BtoBマーケティングコラム 【イントリックス流の制作極意】 CASE04|モノ訴求からコト訴求コンテンツに作り変えたい

昨今、モノ訴求からコト訴求へのシフトが求められているBtoB企業のWebサイトコンテンツ。プロダクトアウト的な発想で、メーカー視点で作られたコンテンツでは、問い合わせの獲得が難しくなっているのが現状です。しかし、どのようにしてコト訴求コンテンツを制作すればいいのかわからない企業も多いことでしょう。

本稿では、既存のモノ訴求コンテンツを、ユーザー視点を踏まえたコト訴求コンテンツに作り変えるための具体的な手法についてお伝えします。

プロジェクト概要

お客様

大手機械メーカー様

課題
  • 潜在顧客、見込み顧客、既存顧客に対し、自社の製品・サービスの提供価値を効果的に伝えるコンテンツを制作したい
  • 現在のWebサイトには、メーカー視点で訴求している製品ページが多数掲載されている
プロジェクト名

BtoBソリューションコンテンツの企画・制作

支援内容

コンテンツ企画、事業部ヒアリング、構成・執筆

期間

企画フェーズ:約2ヶ月
制作フェーズ:約2ヶ月

モノ訴求からコト訴求コンテンツに作り変える極意

本プロジェクトのお客様は、さまざまな業界にソリューションを提供している企業です。しかしながら、お客様のWebサイト上にはプロダクトアウトの製品ページしか存在していませんでした。製品がユーザーにどのような価値をもたらすのかは不明瞭で、メーカー視点の一方的なコミュニケーションになっていたのです。

また、製品やサービスを支える技術に関しても、どのような技術を保有しているかこそ書かれていますが、それが何に活かされているのか、どのようなユーザーベネフィットにつながるのかまでは言及されていませんでした。

今回は、このようなプロダクトアウトなモノ訴求コンテンツ群から、ベネフィットが伝えられるコト訴求コンテンツ群へシフトする極意をご紹介します。

【制作極意1】

ユーザーにとっての意味的価値を明らかにする

いくらメーカーが自社の視点で価値を訴えても、ユーザーが価値を感じなければ意味がありません。ユーザーが抱える課題や達成したい目的に対し、最大限に貢献するものだと感じてもらうことで、初めて製品・サービスは提供価値を発揮します。

これは、製品・サービスが持つ機能によって客観的に決まる「機能的価値」に対し、ユーザーの主観的な意味付けで決まる「意味的価値」と呼ばれています。コト訴求コンテンツを制作する上では、この意味的価値を明らかにする必要があります。

意味的価値を探るために、イントリックスは実際に製品やサービスを利用しているユーザーに対し、ヒアリングシートやユーザーインタビューによる取材を行いました。ここでは、

  • どのような課題を抱えていたのか
  • 課題解決のためにどんな製品・サービスが必要だったのか
  • その製品・サービスを選んだのはなぜか
  • 利用した製品・サービスはどのように課題を解決したのか
  • 具体的な成果
  • 課題を解決した結果、何を実現できたのか

といった点をお聞きし、製品・サービスがユーザーに提供した意味的価値を明確にしていきました。

【制作極意2】

冒頭で提供価値を伝えるストーリーラインとする

今回コト訴求コンテンツ群へとシフトさせるモノ訴求コンテンツ群は、複数の事業部がそれぞれで制作していました。そのため、掲載されている内容や情報の粒度がバラバラで、コト訴求コンテンツにシフトするためにどんな情報が不足しているのか、把握しにくい状況でした。

そこで、イントリックスはコト訴求を行うコンテンツとしてのあるべき姿を描くことにしました。すなわち、ユーザーにヒアリングした意味的価値を伝えるコンテンツのひな型の制作です。

コンテンツのひな型制作で重要なことの1つは、情報を掲載する順番=ストーリーラインです。本プロジェクトで最も重視したのは、「結論ファースト」のストーリーラインとすることでした。

今回制作するコト訴求コンテンツのターゲットは、潜在顧客、見込み顧客、既存顧客の3者と定められていました。彼らは製品・サービスに対する知識の深さも異なれば、Webサイトに訪れる動機や購買意欲も異なります。

これらのターゲット全員に対し、意味的価値を効果的に訴求するために、また「3秒足らずでWebページに留まるか否か決める」「集中力は金魚より短いわずか8秒」といったWebユーザーの本質を踏まえた結果、冒頭で意味的価値を謳う「結論ファースト」とするストーリーラインが最も有効と判断しました。

