BtoBマーケティングコラム RFP(提案依頼書)とは?作成の方法や注意点、確認事項について詳しく解説

2023年3月16日

RFPとは

RFPとは「Request for Proposal」の略語です。

日本語では「提案依頼書」とも呼ばれ、企業がWebサイトの制作や情報システムを発注する際に、「制作会社」やシステムの「開発会社(SIer)」・「販売会社(ベンダー)」などへ渡す資料になります。

また、RFPと似た用語に「RFI(情報提供依頼書)」というものもありますが、それぞれの違いについては後述します。

一般的に、RFPには主に以下のような事項を記載します。

  • プロジェクトの目的・目標
  • 現在の課題・解決策
  • 必要な・不必要なコンテンツや機能
  • 制作や開発にかける費用
  • 導入スケジュール(運用開始予定)
  • 運用、保守、セキュリティ体制などの開示

制作会社やSierから最適な提案をもらうために、自社の現場や課題、必要な機能などを記載しておきましょう。

RFPの取り交わしをせず契約すると、プロジェクト開始後の混乱を招きやすく非効率です。最悪の場合、契約不履行に発展することもあります。

RFP作成

企業がWebサイトの制作やシステム導入・構築をするとき、発注者と受注者の間で「意思疎通」をスムーズにするためにも、RFPの作成はとても大切な作業です。ここからは、RFP作成の目的や意義、注意点、作成の流れについて解説していきます。

RFP作成の目的

RFPを作成する大きな目的は「発注者と受注者の相互理解」をより深めるためです。発注側が受け身になり過ぎたり、発注側の意図がうまく伝わらないと、制作やシステム導入に失敗する可能性が高くなります。

また、発注側が開発内容に関する理解をより深めた上で、RFPを作成して受注側へ伝えることによって、自社の目的や意図をしっかりと汲み取った最適な提案を、受注側から受けることができるでしょう。

発注側と受注側の「認識のズレ」をなくし、期待通り、もしくは期待以上の成果を出すためにも、RFP作成は重要な作業です。

RFP作成の意義

RFPを作成する意義は「自社にとって最適なWebサイトやシステムを構築」することにあります。そのためには、発注する側が主体的に情報を提供することで、受注側との意思疎通・コミュニケーションをよりスムーズにしていくことが大切です。

発注側は、自社が必要としている機能だけでなく、導入の目的、使用する部署や規模、自社の課題や問題点、不必要な機能など、より具体的な情報を伝えるようにしましょう。そうすることで、認識のズレ、確認不足、勘違い、といったことで発生するトラブルを、事前に回避することができます。

RFP作成の注意点

RFPを作成する際には、以下に挙げた5つの注意点を考慮しておきましょう。

  • 曖昧な表現を避ける
  • 現実的な要件を記載する
  • 不足がないようにする
  • 目的や目標を伝える
  • 伝わりやすい文章にする

RFPは複数の制作会社/SIerに提示することがありますが、受注側によって回答が変わる曖昧な記載は避けてください。たとえば「データ抽出ができる」と記載した場合、できると回答する業者もあれば、独自システム以外であれば可能と条件付きで回答する業者もいます。ですから「当社の独自システムからデータ抽出ができる」という具体的な表現をすると良いでしょう。

また、クリエイティブやシステムに期待するあまり「誇張した表現」で記載しがちですが、コストが跳ね上がる可能性もあるので、目的や目標を含めて「現実的な要件」を記載してください。後から要件を追加することは受注側の混乱を招きますから、自社でしっかり検討してから作成しましょう。

RFPを作成するときも「5W1H」を意識することで、内容が伝わりやすくなります。

RFP作成までの流れ

社内で新システム導入・構築が決定したら、いよいよ「RFPの作成」に入ります。概ね、以下の流れで進めるのが一般的です。

  1. 社内検討
  2. プロジェクトチームの発足
  3. 課題や目的を社内で精査
  4. RFPの策定
  5. RFPを出し、提案依頼をするベンダーの選定

まず社内で、システム導入・構築の規模、スケジュール、コストなどを検討していきます。それと同時に、どの部署が主となってRFPを作成するのかも決めてください。さらに、RFP作成のプロジェクトチームを立ち上げ、意思決定をする場としての定期会議も設けておきましょう。

その後、プロジェクトチームを中心に、社内でヒアリングをしたり、関係部署とのミーティングを重ねていき、現状の課題や問題点、システム導入の目的・目標などを決めていきます。

RFPに必要な情報が集まったら、すでに説明したRFP作成の注意点などを考慮しつつ、提案書を作成しましょう。そして受注業者をリストアップし、完成したRFPをもとに提案を依頼する選定作業を進めてください。

