BtoBマーケティングコラム 【初心者向け】コンバージョンを高めるために、BtoB企業のLPデザインで考慮したいポイント

LPを作ったのに、いまいち成果につながらない、期待していたほどのコンバージョンが見込めない、といった声はよく聞かれます。その原因はさまざまですが、戦略的にデザインすることによってLPの成約率を確実に高めることが可能です。
今回はBtoB向けのLPについて、成約率を上げるために重要なデザインのポイントについて解説します。

まずは、BtoB企業向けLPの特徴を理解する

LPは、特定の商品やサービスを紹介・宣伝し、ユーザーに購買や問い合わせなどの一定の行動を促すという目的のもとにつくられるページです。BtoB企業向けの商品やサービスに関するLPをつくるにあたって、まずはBtoB企業向けLPの特性とBtoC企業向けLPとの違いを知ることが重要です。

一般的に、対法人の商品やサービスは対個人消費者の商品などに比べて高額になりがちです。他にもさまざまな違いがあるため、BtoB企業向けにLPをつくる際には、BtoC企業向けのLPと同じ感覚で作ると失敗する可能性が高まってしまいます。
では、どういった点に違いがあるのでしょうか。

BtoB向けLPは【コンバージョン=売上】にはなりにくい

BtoC向けLPの場合、多くはLPの閲覧者と決裁権者が同一です。例えばフリーランスを対象にした経理サービスという商材を訴求するLPであれば、そのサービスを使うフリーランス本人が閲覧することが一般的です。これはサプリメントやコスメ、ITツールなど、有形・無形を問いません。そのため、BtoC向けのLPの多くは、商品やサービスの購買をゴールに設定しています。

しかし法人が意思決定をする際は、課題を解決してくれるサービスや製品を探すのは、多くの場合、決裁権を持たない実務担当者です。加えて、他社と比較したり複数人で検討を重ねたりしながら慎重に意思決定を行うのが一般的です。そのため、LPからすぐに購買や成約につながりにくいのです。

業務時間内にLPを閲覧することが多い

ユーザーがLPを閲覧する環境にも違いがあります。個人の場合はスマホやタブレットなどのモバイル機器からの流入割合が高いという特徴があります。
一方、法人の場合は基本的に担当者が勤務中に、会社のパソコンから閲覧することが多いもの。そのため、パソコンで閲覧されることを特に意識することがポイントです。

客観的に説得力のあるコンテンツが求められる

興味がある商品について調べていたら、「今だけ60%オフ!」などの文字が飛び込んできたので、ついリンクをクリックしてしまった。こうした経験をお持ちの方も多いかもしれません。

BtoC向けLPであれば、このように感情に訴えかけることは有効です。しかしBtoB向け商品は、価格が高額になる・複数人で意思決定をするという特性を持つため、こうした訴求方法はあまり適しません。それよりも重要なのが、商品やサービスの客観的な評価と実績を示すことです。

客観的な評価や実績を示してユーザーに信頼感を抱いてもらうために、デザインで誠実さを演出することが有効です。具体的なデザインの注意点については、後述します。

BtoB向けLPとBtoC向けLPでは、こうした違いがあります。この違いを知らないままLPの制作に踏み切ってしまうと、成果が出にくいLPになってしまうので要注意です。

LPを作る前に準備しておきたいこと

BtoB向けLPの特性について理解を進めた上で、実際にLPをつくる工程に移っていきましょう。具体的にデザインを決める前に、まず準備することがあります。それが、【目的・ターゲット・訴求ポイント】を明確にすることです。
これらの3つの要素について明確にすることによって、LPに対する好みや自社の価値観などがより具体化します。その結果、課題やニーズに応えられるデザインを検討しやすくなり、カラーやフォント、写真やイラストの選定、レイアウトなどが考えやすくなります。

また、どういった視点でビジュアルを選ぶべきなのかが明確になることで、ユーザーのニーズやイメージから大きく外れたLPを作るというリスクを減らすことができるようにもなります。【目的・ターゲット・訴求ポイント】は、ターゲットの関心を引きつけるレイアウトや装飾を検討するときにも重要なのです。

