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BtoBマーケティングコラム BtoB領域におけるKPI設定とは?
2023年7月5日
![](img/index/pic01.jpg)
BtoB領域におけるKPIとは
BtoB領域において、組織としての最終目標を達成するためには、目標を関係者で共有し、一人ひとりの従業員が取るべき具体的なアクションに落とし込むことが重要です。
多くの場合、これまでの経験や憶測に加え、手元にあるデータで判断するため、中には狙った結果に繋がらないアクションを取ってしまうことがあります。
そこで効果的なのが、KPIです。
BtoB領域において最終的な目標を達成するために必要なKPIの役割と適切な設定方法、KPIの設定を成功に導くポイントについて解説します。
KPIとは
KPIとは「Key Performance Indicator」の略語です。
日本語では「重要業績評価指標」や「重要達成度指標」などとよばれることもあります。
KPIは、組織・個人の目標を達成するために設定される指標です。
組織や個人の目標の中には、複数の関係者での明確な共有や数値化できないものも多くあります。
また、具体的なアクションに落とし込みにくい目標の場合、現在の状況や取り組んでいる仕事によって、最終的な目標の達成に近づいているのかどうか分かりません。
そこで、目標達成に向けた進捗の管理や関係者での共有を容易にするために、KPIが設定されます。
KPIは、組織や個人の役割や業務内容に合わせて設定するため、具体的な項目は職種別に異なり、例えば以下のような項目が挙げられます。
- 営業:アポイントメント件数、新規顧客獲得件数など
- マーケティング:PV数、コンバージョン率、ダウンロード数、離脱率など
KPI設定のメリット
KPIを設定することには、大きなメリットがあります。
もっとも大きなメリットが、組織目標やその達成度の共有です。前述したように、数値化しにくい目標は、それを達成するために必要なKPIを設定することで、明確な共有が可能です。
その結果、組織目標の達成に向けた行動の明確化にも繋がります。
また、複数のKPIを設定、その達成度を細かく分類しておくことで、業務に取り組む際の高いモチベーションを維持できます。
漠然とした大きな目標しかない場合、達成感を味わう機会が少ないためモチベーションは向上できません。もしKPIを設定すれば、KPIの達成がモチベーション向上に繋がるでしょう。
このように、組織全体の進む方向性が統一され、高いモチベーションに繋がるため、適切なKPIの設定は業績の向上に貢献します。
また、KPIが社内の統一した評価基準としても活用できるため、社員のスキルアップの方向性が組織目標の実現と合致するため、組織全体の能力向上にも繋がります。
KPI設定のデメリット
KPIの設定には大きなメリットがある一方で、デメリットもあります。
最大のデメリットとして考えられるのが、目先の目標にとらわれるあまり、大きなゴールまで考えが及ばなくなることです。KPIという形で目先の目標が明確になってしまっているため、それ以外の部分に目がいかず目標に縛られてしまうためです。
KPIを達成しようとするがあまり、組織の大きな目標を実現できるかどうかを考えず、KPIの達成に向けて行動してしまいます。その結果、最終的な目標から離れてしまうことも起きてきます。
わかりやすい例として、アポイントメント件数と新規顧客獲得件数があります。アポイントメント件数(KPI)を増やすことばかりに目が行き、その先の契約数や売上はほとんどプラスにならない、などが典型的な失敗例です。
もう一つのデメリットとして、自身で必要な行動を考える力が低下することが挙げられます。行動に落とし込みやすいKPIが明確に定まっているため、大きな目標に向かって、自身で必要な行動を考える力が低下してしまいます。これは、KPIが通用しない不安定・不明確な状況に陥った場合に致命的です。
他のデメリットとして、プレッシャーになりやすいという点もあります。KPIが明確な評価基準となり、取組みの結果が数値化して比較されやすくなることで、業務に取り組む際の大きなプレッシャーとなってしまい、結果的にパフォーマンスが発揮されにくい可能性も出てきます。
BtoB領域のKPI設定に必要な項目
ここまでKPIについて説明してきましたが、実際の現場ではKPIだけを設定することはまずありません。
まず「SMART」という観点を用いたうえで、「KGI」や「KSF」に基づいてKPIを設定することが一般的です。
また、これらと合わせて「OKR」を設定しておくことで、目標や指標を見直す際の助けとなるでしょう。
そこでここからは、KPIの設定に必要なSMARTの考え方に加えて、KGIやKSF、OKRの概要と、KPIとの関係性について解説します。
SMARTとは?
