BtoBマーケティングコラム ビジネスの課題を解決するために:プロジェクトとお客様の役割

ビジネスにおいて、お客様が抱える悩みは多岐にわたります。たとえば、以下のような悩みをお持ちの場合、どのように解決すればよいでしょうか?

  • 日本と他国がそれぞれ制作しているWebサイトの情報連携が取れておらず、非効率である
  • より効率的なビジネス施策を実行するために、グローバルサイトを改善したい

このような課題を抱える企業様とお話しする機会が最も多いのが、私たちプロジェクトマネージャーです。

私たちは、皆様の「どうしよう?」という悩みに対して、解決策とそのロードマップを提供し、「インテリックスに頼んでよかった」と感じていただけるよう努めています。

本記事では、プロジェクトの推進や外部依頼を考えている方に向けて、プロジェクトの特徴やプロジェクトマネージャーの仕事、成功させるポイントなどについてお話ししたいと思います。

プロジェクトとは?

「プロジェクト」という言葉は日常的に使われますが、正式な定義をご存知でしょうか?米国プロジェクトマネジメント協会が発行する「PMBOK」では、プロジェクトを以下のように定義しています。

「独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施される有期性のある業務」

なお、プロジェクトには次の3つの特徴があります。

  • 有期性
    • プロジェクトには開始日と終了日があり、永続的なものではありません
  • 独自性
    • プロジェクトの結果として得られるプロダクト、サービス、所産は独自のものであり、日常業務で得られるものとは異なります
  • 目標志向
    • プロジェクトには明確な目標や目的が設定されており、その達成を目指して進行します

たとえば、「サイトのリニューアル」は典型的なプロジェクトの一例です。これは期限が設定され、独自の成果物(新しいサイト)を生み出すことを目指しています。一方で、「そのサイトを定期的に更新し、運用する」ことは繰り返し行われ、期限がないため定常業務と見なされます。

プロジェクトは一度限りの取り組みであり、その成功には明確な計画と管理が不可欠です。これにより、独自の目標を達成し、期待される成果を得ることができます。

Webサイト構築・リニューアルにおけるプロジェクトの流れ

Webサイトの構築・リニューアルは、多くの関係者が関わる大規模なプロジェクトです。

単にサイトを構築するだけでなく、企業の課題を整理し、Webサイトの方向性を明確にし、目的達成に必要なコンテンツや機能を洗い出すことが求められます。また、各領域に強みを持つベンダーの選定も重要です。これらの作業は数か月から数年にわたり、専門的なスキルと経験が必要となります。

以下に、Webサイト構築の主な流れをご紹介します。

フェーズ 内容
戦略 ビジネスの要望を整理し、施策の優先順位を決定する方針を整理します。
要件定義 サイトの目的、ターゲット、KPIを策定し、制作スコープを具体化します。
設計 デザインや機能の詳細を詰めて、具体的な成果物を制作するための設計を行います。
制作 設計に基づいて、実際のコンテンツや機能を制作します。
開発 具体的な機能を実装し、成果物を完成させます。

イントリックスでは、Webサイトの構築やリニューアルを「戦略立案プロジェクト」と「構築プロジェクト」の2つのフェーズに分けて対応しています。

「戦略プロジェクト」と「構築プロジェクト」の概要を示した図

たとえば、現状分析の結果、リニューアルが最適なソリューションと判断された場合には、その提案を行います。すでに要件定義が決まっている場合は、サイトの設計から支援することも可能です。

グローバルサイトの整理とリニューアルを行う場合を考えてみましょう。まず、「戦略立案プロジェクト」で目的や範囲を整理します。この段階で作成したドキュメントが、戦略立案プロジェクトの成果物となります。

たとえば、「グローバルサイトのうち、日本とアジアのサイトをリニューアルし、その他の地域は後のフェーズで対応する」という戦略が立案された場合、その戦略に基づき「構築プロジェクト」で具体的な作業を行います。

「構築プロジェクト」では、要件定義を通じてお客様の要望を詳細に整理し、その後、実際の制作に入り、成果物を構築します。このフェーズの成果物は、リニューアルされた日本とアジアのサイト、およびそれに関連する設計書などのドキュメントです。

このように、フェーズごとに明確なステップを踏むことで、効率的かつ効果的なWebサイトの構築・リニューアルが実現します。

プロジェクトマネージャーの仕事とは?

