製造業におけるマーケティングの課題
製造業でなかなかマーケティングが上手くいかない大きな理由は人材不足です。社内にマーケティング人材を抱えるにはコストがかかり、社内で人材育成するにしても経験者が少なく苦労している企業が多いのが現状です。そのため他部署との兼任が多く、コンテンツを一人回す・発信し続けるということが難しく、せっかく立ち上げたマーケティング施策も途中で終わってしまうケースが多く見受けられます。
マーケティング人材の不足
製造業でマーケティングが進んでいない理由に「人員不足」「予算不足」が挙げられます。
元々多くの製造業の会社は「製造に関わる部署」「営業」の大きく二職種で成り立っているため、マーケティングの専門知識を持つ人材はほとんどいません。そのためマーケティングを取り入れる場合には「外部からマーケティングの専門家を採用」「今いるスタッフをマーケティングの専門家として育成していく」の二つになります。
しかし、採用するにしても育てるにしても非常にコストがかかります。製造業は中小企業も多いので、そこまで時間的にもコスト的にも手が回っていないのが現状です。そのため、あまり知識のない人がたった一人で他の部署と兼務しているケースが多く見受けられます。
“なんとなく”では成果が出にくい
コロナ禍により展示会や対面営業の機会が急減したことから、急遽オンライン化したりデジタルマーケティングを始めた製造業も多くありました。しかし、展示会ですぐに一定数のリードが獲得できる従来のマーケティング手法と異なり、Webを用いたデジタルマーケティングは専門家がやったとしても一朝一夕には結果が出ません。理由はいくつかあります。
まず、Webサイトに情報をしっかり載せても、検索順位が上がってくるまでに時間がかかること。また製造業は製品数も多く商材も多岐にわたるため、一つの製品への検索回数が少なく見込み顧客を簡単には見つけられないこと。また、個人にものを売るBtoCは、購入者本人が気に入れば購入成立ですが、BtoBとなると関わる人や部署が多岐に渡るため、契約までどうしても時間がかかってしまうのです。
このようにデジタルマーケティングにはかなりの専門知識が必要とされます。ここで短期に成果があがらない結果、長年人脈やお付き合いで契約が取れていた製造業では「製造業にはやっぱりマーケティングは合わない」という最終判断をされがちなのです。
国・地域別における取り組みの模索
さらに、日本国内だけではどんどん市場が小さくなっていくため、今後は海外にも市場を広げなければなりません。ビジネス自体が国際化が進んでいることから、製造業においても海外マーケティングの重要性が高まっているのです。
その際に最も重要なことが「ローカライズ」です。「ローカライズ」とはその地域の人々や文化にあった最適な形に、自社の製品やマーケティング手法をカスタムしていくこと。ここが上手くいかなければ、いくら日本で人気がある製品だとしても知名度を高め販売に結びつけていくのは難しくなるでしょう。そのため海外進出を成功させるために、海外マーケティングチームを強化している企業も増えています。
また国際市場に打って出るためにどんな競合優位性があるのか、どこが自社の強みなのか、という点を徹底的に洗い出し、それをどうやってマーケティング活動に活かしていくかは企業にとって重要な課題でもあります。
コンテンツ制作が進まない
「これからは製造業にもマーケティング活動や情報の発信が必要なことは分かった。しかし発信していく情報や定期的に更新すべきSNSやブログなどに、何を書いていいかわからない」という担当者も多いのではないでしょうか。実際それが理由で更新が滞ったり、一度始めた発信を辞めてしまう企業がたくさんあります。
マーケティング施策として、自社のホームページ・メルマガ・ホワイトペーパーSNSで発信する際には、コンテンツの制作は必要不可欠です。自分一人で発信できる情報は限りがあるため社内でコンテンツ制作を分担できれば良いですが、「社内のメンバーが協力してくれない」という声もよく聞きます。また内容が専門的すぎたり読者が興味がないコンテンツでは意味がない、など定期的に有益なコンテンツを制作していくことにも多くの課題があります。
一方で、外部の専門のコンサルティング会社などに依頼すると、今度は商品の専門性が高いがために理解が難しく、適切な支援や提案が受けられないという八方塞がりになってしまうケースもあります。