SMARTは、
- Specific(明確性)
- Measurable(測定可能性)
- Achievable(現実性)
- Related(関連性)
- Time-bound(期限)
の頭文字を繋げた略語です。効果的なKPIを設定する際に意識すべき内容をまとめたものとされています。
BtoB領域で設定するKPIは、誰が見ても内容の理解ができるように、客観的に「明確」である必要があります。
目標の達成に向けて、従業員が適切なタイミングでアクションを取れるように期限を設け、適切な評価をしやすいように、「測定可能」な数値で設定することが重要です。
また、KPIはモチベーションの維持・向上にも繋がるため、達成困難なKPIの設定は避け、「現実的」なものを設定するべきでしょう。
KPIを達成することでKGIの達成に繋がるように、KGIと強い「関連性」を持った内容のKPIを設定しなければなりません。
そして最後に「期限」を設けることで、いつまでに行動するかを示します。
このように、SMARTの観点を考慮することで、効果的なKPIの設定が可能です。
KGIとは?
続いてはKGIについても説明します。
KGIとは、「Key Goal Indicator」の略語で、日本語では「重要目標達成指標」とよばれています。
組織や個人の最終的な目標を、客観的に判断できる指標として表現したもので、時期や数値などの明確な判断基準を設定する必要があります。
KPIは、KGIを最終的に達成するために必要な手段です。はじめに最終目標であるKGIを設定し、KGIを実現するために管理すべき項目としてKPIを設定するのが一般的です。
KGIやKPIを設定する際には、明確で現実的なものか、またそれぞれの関連性は十分かどうかという観点を持つ必要があります。
この観点が確保されていないと、KPIの達成がKGIの達成に直結しなかったり、客観的な評価ができず実現できない可能性が出てきます。
KSFとは?
KSFは、「Key Success Factor」の略語で、日本語では「重要成功要因」とよばれています(KFS:Key Factor for SuccessもしくはCSF:Critical Success Factorと表現されることもあります)。
最終的な目標を達成するために必要な要因は、一つではなく複数あります。
その中で重要なものがKSFと表現されます。KSFを設定する際には、ビジネスモデルや市場環境、競合他社などの調査を行い、自社の状況と照らし合わせて設定することが必要です。
KSFは、組織の大きな目標であるKGIを達成するために実際に取り組むべきことを表現しており、その取り組み内容に対する達成度合いの評価指標であるKPIとは、意味合いが異なります。
OKRとは?
OKRは、「Objectives and Key Rwsults」の略語で、日本語では「目標と主要な成果」などと表現されます。
OKRは一つの目標に対する複数の主要な成果で構成される目標の設定・管理手法のひとつとされ、類似の目標管理手法と比較して高い頻度で評価・再設定することが特徴です。
KGIやKPIが事業目標の達成を目指す指標である一方、OKRは組織に所属する従業員が一丸となって計画を実現することを目指します。
また、指標の内容においても、KPIとOKRでは大きく異なる特徴を持ちます。
KPIは、客観的に評価・判断できるように数値で明確に設定され、現実的に達成を目指せる指標です。
一方で、OKRで設定される指標は数値で明確に表現しないことも多く、また内容も達成できないかもしれない大胆な内容で、大きな成果を目指すものを設定する傾向があります。
KPI設定の手順と注意点
効果的なKPIは、KGIの実現に繋がるものであることが重要です。そこで、KPIを設定する前にKGIの設定を行い、そこから抽出されるKSFに基づいてKPIを設定する必要があります。
KGI、KSF、KPIのそれぞれの項目を設定する際に、どのような考え、手順で実施すべきなのか。また、効果的に設定するためには、どのような点に注意すべきかについて解説します。
KGIの設定
KPIの設定において最初に決める必要があるのは、組織及び個人の具体的な最終目標であるKGIです。
最終目標であるKGIを設定し、それを達成するために複数のKPIを設定します。
KGIを設定する際にはSMARTの観点を考慮し、特に期限を決めた現実的な目標を、評価しやすい数値で設定することが重要です。
その結果、KSFの設定やKPIの設定がしやすくなり、評価・戦略の見直しなどを実施しやすくなります。
また、KGIを設定する際には、これまでの経験や勘に頼るのではなく、市場環境や自社の状況、また競合他社の状況を詳しく分析することが重要です。
KSFの設定
KGIの設定ができたら、KGIを達成するために必要な要因であるKSFを抽出します。
KSFは環境や状況によって変化します。そこでKSFを抽出する際には、二つの観点で考えるといいでしょう。二つの観点とは、市場動向や競合の状況などといった外部要因と、自社の強みや弱み、状況といった内部要因です。
また、環境や状況が変わった場合には、それに合わせてKSFも変化させていくことが重要です。
過去の分析結果にとらわれてしまい外部環境が変化しているのにKSFを再設定しないと、KSFの達成がKGIの達成に繋がらない状況になっている可能性があります。
KPIの設定
KSFが設定できたら、それぞれのKSFとリンクするようなKPIを設定します。