プロジェクトマネージャーの仕事は、プロジェクトの進行と管理を担当することです。「日本とアジアのサイトをリニューアルする」プロジェクトでは、以下のように具体的な手順とスケジュールを細かく要件定義します。

  • 共通部分と個別地域の調整範囲の決定
    • 日本サイトとアジアのサイトの共通点を明確にし、各地域固有の調整が必要な部分を特定します。
  • 各国システムの統合と整理
    • 各国のシステムを統合し、整理することで、効率的な運用を目指します。
  • デザインガイドラインの策定
    • 統一感を持たせるためのデザインガイドラインを作成します。

これらのステップを詳細に決めた後、設計、制作、開発の各フェーズに進みます。プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体の計画を立て、メンバーが順調に作業を進められるよう支援し、問題が発生した際には迅速に対処します。プロジェクトのスムーズな進行と目標達成を推進することが私たちの役割です。

以下にプロジェクトマネージャーの主な役割を示します。

  • 計画と組織
    • プロジェクトの目標や要件を理解し、適切な計画を策定します。リソースの割り当て、タイムラインの設定、各メンバーの役割の明確化を行います。
  • コミュニケーション
    • チームメンバーや利害関係者との効果的なコミュニケーションを確保し、情報と進捗の共有を行います。また、プロジェクトに影響しそうな事について、チームおよび関係者との調整を行います。
  • リスク管理
    • プロジェクトの潜在的なリスクを予測・分析し、対処法を想定します。リスクが現実化しないように調整しますが、それでも現実化してしまった場合は適切な対策を講じます。
  • 品質管理
    • 品質基準を確立し、プロジェクトの成果物が要件を満たすよう努めます。
  • 変更管理
    • プロジェクトの要件や状況が変化した場合、影響を分析・判断して柔軟に計画変更します。

プロジェクトマネージャーの真の価値は、各関係者の要望を取り入れ、最適な解決策を見つける能力にあります。つまり、誰もが納得し、リスクを最小限に抑える方法を選択することが求められます。これがプロジェクトマネジメントの楽しさであり、同時に難しさでもあります。

たとえば、あるプロジェクトで突然要件変更が生じた場合、プロジェクトマネージャーは即座に影響を評価し、関係者と協議の上で新しい計画を立て直します。その際の迅速な対応と的確な判断が、プロジェクトの成功を左右します。このように、プロジェクトマネージャーは常に全体を見渡しながら、スムーズな進行と目標達成を支援しています。

プロジェクトを成功に導くためのお客様の役割とは?

プロジェクトの成功には、関係者全員の積極的な関与と効果的な役割分担が必要不可欠です。

Webサイトリニューアルのような大きなプロジェクトでは多くの関係者が関与し、数か月から数年にわたって進行するため、全体を俯瞰しながら調整し、推進していくことが求められます。プロジェクトマネージャーにはプロジェクトマネジメントのスキル、および対応するプロジェクト分野の知見が必要となるため、お客様側でプロジェクトの管理業務を担うのは限界があります。

そこで、外部の専門ベンダーを活用することが推奨されます。ただし、ベンダーに全てを任せるのではなく、お客様自身が積極的に関与することが重要です。

お客様の主な役割は、プロジェクトにおける様々な検討と確認です。具体的には以下のようなものがあります。

  • 全体方針の検討と確認
    • サイトの目的、予算、必要な期限、優先順位などを検討し、決定した方針を確認します。
  • 予定している成果物の確認
    • デザインやコンテンツ、CMSなどのシステムについて、使用するものや制作するものを確認します。
  • 社内での合意形成
    • プロジェクト内で検討・決定された事項を社内の関係者に展開し、合意を得ます。
  • 成果物の確認
    • 成果物が要求した内容と合致しているかを確認します。

