BtoBマーケティングコラム 会社のWebサイト制作!基本的な流れや費用・後悔しないサイトのポイントを解説

2023年2月13日

Webサイト制作の基本的な流れ

Webサイトの種類は数多くありますが、どのようなサイトであっても制作の流れは大きく変わりません。依頼先を探す前にざっくりとでも把握することをおすすめします。事前に把握しておくことで、費用や制作期間についても理解が進むでしょう。

1.Webサイト制作の目的やゴールを確認

何のためにWebサイトをつくるのかを確認します。コーポレートサイトであれば自社情報を企業内外の人に広く届ける、製品サイトであればインターネット上での売上を伸ばすこと、採用サイトはその名の通り人材獲得が目的となるでしょう。

上司やWebサイトの更新担当者、依頼先など、関係者間で認識を共有するためにもこの工程は重要です。

2.ターゲット定義

誰向けのWebサイトなのか、ターゲットを具体的に定義しています。例えば製品サイトの場合、顧客になり得る人の業種・企業規模・職種・役職を整理します。

その上で、可能であれば各ターゲットのペルソナを作成することをお勧めします。ペルソナを作成することで、各ターゲットの持つ課題や、どのような情報を求めているのかが明確になり、コンテンツ企画に活かすことができます。

3.ターゲットの態度変容プロセスを可視化

次に、ターゲットユーザーとオンライン上で接点を持ってから、ゴール(お問合せなど)までの全プロセスと、各プロセスにおいて起こしたい態度変容を整理します。

これはできるだけ実態に即した内容であるほど効果的です。営業や採用担当者など、ターゲットを良く知る社員に協力を仰ぐことをお勧めします。

一般的にはこのような情報をまとめたフレームワークを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。イントリックスでは、より顧客などターゲットの視点で整理するためのフレームワークを用いており、「コンセプトダイアグラム」や「態度変容プロセスモデル」と呼んでいます。

4.競合を調査・分析

競合企業の施策を調査・分析します。競合調査には2つの意味があります。

ひとつは競合の取っている戦術を知ることで、自社の戦術(=どう勝つか)を考えるための材料にするためです。特にマーケティングや営業が目的である場合には、競合調査が非常に重要になります。調査対象はWebサイトのみならず、広告・SEOなどの集客や、SNSでの認知獲得、メールマーケティングの活用状況なども含まれます。

ふたつ目は競合の良い部分を知り、自社のWebサイトに応用するためです。競合企業のWebサイトは、同業界・同一ターゲットに向けて作られているため、深掘りして調査することで、自社がまだできていない点、応用可能な点が多く発見できます。自社よりデジタルマーケティングへの取り組みが進んでいる競合企業であればなおさらです。

こういった目的で調査する際は、Webサイトに用意されているコンテンツや機能、ナビゲーションの設計、ビジュアルの使い方などの表現手法、メッセージの伝え方などを中心に調査するケースが多いです。

5.データ分析

すでにあるWebサイトのリニューアルの場合、Google Analyticsを用いてアクセスログを分析し、どこに課題があるかを調査します。ただ、Google AnalyticsではWebサイトに訪問しているユーザーの属性(潜在顧客なのか、または採用応募者なのか、など)までは分かりません。

そこで、必要に応じてMA(マーケティングオートメーション)の情報をGoogle Analyticsのログと統合し、より具体的に「どの会社の誰が」取った行動なのかを分析することで、より解決すべき課題を明らかにする分析をすることもあります。

さらにSFA(セールス・フォース・オートメーション)のデータとも組合せ、受注状況まで繋いで改善点を抽出することもできます。

サイト制作の前にどこまでデータ分析を実施するかは、目的によって変わります。営業・マーケティングを目的としたWebサイトであれば、アクセスログにMAやSFAのデータを合わせた分析を実施することをお勧めします。

6.Web制作に必要な情報を集約(要件定義)

目的や施策の全体像が掴めてきたらWebサイトに掲載したい情報や機能を洗い出す作業を行います。これは「要件定義」と呼ばれる工程で、制作会社などは要件定義に基づいてWebサイト制作を進めます。