RFPを作成するメリット・デメリット

RFP(提案依頼書)を作成しておけば、システム発注側と受注側(SIer/ベンダー)の間で意思疎通が図りやすくなり、お互いの「認識のズレ」をなくすことができるというメリットがあります。これ以外にもRFP作成によるメリットはいくつかあり、システム導入の手助けになるでしょう。

一方で、RFPを作成することで生じるデメリットもあります。ここからは、RFP作成による「メリット」と「デメリット」について解説していきます。

RFP作成のメリット

RFPを作成するメリットは多岐にわたりますが、大きなメリットとしては以下のことが挙げられます。

  • 制作会社/SIerから精度の高い提案をもらえる
  • 制作会社/SIerに個別説明をする手間が省ける
  • 誤解やトラブル発生のリスクを抑えられる

システムを受注する制作会社や開発会社(SIer)・販売会社(ベンダー)に対して、自社の要望だけではなく、課題や問題点なども記載しておくことで、より精度が高く、期待する以上の提案をもらえるでしょう。

さらにRFPを作成しておくことで、各SIerやベンダーごとに個別説明をする必要がなくなり、システム業者選定に関する業務を、大幅に効率化することができます。

また、RFPがあることによって発注側と受注側で「言った言わない」のトラブル(主に価格調整)を、事前に回避することができます。RFPで自社の要望を明文化しておくことにより、SIerやベンダーから現実的な提案を受け取ることができるでしょう。

RFP作成のデメリット

RFPを作成するには、関係部署への聞き取り、詳細な要件の記載など、複数の作業工程を重ねていく必要があり、RFP作成には少なからず時間と手間がかかります。RFP作成に慣れていないと、負担に感じてしまうかもしれません。それでも、よいシステムを導入するためにRFP作成は欠かせませんし、導入後の効率化を考えればメリットの方が大きいです。

さらに、システム導入前にRFPを作成する工程が加わるため、システムの導入・構築に着手するまでに時間がかかってしまいます。RFP作成には、経営課題や業務上の問題点なども抽出しながら要件を決めていく必要があるため、複数の関係部署を巻き込んでの作業になることがほとんどです。経営陣が「システム=システム部」といった古い体質である場合、あらかじめ「RFP作成への理解」を得ておく必要があるでしょう。

RFP作成にはこのようなデメリットもありますが、システム導入後のパフォーマンスを考慮すれば、大きな問題ではありません。

RFPを作成しないと生じる問題点

もしも、システムの導入や構築のタイミングで「RFPを作成しない」と、以下のように様々なデメリットやリスクがあります。

  • 各システム会社に個別説明が必要となる
  • 社内全体の理解が得られにくい
  • 発注後に誤解やトラブルが生じやすい

複数のSIerやベンダーから提案をもらって業者選定をしたいとき、RFPのような提案書を作成していないと「個別に相談」しなければならず、かなりの手間と時間が必要になります。RFPを作成しておけば、SIerやベンダー選定にかかる時間を大幅に減らせるでしょう。

また、RFPを作成していないと「社内で情報共有」することが大変なので、関連部署や経営陣を含めて、社内全体の理解を得ることが難しくなります。

さらに、RFPとして明文化しておかないと、SIerやベンダーとの間に誤解が生じやすくなります。その結果、期待したシステムを導入できないだけでなく、最悪の場合、訴訟などのトラブルに発展することもあります。

RFP作成を成功させるために知るべき4つのポイント

システム導入・構築を成功させるために「質の高いRFP」を作成するポイントは、主に以下の4つです。

  • RFPと要件定義書の違いを理解
  • RFPとRFIの違いを理解
  • RFPに記載すべき項目を知る
  • RFP作成前に社内での確認を怠らない

これらのポイントを押さえながらRFPを作成していけば、自社の課題や問題点を解決できる、より効果があるシステムを導入・構築することができます。システムの成否は、RFPにかかっているといっても過言ではありません。

RFPと要件定義書の違い

1つ目のポイントとして「RFPと要件定義書の違い」について理解しておきましょう。簡単に違いを説明すると、以下のようになります。

  • RFP(提案依頼書):発注側の企業が、制作会社/Slerに対して「具体的な提案」をする
  • 要件定義書:受注側の制作会社/Slerが、発注企業に対して「実施する内容」を示す

発注側が作成するRFP(提案依頼書)は、上述の通り、発注者が制作会社/Slerに対して依頼内容を伝えるためのものです。

一方、受注側のSler/ベンダーが作成する要件定義書は、構築に入る前に、Web制作やシステムに実装する範囲や内容などをより具体的に記載したもので、目的としては発注側との認識を合わせておくことです。通常、要件定義書はRFPより詳細度が上がり、機能単位で実装すべき内容、しない内容が具体化されています。要件定義書の合意をもって、その後の構築に着手する場合が一般的です。