目的を明確にする

コーポレートサイトに比べてLPは、特定の商品やサービスをより効果的に訴求できます。そのため、より深くターゲットに訴求することが可能です。
ターゲットを絞ってピンポイントでアプローチできるからこそ、目的があいまいなままLPをつくってしまうと、届けたい人に届かない「ズレた」LPが完成してしまいます。具体的なアクションに落とし込んだ目的を設定していきましょう。

冒頭で、BtoB向けLPでは、コンバージョンが売上げに直結しにくいとお伝えしました。そのため、LPの目的を売上そのものに設定することはあまりお勧めできません。
BtoB向けLPの主な目的として最適なのが「リードの獲得」です。見込み客リストは、何にも代えがたい資産です。獲得できるリードが多ければ多いほど、将来的な売上増につながる可能性が高まります。

リードを獲得する方法としてはさまざまなものがありますが、「セミナーへの参加申込」「資料やホワイトペーパーの請求」「サンプル配布」など、目的に応じたアクションを設定するとよいでしょう。もちろん目的は企業によってさまざまですから、課題に応じた目的を定めることがポイントです。

ターゲットと訴求ポイントを決める

LPの目的が決まったら、続いてターゲットを決めていきます。
小学生のお子さんを持つ方に高校生向けの教材を販売しても刺さらないように、ターゲットの設定や訴求ポイントを間違えてしまうと、当然ながらLPのコンバージョン率は上がりません。ターゲットを設定することで、製品やサービスを必要としている企業や特定の課題を抱えている企業に訴求することができるわけです。

ターゲットはできるだけ具体化しましょう。「IT業界」「旅行業」などは広すぎます。企業名や企業規模、業界の特徴や業界・企業が抱えている課題などを深いところまで掘り下げつつ、設定していきましょう。

LPを制作する動機は企業によってもさまざまですが、【目的・ターゲット・訴求ポイント】の3つの要素がしっかりと固まっておらず、数ある販促方法の1つとしてLPをつくろうと考えている、なんとなくLPが売上増につながると聞いたから、といったように、漠然とLP制作に取りかかる企業様も少なくありません。

しかし、この3つのポイントが固まらなければ、LPのデザインを決めることはできません。私たちデザインチームでも、LPを制作する際にはまずこの3点についてしっかりとヒアリングを行っています。

これらのことを踏まえた上で、コンバージョンを高めるためにLPをどうデザインするかを見ていきましょう。

LP単体ではなく、全体を意識する

商品やサービスを訴求し、顧客に購入してもらう際には、まずは企業やサービスのことを認知してもらい、興味を持ってもらって、最終的に購買に至るという導線を設計していると思います。
LPは通常、コーポレートサイトや企業SNS、リスティング広告などのWeb広告、CMなど、さまざまな媒体を通じてユーザーがアクセスしてきます。LPのデザインを考える際には、この「導線」を意識することが重要です。

遷移元となるSNS広告などに掲げている広告文とLPの内容にギャップが出てしまうと、LPに遷移してもらえる確率が高かったとしても、かえって印象が悪くなり、結果的には離脱されてしまいます。LPをつくるときには、LP単体ではなく、この導線まで意識してデザインすることもポイントです。
こうした下準備を経た上で、実際にLPの制作に入っていきましょう。

コンバージョンを高める具体的なデザインのコツ

LPのデザインに決まった正解はありませんが、コンバージョンボタンのデザインを少しいじった、全体の色味を変えたなど、デザインを少し変えただけでコンバージョン率が上がることは少なくありません。ここからは、デザインの視点から効果的なLPにするためのポイントについて解説します。

BtoB向けLPには安心感や信頼感が求められる

これまでお伝えしたとおり、BtoB向けLPはBtoC向けLPよりも商品が高額になりがちです。100円のものを買うときと1万円のものを買うときとでは、意思決定の慎重さは変わってきますね。1食数万円するようなレストランに行ったとき、レストランの外観やサーブされる食器が安っぽいと、たとえ食材が上質で料理が素晴らしいものだったとしても、どこかがっかりしてしまうものです。これはLPも同じこと。BtoB向けLPにおいては、安心感や信頼感を得られるデザインが求められます。