要件定義において重要なのは、「何を、誰が、いつまでに、どの品質で作るのか」を明確にすることです。同時に「何をやらないのか」をハッキリさせることも重要です。ここが曖昧だと、開発工程に入ってから関係者間に認識の齟齬が生まれ、遅延などのリスクになりかねません。

IPAの資料には「要件定義は発注者の責任である」と記載されており、また要件定義を曖昧にしたまま発注すると開発コスト増や品質低下の恐れがあると指摘されています。

IPA「超上流から攻めるIT化の原理原則17ヶ条」(20ページ)

7.サイトマップを作成

サイトマップとは、Webサイトの全体構造を一覧できる図のことです。一般的に以下の2種類のドキュメントを指すことが多いです。

・ハイレベルサイトマップ

Webサイトの全体像が把握しやすいように、ツリー上に構造を示した図です。

通常、「製品詳細」など複数ページに及ぶページは1つに省略されます。全体を俯瞰的に見て、抜け漏れがないか、情報の親子関係など、構造的な問題がないかを確認するために使用します。

・ページリスト/ディレクトリマップ

制作する全ページを一覧化し、それぞれのURLや、タイトルなどを掲載したリストです。場合により、「新規制作」「移行」「削除」など旧サイトからの変更内容や、meta情報、リダイレクト前のURLなども入れて管理することがあります。

最終的に制作するページに抜け漏れはないか、企業と制作会社の間で最終確認をするために使用します。同時に、URLはWebサイトの構造をGoogleやYahoo!Japanなどの検索クローラーに伝える上で適切なものになっているか、という点も確認が必要です。

8.コンテンツ企画

コンテンツ企画とは、トップページや下層ページに掲載する情報を検討していく工程です。

多くの場合サイトマップの作成と並行して進めていくことになるでしょう。自社が訪問者に伝えたい情報は何か、反対に訪問者が欲している情報は何か、双方の視点から見つめていきます。

自社サービスや商品の情報について、詳細は別途資料で伝えるなどの使い分けも検討しましょう。

9.ワイヤーフレームの作成

ワイヤーフレームとは、Webサイトの各ページについて大まかなレイアウトを作成した図のことです。

ロゴはどこに配置するのか、どの情報を目立たせたいのかなど、ページ内での優先順位に基づいて見た目や配置を仮決定していきます。

制作会社によって、ディレクターが作成する場合もあればデザイナーが作成する場合もあります。INTRIXにはインフォメーションアーキテクトと呼ばれる設計の専門職が複数名在籍しており、彼らがワイヤーフレームの作成を担っています。

10.SEO対策・マーケティング設計

SEOはSearch Engine Optimizationの略称でGoogleやYahoo!などの検索エンジン上で自社サイトが上位に表示されるようにする施策のことをいいます。マーケティング設計は、Webサイトの戦略上の位置づけ、訪問から問い合わせ・資料請求までの流れを組み立てることを指します。

SEO対策とマーケティング設計の双方がうまく噛み合うことで集客効果が高まります。

11.KPI・中間KPIの設計とデータ計測基盤構築

各ページのワイヤーフレームが固まり、マーケティング設計が済んだタイミングでKPI・中間KPIを設計します。特に中間KPIをこのタイミングで定めておくことで、開発時にログが確実に取れるように設定しておくことが可能になります。必要に応じ、Looker StudioやTableauなどを用いたダッシュボード開発も検討します。

取得したい指標が定まったら、Google Tag Managerなどを用いてデータ取得のための設定を進めます。この作業はWebサイトの開発作業と同時期に実施することが通常です。

12.デザインコンセプトの設計

コンテンツ企画では内容を重視しますが、こちらではサイトを利用者が見たときに、どのような印象を抱いてほしいかを重視します。例えば創業100年以上の歴史をもつ老舗和菓子店と創業5年目のIT企業とでは、テイストが大きく異なってくるでしょう。