これらの検討・確認事項は多岐にわたり、お客様が判断しやすいよう、イントリックスではメリットとデメリットを含めた選択肢を提示します。

また私の経験上、特に社内関係者との合意形成プロセスに時間がかかることが多いと感じています。

たとえば、コンテンツ制作の場合、初稿、修正稿、翻訳稿などの確認が必要で、プロジェクトチーム内、関係部署、コンプライアンス部門など複数の部署が確認を行うことが一般的です。3か月で公開できると想定していたものが、確認に時間がかかり、実際には5か月かかることもあります。

イントリックスでは、こうした状況に対応するために以下の手段を取っています。

  • プロジェクトの調整
    • スケジュール、費用、スコープの優先順位を確認し、調整を行います。スケジュールの調整や、プロジェクトを分割などのスコープ調整を行います。
  • 社内確認用資料を制作する
    • お客様が社内での合意形成を迅速に行えるよう、確認用の資料を作成し、提供します。

これにより、お客様がスムーズに確認・決定できるようサポートします。プロジェクトの成功には、全体の調整と推進を行うプロジェクトマネージャーと、お客様の積極的な関与が必要です。互いに協力し合いながら、目標達成に向けて進んでいきましょう。

プロジェクトを成功に導くためのポイント

プロジェクトを成功に導くためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。以下に、そのポイントを紹介します。

  • 課題のリストアップと整理
    • まず、現在直面している課題を整理し、リストアップしてみましょう。たとえ課題を完全に把握していなくても、外部のベンダーがそのリストを基に、問題点を分析し、最適な解決策を提案します。最初のステップとして、まずはお気軽にご相談ください。課題の整理と洗い出しが成功への第一歩です。
  • 透明性のあるコミュニケーション
    • プロジェクトの進行状況や要件の変更など、重要な情報は早めに共有しましょう。進捗の遅れも早めに伝えることで、計画変更が容易になり、影響を最小限に抑えられます。透明性のあるコミュニケーションがプロジェクトのスムーズな進行を支えます。
  • タイムリーなフィードバック
    • 提供された成果物や提案に対して迅速にフィードバックを行うことで、プロジェクトの進行をスムーズにし、品質を向上させることができます。フィードバックは迅速かつ具体的に行うよう心掛けましょう。
  • 柔軟性と協力
    • プロジェクト中には予想外の事象が発生することがあります。変更に対応し、協力をお願いすることが出てきます。柔軟な対応がプロジェクトの成功には欠かせません。協力体制を整え、柔軟に対応する姿勢を持ちましょう。
  • 目標への共感
    • 自分の役割がプロジェクト全体にどう貢献するかを理解し、目標やビジョンを見直してください。疑問や悩みがある場合は、プロジェクトメンバーやプロジェクトマネージャーに相談し、協力して目標を達成しましょう。共感を持つことで、チーム全体が一丸となって取り組むことができます。
  • 自己管理と責任
    • 自分のタスクを計画通りに進め、期限内に成果物を提供するよう心掛けましょう。困難な場合は早めに協力を求め、チーム全体で問題を解決します。自己管理と責任感がプロジェクトの成功に直結します。

まとめ

ビジネス環境の急速な変化とユーザーニーズの多様化により、プロジェクトの規模と複雑性が増しています。このような状況下で、納期を守りながら高品質な成果物を提供するためには、的確なプロジェクトマネジメントが欠かせません。

社内でプロジェクトを推進することは可能ですが、ベンダーの選定や複数の関係者の調整には高度なWeb知識とマネジメントスキルが必要です。そのため、専門会社に依頼することが効率的です。

イントリックスでは、BtoBのWebサイト支援で培った豊富な経験と知識を活かし、マルチベンダーとの円滑な協力を通じて、Webサイト構築プロジェクトを成功に導きます。

プロジェクトに関するあらゆる課題を一緒に解決するパートナーとして、ぜひ私たちをご検討ください。
また、プロジェクトに関するより実践的な内容も発信しておりますので、併せてぜひご活用ください。

著者プロフィール

木村 温子
プロジェクトマネージャー

金融系のシステムエンジニアを経て、ウェブ開発業界に入る。
NHK語学サイトなどの、テレビ番組関連のウェブリニューアル、運用を担当。ウェブゲーム開発、デジタルサイネージテンプレート開発の企画・制作にも携わる。

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