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BtoBマーケティングコラム DXを社内で事業化するには?手順や注意点を解説
2023年2月8日
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DX事業とは
DX事業とはデジタル技術を活用して、業務効率化や組織・経営変革を実施することです。
現在、DX化を進められない企業は、大きな経済的損失を被ると予測されています。また、DXというのは単なる業務のIT化とは異なるものであり、自社の根本的な変革にも繋がるでしょう。
DX事業の概要
社内でDX事業が進んでいくと、デジタル技術により業務の効率化を図れ、組織や働き方の変革を根本から変えることが可能です。
例えば、業務のペーパーレス化、顧客管理ツールの導入、自社サイトの構築なども挙げられます。
こういった業務の効率化や生産性アップを目指すだけでなく、業務プロセスや組織変革を目指すことも社内のDX事業で注目すべき点です。
そうすれば、自社の市場における競争力がアップし、市場環境の変化へも素早く適応できるでしょう。
DX事業が必要な理由
DX事業を推進している企業と、DX事業に取り組んでいない企業では、利益や市場優位性など様々な面で格差が生まれているのが実情です。
経済産業省によると「DXが進まなければ2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と警鐘を鳴らすとともに「2025年までの間にDXが実現すれば、2030年は実質GDP130兆円超の押上げができる」とも予測しています。
また、大企業に比べて資金面や人材面で劣る中小企業にとって、DXは多くの可能性をもたらすものであり、企業間の格差を埋める戦略にもなるでしょう。
IT化との違い
DXは「Digital Transformation」の略で、デジタルによる変革や変容といった意味も含まれています。
しかし、DXとIT化を混同してしまっている経営者も多いです。
一般的にIT化というのは、既存の業務プロセスを維持しながら効率化や強化のためにデジタル技術を活用すること。一方DXは、デジタルの活用による業務効率化や生産性アップだけでなく、ビジネスモデルの変革や経営変革にまで踏み込むことです。
実際の現場では、単なるIT化で終わってしまうケースも少なくないので、IT化とDXの違いを理解しておきましょう。
社内のDXの推進で得られるもの
ここからは、社内のDX推進で得られるメリットについて、以下の3つを取り上げます。
- 消費行動や市場の変化への対応
- 生産性や業務効率の向上
- BCP(事業継続計画)の拡充
これらについて、もう少し詳しく説明していきます。
消費行動や市場の変化への対応が可能
自社のDX事業を推進していくことで、時代や環境の変化に応じて柔軟な対応が可能になります。
現在、ライフスタイルのデジタル化が急速に進んでいる中で、ユーザーの消費行動や市場環境も日々変化しています。また、こういった変化に素早く対応した新興企業が、あっという間に市場を席巻するケースも少なくありません。
自社のDX事業を進めることで、利益アップ、市場での優位性確立、事業の継続といったことが期待できるでしょう。
生産性・業務効率の向上
ITツールを活用することで「生産性」や「業務効率」がアップして、より多くのサービスや製品を創り出すことができます。それだけでなく、新たなビジネスモデルや事業領域への前進が可能になるでしょう。
DX事業の成果を実感しやすいのは、業務プロセスの自動化や省人化という点です。ITツール、AI、ロボットなどの導入により、ヒューマンエラーも確実に減りますし、業務の計画や改善、企画の立案などにより時間を費やせるでしょう。
BCP(事業継続計画)の拡充
自社のDX化を進めておくことで、急激な社会情勢の変化、緊急の災害時などに、主業務が停止してしまうリスクを回避できます。つまり、緊急時においても働き方に柔軟な対応ができるということです。
テレワーク、AIチャット、クラウドやIoTによる遠隔操作などは、分かりやすい代表例だといえるでしょう。
DX事業を進める際には「BCP(事業継続計画)の拡充」という観点も含めておくことで、より迅速な対応や、安定した事業の継続が可能になります。
DX事業開始からの流れ
