合わせに到達することはほとんどありません。複数の接点を通じて、ユーザーに商品やサービスを段階的に理解してもらうナーチャリングステップが極めて重要です。このステップを適切に設計し、効果的なコンテンツと施策でサポートすることが、最終的なビジネスゴール達成の鍵となります。

顧客理解を踏まえた戦略的なナーチャリングステップ設計の必要性

デジタルマーケティングの本質は、ユーザーの心理と行動の変容を促すことにあります。購買プロセスを進むユーザーがどのような課題を抱え、どのような情報を求めているのかを理解し、そのニーズに応えるコンテンツや施策を都度提供することで、ナーチャリングステップを一歩づつ進んでもらうことが重要です。つまり、マーケティング側には戦略的なナーチャリング設計が求められます。

この戦略的なナーチャリングステップを設計するために役立つフレームワークが「コンセプトダイアグラム」です。コンセプトダイアグラムによって、ユーザーの心理、課題、求める情報をステップごとに明確化し、各ステップに応じたコンテンツや施策が考えられ、戦略的なナーチャリングステップを設計することが可能になります。

コンセプトダイアグラムを作成するメリット

コンセプトダイアグラムを作成する主なメリットは、以下の6点です。

1. デジタルマーケティング施策の全体像を可視化できる

全体的な戦略が可視化され、どの施策がどのフェーズで必要か明確になります。これにより、施策間の連携が強化され、シナジー効果を生み出します。

2. ユーザーの心理・行動変容を可視化できる

各施策やコンテンツがユーザーに対してどのような心理・行動変容を狙っているのかが明確になり、効果的な施策の実行、コンテンツの提供が可能になります。これにより、ユーザーを購買プロセス内で適切に誘導できます。

3. コンテンツの目的を明確にできる

ナーチャリングステップ上に配置されるコンテンツ群が、どの段階にいるユーザーを、どのステップに誘導するか、すなわち各コンテンツの目的が明確になります。

4. コンテンツの過不足が把握できる

ユーザーの購買プロセスに対して、必要なコンテンツが揃っているか、過剰になっていないか確認できます。特定のステップでコンテンツが不足している場合、その部分がボトルネックとなりえますが、コンセプトダイアグラムを通して弱点を可視化し、対策することができます。

5. デジタルとリアルの役割分担を明確にできる

デジタル上で行うオンライン施策と、営業施策などのオフライン施策の役割分担が可視化され、シームレスな顧客体験が提供できます。企業内部での効率的なリソース配分と連携が可能になり、各部門が自分たちの役割と責任を正確に理解し、効果的な戦略実行が実現します。結果として、顧客に対して迅速かつ適切な対応が可能となり、顧客満足度の向上やビジネスチャンスの最大化につながります。

6. 営業に渡されるリードの質を向上させることができる

インサイドセールスから営業へ渡すべきリードの質について、コンセプトダイアグラムに応じて条件付けをすることで、一定のナーチャリングステップを進んだリードを選定することができます。その結果、質の高いリードを営業へ渡すことが可能になります。

コンセプトダイアグラムの構成要素と読み方

ここからは、コンセプトダイアグラムのサンプルを用いて構成要素と読み方を簡単に説明します。

左上:ユーザー像の明確化

  • ユーザー像の設定:具体的なユーザー像を一つに絞ります。異なるユーザー像が存在する場合は、それぞれ別のコンセプトダイアグラムを作成します。

縦軸と横軸:心理変容の可視化

  • ユーザーの気持ちの変化を軸に設定:縦軸と横軸でユーザーの心理的な変化を表現します。
    - 例:横軸「製品ができることが分かる」、縦軸「使ってみようと思う」
  • 軸の深まり:これらの軸が深まることで、最終的にビジネスゴールに到達します。

右下:ゴールの設定

  • ビジネス上の最終目標を記載:購入や契約といった最終的なゴールを明示します。これにより、全ての施策がこのゴールに向かって設計されます。
  • デジタルコミュニケーション上のゴールの記載:デジタルコミュニケーション上のゴール(例:お問い合わせ、資料請求)も記載します。BtoBマーケティングではお問い合わせや資料請求がデジタル上でのゴールとなり、ステップの途中に記載することになります。

行動変容のステップ

  • ユーザーの心理・行動の変化をステップごとに記載:ユーザーの心理・行動を矢印で結び、ユーザーがどのようなプロセスを経てゴールに至るかを示します。
  • フローの柔軟性:一方通行でなく、分岐やループも表現可能です。
  • 次のステップは右、もしくは下に向かうように記載し、左や上に行くことがないようにします。

コンテンツのマッピング

  • 各ステップに対応するコンテンツを配置:ユーザーのステージに合わせて、適切な情報を提供します。

オフラインコミュニケーションの表記

  • 営業活動などのオフライン施策も含める:デジタルとリアルの接点を明確にし、シームレスなユーザー体験を提供します。
  • 営業タイミングの最適化:どのステップで営業が介入すべきかが明確になります。

コンセプトダイアグラムは運用面でも価値を発揮する

コンセプトダイアグラムは、作成後も運用面で機能するフレームワークです。

デジタルマーケティングの拠り所としての役割

コンセプトダイアグラムは単なる作業フローではなく、全社のマーケティング施策の基本となる「戦略の拠り所」として活用されます。新たな施策を検討する際や、予算を配分する際など、常にこのコンセプトダイアグラムを参照することで、全てのアクションが顧客理解をもとに統一された目標に向かっているか確認できます。

長期的な改善と見直しのツール

コンセプトダイアグラムは一度作成して終わりではありません。市場環境や顧客のニーズが変化する中で定期的に見直し、必要に応じてアップデートすることが求められます。特に、新たなサービスや製品をリリースする際には、コンセプトダイアグラムを通して顧客理解をし、長期的な改善のためのツールとして運用することが重要です。

イントリックスの「デジタルマーケティング戦略策定・全体推進サービス」のご案内

コンセプトダイアグラムの作成をはじめとしたデジタルマーケティング戦略策定に興味をお持ちの方は、ぜひイントリックスの専門サービスをご利用ください。
徹底的なビジネス理解や関係者とのコミュニケーション、現状調査を通じて、最適な戦略・システム・運用基盤の全体像を設計。デジタルマーケティングのあるべき姿とロードマップが可視化されることで、組織や予算編成、関係者との合意形成がスムーズになります。

  • 専門的なコンサルティング:経験豊富なコンサルタントが貴社の課題に合わせてサポートします。
  • ワークショップの実施:組織全体での理解と協働を促進するワークショップを提供します。
  • 事業部・部門間コミュニケーションのファシリテーション:各部門間のコミュニケーションが円滑にできるよう、第三者の目線からサポートします。
  • 最新トレンドを踏まえた戦略提案:デジタルマーケティングの最新動向を踏まえた戦略提案を行います。

まとめ

コンセプトダイアグラムは、BtoBマーケティングにおける顧客理解を深め、戦略的なデジタルコミュニケーションを実現するための強力なフレームワークです。ユーザーの心理変容を的確に捉え、適切なコンテンツと施策を提供することで、ビジネスゴールの達成につなげることができます。

戦略が明確になれば、施策の効果も高まり、評価や改善も容易になります。ぜひこの機会にコンセプトダイアグラムを活用し、デジタルマーケティング戦略を次のレベルへ引き上げましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。皆様のデジタルマーケティング戦略がより効果的なものになることを心より願っております。

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