信頼感や安心感を演出する際には、過剰な装飾や雑多なレイアウトは避ける・アニメーションを使用する際も演出過多にはしない、などを意識しつつ、情報の伝達性を重視しましょう。ブランドや製品のイメージを損なわないよう、色やフォントの選択にも注意が必要です。

大切な情報かどうかをひと目でわかるようにする

安心感や信頼感を訴求するために、商品のメリットや実績は数字で示す、論理的に根拠を提示するなど、具体的かつ客観的な情報を提供することがポイントです。
こうしたことから、一般的にBtoB向けのLPは情報量が多く、文章量も増えがちです。仮にユーザーがLPにアクセスしたときに、論文のように画面一面に文章がびっしりと並んでいたら、どう感じるでしょうか。おそらく圧迫感を感じて離脱されてしまうでしょう。
このように文章が一面に並んだ画面は、メリハリがないため、どこが重要な情報なのかを一目で判断することが困難です。

基本的に、LPに書かれている文章は熟読されません。ユーザーのほとんどは、まず見出しをざっと見て、「ここには自分にとって重要なことが書かれている」と思ったところだけを読みます。どこに重要な情報があるのかユーザーが簡単に把握できるようにデザインする必要があります。

図1:テキストがベタ打ちされている画面と、改善例の比較

LPを読んだときにパッと目に入るのが、画像や見出しです。情報量や文章量が多いLPは、情報の優先度をユーザーが視覚的に理解できるよう、見出しと本文のメリハリをつけましょう。
さらに、見出しも「大見出し」「中見出し」「小見出し」など、階層によって使用する見出しが変わります。この場合も、どれが大見出しでどれが小見出しなのか、その違いがひと目でわかるようにすることがポイントです。少しでも「分かりづらい」と感じられてしまうと、すぐに離脱されてしまうので注意しましょう。

フォントサイズを変えるだけでなく、画像フォントを使うことでもメリハリを付けることができます。

図2:画像フォントの使用例

画像フォントは、LPのファーストビューや見出しの部分によく使われます。見出しの階層が多いなど、メリハリがつきにくいような場合には、画像フォントを使うのも有効です。

画像フォントは、コンピュータにあらかじめインストールされているデバイスフォントと比較すると、装飾や大きさ、カラーなどを細かく設定することができるため、表現の幅が広いという特徴があります。
画像フォントはテキストとしての役割だけではなく、ビジュアルとしての役割も担うことができるため、見出しやファーストビューなど、ユーザーにインパクトを与えたい箇所で画像フォントを使うことで、よりメリハリのあるデザインが可能です。

本文のフォントサイズは16pxがおすすめ

LPやホームページなどで、文字が小さくて読みづらいな、と感じた経験はありませんか?フォントサイズが小さくて読みづらいと、離脱される確率が上がってしまい、コンバージョンに結びつきにくくなってしまいます。そのため、小さすぎる文字を使うことはお勧めできません。
フォントサイズとしてお勧めなのが16pxです。検索サイトの1つであるGoogle Chromeは任意に文字のサイズを設定できますが、標準の設定は16pxとなっています。こうしたことから、LPだけでなくコーポレートサイトやECモールなど、多くのサイトが16pxの本文サイズを使用しています。基本的には本文のフォントサイズは16pxにするとよいでしょう。

ファーストビューはLPの内容がひと目でわかるように

Webページを開いたときに画面に表示される画面を「ファーストビュー」と言います。ファーストビューでユーザーの関心を惹きつけられなければ、LPを下にスクロールしてもらえません。ファーストビューは、「もっと読みたい」と思われるようなデザインにすることが必須です。

「パケ買い」という言葉がありますが、ファーストビューをつくるときも、「このLPには何が書かれているか」がパッと見ただけでわかるようにデザインしましょう。
例として、ユーザーが商品を実際に使用している未来が連想できるデザインのほか、ユーザーの悩みを的確に表すコピーを強調させることによって、共感を獲得するデザインなどが挙げられます。さらに、サービスや商品の強みやメリットなど、ユーザーが最も知りたい情報をファーストビューに盛り込んで「結論から示す」デザインも有効です。

