BtoBマーケティングコラム 北米に見るデジタルマーケティングの最前線、「B2B Marketing Expo」イベントレポート

2024年5月24日

BtoBマーケティングに関する北米有数のイベント「THE BUSINESS SHOW 2024(B2B Marketing Expo)」が、2024年3月6日・7日の2日間にわたり米国・マイアミで開催されました。

THE BUSINESS SHOWは、中小企業や起業家向けに、ビジネス成長の知識やスキル、サービスなどを共有する場として23年の歴史を持ち、今年は「ビジネスサービス」と「デジタル革新」に焦点が当てられました。

本稿では、THE BUSINESS SHOW 2024を構成する「B2B Marketing Expo」を会場の様子とともにレポートします。

デジタルマーケティングをはじめ経営全般について相談できるブース構成

B2B Marketing Expoの出展企業は、経営コンサルティング企業とデジタルマーケティング関連の企業が中心でした。

経営コンサルティング企業は、企業のビジネスそのものや経営環境を支援する企業が多く出展。さまざまなツールやソリューションが展示されており、来場者が経営について多角的に相談できる環境となっていました。

デジタルマーケティング関連の出展企業は、コンサルティングの提供企業が多かった印象で、市場や顧客の調査・戦略設計、ブランディングといった上流工程の支援に加え、コンテンツ制作の機能を持っていることが特徴でした。

ブースでの相談内容から読み解く北米中小企業の現状

経営上の主要機能と認識されるデジタルマーケティング

北米において先進的だと感じるのは、デジタルマーケティングが経営上必須の手段であると認識されている点です。この背景には、北米の国土が広大であることが挙げられます。営業担当者が客先に足を延ばすには移動に時間がかかりすぎ、対面では気軽に顧客へリーチできません。そのため、インターネット上で顧客にリーチし、育成を行うデジタルマーケティングが早くから取り入れられてきました。

本展示会においても、多くの参加者が自社の営業・マーケティング活動においてデジタルマーケティングの取り組みは必須であると考え、相談に訪れていました。出展側の企業も営業活動に関する相談に対して、デジタルマーケティングの取り組みありきで話を進めていたことも印象的です。

デジタルマーケティングに厳しく求められる費用対効果

早くからデジタルマーケティングに取り組んできた北米企業の多くは現在、過去の施策の結果を受けてより高い成果を狙う「2巡目、3巡目」に入っています。マーケティング専任者にはROI(費用対効果)が厳しく求められており、より確度を高める取り組みが必要とされています。

B2B Marketing Expoでもこういった顧客の高い期待に応えるべく、リード獲得・ナーチャリングのためのあらゆるサービスが紹介されていました。サービスそのものに日本との大きな差異はなく、リードをどう育成し、どのタイミングで営業に渡せばよいかといった社内の組織課題など、イントリックスにもよく寄せられている相談内容が現地でも多く聞かれました。

展示・セミナーに見る北米中小企業のニーズ・関心事

顧客の多様化に応える根強いコンテンツ制作へのニーズ

デジタルマーケティングにおいては、顧客のフェーズやニーズに応じたコンテンツ配信が不可欠です。さらに顧客の多様化が進む昨今では、コンテンツの内容や配信のタイミングについてもパーソナライズが求められています。

ただし、運用する媒体を増やし、コンテンツもパーソナライズするとなれば、自社のリソースだけでは制作が間に合いません。もちろん、顧客により響くコンテンツ制作には専門のノウハウが必要となります。

そうした背景からか、コンテンツ制作を提供するブースやコンテンツ制作に関するセミナーには多くの参加者が集まり、積極的に質問する様子が見られました。

エミー賞の受賞者を多数輩出している動画制作会社のDigital Brew社の代表は、「純粋なコンテンツ制作の依頼は相変わらずたくさん来るが、近年はとくに、制作したコンテンツアセットの管理・運用に関する相談が増えている」と話していました。リード獲得とナーチャリングに効果的なコンテンツ制作が求められ、テストと改善を含めたコンテンツ運用や、コンテンツそのものの品質が要求されているようです。

生成AIとツールの掛け合わせによる業務効率化への期待

北米のビジネスパーソンの間では生成AIの利用も進んでいます。B2B Marketing Expoのセミナー中に実施されたアンケートでは、日常的に生成AIを活用している参加者が、30名中20名という結果になりました。そのうえで、「今後、いかにビジネスでのAI活用を進めるか」が議論の焦点になっていました。

とくに北米では、景気の影響によるレイオフなどもあり個社におけるリソース不足が深刻に。現業の効率化が関心の高い経営テーマとなっています。生成AIの登場は、そのための有効な手段として高い期待が寄せられており、システムツールとの掛け合わせが検討されているようです。

メールマーケティングの自動化プラットフォームを提供するBREVO社では、「今後、システムとデータの両面において生成AIと自社サービスを連携し、顧客のサポート体制を強化していく」とのこと。生成AIが普及し、機械学習も進展しているため、顧客をより深く理解して適切なタイミングで適切なアプローチを行うために、AIのアシスタント機能が有益であるとのとの見立てだそうです。

出展企業に共通したメッセージ「顧客理解と戦略策定の重要性」

B2B Marketing Expo内のどのセミナーでも、「顧客を深く知ることがデジタルマーケティングの成功につながる」というメッセージが、盛んに打ち出されていました。

例えば、リード創出に関わる調査・戦略サービスを提供するArkentech Solutions社では、顧客層が非常に限定的で、マス的なアプローチではリーチの難しい場合、顧客像を徹底的に洗い出したうえでリード獲得・育成の戦略を組み立ててから、施策の実行に入っているそうです。

他の企業も同様に、いきなり施策を実行するのではなく、事前の調査や戦略策定を通じて計画を立てることの重要性を強く伝えていました。個別のターゲットへアプローチし確度を高めるには、詳細な顧客理解にもとづく高精度な戦略を策定することが重要であるということを、今回の視察で再認識しました。

まとめ

B2B Marketing Expo全体を通じて、デジタルマーケティングに取り組むことが当たり前である、という意識が出展者側にも来場者側にも根付いていた点が強く印象に残りました。

北米の先進的な市場では、個社におけるデジタルマーケティングの取り組みが2、3巡目に入っています。より高精度な施策が求められる中で、当社でも従来取り組んでいる顧客のニーズを正確に把握し戦略的なアプローチを取ること、またコンテンツ制作の重要性を改めて認識した2日間でした。

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