BtoBマーケティングコラム WebにおけるUI/UXとは?その歴史や設計のポイントも紹介

2024年8月21日

WebサイトにおけるUI/UXとは

WebにおけるUIとは、レイアウトとナビゲーション、ボタンの配置やカラーなどのビジュアル面を指し、UXとはユーザビリティやアクセシビリティといった「使いやすさ」のことを指します。UI/UXの満足度は、サイト訪問から離脱までのユーザー体験に大きく影響する重要な要素で、サイトの満足度やリピート率、離脱率にも大きく関わってきます。この記事では、WebサイトにおけるUIとUXの具体的な要素と、それぞれの役割・重要性について詳しく説明します。

UIとは

UIとは「User Interface(ユーザーインターフェイス)」の略称でInterfaceには、本来「接点、接触面」という意味があります。UIは、ユーザーとシステム、デバイス、アプリケーションなどの間のインタラクションに関わる部分を指すので、ユーザーの目に触れるものはすべてUIとも言えます。ユーザーが操作する画面だけでなく、マウスやキーボード、タッチ画面などもUIに含まれます。

Webサイトの場合は、一般的にUIは以下の要素を指します。

  • ボタンやテキスト、画像などのレイアウト
  • 色の選択とその組み合わせ
  • フォントの選択と文字のスタイル
  • 機能や操作を視覚的に示すアイコン
  • リンクの見せ方
  • 問い合わせなどフォームのデザイン
  • ナビゲーションや一覧などのメニュー表示

UIは、ユーザーがデジタル製品やサービスを操作するために必須で、その使いやすさや見た目がユーザー体験(UX:User Experience)に大きく影響するとても重要な要素です。

UXとは

UXとは「User eXperience(ユーザーエクスペリエンス)」の略称で、ユーザーが製品、サービス、システム、またはブランドと関わる際に感じる全体的な体験を指します。UXは、ユーザーの満足度、使いやすさ、デザイン、機能、使い勝手、直感的な感覚など、さまざまな要素から判断されます。一般的に製品のUXの要素としては以下の項目が挙げられます。

1. 有用性(Utility)

製品やサービスがユーザーのニーズを満たし、目的を達成するために役立つか

2. 使いやすさ(Usability)

製品やサービスが、初めての人であっても直感的に利用できるか・操作性に優れているか

3. アクセス可能性(Accessibility)

希望する全てのユーザーが製品やサービスを利用できるか・特に障害を持つユーザーに対して配慮がされているか。

4.魅力(Desirability)

製品やサービスが視覚的に魅力的で、ユーザーが手に取りたい・使いたいと感じるか

5. 信頼性(Credibility)

そもそも、機能や発売元、情報管理など製品やサービスが信頼できるか

UI/UXの関係性

良質なUXを提供するにはUIへの配慮が欠かせないので、この二つは「より良いユーザー体験」としてセットで考えられることが多くなっています。UIとUXは相互に強く関係してユーザーの利用満足度に影響しているため、どちらか一方が欠けても優れた製品やサービスを提供することは難しいのです。

優れたUIは、美しいデザインや使いやすさを提供し、ユーザーがスムーズに操作できる環境を作ります。一方、優れたUXは、ユーザーのニーズや期待を満たし、全体的な体験を向上させることを目指します。この二つが調和することで、ユーザーにとって最高の体験が実現されます。

またこの二つは「目的と手段」の関係性にあり、目的として設定したUXを実現するため、UIをどのように改善すれば良いかを考える、といった関係性でもあります。UIによる複数の「接点」を含む一連の「体験」を、ひとつのUXと捉えることもできます。UIとUXは、異なる概念であるもののお互いに密接に関連し合う関係でもあるので、片手落ちにならないよう常に両方の質を上げていくための検証を繰り返す必要があります。

UI/UXの歴史とUI/UX思考でデザインを設計するポイント

UIやUXの概念は歴史が古く、UIは1990年代のドナルド・ノーマン氏の「誰のためのデザイン」が発祥とされ、UXは1950〜1960年代に生まれた人間工学や認知科学の考え方が基盤とされています。(諸説あります)