【制作極意3】

フレームワークを活用しつつ、効果的に意味的価値を訴求するコンテンツひな型を作成

「結論ファースト」を守りさえすれば、意味的価値が的確に伝わるというわけではありません。コンテンツを目にしたユーザーに納得感をもって意味的価値を理解していただくために、コンテンツ全体でロジカルなストーリーを展開する必要があります。

その際に有効なのが、ユーザー心理に基づくフレームワークです。ユーザーの購買決定プロセスを応用した「AIDMAの法則」をはじめ、コンテンツライティングにはさまざまなフレームワークが存在します。これらを活用することで、よりユーザーに対して効果的に価値訴求を行うことが可能になります。また、複数のコト訴求コンテンツを制作していく際にも、内容のばらつきが少なくなり、Webサイト全体で統一感をもたせることもできます。

図1:コンテンツライティングにおける主なフレームワーク

今回、複数挙げたフレームワークの中で、「結論ファースト」に即したフレームワークである「BEAFの法則」を活用することにしました。

フレームワークを決定したあとは、コト訴求コンテンツの具体的な内容を構成し、全体のストーリーラインを作り上げていきます。

コンテンツ冒頭に記した製品・サービスの意味的価値を、納得感とともに理解していただくためには、「課題を解決し価値を生み出す裏付けとなる、製品・サービスの特長や強み」も併せて伝える必要があります。これは単なる製品の特徴とは異なり、意味的価値の源泉となる特長や強みでなければいけません。これらに言及する際には、数値を用いてファクトベースで語り、定量的に訴求することが肝要です。

意味的価値とその裏付けとなる特長・強みに加え、市場において自社が優れていることを伝える競合優位性、製品やサービスの活用シーンを想起させるアプリケーションなどの項目を盛り込み、ページを構成していきました。

図2:実際に制作したコト訴求コンテンツのひな型

ただし、意味的価値の裏付けとなる強みや特長、あるいは競合優位性を伝えるために必要な情報が、従来のモノ訴求コンテンツにすべて掲載されているとは限りません。また、従来コンテンツに掲載されている強みや特長が意味的価値に結びつきにくいものもありました。

このようにコト訴求コンテンツにシフトするための情報が不足していたため、イントリックスは製品やサービスそのものを最も理解していると言える事業部にヒアリングを実施しました。ヒアリングシートを活用して基本的な情報を収集し、より深い情報収集が必要な場合はインタビュー形式でのヒアリングを行い、コンテンツ制作に必要な情報を収集していきました。

製品・サービスの意味的価値をロジカルに伝えるコト訴求コンテンツの型が完成

今回のプロジェクトでは、製品やサービスの意味的価値と、その裏付けとなる特長や強みを正しく効果的に伝えられるコト訴求コンテンツのひな型を構成しました。お客様や、ともにプロジェクトを推進するパートナー企業様からは、ひな型の内容に対して「納得感がある」といった言葉をいただいております。

また、ひな型を作成することで、コンテンツの一定の品質が担保されることはもちろん、従来のモノ訴求コンテンツからシフトする際に足りない情報がすぐ把握できるなど、制作の効率化にも寄与することができました。

ユーザーに対し的確にコト訴求を行うコンテンツは、今後のBtoB企業のコンテンツマーケティングにとって非常に重要な取り組みの1つです。製品やサービスの意味的価値をどうやって伝えればいいのかわからないというご担当者様は、ぜひイントリックスへご連絡ください。

著者プロフィール

コンテンツプランナーチーム

雑誌編集者やWebマーケター、BtoBライターなどの経歴をもつコンテンツ制作の精鋭が集まった経験豊富なスペシャリスト集団。
企業ブランディングの支援からマーケティングまで、BtoBビジネスに必要なコンテンツをゼロから生み出すクリエイティビティと守備範囲の広さを武器に、あるべき姿を描くコンテンツ戦略から制作・取材・執筆までを一手に担う。
ブランドコンテンツ、サステナビリティコンテンツ、IRコンテンツ、技術・製品紹介コンテンツ、導入事例、SEOコンテンツ、LP、ホワイトペーパー、オウンドメディア、メルマガ制作など、BtoBコンテンツに特化した実績が豊富。

BtoB企業のデジタルコミュニケーションを総合的に支援しています

BtoB企業に特化したサービスを提供してきたイントリックスには多くの実績とノウハウがございます。現状のデジタル活用の課題に対し、俯瞰した視点でのご提案が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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