デザインコンセプトに基づいて、ベースカラーやフォント、必要な写真素材のイメージが決まっていきます。すでにVI(ビジュアルアイデンティティ)ガイドラインにこれらが定められていれば、それを利用します。その他、ロゴやタグラインなどの規定がCI(コーポレートアイデンティティ)ガイドラインにまとまっていれば、それもデザイン時に必要になります。

CIやVIガイドラインは、デザインコンセプトを定める上で重要な前提条件になりますので、あらかじめ整理して、制作会社に渡しておく必要があります。

13.デザインカンプ作成

デザインカンプとは、実際に公開されるWebサイトの完成見本のことです。Webエンジニアはデザインカンプに基づいてWebサイトを実装していきます。この段階で大幅な修正を行うと、工数の出戻りが発生しコスト増を招きます。

デザインコンセプト設計の段階で、参考にしたいサイトを共有するなど、慎重な擦り合せをおすすめします。

14.Webサイトの開発・修正

デザインカンプに基づいてWebサイトを実際に作っていきます。コンテンツ企画で考えたテキストは遅くともこの段階までに用意しておきましょう。写真・テキスト素材ともデザインカンプ作成前に揃っている状態が理想です。

ページ数が数百、数千にのぼるような大規模開発では、何段階かに分けて確認・修正を入れるほうがプロジェクト関係者の負荷も少なく効率的です。イントリックスでは、規模によって2~4回程度に分けて進行することが平均的です。

15.Webサイトリリース

完成したWebサイトをインターネット上に公開します。修正を重ねていても、開発環境では動作していたものが本番環境では動作しない、という現象が起こる場合があります。また、公開後に誤字脱字を発見したりリンク切れが発覚したりすることもあります。

そのため、公開までのスケジュールにはある程度余裕を持っておく必要があります。万が一の事態に備え、リリース前には2週間から1か月の凍結期間を持ち、これを事実上のバグ対応のバッファとすることがほとんどです。

また、発注時には、公開後の保守対応(1〜2ヶ月程度)も含めて依頼することがおすすめです。

Webサイト制作会社の選び方・費用の考え方

Webサイトの制作費は、掲載する情報量や利用する機能、どこまでを制作会社に委託するかによって大きく変わります。制作会社によって単価も異なります。

制作会社を選ぶ上で、特に大きな変動要素になるのが以下の4点です。

  • 自社内のコミュニケーションをどの程度支援してもらえるか
  • 自社のビジネスをきちんと理解した上でサイトの設計やコンテンツ企画が任せられるか
  • マーケティング設計まで依頼可能か
  • システム開発に長けており、十分な実績を持っているか

こういった内容まで任せられる制作会社は単価が高い傾向にあります。逆に、依頼した通りに作ってもらえれば良い、という場合は単価の比較的安い制作会社でも十分対応が可能です。

どこまで制作会社に依頼したいか、を整理しておくことが重要です。

Webサイトの制作期間

Webサイトの制作期間は、十分な長さを取っておくことをおすすめします。具体的には、5ページ程度のWebサイトであっても、マーケティングが目的でコンテンツの重要性が非常に高く、ログの取得やMA連携なども必要な場合は、5~6か月かかることもあります。

数百ページ以上のコーポレートサイトで、CMSを導入する場合は1年は見ておいたほうが確実です。制作期間は予算の関係などもあり、なかなか長く取っておくことが難しいと思いますが、短期間で議論を尽くさず中途半端なWebサイトを作ってしまうと、運用に入ってからの見直しが多く発生し、結果的にコストがかかることも多々あります。

関係者に合意形成を取らずに進めたことで、抜本的な見直しを余儀なくされたケースも数多く存在します。適切な制作期間が分からない場合は、早めに制作会社に相談を開始することをおすすめします。

Webサイト制作を成功させる5つのポイント

目的の擦り合せから調査分析、要件定義、デザインやコンテンツの企画からリリースまで多くのプロセスがあるWebサイト制作。成功させるにはどのようなポイントに気をつけたらよいのでしょうか。5つのポイントを紹介します。