このように長い歴史がある概念が近年大きな注目を浴びているのは、スマホやインターネットの普及により、「より良いサイト」「よりユーザー満足度の高いデバイス」の研究が進んでいるからです。

UI/UXの歴史

User Interface(UI)という概念は、ドナルド・ノーマン氏の「誰のためのデザイン」(1990年)から広まっていったと言われることが一般的です。ノーマンは同書において、「製品のデザインは、ユーザーのニーズ、能力、行動を最優先に考えるべき」と強調しています。つまり、それまで主流であった「見栄えが美しいもの」「デザイン的に優れたもの」を良いデザインとするのではなく、デザインはユーザーの期待や行動に基づいて設計されるべきという提唱を行なったのです。

一方User Experience(UX)の歴史はUIの歴史よりさらに古く、デザインと技術の進化とともに発展してきました。最初にUXの概念が生まれたのは1950〜1970年代前後、初期の人間工学や認知科学が生まれた頃とされています。1960年代に発展した人間科学では人間の能力や限界を研究し、ユーザーの効率性、安全性、快適性を向上させるための基礎を築きました。1970年代には認知科学が登場し、人間の認知プロセスを理解することが重要視されました。これにより、ユーザーの思考や行動を理解するための理論的基盤が提供され、これらの研究が現在のUXの概念の基盤を作ったと考えられています。

UI/UXが叫ばれた背景

UIは1990年代、UXの基礎となる考えは1950年代から研究されていたにもかかわらず、近年大きく注目されているのはなぜでしょうか。それは技術の進化、消費者の期待の変化、ビジネス競争の激化などが影響しています。特に大きいのは、Webサイトやスマホ、アプリなどの発展です。Webサイトの広まりやスマートフォンの爆発的な普及により、ユーザーはいつでもどこでもインターネットにアクセスできるようになり、モバイルアプリやウェブサイトの利用が増加しました。

モバイルデバイスの多様化に伴い、画面サイズや操作方法が異なるデバイスに対応するためのレスポンシブデザインが必要となり、UI/UXの重要性が高まったのです。
当たり前にあらゆることをWebやスマホから調べる現在では、ユーザーが「使いやすくいサイト」「直感的に分かりやすいデバイス」を自ら選んで利用する時代となりました。
つまり顧客に使い続けてもらう・ファンになってもらうには、「このサイトは使いやすい」「このスマホは操作性が良い」と感じてもらうことが重要になったのです。「使いやすさ」「分かりやすさ」をユーザーに実感させるためには優れたUIとUXが必要不可欠です。

UI/UX思考でWebデザインを設計するポイント

それでは実際に、ユーザー満足度をあげるために欠かせないUI/UX思考を取り入れたWebデザイン設計をするには、どのように行えばいいのでしょうか。最も重要なのはユーザー視点に立つことです。実際にWebサイトのデザインやユーザビリティを考える際には、ユーザー中心のデザインアプローチを採用し、ユーザーが直感的に使いやすく、魅力的な体験を提供することを最優先とします。

ユーザビリティで重要なことは「初めて訪れた人が使いやすいか」「どこにどんな情報があるのかが直感的に分かる」「自分が探している情報にすぐに辿り着ける」という視点で設計されていることです。ペルソナやターゲット設定などをしっかり行った上で、ユーザーの負担軽減や分かりにくさの解消・簡単な操作性などが求められます。
Webサイトの場合はデザイン性だけではなく、サイトの読み込み速度やモバイルサイトの最適化といった技術的な面もユーザーの利用満足度に大きく影響するので、「マルチデバイス対応」「パフォーマンスの最適化」も必ず行いましょう。