KSFとKPIは必ずしも一対一の関係である必要はなく、1つのKPIが複数のKSFを達成する指標となることもあります。
KPIを設定する際にも、KGIと同様にSMARTの観点で考えると効果的です。明確で達成できる可能性のある現実的な指標を、計測できるように数値で達成すべき期限と共に設定します。
また、KPIはKGIを達成するために設定する指標のため、間にKSFを挟んでいたとしても、KPIを設定する際にはKGIとの関連性が不十分になっていないか気を付けることが重要です。
KGIやKSFとの関連性がずれていないことを確認するために、KPIを設定したらKGIをトップ事象としてツリー化してみるといいでしょう。
KGIを達成するためのKPIの位置づけが明確になり、関係者とも共有しやすくなります。また、KGIとKPIのずれに気付くきっかけになる可能性もあります。
KPI設定の注意点
KPIを設定する際には、いくつかの注意点を押さえておくことが重要です。
まずは、KGIとKPIがしっかりと対応関係にあることが必要です。日常業務における管理はKPIで行われるため、KPIの達成がKGIの達成に繋がっている必要があります。
特に外部環境や内部環境に大きな変化があった場合には、KPIの修正が必要かどうか確認すべきでしょう。
また、KPIは複数の関係者で共有し、評価する必要があるため、できるだけ少なくシンプルに表現できる指標を設定すべきです。数が多いと、関係者での共有や進捗管理が大変になってしまいますし、複雑であれば適切な評価ができません。
また、KPIを設定する際には不用意に高すぎる目標を設定しないようにしましょう。
KGIを実現するよりも難易度の高いKPIを設定すると、他のKPIとのバランスが悪くなってしまう可能性があります。また、難易度が高すぎて達成できず、モチベーションの低下を引き起こします。
これらの注意点を押さえておけば、効果的なKPIを設定できるでしょう。
KPI成功のための3つのポイント
KPIの成功とは、KGIと関連して適切なKPIを設定し、それを順調に達成することで、KGIを実現することです。
KPIを成功に導くためには、KPIの設定や運用において3つのポイントを押さえる必要があります。
KPIを成功させるために必要な3つのポイントについて、詳しく解説します。
KPI・KGIのゴールや目的の共有
KPIの中には個人に割り当てられるものもありますが、多くの場合は複数人が所属する組織としての指標です。
そこで、関係者が正しくKPIやKGIを理解するために、適切な情報共有が重要になってきます。特に重要なのが、KPIとKGIの関係に関する情報です。
KPIの設定を成功に導くためには、KPIだけではなく大元のKGIと共に、関係者に共有することが重要です。
管理対象となるKPIを達成することで実現したいKGIが何かを理解しておくことで、その手段であるKPIに対する理解も深まります。
また、自身のKPIに対する取組みが、部署や会社全体などより大きな組織のKGIに対してどのような影響があるか把握できるため、モチベーション向上にも繋がります。
シンプルなKPIの設定
KPIを設定する際には、できるだけシンプルにすることが重要です。
KPIはKGIとの関連性が重要で、KGIの達成に繋がるようなKPIの設定を行う必要があります。しかし、KGIとの関連性を重視しすぎると、複雑で理解しにくいKPIになってしまうでしょう。
いくら正確なKPIだったとしても、十分に理解してもらえなければ達成に向けて適切なアクションを取ることはできません。KPIを設定する際には、誰にでも理解できるようなシンプルなものを設定することが重要です。
また、KPIの目標値は複数設定することができるため、取り組む人がモチベーションを保ちやすいように、実現可能な水準に分割した目標を設定するといいでしょう。
定期的なKPIの振り返りと見直しの必要性
KPIを形骸化させずに、KGIの達成に向けて意味のあるものにするためには、定期的な振り返りや見直しが必要です。
KPIの振り返りを行うことで、日常業務の取組みが適切だったかどうか、このままの方向性で進めていっていいのかを判断できます。
また、KGIとKPIの関係が、外部環境や内部環境の変化により変わっていないか、設定した当時の関係のままかを確認し、もし関係性が変わっている場合には、思い切ってKPIを変更することも必要です。
環境変化によりKPIが実効性を持たない状況であった場合に、必要な振り返りや見直しを行っていなければ、KGIの達成に向けて意味のない形骸化したKPIになってしまいます。
まとめ
これまで、経験や憶測、手元にあるデータに基づいて会社の目標やそれを実現するための指標、アクションを決めていた場合、精度が低く、選択した行動が想定した結果に繋がらないといった課題がありました。
KGIに基づいたKPIを設定することで、最終的な組織や個人の目標に直結した指標の達成に繋がるアクションを取れるため、日常業務での取組みが、組織としての最終的な目標達成に直結します。
KPIを適切に設定する際にはKGIとの関連性を重視し、すべての関係者が理解しやすいシンプルなものにするといいでしょう。また、一度決めたからといって固執するのではなく、社内外の環境変化に合わせて、柔軟に見直していくことが重要です。
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