計画、準備段階にきちんと時間を取る

Webサイトの制作が決まったら、すぐにどんな画面にするか作り始めたくなるかもしれません。しかしそういったケースでは、「このページは何を目的としたページか」など細かい点で意見が分かれ、議論に膨大な時間を要することになります。

計画フェーズを設け、Webサイトの目的やゴール、ターゲット、各ページの役割、読んだ後に期待するアクションなどがクリアになり、結果的に効率的な制作が可能になります。

1年間のリニューアルプロジェクトであれば、その前に3か月は計画フェーズを設けることが目安です。Webサイト制作を成果に繋げるためには、重要なプロセスです。

関係者との合意形成プロセス

Webサイト制作に関わる人が多ければ多いほど、合意形成が難しくなる傾向にあります。特にデザインは、個人の好みもあり、意見が大きく分かれることが多々あります。実際に用意された確認期間の中で、関係者の合意を取ることが可能か、慎重に見極めることが重要です。また、後から方向性がずれないよう、早い段階から関係者に関わってもらい、意見を取り入れながら進めることも必要です。

窓口に立つ部門、担当者で合意形成をまとめる自信がない場合は、そこから依頼可能な制作会社を選定するとスムーズです。

適切なスケジュール

前項でも触れた通り、急いで短期間で制作を進めると、品質面に影響し、結果的に成果が出ないWebサイトになるリスクが高まります。短期間のスケジュールを提案された場合は、自社の確認期間は何日あるのか、提案されたワイヤーフレームやデザインは、どのくらいの期間で修正する予定か、などを確認してみるのがおすすめです。

その他、どの程度抜本的に見直してくれるのか、なども重要な確認ポイントです。短期間でお願いできる制作会社が見つかったと思ったら、「今のWebサイトのサイト構成のまま、デザインだけ良くする想定だった」という話も良く見聞きしますので、注意いただければと思います。

自社の担当者のリソース確保

Webサイトの制作は、想像以上にやることが多くあります。打合せ参加や議事録の確認に始まり、自社の要望の整理、制作会社からあがってきた資料のチェック、素材や原稿の準備、ワイヤーフレームやデザインの確認とフィードバック…。
どの程度の人数と時間を自社の担当者が確保しておけばいいのか、制作会社に相談に乗ってもらいながら、準備しておくことをおすすめします。

継続的に更新できる環境づくり

Webサイトは作って終わりではなく、公開後の運用が非常に重要です。情報を更新する体制や運用フロー、確認から公開までのプロセス、コンテンツを作る上でのルール作りなども、Webサイトの制作と同時に定めておく必要があります。

また、効果測定やWebサイトの改善を誰が担うのかも検討しておくと良いでしょう。こういった業務に長けた企業を探して委託することも視野に入れ、公開後の体制を検討します。

まとめ

目的やターゲットを明確にしてWebサイトのイメージを適切に構築するには、余裕をもったスケジューリングが大切です。ここでネックになりやすいのが複数の部署間での合意形成で、会社の規模が大きくなるほど時間がかかります。

イントリックスのWebサイト制作・運用支援ではBtoBに特化してきた経験から、スムーズな合意形成を促すところから支援が可能です。Webサイトの制作を検討される際には、ぜひ一度、当社へお問い合わせください。

著者プロフィール

西原 杏子
セールス&マーケティングディレクター

コンサルタント/プロジェクトマネージャとして、大手製造業などのデジタルマーケティング支援に携わる。2019年よりビジネスディベロップメント部門のマネージャとして、マーケティング・セールスの責任者。
趣味は園芸、鉄道、温泉、お酒。

Webサイト制作・運用支援

Webサイトでマーケティングやブランディングを実現するためには、目的に応じた戦略策定を行い、それを具体化するフロントエンドからバックエンドまでを一気通貫で創り上げることが重要です。イントリックスは、「専門的なBtoBビジネスの理解に基づくコミュニケーション設計」「企業の魅力・特色を余すことなく伝える情報設計とデザイン制作」「機能性と安全性のバランスの取れたシステム構築」をトータルで提供します。

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