UI/UXを改善するメリット

UI/UXを改善することにより、具体的にWebサイトを運営していく上でどのようなメリットがあるのでしょうか?サイト訪問者のユーザー体験が良くなるという体感的なことに加えて、ユーザビリティが改善されてサイトのリピート率が上がる・離脱率が下がって回遊率がアップする・その結果CV率も上がることが期待できます。またサイトの訪問ページが増えることにより客単価が向上も期待できるなど、さまざまな数値的な改善が見られます。

回遊率がアップする

UI/UXの改善により最初に効果が出ることの一つがサイト内の回遊率のアップです。いくら良いコンテンツであっても、そしてたくさんの情報が掲載されていたとしても、サイトのUI/UXが良くなければ訪問者はどこにどんな情報があるのか分からず、探している情報に到達することなく短時間で離脱してしまいます。早期の離脱を防ぐには、UI/UXの改善を通じたシンプルで直感的なナビゲーションの実現などにより、ユーザーが目的の情報を簡単に見つけられるようにすることが大切です。

またメニューやカテゴリーの最適な分類により、ユーザーは自分自身の必要な情報に加えて関連情報やさらに深い情報に到達しやすくなり、サイトの回遊率がアップします。ユーザーがどこにいるのかを把握しやすくするためにパンくずリストを整備することも大切です。
またそのページと近い情報を「関連情報」「関連記事」という形でページの下部などに配置することにより、他ページへの遷移も促せてユーザーの満足度の向上にも寄与します。

CV率がアップする

上に書いたようにUI/UXの改善でWebサイトの回遊率が上がることによって、製品やサービスの認知や理解度も上がり、ユーザーが探している情報や課題の解決・関連情報に辿りつきやすくなります。その結果、問い合わせや購買・申し込みなどのCV率が向上する可能性が高まります。

サイトに訪れた見込み客がしっかりとCVするためには、CVに至るまでの導線がしっかりとして分かりやすいことが重要です。「この情報を見た後にこの情報に辿り着いてもらい、そこからこのようなルートでCVページに誘導する」など、具体的な導線をしっかり設計させた上でUI/UXに反映させましょう。

サイト改善を行う上で具体的には効果的なこととして、ボタンの配置や魅力的な説明文言、特典の表示やシンプルで効果的なCVページのデザインが挙げられます。特に一番大事なCVページは、購入項目を減らす・今入力のどの段階にいるかの進行状況を表示するなど、さまざまな視点からユーザー満足度を挙げていくことがCVの向上につながります。

客単価が向上する

ECサイトの場合、自分が探している機能や欲しい商品にすぐに辿り着くことができればユーザーは負担なくCVに至る上に、関連商品やリコメンドなどが適切に表示されるUXであれば当初想定していなかった商品の追加購入の可能性が上がります。サービスサイトの場合は、Q&Aが充実していたりAIの応答サービスなどで機能に関する疑問などがすぐに解決できることで、クロスセル・アップセルが見込めます。
またサイト内に適切な情報や窓口を設けることで、欲しいサービスのカスタマイズやプラスの機能追加のオーダーなどによる単価向上も期待できます。

商品のディテールやブランド感を伝えるためにイメージ動画を入れたり、特典やボリュームディスカウントなどのオファーを提供すること、またスムーズなショッピング体験を提供することなども購入率のアップや客単価の向上に効果的です。このようにUI/UXの改善によって顧客が自ら購入や購入後のイメージを膨らませられることで、客単価の向上も見込めます。

まとめ

近年、デザイン面のみならずマーケティングの分野でも頻繁に聞かれるようになったUI/UXについて、なぜ大切なのか、重要な項目や期待される効果などについて解説しました。

UI/UXを改善する基本的な目標は、「初めて来た人が迷わない・使いやすいサイトにすること」「探している情報にすぐに辿り着けることでユーザー満足度をあげること」です。定期的な改善を繰り返すことはそのままユーザー満足度に直結し、回遊率やCV率、客単価の向上に直結していきます。今後は現在あるサイトの改修の際も、新規サイト立ち上げの際にもUI/UX思考は必須となるでしょう。

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