自社のDX事業を始めるにあたって、まずは以下の流れを把握しておきましょう。
- 業務に役立つITツールの理解
- DX事業のビジョン明確化
- DX事業の目標設定
- PDCAの実行
この流れを知っておくことで、よりスムーズにDX化を進めることができます。
1.業務に役立つITツールの理解を深める
まずは、自社の業務プロセス改善に役立ちそうなITツールについて、どのような技術で、どういった活用ができるのかを理解しましょう。以下のITツールは、業務のデジタル化に活用される代表的なツールです。
- RPA:定型作業をロボットで自動化
- BIツール:自社データを集約して分析
- ERP:基幹業務を統合し、情報の一元化を図る
- RPA/VBA:事務作業を自動化
- MA/SFA/CRM:マーケティングを支援
また、ITツールだけでなく、AI・IoT・5G・VR/AR・HMIといったデジタル技術についても、理解しておきましょう。
2.DX事業のビジョンを明確にする
自社のDX事業を成功させるには「DXを通じてどうなりたいか」というビジョンを明確にしておくことが重要です。
自社のどの事業を成長させたいのか、どのように経営改革をしていきたいのか、新しいビジネスモデルに変革したいのかなど、なぜDXを推進したいのかを決めておきます。ビジョンを明確にしておくことで、具体的な目標や戦略を立てやすくなります。
また、自社のDX化を進めるには経営陣や関連部署とのコミュニケーションは欠かせません。DX事業のビジョンを明確にしておけば、経営陣や関連部署の理解を得られやすくなるでしょう。
3.DX事業の目標を設定する
ビジョンが決まったら、次にDX事業の目標を設定しましょう。
目標達成度を測定するために「KPI(重要業績評価指標)」も設定しておくことで、DX事業の進捗度合いを振り返ることができます。KPIを一言で表わすと、業務のパフォーマンスを計測するための指標です。
また、DX事業の目標を正しく設定するためには、自社の課題を明確にすることが大切です。どの部門の、どの業務に、どういった改善の余地があるかを明らかにすることで、適切なDX施策を決められるからです。この課題発見の作業をするときは、現場社員の意見をしっかり聞き取りましょう。
4.PDCAを実行する
自社のDX事業のビジョンにたどり着くためには、設定した目標を1つずつ達成していくことが最も近道です。そのために「PDCAサイクル」は欠かせません。計画・実行・評価・改善を繰り返しながら、自社のDX事業を進めていきましょう。
企業がDXを推進するとき、たった1回のサイクルで成果を出すことは稀です。ですから、PDCAサイクルを繰り返していくことが、DX推進で成果を出すためのポイントになります。
また状況に応じて、KPIの修正や施策の変更なども必要です。一時的な取り組みではなく、長期的な視点でDX事業を進めましょう。
DX事業を成功へ導くポイント
自社のDX事業を成功させるためには、いくつかポイントがあります。その中でも、以下の3つは特に重要です。
- DX事業へ関わる人材の確保
- 経営層がDX事業に関わる
- スモールスタートから積み重ねる
これら重要なポイントについて、ここから解説していきます。
DX事業へ関わる人材の確保
経済産業省は「DX人材不足」を大きな課題にも挙げており、自社のDX事業を成功させるために「DX人材の確保」は欠かせません。自社に適任者がいなければ、社外から登用する必要があります。ですが、長期的な視点に立てば、自社の中でDX人材を育成する方が強みになるでしょう。
自社内でDX事業に関わる人材を育成すれば、事業に最適なDX事業を進められ、そのノウハウを社内に蓄積することができます。そして、社内全体でDXに取り組む体制を作りやすいのも、自社でDX人材を育成するメリットです。ぜひ社内でDX人材を育ていきましょう。
経営層がDX事業にかかわる
DX事業をスムーズに進めていくには、費用や人材など多くのリソースが必要になります。そのため経営陣の積極的な関わりが、DX事業の成否に大きく影響するでしょう。また、経営陣が強いリーダーシップを持ってメッセージを発信することで、組織全体が同じ方向を向いてDX事業に取り組むことができます。
自社でDX事業を始めるときは、ビジョンを明確にしたり、数値目標を決めることも大切ですが、まずは旗振り役となる経営陣からの理解を得ることが重要です。必要だと判断すれば、新たな部署の立ち上げや、報酬制度の見直しなども提案していきましょう。
