BtoBマーケティングコラム DX(デジタル・トランスフォーメーション)の定義とは? 各国の現状をまとめて紹介

2023年1月31日

日本のDXの定義

昨今、DXの必要性がさけばれるようになりましたが、そもそもDXとはどういう意味でしょうか。

経済産業省のDXレポートには以下のように記載されています。

「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」

上記を整理すると、

  • 市場の変化に対応すること
  • 内部にも変革を起こすこと
  • デジタル技術によって生まれた新たなプラットフォームを活用すること
  • 顧客体験そのものを刷新することで競争優位性を確立すること

この4点が重視されています。

【出典】経済産業省 デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会
DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(p.4)

2018年の経済産業省の「DXレポート」

経済産業省は2018年にDXレポートを公表し、これをきっかけに日本でもDXが注目されるようになりました。DX推進における現状と課題、対応策の検討とがまとめられています。

多くの企業が抱えている課題としては「レガシーシステム」が取り上げられています。既存システムの機能追加や改修を繰り返していくうちに複雑化し、またドキュメントの整備もされておらずブラックボックス化してしまった等の問題を抱えたシステムのことを指します。

DXレポートによれば、約7割の企業が、老朽化したシステムがDXの足かせになっていると感じているそうです。レガシーシステムの維持・保守に、時間・お金・人材のコストが割かれており、新しい試みを集中的に進めづらい状況が生まれてしまっています。

ITシステムの刷新には経営戦略が欠かせず、また経営戦略の実行には組織体制の見直しや業務進行の仕組みを構築することも必要です。

議論は現在も引き続き行われており、2022年7月には「DXレポート2.2」の概要が公表されています。

【参考】経済産業省 デジタル産業への変革に向けた研究会「DXレポート(概要)2.2

DXレポートが生まれた背景

2018年に発表されたDXレポート。その背景には「2025年の崖」という経済的な懸念があります。日本企業の多くの経営者はDXの必要性を感じているものの、レガシーシステムの問題などもあり、本格的な着手には取り組めていないのが現状です。

この状態が改善されないまま継続した場合、日本企業の競争力は低下していき、2025年以降に最大で年間12兆円の経済損失が生じるという試算がされています。

「2025年の崖」とは、その分岐点となるタイミングを端的に表したものです。この最大で年間約12兆円という値は現在の約3倍で、こういった現状認識や改善案の議論をまとめたものがDXレポートです。

現状を改善せずに放置した場合のシナリオとして、レガシーシステムのサポートをする人月商売から脱却できないまま衰退していくという推測が記載されています。

また2025年に起こりうることとして、IT人材の不足が43万人まで拡大する、古いプログラミング言語を書ける人材の供給ができなくなるなどの問題も指摘されています。

DX推進指標とは

経済産業省は各企業のDX推進を後押しするものとして「DX推進指標」を作成しました。経営者や社内の関係者が、質問に答えていくことで簡易的な自己診断を行えるようになっています。

内容は大きく分けて、経営者のあり方や会社組織の仕組みに関するものと、ITシステムの構築に関するものとで構成されています。前者は、ビジョン・事業戦略のロードマップ化・人材育成などについて、後者はITシステムに求められることや管理方法への評価ができる質問が用意されています。

事業部門やIT部門などが連携して議論を重ねながら回答していくことを想定しており、回答後はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)に提出することでベンチマークを作成してもらえるようになっています。自社が実施出来ていること・不足していることを把握し、次に行うべきことを考える目安としての活用が期待されています。

【出典】 経済産業省「デジタル経営改革のための評価指標(「DX推進指標」)を取りまとめました

世界のDXの定義

日本におけるDXの定義は、企業内外の状況・変化に応じながらデジタル技術を駆使して新たな顧客体験を生み出すことで競争力強化を図っていくことに主眼が置かれています。では他国ではDXについてどのような解釈がなされているのでしょうか。

DXの概念が初めて登場した際のニュアンスや、アメリカ・アジア・ヨーロッパでの捉え方や現状についてご紹介します。

2004年に誕生したDXの定義

DXの概念がはじめて登場したのは、2004年といわれています。提唱者は当時スウェーデンにあるウメオ大学で教授をしていたエリック・ストルターマン氏で、2022年12月現在は、アメリカにあるインディアナ大学で副学部長をつとめているようです。

同氏がエグゼクティブアドバイザーを務めている株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所によると、

“人々の生活のあらゆる側面に、デジタル技術が引き起こしたり、影響を与える変化のことである”

とあります。2004年当時の定義では、経済産業省のいうようなビジネスにおける変革だけでなく、デジタル技術と人々の生活の関係について言及していたことがわかります。また「美的体験」という用語が用いられ、利用者の体験を重視した評価手法の開発が必要だと述べられているようです。

【出典】株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所「【DXの定義の解説②】エリックストルターマン氏定義(2004年)

アメリカにおけるDXの現状

ニューヨーク情報サービス産業懇話会(JIF)のニューヨークだより「アメリカにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状」の内容を要約してご紹介します。

同資料によると、2018年時点でのアメリカのDX推進状況は、DX戦略をすでに推進中または戦略策定中の企業が全体の7割にのぼっています。しかし、DXに積極的に取り組んでいる企業のうち実際に成果をあげられている企業は30%にも満たないようです。

石油・ガス、自動車、インフラ、製薬といった業界では全体の4〜11%、デジタルテクノロジーの活用が進んでいるハイテク、メディア、テレコム等の業界でも、DXによる成果が出ている企業は全体の26%に留まっています。