続きが気になるような工夫をする

ドラマやバラエティー番組では、CMで視聴者に離脱されないように、CMに入る前に謎を提示しておく、という編集がなされることがあります。視聴者はその謎が気になるため、続きを見たくなるわけです。

ファーストビューも同様です。次のトピックスの見出しだけ画面をスクロールしなくても目に入るようにするなど、続きが気になるようなデザインにすると、先を読み進めてもらえる確率が上がります。

コンバージョンボタンのデザインは統一させる

「お問い合わせはこちら」「セミナー申込みはこちら」など、コンバージョンを促すボタンのデザインは、コンバージョン率を左右する重要な要素です。
コンバージョンにつながる行動をユーザーに直接うながすための「CTAボタン」がLPの中で複数登場する際には、デザインは一つに統一しましょう。ファーストビューに表示されるコンバージョンボタンは赤、LPの最下部に表示されるコンバージョンボタンは青など、デザインを変えるのは避けるべきです。

ユーザーは、最初に目に入ったコンバージョンを「これがCTAボタンだ」と認識し、そのデザインを記憶します。そうすると、LP内で他の場所に似たようなボタンが登場したときにも「これもCTAボタンだ」と推測してくれるようになります。その結果、「コンバージョンはどれだったかな」と考えることなく、スムーズなアクションを促すことが可能になるのです。

CTAボタンをデザインするときには、心理的に「つい押してしまう」デザインにすることもあります。
例えば、目の前にボタン状の突起物がついた箱が置いてあったとしたら、ついその突起物を押してしまいたくなりませんか?それが一体何のボタンであるかを知らなくても、私たちは直観的に「押す」という行動を取りがちです。

それはLPなどのWebコンテンツであっても同様です。例えば、ボタンに立体感をつけるなど、ユーザーにその要素が“押せる”と感じさせるように工夫することで、コンバージョン率が上がることがあります。

立体感の他にも“押せる”をユーザーに感じさせる手法として、「ホバーエフェクト」を付けたり、影やアイコンを付ける方法などがあります。
このような「説明なしに使い方がわかり、人に自然な行動を促す工夫や効果」 のことを「アフォーダンス」と呼びます。アフォーダンスを意識したデザインは、言葉で訴求しなくともユーザーの行動を促す効果が期待できるのです。

入力フォームはユーザーのストレスを軽減するデザインに

アフォーダンスにも代表されるように、デザイナーは人間の心理についても理解を深めた上で、コンバージョンを高めるための工夫をちりばめてデザインを行っています。

これは入力フォームについても同じです。入力フォームは、これまで受動的にLPを閲覧していたユーザーが能動的に情報を書き込む動作をする場所です。また、コンバージョンを直接成立させる重要な役割を担っています。そのため、ユーザーがストレスなく情報を入力し、送信ボタンを押すというアクションを促すためのデザインが欠かせません。

ストレスを軽減するためには、できるだけ入力フォームをシンプルに見せる必要があります。細かいことですが、入力欄の左端をそろえることによって、手間のかかる入力作業もスムーズに感じる効果が期待できます。

図3:フォームレイアウト例

イントリックスの問い合わせフォームも、「お問い合わせ内容」「メールアドレス」などのテキストの文字数が違っても、入力フォームの位置を揃えています。

入力フォームに必須項目を設定している場合には、空白のまま送信しようとするとエラーになってしまい、ユーザーに再入力の手間が発生します。このとき、一旦送信ボタンを押さなければエラーの箇所がわからない、エラーになるとそれまで入力していた情報が消えてしまうなどの仕様は、ユーザーにストレスを与えてしまいます。
エラーが出た場合には、エラーの理由やエラーの箇所がひと目でわかるようなデザインにすることで、最終的に離脱されにくくできます。

今回は、コンバージョンをより効果的に狙うためのLPデザインのヒントについて解説しました。デザイナー目線でLPに目を向けていただくことで、LPに対する理解を深めていただけたのではないでしょうか。
イントリックスでは、ユーザーの心理にも配慮したLPデザインをおこなっています。ぜひ参考にしてみてください。

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