スモールスタートから積み重ねる
自社でDX事業を始めようとすると、それに反発する社員が出たり、ITツールを理解できない社員が出たりするケースがよくあります。ですから、社内全体を巻き込んで一気にDX化するのではなく、段階的に進めていくようにしましょう。まずは、低予算で取り掛かりやすいものから始め、徐々に積み重ねていくのがポイントです。
こうやって小さな成功事例を積み重ねていくことで、徐々に社員や他部署からの理解も得られるようになっていきます。そして、少しずつDX事業が社内に浸透してきたら、他部署との連携などもスムーズにできるようになるでしょう。
DX事業でビジネスモデルの変革に成功した企業の事例
それでは最後に、DX事業を通じてビジネスモデルを変革した企業の事例を紹介します。すでに日本にも、DX事業に着手して成功した企業がいくつもあるので、ぜひモデルケースとして自社のDX推進の参考にしてください。
株式会社三井住友銀行
三井住友銀行では、アプリの提供、ペーパーレス・印鑑レスによる手続き、お客様の声を自動分析、といったデジタル化を中心にDX事業を進めています。お客様の声を分析することで、迅速な顧客対応、新しいサービスの創出なども可能に。
そして、DX事業を推進できている理由の1つに、研修組織「デジタルユニバーシティ」の設立が挙げられます。講座コンテンツがeラーニングでも受講でき、従業員の専門スキルの習得サポートをしています。
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IT Leaders
「三井住友銀行、ビッグデータ分析技術を「顧客の声」に適用しサービス品質の向上へ」 -
三井住友銀行
「お客さまと共にDXを加速させていく。SMBCグループ全従業員対象のデジタル変革プログラム「デジタルユニバーシティ」が目指すもの」
大塚デジタルヘルス株式会社
大塚デジタルヘルスは、精神科医療の電子カルテデータ分析サービスを提供しています。これまで精神科では、特有の症状や病歴をデータ化するのが困難だったため、人工知能とクラウドサービスを組み合わせた「MENTAT」を開発しました。
これにより、数値化することが困難であった患者の症状や治療経過をデータ化することが可能になり、処方履歴とともに一元管理が容易に。この結果、患者やその家族への迅速な対応が可能になっています。
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大塚デジタルヘルス株式会社
「MENTAT®とは」
株式会社クボタ
クボタでは、建機・農機などの製品をグローバルに展開しているため、機材の修理対応のほとんどは現地の販売代理店に任せていました。これだと現地担当者の経験やスキルに依存するという課題もあったため、販売代理店のエンジニア向けに3Dモデル・ARを活用した故障診断アプリ「Kubota Diagnostics」を提供しています。
このアプリによって自動的に点検箇所や修理方法が表示されるため、ユーザー側のコスト削減にも貢献しています。
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株式会社クボタ
スマートフォンで建設機械の故障修理を効率化するアプリを開発
まとめ
社内でのDX事業とは、デジタル技術を活用して生産性向上や業務効率化を目指すだけでなく、組織や働き方、ビジネスモデルの変革を根本から進めていくことです。単なる業務のIT化ではないことを、しっかり理解しておきましょう。
そして、社内DXを事業化するためのポイントはいくつかあり、中でも「DXへ関わる人材の確保」はDX事業を成功させるためにとても重要です。自社でDX人材を育成するには時間がかかりますが、長期的に考えるとメリットはとても多く、育成のための補助金制度を利用することもできます。
他にも、経営陣が積極的にDX事業に関わること、身近な業務改善から段階的に進めること、なども社内DXを成功させるポイントです。
当社イントリックスでは、主にマーケティング、営業DXをメインの領域として全体戦略策定から、具体的な施策のご提案、伴走支援まで幅広くサービスをご提供しています。DXをご検討される際には、ぜひ一度、当社へお問い合わせください。
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