またDXの推進に欠かせない重要な要素として、CEO含む経営幹部によるDXの理解と支援が挙げられています。特に大規模な組織では部門間連携を積極的に行う仕組みになっていない企業が多く、経営者の理解・支援無しに部門間連携を前提とした業務プロセスの構築や組織再編実現は難しいと考えられているようです。

【出典】JETROニューヨークだより「アメリカにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状

アジアにおけるDXの現状

マイクロソフトのNews Centerによると、オーストラリア、中国、香港、シンガポール等の金融業界のビジネスリーダーへの調査を行なったところ、81%がDXの重要性を認識している一方で、全体戦略があるという回答は31%、戦略はあるが限定的またはまったくないという回答が16%という結果だったようです。

【出典】マイクロソフトNews Center「アジアにおける金融機関の 81% が、ビジネス成功のカギはデジタル化であると回答

続いて、株式会社 Cogent Labs(コージェントラボ)のブログによると、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した世界デジタル競争力2020では、シンガポールや香港、韓国といった国が上位10位圏内にランクインしている一方で日本は27位にとどまっています。

【出典】株式会社 Cogent Labs「海外諸国におけるDX事情 ASEAN編①

また経済産業省の調査「令和2年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる 国際経済調査事業」によればASEAN+インドへの投資が2016年より急増し、配車アプリの「Grab」やインドの巨大ECモール「Flipkart」などが目立ってきています。

【出典】経済産業省「令和2年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる 国際経済調査事業

業界全体でDXが大幅に進捗しているとはいえませんが、重要性の認識は浸透しており、また日本よりも勢いのあるアジア諸国が増加しているといえるでしょう。端的にいえば、日本は他のアジア諸国と比較してDXへの取り組みが遅れており、2018年に経済産業省がDXレポートを発表したことの背景にはこのような危機感もあります。

ヨーロッパにおけるDXの現状

日本総研の資料によると、EUにおけるDXは経済成長のみならず生活の質を向上させ得る取り組みだとされているようです。また日本経済研究センターの調査リポートでは、欧州委員会はEU域内の各国で共有可能な評価指標の検討や中小企業へのDXの浸透を重視していると記載されています。

【出典】経済産業省「スマートかつ強靱な地域経済社会の実現に向けた研究会

【出典】日本経済研究センター「欧州のデジタル・トランスフォーメーション(DX)-フィンテックは新たな段階へ-

日本の経済産業省は、競争力低下や経済損失への懸念から大企業のレガシーシステムの刷新など技術的な問題の解決に重点をおいていますが、一方のヨーロッパは中小企業への浸透を念頭に置いているようです。

DX推進の成果に関しては西欧や北欧が優位に立っており、西欧では特にイギリス、北欧ではスウェーデンにおいてDXが進んでいるようです。

また国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センターの調査では、EU域内のデジタル市場における米国系企業のシェアが半数を超えている(2015年時点)ことからEU独自のデータインフラの構築が目指されており、2021年からの7年間で82億ユーロを投じる「デジタル・ヨーロッパ」が推進されていると発表されています。

【出典】国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センター「EUのDX ~欧州デジタル戦略2020~(p.4-p.9)

DXと混同しやすい用語について

経済産業省のように競争力強化の手段として位置づけたり、ヨーロッパのように市民の生活まで視野に入れていたり、DXは絶対的な定義がなくイメージも掴みづらい概念です。またDXに似たような意味合いで、ハッキリと区別のつきにくい用語も存在します。

それらのなかから特に混同しやすい用語についてご紹介します。

DXとIT化の違い

DXとIT化とでは、意味する範囲が異なります。DXはデジタル技術を活用することでビジネスモデルや業務プロセスそのものを革新することを目指した用語です。一方のIT化は、既存の業務を効率的に進めることを目的にITを導入するといった意味合いが強いです。

DXは企業全体を覆う用語であるのに対し、IT化は社内の備品を整えることや個々の業務にITツールを導入するといったレベルの用語です。

例えば経費申請の処理を領収書などを用いて紙でおこなっていたものを、会計処理システムを用いて電子申請することはIT化のひとつです。経理部、営業部、マーケティング部など、部門間で取り扱うデータの形式を統一していくような動きはDXといえるでしょう。

デジタイゼーションとデジタライゼーション

「デジタイゼーション」は書類をPDFに置き換えるなど、アナログで管理していたものをデジタルに置き換えることを指します。タイムカードで行なっていた出退勤の管理をアプリケーションで行うようにすることもデジタイゼーションのひとつです。

勤怠管理をデジタルに置き換え、そのデータを用いて給与や源泉徴収の計算を自動化していくシステムを構築するようなプロセスを「デジタライゼーション」といいます。出退勤をアプリケーションに置き換えるデジタイゼーションを行なった結果として、出退勤の記録だけでなく給与計算の業務もアプリ上で進められるようになり、業務のプロセス自体に変更がかかっています。

業務にかかる手間を減らすことで余剰時間を生み、その時間を使ってさらに業務プロセスを改善し、最終的には新たなビジネスモデルを生み出していくことを目指します。

まとめ

DXの概念が初めて登場したのは2004年で、デジタル技術が人々の生活をより豊かにするという発想が中心にありました。現代の日本では競争力強化および「2025年の崖」を回避する手段として、経済産業省も調査や制度づくりに本格的な動きを見せています。

日本企業においてはレガシーシステムの維持・管理に資金・人材が投入されている状況がDXの推進を阻んでいます。DX推進を重視している企業の方々は「DX推進指標」など経済産業省の公表するツールや仕組みを活用しながら自社の状況を把握することが第一歩かもしれません。

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