RFPとRFIの違い

2つ目のポイントとして「RFPとRFIの違い」についても、理解をしておきましょう。それぞれ作成する目的は、以下のように異なります。

  • RFP(提案依頼書):SIer/ベンダーから「具体的な提案」を受けるため
  • RFI(情報提供依頼書):SIer/ベンダーから「情報収集」をするため

先ほど説明したように、RFPとは「提案依頼書」とも呼ばれ、発注側の企業がシステム導入・構築の目的や要件などを詳しく記載した書類で、受注側である制作会社/SIerから具体的な提案をもらうために作成します。複数のSIer/ベンダーでコンペを開催したり、相見積もりを取るときにも必要になります。

一方、RFIとは「情報提供依頼書」と呼ばれるもので、制作会社/SIerに対して「御社の製品やサービス情報について教えてください」と依頼する書類です。一般的には、製品カタログ、パンフレット、事例集などで回答がされ、Webサイトには記載されていない情報を得ることができます。

RFIは、複数のSIer/ベンダーから会社の基本情報、取り扱っている製品・サービスの情報などを幅広く集めることが目的で、このRFIで収集した情報をベースにしてRFPを作成していきます。

RFPに記載すべき項目

3つ目のポイントとして「RFPに記載すべき項目」についても知っておきましょう。一般的には、以下の項目を中心に記載していきます。

概要 本プロジェクト全体に関する情報、自社に関する情報(正式な社名や所在地など)、簡単な挨拶も入れる
背景 プロジェクトに至るまでの経緯、現状の課題と問題点、ボトルネックになっている部分をどう改善したいかなど、できるだけ具体的に
目的 売上アップ、業務効率化、データ管理・分析、顧客体験の改善など、プロジェクトの目的を明確に
目標 プロジェクトで達成する目標を「数値」を用いて、定量的な目標として記載する
要件 プロジェクトの目的に応じて、どのような機能やコンテンツを実装したいか、不必要な機能などを記載
予算 自社が割ける予算によって提案内容が変わるので正確に記載。「予算を超過しても必要と考えられる提案は検討したい」などの意思を表明することで、幅を持たせても良い
期間 具体的な日付を記載しておく。たとえば「〇〇月△△日から稼働開始」というように

これらの項目は、あくまでも一般的なものです。

自社の課題や問題点、解決したい内容によっては、これ以外の項目が必要になることもあります。また、当社の権利、検収・支払条件、瑕疵担保責任、秘密保持契約、というような契約に関する情報を記載しておくと、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

RFP作成前に社内で確認しておくべきこと

4つ目のポイントとして「RFP作成前に社内で確認しておくべきこと」についても、一通り把握しておきましょう。最低でも以下のことは、事前に確認してください。

  • プロジェクトの体制と担当者
  • 経営陣の理解
  • 各部署にどういった情報があるか
  • 他部署とのスムーズな連携
  • 予算やスケジュール

RFP作成から制作会社/Slerへの依頼までを1つのプロジェクトと位置付け、どの部署を巻き込むのか、誰を担当者にするのか、などを決めておきましょう。プロジェクトを進めていくには「人・モノ・金」が必要になるため、事前に経営陣の理解・承認を得ておくことも重要です。

また、社内データを一元管理しておらず、各部署ごとにデータ管理をしている場合は、それぞれの部署にどういったデータや情報が蓄積されているかを確認してください。

どの部署をプロジェクトに巻き込むかを決める上でも、データの所在を把握することは大切です。関係部署を巻き込みながらプロジェクトを円滑に進めるには、意思決定機関を設置したり、定期的な会議を実施することが必須になります。

さらに、経営陣との話し合いを重ねながら、プロジェクトにかかる具体的な予算とスケジュールを決定しておきましょう。

まとめ

RFPは「提案依頼書」とも呼ばれ、システム導入・構築をする際に「発注側の企業が、受注側である制作会社や開発会社(SIer)・販売会社(ベンダー)に向けて」作成する書類です。このRFPを作成することで、発注側と受注側の相互理解が深まり、自社にとって最適なシステムを導入・構築することができます。さらに、認識のズレや誤解によるトラブルを、未然に防ぐことも可能です。

また、RFPと似たような書類に「要件定義書」や「RFI(情報提供依頼書)」といったものがあり、これらの書類とRFPの違いについても理解しておきましょう。そして、RFPに記載すべき項目をあらかじめ知っておくことで、より中身が濃いRFPを作成することができます。

さらに、RFPを作成する前には、プロジェクトの体制・担当者を確認し、経営陣の理解を得ながら、具体的な予算やスケジュールを決めておきましょう。そうすることで、よりスムーズにRFPを作成することができます。

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